転載元:男「よりによって最後の村に生まれてしまった」
男「もう冒険をするしかない」
―最果ての村エンドナ 高台の上、男の家―
母「起きなさい、男よ」
男「おはよう母さん」
母「男よ、あなたも今日で16歳の誕生日。冒険に旅立つ時が来たのです」
男「えっ」
人生ハードモード
何年も前に読んだぞこれ
>>8
3年ほっといたけど今度こそ完結させたい
・【R-18】兄「女装してたら弟に告白された」【胸糞注意】
・男「俺のち○こはこの世で最も強い」
・ヴォルデモート「ポッターを倒して俺様が勝った」
・魔法使い「勇者さんは、私の命の恩人ですから」勇者「いいえ」
・【閲覧注意】貞子「俺!!お前の事好きだぜ!!ビデオ見てくれたから!!」
母「まずは長老に挨拶にいきなさい」
男「ちょっとまってここ最果ての村なんだけど」
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「ちょっとまって村一歩出たらすごい名前の魔物が跋扈してるんだけど」
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「早くも固定セリフを吐く機械と化した。もうだめだ」
男「まさか16歳の誕生日がフラグになっていただなんて…」
男は裏庭の木の下を調べた。なんと階段を見つけた!
男「俺は知ってるんだ。自宅の裏に隠しダンジョンがある事も…」
―最果ての村エンドナ 男の自宅の下―
男は無造作に置いてあるタルを調べた。なんと、ガイアソードを見つけた!
男「自宅近くのタルに、ありえないくらい立派な剣が入っている事も…」
―最果ての村エンドナ 宿屋“開闢と終焉の混濁亭”―
亭主「いらっしゃい。一晩2750Gだよ。泊まっていくかね?」
男「宿屋の価格設定が終盤な事も…」
―最果ての村エンドナ 道具屋“賢人の御用達処”―
店主「いらっしゃい!何にするかね?」
すごいやくそう 500G
奇跡のやくそう 2500G
ばんのうやく 1000G
復活のくすり 5000G
男「やくそうも毒消しも売ってない事も…」
―最果ての村エンドナ 長老宅―
長老「四柱の台座に輝きの聖石がすべて供えられる時、魔界への扉が開かれるじゃろう…」
男「長老に話しかけても、終盤のイベントメッセージしか喋らない事も…」
―最果ての村エンドナ 星がよく見える丘―
男「どうすればいいんだ…あ、そうか。でも」
男はガイアソードをそうびした! こうげきりょく 2 → 196
男「おお、凄い。これなら俺でも…」
※装備を扱う必要能力値の基準に達していないので、本来の性能は発揮されません。
補正後の攻撃力 196 → 15
必要な筋力 150(現在の筋力 8)
男「がっかりだ。もうだめだ」
妖精「諦めないで!」
男「え、どなたですか」
妖精「あたしは勇者をサポートする妖精さん!あたしが来たからにはもう大丈夫!」
男「いや俺ただの村男Aなんだけど」
妖精「いいえ。他の勇者の資質を持つものが全て倒れてしまった今、希望はあなただけよ!」
男「どういう事だってばよ」
妖精「火の集落ブレイザ、水の都ウォーティス、風の谷ウィンダ、土の要塞グラン、
鉄の故郷アイロニア、雷の魔境サンディ、光の聖域ルクシア、闇の帝国ダーク、
その他もろもろの繋ぎの町たちの勇者すべては、ダンジョン内でロストしました」
男「えっ?ロスト?えっ?」
妖精「死亡よりも二段階ひどい状態よ。つまり消えてなくなった」
男「もうだめだ」
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「まあ、それは妖精さまね。紛れも無い勇者の証だわ。やはり男はお父さんの子ね」
男「セリフ変わった。だが俺の親父は鉱夫だ。もうだめだ」
妖精「私がパーティーに居る事でフラグが立ったのよ」
男「昨日まではみんな普通に喋ってくれたんだ。
でも今は犬ですら機械的に“わん!”って鳴くんだ。もうだめだ」
妖精「それは、世界があなたを勇者に仕立て上げ…じゃなかった、勇者に選んだのよ」
