昨年11月チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸し、その後スリープ状態に陥っていた彗星着陸機フィラエ(Phirae)からの信号を受信したと欧州宇宙機関(ESA)が発表しました。
ESA は約7か月を経て再起動を果たしたフィラエが、現在は太陽光による発電状態も良好で活動可能な状態にあることも確認できたとしています。
日本時間6月14日5時28分、彗星探査機ロゼッタ(Rosetta)とフィラエを管制するドイツ航空宇宙センター(DLR)が、ロゼッタ経由で贈られてきた約85秒間の信号を受け取り、それがフィラエからのものであることを確認しました。
わずかな通信時間の間に300以上のデータパケットを受信し、その内容からはフィラエの周囲温度がマイナス35度であることや、システム電力が24Wにまで回復していることが判明しています。
さらにフィラエは通信再開のしばらく前には再起動を果たしており、システムメモリーにはロゼッタとの通信を確立するまでに8000を超えるデータパケットを蓄積していることもわかりました。ESA はロゼッタが次にフィラエと通信を確立したときにこれらのデータを受信し、分析を行う準備を進めています。
また、フィラエのプロジェクトマネージャー Stephan Ulamec は「すでに彗星地表の探査作業を再開可能な状態にある」としています。
Incredible news! My lander Philae is awake! http://t.co/VtzAQHx4zT pic.twitter.com/SZqnsnNpUZ
— ESA Rosetta Mission (@ESA_Rosetta) 2015, 6月 14
Hello Earth! Can you hear me? #WakeUpPhilae
— Philae Lander (@Philae2014) 2015, 6月 14
フィラエは昨年11月、打ち上げから10年間の宇宙航海を経て到達したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸。しかしその際、機体固定用アンカーの作動不良により機体はバウンド。ようやく落ち着いた場所は予定した着地点から大幅にずれてしまっていました。
しかも、運悪くそこはほとんどの時間が日陰で、太陽光による発電もままなりませんでした。フィラエは予定していた彗星地表の初期観測完了直後にバッテリー切れとなり、ハイバネーションモードに移行しました。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は現在、太陽に近づきつつあります(近日点通過は8月13日)。ESA は彗星を周回し観測を続けているロゼッタの受信チャンネルを今年3月から開き、フィラエが再起動して発する電波の受信を待ち続けていました。また現在もわかっていない着地点を特定するため、予想される地点周辺の地表を写した画像の分析も進めています。