男「アニメの世界に入ったのか!?俺は!?」
- 2015年06月21日 22:40
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学校
男(朝日が眩しい教室の窓辺。そして、その周りで談笑に花を咲かせる美少女たち。)
主人公「ふぁぁ……眠い」
幼馴染「もう、だらしないアクビしてぇ」
幼馴染「また、夜更かししてたんでしょう」
主人公「しょうがないだろ?撮り貯めしてたアニメを消化してたんだから」
ツンデレ「うわ、きっもち悪い……そんなんだからアンタはモテないのよ!」
主人公「うるせー、モテなくて結構だ」
男(羨ましいだろ?)
男(校内1位2位を争うレベルの美貌を備えた女の子たちがこの2-C組に集結しているのだ。)
シャイ「そ、そんな……。主人公さんはも、モテてると思います」
主人公「ん?何か言ったか?」
男(しかし、残念なことに、ここから俺がいくら彼女たちに猛烈アタックをかましても彼女たちは決して振り向かないであろう。)
男(見ての通り、彼女たちの心は既にある一人の男に奪われてしまっているからだ。)
男(なにそれ?どこのハーレムアニメ?)
男(そう、ここはハーレムアニメの世界なのである。)
男(そして、俺はこの世界の人間ではない。)
不良「」イライラ
男(寝不足なのは彼だけではなかった。)
男(この見るからに人をおつまみ感覚でパシリ扱いして、暴君の如く弱者を苦しめそうな容姿をしたこの男。)
男(ハーレムアニメに相応しくない要素てんこ盛りの彼も俺と同じで”現実”からやってきたのである。)
不良「……るっせぇ」
男(彼の堪忍袋の緒は釣り糸よりも細く、なにより脆い。)
後輩「せんぱ~い☆おっはようございま~す!!!!!!!!」ガラガラ ドン!!!!!!!
不良「」ブチッ
不良「あぁああ!!!!!!!朝からピーピー喧しいんだよ!!!!!!!!!!!」
不良「コ○スぞ!!!!!!!!!!!!」
後輩「」
シャイ「え……えっと」ウルウル
不良「あぁ?」
シャイ「ごめんなさい」シクシク
主人公「おい!そんな言い方ないだろ!」
不良「おぉ、やるか?」イライラ
チャラ男「お~やってるねぇ」
男「大丈夫かアイツ」
チャラ男「いいんじゃない?ほら、何かいい感じにチンピラキャラになってるし」
男「そうだなぁ。いや、良くない気がするんだが」
後輩「」
チャラ男「君、大丈夫?」
後輩「え?あ、はい」
チャラ男「ごめんねぇ。驚かせちゃって」
チャラ男「アイツ、悪いやつじゃないんだよ。うん、ただ眠かっただけなんだ」
後輩「はぁ」
チャラ男「ところでさ、君って一年生だよね?」
後輩「はい、そうです」
チャラ男「やっぱり、前から気になってたんだぁ!」
チャラ男「君、めちゃタイプなんだけど」
男(主人公がチンピラと奮闘する中、隙を見てヒロインの一人を口説こうとするハーレムアニメの悪の権化のようなこの男。)
男(もちろん、こちら側の人間である)
不良「お前、いけすかねぇんだよ」
主人公「俺だって、アンタみたいな不良は嫌いだ。できれば関わりたくないんだが」
不良「だったら、決着つけようや。ぼっこぼこにしてやるからよ」
ツンデレ「アンタねぇ!自分が気に入らないからって」
主人公「いいよ。それで、お前の気が済むのならな」
主人公「だけど、その代わり……クラスのみんなを怖がらせるような真似は」
イケメン「はいはい。二人ともそこまで」
不良「んだよ。邪魔すんな!!」
イケメン「まぁまぁ」
イケメン「ごめんね。何か迷惑かけちゃって」
イケメン「ちょっと、声のボリュームを落としてもらいたかっただけなんだよ」
イケメン「コイツ、頼み事とかするの苦手だからさっ」ハハハ
シャイ「……」グスン
イケメン「怖がらせちゃったね。だけど、もう大丈夫だよ?」ニコッ
男(……主人公の見せ場を奪い去るムードクラッシャーなこの男も”現実”から来た人間である)
男(そして、何故、こんなことになったのかと言うと)
魔女「おっはよー!」
男(……何もかもコイツの責任だ。物語のヒロインの一人であるこの女が珍妙な魔法を行使して我々を召喚したのだ。)
男「おはよう」
魔女「お、やってるねぇ!」
男(彼女の一族には古くから伝わる究極の召喚魔術というものがあった。)
男(たったの一度きりしか使えないその魔術は、術者の願いを叶えるために精霊を召喚するというものだ。)
男(本来ならば彼女の願いを叶える最良の精霊が召喚されるはずであったのだが)
男(彼女はヘマをした。召喚に必要な詠唱を一文すっとばし、最良でも精霊でもなんでもない我々を召喚してしまったのである。)
男(ちなみに、その願いとは)
魔女「どう?他の子から主人公くんを切り離してくれた?」
男(主人公を独り占めしたいというなんともワガママなもの……)
男「いや、そんなことするわけないじゃないか」