男「なんてひどい本音なんだもうだめだ」
妖精「まあまあ、いいじゃない。魔王退治して英雄になれるわよ?」
男「なんだか凄そうな出身の連中も全員ロストしたって聞いたけど」
妖精「あれは…欲をかいた結果よ」
男「詳しく話せ」
妖精「隠しダンジョンのお宝目当てでみんな死んでいったのよ。それも同じ場所の」
男「まさかウチの真下の事じゃないだろうな」
妖精「えっ」
男「えっ」
妖精「…な、何の話なのかよくわからないッス☆」
男「ウチの下で凄い数の人間が死んでた。もうだめだ」
―最果ての大陸 フィールド―
妖精「さて…まずはちゃちゃっとレベルを上げてみましょうか」
男「ちょっと待って。レベルって何」
妖精「ああそうね、ごめんなさい。一般人にはレベルの概念が無いんだったね。
よ?し…“アナライズ”!」
男「うおすげえ魔法はじめてみた」
名前:男
LV:1
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:19
MP:0
筋力:8
体力:7
賢さ:1
敏捷:4
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:15
防御力: 2
<おぼえたとくぎ>
なし
<つかえるじゅもん>
なし
妖精「これはひどいステータス…賢さ1www」
男「個人情報が筒抜けだ。もうだめだ」
妖精「しかも経験0か。チェリー乙」
男「経験ってそっちなのか。もうだめだ」
妖精「冗談よ。まあ、勇者補正に期待してレベルを上げましょうか」
男「勝てないから。絶対勝てないから」
妖精「あんたガイアソード持ってるでしょ?」
男「攻撃力15だから。絶対勝てないから」
妖精「あたしもいるから大丈夫だよ。そぉれ、反復横とび!」
男「おい、やめろ! 歩いたら敵でちゃうだろ! やめろ! やめろください!」
* モンスターがあらわれた! *
死を告げる鳥A があらわれた!
死を告げる鳥B があらわれた!
男「すごい名前の鳥が出てきた。もうだめだ」
妖精「大丈夫だって。さ、コマンドをいれなさい」
男「コマンド?」
妖精「勇者権限で、こっちの行動が決まるまでは大人しくしててくれるから」
男「何てよくわからない理屈なんだ。もうだめだ」
たたかう ぼうぎょ
とくぎ じゅもん
どうぐ >にげる
妖精「おいコラ」
男「勝てないから。絶対勝てないから!」
妖精「大丈夫だから、あたしを信じて言うとおりにしなさい」
男「本当ですか」
妖精「当然よ。まずは“どうぐ”を選択なさい」
男「>どうぐ」
―男の道具袋―
>Eガイアソード
男「ガイアソードしかないけど」
妖精「それは使ってこそ真価を発揮するアイテムなのよ」
男「マジで? …いや、ちょっと待て。敏捷に差があるから使う前にやられるのでは」
妖精「大丈夫よ。何の為にあたしがいると思ってるの」
男「えっ」
妖精「>じゅもん!」
―妖精の呪文―
アナライズ ヒール
フレイム >クイック
リバイブ 次へ(1/18)
男「なんか凄い数覚えてますね」
妖精「実は全部使える」
男「お前が魔王倒せよ」
妖精「いいからホラ、1ターン目はじまるよ」
―ターン 1―
妖精はクイックを唱えた!
妖精「汝風の神に愛されうんちゃら。疾風韋駄天のなんちゃらかんちゃら。クイック!」
男「なんて適当な詠唱なんだ。もうだめだ」
男はターンの最初に動けるようになった!
男「おお、すごい」
妖精「さ、やりなさい!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
男「おっ、おお! 何だかスゴいぞ」
男は“ガイアトード”を召喚した!
土蛙「…」
妖精「ガイアソードはガイアトードを召喚できるのよ!」
男「くだらなさすぎるだろ」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
男「おお、何だか凄そう」
死を告げる鳥A には効かなかった。
死を告げる鳥B には効かなかった。
男「えっ」
妖精「あっ」
死を告げる鳥Aの攻撃! 頭蓋わしづかみ!
