女騎士「くっ、堕ろせ!」
女騎士「な、なんだと!?」
女騎士「たしかにキサマとは一夜を共にしたが……」
女騎士「私はれっきとした女で、キサマはオスのオーク! もちろん避妊もしていた!」
女騎士「子供などできるわけないだろう!」
オーク「おや……? どうやら君は、我々オークの性質をご存じないようだ」
女騎士「性質だと……!?」
オーク「もちろん、君のやっていた避妊法などでは回避できない」
女騎士「聞いたことがないぞ、そんな性質!」
オーク「そりゃそうさ。広く伝えられる類の性質じゃないからな」
オーク「オークと交わろうなんて人間の女性は少ないし、知る人ぞ知るってやつだ」
オーク「しかし、これは事実なんだ」
オーク「てっきり、これを理解した上でオレと交わったんだとばかり……」
オーク「じゃあ、オレのお腹を見るかい?」スッ…
オーク「ほうら」ボヨンッ
女騎士「!」
オーク「ね? 膨らんでるだろう? ちゃんといるんだよ、赤ちゃんが」ナデナデ…
女騎士「あ……あ、あ……!」
女騎士「ま、ま、待てっ!」
オーク「?」
女騎士「産んで……どうするつもりだ」
オーク「そりゃもちろん、育てるんだよ」
オーク「オレが父親、君が母親、でね。温かい家庭を築こうじゃないか」
女騎士「ただでさえ異種と交わることは禁忌とされているのに」
女騎士「子までできてしまったら……私はどうなる!?」
女騎士「騎士身分を剥奪されてしまう!」
女騎士「いや、そんなものではすまないかもしれん!」
オーク「そんなこと知らないよ。それはそちらの都合だろう?」
オーク「責任……取ってよね」
オーク「堕ろせ? よくそんな残酷なことがいえるなぁ」
オーク「オレは絶対産むからね」
女騎士「た、頼むう! このとおりだぁ……!」
オーク「……」
オーク「仕方ないなぁ、そこまでいうなら堕ろしてやってもいいか」
女騎士「ほ、本当か!?」
オーク「ただし、条件がある」
女騎士「なんだろうか!?」
女騎士「一千万!?」
オーク「当然だろ? オレは君に弄ばれたんだからさ」
女騎士「私は騎士といっても、そこまでの金はとても用意できん……」
オーク「……」
オーク「だったら代わりに、騎士団の……機密を入手できないか?」
女騎士「機密……!?」
オーク「君たちがいる駐屯地にそういうのを保管してる場所があるはずだ」
女騎士「なぜそんなものを……?」
オーク「いやなに、オレの知り合いに騎士団のファンがいてね」
オーク「多分そいつなら、そういう情報を高く買ってくれるはずだからね」
オーク「だから……どうしても一千万が払えないなら、それでもいいよ」
女騎士「ううむ、機密か……」
女騎士「いや、それも無理だ! 騎士団の機密など、売るわけには──」
女騎士「!」ビクッ
オーク「魔物と寝て、子供作って、金も払えない、代わりのものも用意できない、だ!?」
女騎士「100万ゴールドぐらいならなんとか……」
オーク「いいんだぜ!? 町で大声で叫んでやってもよ!」
オーク「この女騎士さんは、オレと寝ましたってな」
オーク「みんな祝福してくれるだろうなぁ、きっと」
女騎士「ま、待ってくれ! それだけは……やめてくれ……」
女騎士「分かった……機密を持ってこよう……」
オーク「おおっ、ありがとう!」
オーク「じゃあ、明日の夜にまた会おうぜ」
女騎士「承知……した……」ガクッ…
女騎士(もし、オークと寝たことが表ざたになれば騎士身分剥奪は免れん……)
女騎士(まして、子ができたとなったら……!)
女騎士(騎士団の仲間や家族にまで迷惑がかかってしまうかもしれん!)
女騎士(一千万など、とても用意できん……やはり機密書類を持ち出すしか……)
女騎士(みんな……すまない!)
─ 騎士団駐屯所 ─
新米騎士「おはようございます!」
女騎士「……」
新米騎士「女騎士さん? おはようございます!」
女騎士「! ──ん、ああ、おはよう」
女騎士「……」ハァ…
新米騎士(女騎士さん、どうしたんだろ?)
