惑星協会が5月20日に打ち上げた宇宙ヨット、LightSail(LightSail-A)が太陽帆の展開に成功したと発表しました。2度にわたる地上との通信途絶を乗り越え、打ち上げ当初の目的を達成しました。
続きには、不完全ながら LightSail から地上に届けられた太陽帆展開状態の画像を掲載しました。
太陽帆の展開はその帆の伸長マストに取り付けられたモーターの回転カウント数から判断できます。日本時間6月8日4時47分に始まった帆の展開は、全体の半分ほどのところまで到達したところで LightSail が電波受信可能範囲外に移動してしまったために確認できなくなりました。惑星協会はその後のテレメトリーデータなどから太陽帆はすべて展開できたと判断しました。
Motor is running! Sail is Deploying!!! 39 Years after Prof. Sagan spoke of it!
— Bill Nye (@BillNye) 2015, 6月 7
打ち上げから太陽帆展開にいたる LightSail の道のりはトラブル続きでした。5月20日に打ち上げられた LightSail はソフトウェアの不具合により5月22日から8日間もの間、地上との通信が途絶えました。5月30日、偶然にも LightSail のシステムが再起動したことで、地上との交信を再開。好機を逃すまいと惑星協会はソフトウェアの更新と太陽帆の展開を急ぎました。
ところが6月5日、太陽帆展開の準備をしている最中に、今度は太陽電池パネルの機能が不十分でバッテリー電圧が低下。LightSail はまたもや沈黙していまいます。管制チームは、一方通信で操作コマンドを送ってみたものの返答は得られず、これで万事休すかと思われました。
しかし惑星協会の管制チームは諦めず、電波の探索を継続。ふたたび LightSail からのビーコンを掴むことに成功します。LightSail がちょうど太陽の光を強く受ける軌道に差し掛かり、低下していたバッテリーを太陽電池パネルが充電できるようになったためでした。少しずつではあるものの、現在もバッテリーの充電は継続しており、今後しばらくは安定して地上との通信を継続できそうな見込みです。
[Image credit: The Planetary Society]
惑星協会は日本時間5月9日現在、太陽帆を展開した LightSail が自らを撮影した「自撮り」画像の受信作業を行っています。すでにいくつか画像を受信したものの、いずれもデータが完全ではなく、まだそのすべてを確認することはできていません。上の画像では太陽とその光を受ける帆の一部が確認できます。
すでに LightSail の高度は低下を始めています。できるだけ早く、完全な太陽帆展開状態の画像が受信できることを祈りたいところです。
ちなみに、太陽帆を展開した LightSail は地上からも確認することができます。ただ、明るさの等級は4~6等星ぐらい。肉眼で見るには少し暗いかもしれません。見える時間帯などは Heavens Above で確認できるので、双眼鏡や望遠鏡で夜空を見上げてみてはいかがでしょうか。