男「ひあっ」
ゴキッ ぐちょっ
男「あっあっ」
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「男よ。起きなさい、男よ…」
男「っぷはぁ!?」
母「目が覚めたのですね、勇者よ。あまり無理をしてはいけませんよ」
男「母さん…?」
妖精「いやあごめんごめん」
男「一体何が…俺はどうなったんだ?」
妖精「浮遊してる敵にガイアソードは効かないんだったわ。面目ない」
男「あの、俺どうなったの」
妖精「弾けたトマトみたいになった」
男「ひぃ」
―最果ての村エンドナ 自宅の裏庭―
男「もういやだ」
妖精「まあまあ。ちょっと作戦を変えましょう」
男「もういやだ」
妖精「調べてみたら、最果ての大陸には浮遊系のモンスターしか出ないみたいなのね」
男「もういやだ」
妖精「で、ガイアソードじゃ無理だから、隠しダンジョンのアイテムで何とかしましょ」
男「もういやだ」
妖精「バグったかな…?」
―最果ての村エンドナ 隠された地下洞窟―
男「全ての勇者が没した場所じゃないか。もうだめだ」
妖精「あいつらは言う事きかないからああなったの。欲を出さなきゃ大丈夫よ」
男「何か看板立ってる」
“隠されし 禁断の 聖域”
男「凄い名前だ」
妖精「さ、アイテムを回収しましょ」
男「宝箱は空なのでは」
妖精「いなくなった連中が持ってたぶんは元に戻ってるから大丈夫よ」
男「なにそれ便利」
―隠されし禁断の聖域 1F―
火吹き鳥「ギェー」
氷の霊鳥「グェー」
男「早くも越えられない難関が」
妖精「大丈夫よ。あたしを信じて行きなさい」
男「初戦でドタマかち割られたんだけど」
妖精「今度こそ必勝の策があるから。行きなさい」
男「微塵も信用できない。もうだめだ」
* モンスターがあらわれた! *
火吹き鳥 があらわれた!
氷の霊鳥 があらわれた!
コマンド?
男「>にげる」
妖精「おいコラ」
男「いや飛んでるし勝てない」
妖精「こいつらは門番だから逃げても消えないの。いいから攻撃しろ」
男「しくしく… >たたかう」
妖精「>じゅもん! “シャッター”!」
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気の霊よ!その掌で我ら守りたまえ!シャッター!」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
男「おお」
火吹き鳥「ギエー」
火吹き鳥は 炎のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
氷の霊鳥「グエー」
氷の霊鳥は 氷のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
男「おお、これならいけるか? でやーっ」
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「えっ」
妖精「火吹き鳥はHPが785だから、あと784回で倒せるよ」
男「えっ」
妖精「氷の霊鳥も同じHPね。頑張って」
男「いやいやいや、あんたのMPが先に切れるんじゃないのか」
妖精「ううん」
妖精のMPが50回復した!
妖精「あたしターン終了時にMP回復するから大丈夫よ」
男「えっ」
―ターン 35―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「腕いたい」
妖精「あと750ね。頑張れ」
―ターン 102―
男の攻撃!
火吹き鳥「サッ」
ミス! 火吹き鳥にダメージを与えられない!
男「指先の感覚がもうない」
妖精「ちゃんとやらないと終わらないわよー」
―ターン 398―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「ミ、ミス分もいれてやっと半分…」
妖精「もう一匹いるからまだ4分の1だけどね」
男「えっ」
―ターン 812―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギョエー」
火吹き鳥に1のダメージを与えた! 火吹き鳥を倒した!
男「ゼェハァゼェハァ」
妖精「ほら、もうひと頑張りだよ」
―ターン 1612―
男の攻撃!
氷の霊鳥に1のダメージを与えた! 氷の霊鳥を倒した!
男「うぉぉおおおおおおお勝ったァァアアアアアアアアアア疲れたアアアァアアアアアアアア」
妖精「あたしだって疲れたわよ」
男「お前途中から詠唱とか完全に省いてたじゃねえか」
妖精「うんまああたしクラスだったら指先ひとつでちんちくりんだし?」
男「だからお前が魔王倒せよ」
* 戦いに勝利した! *
男はレベルが1から18に上がった!
