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石垣島で食べた八重山そばには、沖縄そばともまたちょっと違う食文化が詰まっていました。
沖縄県の石垣島へいくことになったので、なにかおもしろい食べ物はないかなと調べてみたら、『八重山そば』というものがあるらしい。
八重山そばとは、具志堅用高でおなじみの石垣島や有人島としては日本最南端の波照間島などを含む八重山列島で食べられている麺類で、沖縄そばとも少し違うものらしい。 日本最南端の麺類文化とは一体どんなものなのか、石垣島で食べ歩き、その歴史を咀嚼してきた。 沖縄には大きく分けて3つの麺類文化があるらしい縁があって石垣島へと旅行に行くことになったのだが、沖縄県自体が初めての旅。はたして八重山そばの正体はなんなのか、現地でその謎をといてやろうと、あえて下調べはしていないし、多少知っていたことも全部忘れてきた。
直行便の飛行機チケットが高かったので那覇空港経由にしたのだが、その空港内のお土産屋さんで、沖縄そば、宮古そば、八重山そばが『沖縄そば巡り』というセットが売られており、うっかり答えを知ってしまいそうになった。 細かい文字を自分が読み取ってしまわない距離で撮影。
とりあえず、沖縄そばとは別のものとしてお土産になるくらい、八重山そばとしての特徴がなにかあるようだ。
沖縄県には、本島を中心とした沖縄そば、宮古列島の宮古そば、八重山列島の八重山そばの3種類がある。 今回は旅の中でわかったことを、赤字で書いていきます。 『なかよし食堂』にやってきた八重山そばの謎を解くには、とりあえず一杯食べてみなければとやってきたのは、昔ながらのそばを出してくれるという噂の、なかよし食堂さんだ。
ちなみに噂の出所は、あとで登場する島内の製麺所である。八重山そばとは何かという下調べは極力しないようにしたのだが、どうしても製麺所の話は聞きたかったので、アポをとるついでにおすすめの店を聞いておいたのだ。 『なかよし食堂』というネーミングと、その書体がかわいい。
店の看板には『八重山そば専門店』と書かれているが、メニューにはゴーヤちゃんぷるやカツカレーもある、地元に愛されている感じの食堂だった。
日本蕎麦の例で例えれば、老舗と呼ばれるような食通御用達の店ではなく、どの街にも一軒はある馴染みの店という感じ。 わかりにくいですが西新井とかではなく石垣島に来ています。
カツカレーも気になるが八重山そばを注文。
これが石垣島の八重山そばだこの店のスタンダードメニューであろう八重山そばの大サイズ500円を注文して、ちょっとトイレで小をすませてササっと席に戻ると、もうテーブルに用意されていた。
早いな。 これが八重山そばなのか。
青い縁取りがされた白い丼に、透明感のある薄茶色のスープ。麺は黄色っぽくて断面が丸いタイプの中太麺は、腰の強さはないけれど、この優しい物腰があっさりした汁と合う。
ずっと島内を徒歩でうろうろして疲れていたので、こういうさっぱりしつつもボリュームのあるものが食べたかったんだよと、ついつい膝を打ちたくなる味付けだ。 八重山そばの特徴を伺ってみたさて外観的な特徴は見てわかるのだが、この一杯を食べただけで、スープのダシがなんだとか、具の肉の部位がどこだとかがわかるほど、私の舌は利口ではない。
そこで店員さんに正解を教えてもらったのだが、まずスープは豚の骨を2時間くらい煮たシンプルなもので、それを醤油などで味付けしたものだった。豚骨なのに極あっさりタイプというのがおもしろい。 そして具は皮付きの豚肉とカマボコを細切りにして、砂糖醤油で甘じょっぱく煮たもの。別メニューにあるソーキ(骨付きアバラ肉)や三枚肉(皮付きのバラ肉)のそばは、ラーメンでいうところのチャーシュー的なもので、ベースとなるスープと麺は同じらしい。 煮込まれたカマボコって初めて食べるかも。
もちろん初めて食べる味だけど、石垣島に数時間でも滞在していれば、スッと体になじむような味。
うまいとかまずいとかの問題じゃなくて(うまいんだけど)、さっき飲んだオリオンビールが特別おいしく感じられたように、この島ではこういうタイプの麺料理が合うのだろう。泡盛飲んだ後のシメ、あるいは二日酔いの体で摂取したい。 地元の埼玉でこってりしたラーメンを食べた翌日にこれを食べたら、どこか物足りない感じがするかもしれないが、この島で食べるならこの味がいいのだろう。
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