保健医「初恋の相談?」女生徒「……はい」
保健医「私なんかでよければ、いくらでも聞いてあげるわ」
女生徒「ありがとうございます……」
保健医(小動物みたいな子ね……真っ赤になっちゃって、可愛い)
女生徒「その……好きな人、と言うのが」
保健医「うんうん」
女生徒「部活の先輩、なんです」
保健医(先輩かぁ、青春って感じねぇ)
保健医「あなた、何部なの?」
女生徒「……女子バスケ部、です。私はマネージャー、ですが」
保健医「ほうほう、女子バスケ……」
女生徒「……」
保健医「……」
保健医(……なるほど、それでここに来たわけか)
女生徒「……じー」
保健医(どう返答したものかしら……)
保健医「ってな事がありましてね」
教師「ふーん」
保健医「もう、せめて視線はこっちに向けて話を聞いてよ」
教師「なんて答えたんだ?」
保健医「もう少しじっくり考えてみて、それでも気持ちが変わらなかったらもう一度来るようにって」
教師「解決になってる?それ」
保健医「学生の恋愛感情って、憧れとかの延長線な事が多いから。冷静になってみると案外落ち着いたりするものなのよ」
教師「説得力ないなぁ」
保健医「……自分で言ってて分かってる」
教師「ごめんごめん、むくれるなよ」
保健医「あなたはそういう経験ない?」
教師「恋愛相談?」
保健医「そう。教師になってそれなりに経つでしょ」
教師「んー、あんまキャラじゃないからなぁ。生徒もそれ分かってるのか、その手の話題はからっきしだ」
保健医「そっかー」
教師「あー、でも」
保健医「?」
教師「一回あったな、『先生好きです、付き合ってください!』ってのなら」
保健医「……」
教師「なんて顔してるんだ、相手は学生だぞ?」
保健医「だって、まんざらでもない顔してる」
教師「ちゃんと断ったよ、先約がありますからってな」
保健医「……怪しい」
教師「疑り深いやつだなぁ、それじゃ証拠に……」
保健医「あ、ちょっと……っ」
教師「……ん」
保健医「……っふ」
教師「……ぺろ」
保健医「……眼鏡を付けたままじゃ危ないって、前にも言ったのに」
教師「こりゃ失敬、では改めて……」
保健医「……ダメ」
教師「ありゃ?」
保健医「相談の答え、ちゃんと考えてあげなきゃ」
教師「クソ真面目だなぁ、相変わらず」
保健医「あなたが不真面目なだけだと思うけれど」
教師「実体験を元にしてみてはいかがだろう」
保健医「……と言うと?」
教師「キミは完全に忘れていますが……こう見えて私は2つ上です」
保健医「……」
教師「……背は低い、ですが」
保健医「……胸もね」
教師「キミは私を泣かせたいのかね」
保健医「あなたと私の関係を参考にさせちゃ、絶対にダメな気がする」
教師「うわ、なんだか傷付くなぁ」
保健医「事実だもの。恋する乙女はもっとロマンチックに恋をするべきです」
教師「……」
保健医「……」
保健医「……もう寝ます」
教師「自分で言っておいてヘソ曲げるって理不尽じゃないかな」
保健医(……先輩、かぁ)
教師(ロマンチック、ねぇ?)
「一年、声出てないよーっ!」
「ハイッ!」
先輩「……はっ……はっ……」
先輩「……ふぅ」
女生徒「せ、せんぱいっ」
先輩「……?」
女生徒「タオルです、よかったらどうぞっ」
先輩「ん、ありがと」
女生徒「……じー」
先輩「ボクの顔」
女生徒「へっ?」
先輩「何か、付いてる?」
女生徒「あ……ぅ」
「次、2対2ーっ!」
「ハイッ!」
先輩「おっと、もう行かなくちゃ」
先輩「はい、タオルありがとね」
女生徒「先輩……」
「それじゃ、今日はここまで!」
「お疲れ様でしたーっ!」
女生徒「……」
女生徒(……人のいなくなった体育館って、静かだな)
女生徒(おっと、後片付け急がなくちゃ)
女生徒「あ」
女生徒(これ、先輩が使った……)
女生徒「……」
女生徒「すん、すん……」
「おーい」
女生徒「……っ!」
「なんだ、まだ残ってる奴いたのか?下校時間ギリギリだぞ」
女生徒「す、すいません。すぐ帰りますっ」
「うわっと……なんだ?顔真っ赤にして」
女生徒(見られた?いや、見られて……ない、よね?)
教師(……私もまだ捨てたもんじゃないか?)