魔女「えー!なんでー!契約違反でしょ!」
男「何がだよ!」
魔女「一年間、私のために全身全霊を捧げるって契約でしょう!?」
男「昨日、散々言っただろう?俺達はそんな契約してないし、お前のミスでこっちに引っ張られただけなんだ」
魔女「えーっ!でも、手伝ってくれてもいいじゃない!」
男「まぁ、俺は気楽に高校生活を楽しませてもらうよ」
魔女「そんなぁ……だけど、他の人は私のために頑張ってるよ?」
後輩「せんぱ~い☆何か、変な人が執拗に絡んでくるんですけどー!!!!」
チャラ男「いいじゃん!もうちょっと話そうよ!センパイより楽しいぜ?俺」
シャイ「……」グッスン
イケメン「……ほら、もう二人共仲直りしてるから、ね?」
不良「ちっ」
主人公「ふんっ」
男「……いや、アイツら別にお前のためにしてるわけじゃないと思うが」
魔女「そうなの?」
魔女「そうは見えないけど」
チャラ男「あー!待ってよー!ホントに俺、退屈させないからー」
後輩「しつこい!!」
男(わぁ……デフォルメ化使いこなしてる)
――
―
昼休み
不良「もう、帰っていいか」
イケメン「まぁまぁ、そう言わずに」
不良「面倒くせぇんだよ。なんで、また高校生しなきゃらなねぇんだ」
イケメン「仕方ないよ。学校へ行く代わりにアパートの部屋を借りれたわけだし」
不良「そんだけの金があるなら、あの野郎を金で釣ればいいだろうが」
チャラ男「うまくいかないから俺らを呼んだんでしょー?」
イケメン「彼女が求めてるのは彼の心だよ。お金でなんとかなる問題ではないと思う」
不良「けっ、なにが心だ。お前も何かアニメのヤツみたいな事いうな」
男「別に好き勝手やればいいと思うぜ?俺達は謂わば被害者なわけだしな」
男「いきなり、こんなとこに呼ばれて恋愛を手伝えだの、そんな義理はねーよって話だ」
男「むしろ、俺達のためにアイツが何かすべきだと思うがな」
イケメン「だから、こうして学校へ通えるようにしてくれたじゃないか。住む場所だって」
男「それは当たり前のことだろ。それに、学校へ通えるようにしたことに関してはいらないおせっかいだしな」
チャラ男「俺はもう一回高校生になれて嬉しいぜー?可愛い子だっていっぱい、いるし」
チャラ男「おまけに、その可愛い子たちはみんなアニメのキャラだぜ?これは願ってもないチャンスだと思わない?」
不良「キモいんだよ、お前。そんなもんで現抜かすのは根暗だけなんだよ」
イケメン「俺達がここに来たのが彼女のミスにしても、やっぱり、俺は手伝ってあげたいな」
男「なんで?」
イケメン「だって、可哀想だろ?たった一度しか使えない魔法を失敗してしまったなんて」
チャラ男「言っておくけど、俺はあの子を手伝うつもりだぜ?」
チャラ男「ヒロインたちとラブラブ出来て、あの子は主人公とラブラブできて、、完璧じゃん!」
不良「なら、勝手にしろよ。気持ち悪い」ガタッ
イケメン「何処へ行くつもり?」
不良「帰る」
イケメン「君はどうするんだ?」
男「え、俺?」
男「ま、まぁ、どう足掻いても1年はここに居なきゃならないんだし……」
男「手伝ってやっても……いいかな?」
イケメン「……そうか。ありがとう」ニコッ
男(おぉ……アニメの絵でこれじゃぁ”現実”でも相当なイケメンだなコイツ)
アパート
男「というわけで、ちょっとした会議を」
魔女「いえーいえーい!!」パフパフ
男(どっから持ってきたそのパーティーグッズは)
魔女「みんな!私のためにがんばってくれる気になったんだね!お姉さん、感動だよ」グスン
チャラ男(普通に歳上なんだけどなぁ……)
イケメン「正直、俺はここの世界についてあまり詳しくないんだ。だから、まずはざっとその説明をして欲しいかな」
チャラ男「おっけー!まかせろ!大人気アニメ○○??はみなさん知っての通り」
男「いや、知らない知らない」
チャラ男「ヤレヤレ系主人公くんが数多の女の子に惚れられイチャイチャしたりするラブコメディだ!」
チャラ男「物語は高校一年生から始まる。ファンの間では前半戦なんて言われてますね」クイッ
男「おーい、眼鏡してたかお前」
チャラ男「前半戦は主人公とヒロインたちとの出会いが中心でどういった経緯で主人公にヒロインたちが魅了されていくかが描かれています!」
チャラ男「そうですね!先生!」
魔女「うむ、そのとおりじゃ」
イケメン「……君、ホントはこっち世界の人なんじゃないの?」
チャラ男「そして!!ファンの間でも絶大な人気を誇るのが後半戦!!高校2年編だぁ!
チャラ男「簡単に言えば主人公は一体、誰と結ばれるのかー!っていう話です」
チャラ男「そして、俺達が来たのはその後半戦の一話目だ」
チャラ男「メインヒロインの魔女ちゃんが一度きりしか使えない究極の召喚魔法を使うんだけど、失敗して気持ち悪いモンスターを呼び寄せちゃって」
チャラ男「学校中は大騒ぎって話だったんだけど」
イケメン「モンスターでなく、何故か我々が呼