男「おおおおおおすげええええええ」
* レベルアップボーナス 能力値を振り分けてください *
男「おおおおお!よし、さっそく筋力に…」
妖精「体力に全振りしなさい」
男「えっ」
妖精「きこえなかった? 体力に全振りしろって言ったの」
男「ど、どうして…」
妖精「あんたが死ぬとリスポンポイント(自宅)まで戻されて面倒なの。とにかく死なないようにして」
男「で、でも火喰い鳥と氷の霊鳥を狩れば…」
妖精「あれは門番モンスターでもう出てこないの」
男「もうだめだ」
―隠されし禁断の聖域 2F―
妖精「“アナライズ”!」
名前:男
LV:18
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:151
MP:0
筋力:21
体力:56
賢さ:1
敏捷:10
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:30
防御力:31
男「HPだけ高すぎる。賢さが上がらないもうだめだ」
妖精「これでいいの。後は軽い防具を探さないと…」
男「あっ、宝箱」
妖精「ゴルァ!」
男「ひっ」
妖精「ここが全勇者をロストさせた迷宮だって事を忘れたの?」
男「すいませんでした」
妖精「その宝箱は開けたらあんたに200ダメージ入る罠がかかってるのよ」
男「なにそれこわい。でもそれなら妖精さんが開ければいいじゃない」
妖精「あたしは見ての通り非力な妖精だから、宝箱の蓋なんて開けられません」
男「なんで中途半端に軟弱なんだチクショウ。
っていうかダンジョンをネタバレされるから冒険感も何もあったもんじゃないもうだめだ」
妖精「もうウン十回も来てるからね。イヤでも覚えるわ」
男(っていうか、そんなに勇者を犠牲にしてるあんたは結構無能なんじゃないのか)
―隠されし禁断の聖域 3F―
妖精「あった。あの部屋の中だわ」
巨人「うべー」
男「なんかすっごいのが守ってるけど」
妖精「大丈夫よ、たかがレベル65の中ボスだから」
男「俺のレベル18なんだけど」
妖精「>とくぎ “くちぶえ”! ピュー」
男「何してはるんですかね」
妖精「くちぶえは、近くのモンスターをおびき寄せる事ができるのよ」
男「」
* モンスターがあらわれた! *
血まなこ巨人 があらわれた!
男「>にげる」
この戦いからは逃げられない!
男「もうだめだ」
妖精「戦え。今度はガイアソードも効くから大丈夫だって」
男「でもレベル65だって」
妖精「レベル255のあたしがついてるんだから大丈夫だってば」
男「だからお前が魔王倒せよ」
―ターン 1―
妖精「母なる地の庇護の手よ、我ら弱き器持つ者を覆わん! “プロテクト”!」
男は守りの手を得た! 防御力が飛躍的に上昇!
男「おおすげー、手形のバリア」
血まなこ巨人「うがー」
血まなこ巨人の攻撃! 玉砕棍棒!
男「ぶべらっ」
男は149のダメージを受けた!
男「い、いでえよ゛ー! 骨がおれてるよぉぉおお」
妖精「しっかりしなさいよ。前の勇者なんて、HPが1でも残ってれば半身が吹っ飛んでも戦ってたわよ」
男「ひぃぃいいいい」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「よんだ?」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげっ」
血まなこ巨人に205のダメージ!
妖精「よしっ。回復しながら戦えば、あと10回くらいで倒せるわ」
男「ちょ、ちょっと待て。あと10回もこれをやるのか」
妖精「男でしょ。根性見せなさいよ」
男「もうだめだ」
―ターン 13―
男「ひぐっ… ぐすっ…」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「めんどいのー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげぁー」
血まなこ巨人に217のダメージ! 血まなこ巨人を倒した!
男「ズェーハァー ズヒュー」
妖精「はい、お疲れ様。“ヒール”ね。」
男「その呪文で傷はすぐ治るけど、まだめっちゃ痛い」
妖精「万能じゃないからねえ」
男「あとなんで妖精さんにはターゲットがいかないのかな」
妖精「あたしは回避率が高すぎるから、攻撃しても無駄だって魔物のAI…じゃなかった、魔物の頭が判断してるの」
男「なんて鬼畜仕様なんだもうだめだ」
妖精「そんな事よりレベルアップしてるから、はよ体力に振れ」
男「うう…普通に冒険したいよお…」
―隠されし禁断の聖域 3F 宝箱の間―
男は宝箱を開けた! “かぜよみのころも”を手に入れた!
