提督「休日の秘書艦夕雲さん」
〇六〇〇 提督私邸 寝室――
提督「ん……む、六時か」ムクリ
提督「今日は休みだが……染み付いた習慣というのは恐ろしいな」
提督「……あれ」キョロキョロ
提督「あいつ……もう起きてるのか」
ガチャッ
「あ、やっぱり六時には目が覚めるんですね」クスクス
提督「お陰様で。おはよう、夕雲」
夕雲「おはようございます、提督」
夕雲「夕雲としては『うーん夕雲、あと五分……』というのもアリなのだけど」
提督「それなら五分早く起こしてくれればいいんじゃないか?」
夕雲「それでは提督のご迷惑になってしまうわ。……はい、どうぞ。コーヒーでよかったかしら」カチャ
提督「ああ、ありがとう。いただくよ。砂糖は――」
夕雲「朝は1つ、でしょう?」
提督「……参ったね」ズズッ
夕雲「お味は如何?」
提督「うん、美味い」
夕雲「うふふ、良かったわ」
提督「さて、久々の休暇だが。夕雲、何かしたいことはあるか?」
夕雲「夕雲は提督と居られるのなら何でもいいわ」
提督「それじゃあいつもと変わらないだろう?」
夕雲「それもそうね……」
提督「ふぅむ、そうだなぁ……とりあえず街に出てみるか」
夕雲「あら、デートのお誘い?」
提督「受けてもらえるかな?」
夕雲「喜んで。折角なので朝食のついでにお弁当でもつくりましょうか」
提督「おお、そいつは楽しみだ」
夕雲「提督はその間にシャワーでも浴びてらして?」
提督「そうさせて貰おうかな」ヨッコラセ
夕雲「……それと、家の中とはいえ、お洋服はちゃんと着てくださいね」
提督「む……そうしたいところなんだが、あいにく俺のシャツは誰かさんが着ていてね」
夕雲「あら、それなら仕方ないですね」
提督「仕方ない仕方ない」スタスタ
〇八五〇 提督私邸 玄関――
提督「夕雲ー? まだかー?」
夕雲「はいはいもう少し待ってくださいね。女の子の準備は時間がかかるんですから」ガサガサ
提督「とは言うがな。戦闘に行くわけでもあるまいし」
夕雲「あら、デートは女の戦場よ」
提督「おいおい、俺を撃たないでくれよ?」
夕雲「それは無理な相談ですね。夕雲の照準はいつでも提督を狙ってるんですから」パタパタ
提督「ま、とっくに撃ち抜かれてるわけだがね」ボソッ
夕雲「……提督? その、何か言ってくださらないと、夕雲は恥ずかしいわ……」
提督「ああ、すまない。こう、不覚にもキュンときてしまった」
夕雲「……その反応はちょっと気持ち悪いわ」
提督「酷くねぇ?」
夕雲「ふぅ……。提督、ごめんなさい。お待たせしてしまって」
提督「ん、ああ。それじゃあ出――」
提督「」
夕雲「……提督?」
提督「……」
夕雲「あの……もしかして、似合わなかった……?」クルリ
提督「綺麗だ」
夕雲「へぁ!?」
提督「綺麗だよ、夕雲」
夕雲「そっ……そう……? よかった……。あの、でも、そんな見つめられたら……夕雲、恥ずかしいわ……」テレテレ
提督「ああ、すまない……思わず見とれてしまったよ」
夕雲「もう、仕方ないですねぇ」
提督「本当に綺麗だ。今ほど自分の語彙の少なさを呪いたくなったこともない」
夕雲「も、もう……」
提督「それはそれとして」
夕雲「はい?」
提督「ここ、俺の家なんだけどさ」
提督「その白ワンピ、どこにあった?」
夕雲「……」
提督「……」
夕雲「」ニコッ
提督「……夕雲さん?」
夕雲「提督」
提督「はい」
夕雲「『言わぬが花』、よ?」
提督「『知らぬが仏』、だろ?」ハァ
夕雲「まぁ、酷いわ」クスクス
提督「まったく……仕舞う場所が足らなくなったらちゃんと言えよ」
夕雲「はぁい♪」
〇九三〇 市街某所――
提督「さて、どこへ行こうか」
夕雲「夕雲は何処へでもお供するわ」
提督「そう言われるのが一番困るんだけどなぁ……」ポリポリ
夕雲「うふふ、提督のセンスに期待しているわ」
提督「そういうプレッシャーはやめてくれよ。そうだなぁ……普段行かないようなところにするか」
夕雲「あら、どこかしら」
提督「たとえば……そこだ」
〇九五〇 ゲームセンター ――
ドゥワーデデデデンマンマミーアチャリンチャリンハッハードドドドジョインジョイントキィピロリンッダコラヤンノカテメピュイーンシュバーヒュイゴー
夕雲「相変わらず耳に悪いわ……」
提督「来たことあるのか。意外だな」
夕雲「長波さんたちに連れられてね」
提督「ああ、なるほど」
夕雲「知ってます? 早霜さんってギタ……なんて言ったかしら。ギターのゲームがとっても上手いのよ」
提督「早霜が? 凄いな。意外な才能だ」
夕雲「朝霜さんはドラムのゲームが好きらしいわ」
提督「ああ、それはなんだかわかる気がする。夕雲は何かできるのか?」
夕雲「少しやってはみたけれど、さっぱりね」
提督「ま、最初はそんなもんさ。……お、あれやってみないか?」
夕雲「海戦シューティング……?」
提督「なんて言ってるが、要は的当てだな。敵の船が出てくるから、撃たれる前に撃って、撃たれたら加速して避けろって事だ」
夕雲「……それだけ?」
提督「……いや、まぁ。夕雲達から見ればそれだけと思うかもしれんがね」
夕雲「いいわ。やってみましょう。二人で協力するのね?」
提督「そうなるな」
夕雲「ねぇ提督?」チャリン
提督「ん?」チャリン
夕雲「どちらがより多く敵を沈められるか競争しましょうよ」
提督「……ほぉ」
夕雲「負けた方は勝った方の言うことを何でも一つ聞くというのはどう?」
提督「いいのか? 夕雲には悪いが俺はこのゲームをやったことがある。艦娘とはいえ初心者に負けるほど弱くはないぞ」
夕雲「あら、海の戦いでこの夕雲に勝てるつもり?」first stage!!