教師(ああいうのはポイント高いだろうな、男女問わず)
教師(っと、やばい。私も急がねば)
保健医「……んー」
教師「どうした、せっかくいい肉がセールだったのに。何を難しい顔してるんだ」
保健医「前に話した子、いたじゃない?」
教師「はふ、はふ……バスケ部のマネ、とかだっけ」
保健医「何で既に曖昧……まぁいいや。そう、その子」
保健医「あの後、どうなったか気になってね……なんだかこっちから聞くのも変な感じだし」
教師(そういや、体育倉庫で見たあの生徒……)
教師「……もぐもぐ」
教師「もしさ」
保健医「はむはむ……ん」
教師「もしその子がもう一度来たとして、なんて言うの」
保健医「それは……その」
教師「もふもふ……」
教師「答えがちゃんと定まってないなら、むしろ来てくれない方がいいんでないかね」
保健医「……」
教師「……んー?」
保健医「んがーっ!肉ばっかり食べるなーっ!」
教師「ならキミも食べる?」
保健医「えっ、ちょっ……と」
教師「……」
保健医「……」
教師「ごちそうさまでしたっと」
保健医「……お粗末様、でした」
「一年、ちんたら走ってるともう一週だよ!」
「ハイッ!」
女生徒(……)
女生徒(私はなんてことを、してしまったんだろう)
女生徒(いくら好きでもタオルの匂いを嗅いじゃうなんて、まるで変態……)
「あ、危ないっ!」
女生徒「へっ?」
女生徒「あぅっ!?」
女生徒(め、目の前が……まっ、しろ……)
保健医「……ふー」
保健医(あの子、今日も来なかったわねぇ)
保健医(思い詰めてなければいいんだけれど……)
保健医「……ん」
先輩「失礼します」
保健医「あら、いらっしゃい」
先輩「マネージャーの子にボールがぶつかっちゃって。ベッドをお借りできますか?」
保健医「もちろん、大丈夫よ。ゆっくり降ろしてあげてね」
先輩「はい」
保健医(……)
保健医(この子が、話に出てきた先輩って子かしら?)
先輩「……」
保健医(なるほど、確かに密かな人気を保持してそうなタイプね……)
先輩「先生、後はお願いします」
保健医「えぇ、お任せなさい」
先輩「それじゃ、ボクは練習に戻ります」
保健医「……」
保健医(ボク、ねぇ?)
女生徒「……すー……すー……」
保健医(せっかく麗しの王子様におんぶしてもらったのに、気絶してるなんて残念ね)
保健医(いや、麗しのお姫様かしら?)
保健医(ん……目の下、隈が酷いわね)
保健医「ま、今はゆっくり眠りなさいな」
先輩「……」
「おい」
先輩「?」
「1対1で何をボーッとしてる。お前までケガでもしたら面倒だぞ」
先輩「それは無いと思うけど……」
「そんなに心配なら、目を覚ますまで付いててもよかったんだぞ」
先輩「んー……それはちょっと、ね」
先輩「特別扱いしちゃうと、逆に迷惑かかっちゃいそうだし」
「……なら、もっとシャキッとしろ」
先輩「言われなくても……ねっ!」
「……っ!」
先輩「はい、一本」
「ぐぬぬ……次だ、次っ」
女生徒「くかー……」
教師「おいーっす」
保健医「……ちょっと、何しに来たの?」
教師「突然キミの顔が見たくなって……ね」
保健医「学校では極力会わないようにって、言ったはずだけど」
教師「そんなつれない事言うなよー、どうせ暇だろ?」
保健医「ところがどっこい」
教師「おんやぁ?」
保健医「この子が話してた子」
教師「やっぱり」
保健医「あら、面識ありかしら」
教師「一方的にだけどね」
保健医「ま、そういう事だから。保健室ではお静かに」
教師「……」
保健医「あ、こらっ。眼鏡を返しなさい」
先輩「ふぅ……ふぅ……」
「ハァーッ……ハァーッ……」
先輩(マネージャーさん、大丈夫だったかな?)
「……そのまま付いていてやればよかったと言っただろ」
先輩「あれ、声に出てた?」
「顔見りゃ分かる。まぁ、隠す気も無かったんだろうがな」
先輩「むむむ」
「心ここにあらずな奴と練習しても仕方がない。今日はもう帰れ」
先輩「……ありがと、主将」
「マネージャーの事は私も心配だったからな」
先輩(帰ってないといいけど……いや、無事なら帰ってた方がいいのかな?複雑)
「……」
先輩「……ん?」
『早く返してください。目、かなり悪いんですから』
『ほんとだ、視界がブレッブレ』
先輩(この声、保健の先生……と、誰だろ?)
『なんで掛けるんですか』
『眼鏡ありもいいけど…
コメント一覧
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- 2015年06月11日 23:17
- スレだけやったら最初焼きそばのCMみたいのを想像したが、百合ものやったか。
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