男「おお、かっこいい!マジックアイテムっぽい!」
妖精「それは装備制限も無いし、回避率があがる強力な防具よ。早速着てみなさいな」
男はかぜよみのころもを装備した! ぼうぎょりょく 57 → 102
男「おおおおおおおおお」
妖精「さて、これでここに用事は無いわね…」
男「えっ? おいおいやっとこさ軌道に乗ってきただろ。レベルも23になったんだぜ、これなら…」
妖精「次の階にはキングラフレシアっていうレベル78のモンスターがいてね、その触手で生きたままはらわたを」
男「帰還するぜ。妖精よ、脱出呪文を使ってくれ」
妖精「キャラ変えんなこのぺーぺーが」
―最果ての大陸 エンドナの村前―
妖精「さて。いよいよ、他の大陸に旅立つ時が来たわ」
男「ちょっと待て。進路がおかしくないか」
妖精「おかしくないわよ」
男「だって西に20歩も歩けば魔王城に続く四柱の祭祀場がある」
妖精「さすが現地人は詳しいわね。でもその祭祀場で使うアイテムが無いの」
男「みっつのオーブだっけ。妖精さん持ってないのかよ」
妖精「前の勇者が持ってたけどロストしたわ。元の場所にあるはずよ」
男「うぇーめんどくさーい。あ、でもワープ呪文的なのでひとっとびか」
妖精「無理です」
男「なんでよ」
妖精「“テレポート”…勇者が一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「使えよ」
妖精「“勇者が”一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「あっ」
妖精「おわかりかしら」
―エンドナの海辺 海竜シドラヌの上―
海竜「クェーッ」
男「こいつぁ気持ちいいやーっ」
妖精「気に入ったみたいね」
男「海竜シドラヌか、勇者になるとこんないい事もあるんだな」
妖精「気に入ってもらえて何よりだわね」
妖精(まあ、普通の勇者はもっとまともな特典がたくさんあるんだけどね)
―火の大陸 西の浅瀬―
男「じゃなー、シドラヌー!」
海竜「クエッ」
妖精「さて…まずは鉄の故郷アイロニアに向かうわ」
男「どこそれ。火の大陸ってくらいだから火の集落に向かうものかと」
妖精「火の集落には後で行くわ。その前にアイロニアに仲間を迎えに行くのよ」
男「え、仲間!?」
―武器大国 鉄の故郷アイロニア―
男「ほぁー、都会やー」
妖精「キョロキョロすんな田舎モン」
男「あっ、武器屋行こうよ武器屋」
妖精「そんなの後よ。まずは酒場に行くわ」
―ダルーイの酒場―
女将「ダルーイの酒場へようこそ、坊や」
男「で、何しに来たんだよ」
妖精「酒場に来たんだから仲間を増やすに決まってるでしょ。こんにちわ、おかみさん!」
女将「あらー、妖精ちゃん?久しぶりじゃないの。勇者アレックス達はどうしたの?」
妖精「えっと…アレックスは今、体を壊しちゃってて…」
男(体壊したってレベルじゃねーぞ)
妖精「今はこれが代理です」
女将「まっ。なんとも頼りがいがなさそうだけれど…」
男「ふっ…私のレベルは23です」
女将「えー、マジレベル23ー!? キモーイ!」
妖精「レベル20代が許されるのは、小学生までだよねー! キャハハハー!」
男「」
妖精「さて、そんな事よりあいつを引き取りに来たわ」
女将「えっ…? あいつって…本気かい?」
妖精「もう他に人材がいないの。」
女将「そうかい…そこまで切迫しているなら仕方が無いね。ちょっと待ってなさい」
男「?」
―10分後―
美剣士「俺に今更何の用だ…」