女騎士「ぐっ……!」ガッ
騎士「はあっ!」ブンッ
女騎士「くっ!」ガッ
騎士「よぉし、今日は俺の勝ちだな! ふふん、腕が落ちたんじゃないか?」
女騎士「ああ……」
騎士「お、おい……冗談だって。大丈夫か?」
女騎士「あ、ああ……大丈夫だ」
騎士(どう見ても、大丈夫じゃないんだが……)
新米騎士「なんだか女騎士さん、今日はやけに暗くて、挙動不審なんです」
騎士「だけどいくら俺たちがいっても、大丈夫の一点張りなんですよ」
騎士「あいつ、なかなか他人に弱みを見せないところがあるから……」
団長「うむ、分かった」
団長「私から、それとなく聞いてみることにしよう」
新米騎士「よろしくお願いします!」
騎士「お手数おかけしてすみません!」
団長「気にするな。部下のことを気にかけるのは、上司として当然の務めだ」
女騎士「……」コソ…
女騎士(……どうやら皆、帰宅したようだな)
女騎士(なんとしても、オークの欲しがっていた機密を手に入れねば……)
女騎士(たしか、騎士団の機密に関するファイルはこの部屋に保管してあるはず……)
女騎士(先ほど手に入れておいたカギを……)カチッ
女騎士(よし開いた! 時間がない、すぐに中へ──)
「何をしている?」
団長「そこは……たしか書庫だったな」
団長「こんな夜更けに、そんなところに入ってなにをしようというんだ?」
女騎士「いえ、その……ちょ、ちょっと調べ物を……」
団長「……」
女騎士「調べ物が……ありまして……」
団長「……」
女騎士「……う」
女騎士「も、申し訳ございませんっ!」
女騎士「全てお見通しでしたか……!」
団長「どうも今日はお前の様子がおかしいから、ずっと見張っていたら」
団長「しきりにこの書庫の周辺をうろついていたからな」
団長「どれ、全て話してみろ。悪いようにはしない。この剣に誓ってな」
女騎士「は、はいっ……!」
──────
────
──
女騎士「も、申し訳ありませんっ!」
女騎士「魔物と寝たばかりか、さらに子まで……! しかも保身のために機密を……!」
団長「まず、ひとついっておく」
団長「そのオークがいってることは、真っ赤なウソだ」
女騎士「えっ!?」
団長「オスのオークは人間の女と交わると、お腹に子供ができる?」
団長「あるわけないだろう、そんなこと」
団長「お前はもっと、魔物について勉強すべきだな」
団長「ちなみに、誘ったのはお前とオーク、どっちだ?」
女騎士「オークです。半ば強引に誘われ、私もすっかり乗せられて……」
団長「……」
団長「おそらく、最初からこうすることが狙いだったんだ」
団長「お前をゆすって、騎士団の機密を手に入れよう、とな」
女騎士「えっ!?」
団長「騎士がオークと寝たという事実だけでゆすりのネタにはなるが」
団長「それだけではお前をゆすりきれない、と判断したのだろう」
団長「一千万ゴールドなどとふっかけたのも、よくある話術のひとつだ」
団長「最初に無茶な条件を提示することで」
団長「騎士団の機密の入手という“決して不可能でない条件”を飲ませたのだ」
女騎士「え……どこへです?」
団長「決まっているだろう。オークのところへだ」
団長「待ち合わせ場所は?」
女騎士「町外れの、森の中……です」
団長「よし、すぐに向かおう。た
コメント一覧
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- 2015年06月18日 21:18
- まとまってるし結構面白かった
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- 2015年06月18日 21:28
- ゴーレムとヤるのか団長…
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- 2015年06月18日 21:33
- …つまり団長はオーク♂とヤった♂ことがある可能性が微粒子レベルで存在している…?
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- 2015年06月18日 21:42
- ゴーレムといたすのはチ○コもげそうでいややな……
材質が人肉とかかもしれんけど
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- 2015年06月18日 21:42
- さすが団長だな
自分の性癖を満たすために最大限の努力をする
公私共に充実したリア充だ
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- 2015年06月18日 22:04
- ゴーレム(硬質シリコンと軟質シリコンのハイブリッドタイプです)
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- 2015年06月18日 22:29
- フレッシュゴーレムかもしれん
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- 2015年06月18日 22:36
- 人形に魂を籠めたのがゴーレムだから
ラブドールみたいなもんだろ
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