提督「言ったな?」fire!!
デデーン stage clear!!
提督「ふっふっふ……」12隻撃沈 76.5%命中
夕雲「」3隻撃沈 12.8%命中
提督「何か言うことはあるかね、夕雲くん」
夕雲「こんな……こんなはずじゃ……」
提督「……まぁそう落ち込むな。所詮ゲームだしな」
夕雲「あんな大見得きってこの様なんて……いっそ沈んでしまいたいわ……」
提督「待て待て待て待て。夕雲の場合は実戦を知っているせいでゲームの距離感に馴染めなかったんだと思う」
夕雲「ゲームの距離感……?」
提督「ああ。実戦をそのまま再現してもゲームとしてはあまり面白くないから、こういうのは色々調整されてるのさ」
夕雲「なるほどね……」
提督「だから、夕雲の感覚に合わせるとしたら……ひのふの……映像より4キロ手前に落とすつもりで撃ってみてくれ。それでも当たらないなら徐々に近付けるつもりで」next stage!!
夕雲「わかったわ」fire!!
デデーン stage clear!!
提督「いやぁ……」9隻撃沈 71.9%命中
夕雲「うっふふ」16隻撃沈 94.2%命中
提督「当ててくるだろうとは思ってたが、まさかここまでとは……」
夕雲「夕雲もなかなかやるでしょう?」
提督「いや感心したよ。しかしこれで夕雲の『何でも』を聞かなくちゃならなくなってしまったな」
夕雲「何を言ってるの? さっきのは提督の勝ち、今のは提督の指示で沈められたのだから提督の勝ち、提督は合わせて二回、夕雲になんでもさせていいのよ?」
提督「いやその理屈はおかしい」
夕雲「そうかしら」
提督「そうですとも」
夕雲「なら……夕雲から提督への『何でも』は『夕雲に一つ言うことを聞かせること』というのはどうかしら」
提督「それはナシ」
夕雲「むぅ……卑怯だわ」
提督「なにがだよ……。とにかく何でも命令はお互い一回、いいな?」
夕雲「提督……そんなに夕雲に命令されたいの?」
提督「俺を被虐趣味みたいに言わないでくれ……。それを言うなら夕雲の方がそうだろう」
夕雲「ええ、夕雲は被虐趣味ですから」
提督「マジで!?」
夕雲「冗談よ?」
提督「お、おお……びっくりしたぞ……」
夕雲「どちらかと言えば逆ね」
提督「ああ、そうだな」
夕雲「あら、酷いのね」
・・・
提督「どうだ、結構楽しいもんだろう」
夕雲「そうねぇ。さっきのクイズのゲームなんかは結構気に入ったわ」
提督「あれか。夕雲のおかげで優勝もできたしな」
夕雲「提督の知識の賜物よ」
提督「いやいや、ライフスタイルの問題は殆ど夕雲に……ん?」
夕雲「提督? どうかされたの?」
提督「いや、あれ――」
・・・
DQN1「なっ、ちーっと金貸してくれるだけでいいからさァ」
清霜「やっ……で、でも……」
朝霜「あんたらに貸す金なんか無いよ! どっか行きな!」
DQN2「そんなこと言わねーでさァ。さっきでかいの両替してたろ? ガキンチョには勿体ねーって!」
DQN3「そーそ、俺達がゆーこーりよーしてやるよ! ほら出しな!」ギャハハハ
清霜「あ、朝霜姉さん……」フルフル
朝霜「清霜……ちっ、仕方ねぇ。こうなったら――」グッ
提督「君たち、何をやってる」
コメント一覧
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- 2015年06月14日 23:49
- 夕雲ほんとすき
-
- 2015年06月14日 23:50
- 夕雲姉さんに攻められたいだけの人生だった・・・
-
- 2015年06月14日 23:54
- 夕雲型はセーフだよな
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