妖精「紹介するわ。剣士のテニーよ」
美剣士「今になって俺に泣きついてくるとは…全く、失笑を禁じえないぜ」
男(スカしたイケメンだ)
妖精「こいつは剣士のくせに、HPも筋力も僧侶以下のツワモノよ」
美剣士「そんな数字で俺の何を計れる!?」
男(えええー…)
妖精「“アナライズ”!」
名前:テニー
LV:28
経験:208262
称号:バトルマスター(笑)
性別:おとこ
年齢:?歳
HP:226
MP:86
・
・
・
男(レベルが近くて親近感が湧くなあ)
妖精「相変わらずの貧弱ステね…」
男「何だよ、結構頼れそうじゃないか」
美剣士「! そ、そうだろ!?」
妖精「甘いわね。もっとよく見てみなさい」
男「?」
<おぼえたとくぎ>
かえんぎり
<つかえるじゅもん>
なし
美剣士「見るなーッ!」
男「え…これだけ…え…?」
妖精「本家よりひでーのよ、こいつは」
妖精「正直、新米でぺーぺーな今のアンタと大差無いレベルよ」
美剣士「うおおおおお!!!」
男「おいおい、これからの旅の仲間なんだろ? そこまで言う事ないじゃないか」
妖精「…ま、それもそうね。こんなんでも役に立ってもらう事になるし」
美剣士(…! 役に立つ…だと…!?)
美剣士「妖精よ…貴様がそこまで言うなら、力を貸してやらん事も無いぞ。ふっ…ふはは! ふははははは!」
男「どうしたの突然」
妖精「冒険の役に立った事が無いのよ、こいつは」
美剣士「うるさい!」
―火の大陸 フィールド―
美剣士「フィールドに出られたのは久しぶりだぜ…」
男「ずっと酒場にいたのか?」
妖精「勇者以外には、酒場の人間を動かせないのよ」
男(なんだかすっごいかわいそうな人なんじゃないのか)
美剣士「ようし…早速腕を振るうとするか。出て来い、モンスターども!」 サッサッ
男「ああ! 美剣士がさっそく反復横飛びを!」
妖精「ちょっ…こらぁ! 勝手な真似すんなー!」
* モンスターがあらわれた! *
妖精「ああ、もう!」
オバケたいまつが あらわれた!
男「あっ、何かすっごいかわいいのでてきた」
妖精「そりゃあアンタがさっきまでいたのは最終大陸の隠しダンジョンだものね」
美剣士「何っ…!? キサマ、そんなレベルでエンドナに挑んだというのか!?」
男「地元なんで…」
美剣士(ず、ずるいっ…!)
男「えーっと…んじゃあ俺は、“たたかう”で…」
美剣士「チクショオオオオオ! くらえおばけたいまつ、新必殺音速火炎斬!」
男「えっ!? 命令させてくれないの!?」
妖精「自分よりレベルの低いやつの命令なんて聞くわけないじゃない」
男「それはそうだけど…何だかなあ」
美剣士「行くぞぉお!」
美剣士の攻撃! てつのつるぎが炎にうなる! 火炎斬り!
男「素早い!」
妖精「敏捷だけはまあまあなのよ」
オバケたいまつ「?」
ミス! オバケたいまつにダメージを与えられない!
美剣士「えっ」
妖精「火属性の魔物に火属性攻撃が効くわけないじゃない。AIまでクズだったのね」
美剣士「…もうだめだ」
男(やっぱり親近感がわくなあ)
妖精「ほら、次はあんたの番よ」
男「えっ、俺!? モンスターより先に動けるの!? や、やったー!」
美剣士(ほう…敵より早く動く事に感動を覚えるとは。こいつからは、俺と同じ臭いがするぜ…!)
男の攻撃!
男「そういえばまともに攻撃させてもらえるのはじめてかもしれない。だりゃー!」
オバケたいまつ「ぐごっ」
オバケたいまつに126のダメージ! オバケたいまつを倒した!
男「おっ…おお、おおおおおお!!!」
妖精(そういえばオバケたいまつは土属性が弱点だったわね)
美剣士「や、やるじゃねえか… ところで、その剣はいったい?」
男「ん? ああこれ、ガイアソードっていうらしいんだ」
美剣士「なかなかの魔剣じゃないか。一体どこで手に入れたんだ?」
男「自宅近くのタルから拾ったんだ」
美剣士「なっ…!?」
美剣士「く、くそぉおおおおおぉっ…!」
男「ビクッ」
美剣士「俺だって…俺にだって、愛用の魔剣が、あったんだぞォオっ!」
妖精(そういえばいつだったかの勇者が剥ぎ取ってポイしてたわね)
美剣士「俺だって…! 俺だって、かつては独り身で魔物を倒して回った孤高の剣士だったんだっ…!」
男「美剣士っ…!」
ガシッ!
美剣士「!」
男「泣かないでくれ、美剣士…!」
美剣士「お、男…?」
男「俺なんてただの村人だったんだ…俺達は、これから強くなればいいんだ!
一緒に魔王を倒そう! 俺達で共に、伝説を作ろうっ…!」
美剣士「お、男っ…! 男ぉっ…!」
妖精(ふん、クズどもがっ…! 酔っぱらってやがるぜ、自分達にっ…!)
妖精「ほらほら、もういいからさっさと目的地に行くわよ」
男「あっ、ああ…ほら、美剣士。これで涙を拭くんだ」
美剣士「グスッ…ふ、ふっ。ありがとうよ男」
男「ニコッ」
美剣士「ニカッ」
妖精(うぜえ…)
妖精「さて… >じゅもん! “サンクリ”!」
弱い魔物が出現しなくなった!
男「えっ? おいおい妖精さんよ、レベルは上げなくていいのかよ」
妖精「こんな大陸でレベル上げなんてたるくてやってらんないわ。さっさとオーブを手に入れてオサラバよ」
美剣士「それで、向かっているのは北の “火の神殿” なのか?」
妖精「そうよ。さすが、無駄にこの大陸でくすぶってただけの事はあるわね」
美剣士(こいつの性格は相変わらず最悪だぜ…)
―火の神殿 入り口―
男「荘厳な神殿だな」
美剣士「すごい熱気だ」
妖精「相変わらず暑苦しくてかなわないところだわ」
男「このすーっごく巨大な門は、どうやったら開くんだ?」
美剣士「ふっ…わかっちゃいねえぜ男。あっちを見てみな」
男「…? あっ、脇道がある」
美剣士「最初からこんな巨大な門がやすやすと開いては、神殿の威厳も何もあったものではないだろう?」
男「確かに」
美剣士「ここを訪れる者達に、まずこの巨大な開かず門を印象づける。そして回り道で門を開かせる事によって、入場の際にカタルシスを与えるというわけだ」
妖精(人はそれを演出と呼ぶわね)
男「そうなのかー! さすがだな、美剣士! ぜんぜんわからなかったよ!」
妖精(さすがは賢さ1ね)
美剣士「ふっ…褒める程の事ではないさ。 ニカッ」
男「ニコッ」
妖精(うぜっ)
妖精「んでもって更に言うと。その門が開く仕掛けは、その燭台の上に石像が降ってきて炎が消えるだけのごく粗末なものよ」
男(いい加減このネタバレ、何とかならないかな…)
妖精「そんでもって、そこのヘナチョコ野郎についてきてもらったのはただそれだけのためよ」
男「えっ」
美剣士「えっ」
美剣士「お、おい妖精…? 何を言っている…?」
妖精「呪文ってのは、便利なものなんだけれどね。無い呪文っていうのは、どうしようも無いの」
男「妖精さん…? 一体何を言ってるんだ…? 何の話をしているんだっ!?」
妖精「土属性系統には、地面を揺らすシェイクから、石礫を巻き上げるブラスト…そして大地震を起こすクエイクまであるけれど」
男(ゴクッ…!)
妖精「石像を作り出す呪文なんて、無いから」
美剣士「!!!」
妖精「>じゅもん! “パラライ”!」
美剣士「うわあああああああっ!? か、体が動かないッ…!」 バリバリ
男「テニーっ!? な、何をするだぁーッ!?」
妖精「うるさいわね。黙って見てなさい。 >じゅもん! “フロート”!」
美剣士「うおぁっ!」
男「美剣士の体が、宙に!?」
妖精「本来は罠を避けたり、遠くの足場に移動するための呪文なんだけれどね。こういう使い方もできるわね」
妖精「そお?れ、あっちよ」
美剣士「うわあああああっ!? あ、あつぃーッ!」
男「け、剣士を燭台にっ!? ま、まさか妖精さん…」
妖精「>じゅもん! さて…美剣士。冥土の土産に教えておいてあげるわ。あんたの石化耐性は…ゼロよ」
美剣士「やめてくれー! そっ、それだけはやめてくれえええええ!!」
妖精「“ ロ ッ ク ユ ー ”」
男「美剣士ィィイイイイイ!!!!」
ドスン!!!
男「あ…あ…」
剣士は石になった…
男「う…う…、うああああああああああァアーーーーーーッ!!!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴ…
神殿の巨大な扉が、開いていく…
妖精「さーて、開いた開いた。これでかなりのショートカットになったわね。行くわよ」
男「何で…何でだよ! どうしてなんだよ!?」
妖精「あ?」
男「どうして美剣士がッ! あんな、駄洒落みたいな呪文で石にされて…扉を開く犠牲にならなきゃいけなかったんだよぉっ!!!」
妖精「あまったれるんじゃないわよっ!」
ベシッ
男「ぐぉがっ!?」
妖精「こんなところでクヨクヨして、せっかく美剣士がショートカットしてくれた時間を無駄にする気!?」
男「なっ…何を言っているんだ…!?」
妖精「こんな事をしている間にも…世界には、魔王の手によって苦しめられている人々が…いるのよっ…!」
男「!」
妖精「歴代勇者達が次々と倒れてしまって…魔王の時代は長く続きすぎた。その間酷い目にあっている人たちが、いるのよっ!!」
男(涙…!? 妖精さん…まさか、これまでの凶行はそこまで考えての事だったのか…!?)
男「…悪かったよ、妖精さん…」
妖精「男…」
男「俺…もう、クヨクヨしないよ。行こう。一刻も早く、世界を…救うんだッ…!」
妖精「…ふっ、全く…いい面構えになったじゃない…」
男「美剣士…」
美剣士「」
男「綺麗な顔しやがって…お前、役立たず何かじゃなかったぜ…! お前は、俺の…最高の、仲間だったっ…! うう?っ…!」 ボロボロ…
妖精「美剣士へのお別れは済んだわね…? さあ、彼の屍を乗り越えて…行くわよ…!」
男「くうぅ?っ…! う、うおおおおぉおおおっ!!」
タッタッタッタッタッタッ…!
勇者は 一つの悲しみを乗り越えて 業火の吹き荒れる火の神殿の扉を 開いた…
妖精(賢さ1は御しやすくて楽だわぁ)
美剣士(もうだめだ)
―火の神殿 内部―
男「妖精さんっ! 俺は…俺はどうすればいいんだっ!」
妖精「神殿の中にさえ入ってしまえば…後は、オーブの守り人を倒すだけよ!」
男「守り人ぉーっ! どこだぁーっ!? 美剣士のカタキだぁーっ、出てこいーっ!!」
男は混乱している!
妖精(さすがの私もこれには苦笑い)
獅子人「はいはい何ですか、もう。暑苦しいなあ…」
男「貴様かぁっ、オーブの守り人はっ!!!」
獅子人(これまた面倒臭そうな勇者が来たなあ)
妖精「やっほー」
獅子人「また妖精さんですか。あんたの顔も見飽きましたよ」
妖精「こっちもね」
男「知っているのか、妖精さん!?」
妖精「そりゃあもう何十回と倒したボスだもの。勇者ロストの度に再配置されるんだから、面倒ったらないわ」
獅子人「こっちとしてももう、いちいち起こさんで欲しいんですけどね。最近はもう魔王様や、他の二神からも連絡が無いし。あの人ら、ちゃんとお役目果たしてるんですかね」
男「他の二神…だと…!?」
妖精「ああ、言ってなかったっけ。四柱の祭壇に捧げる為のオーブは、魔王直属の三闘神が守っているのよ」
男「こんな奴がまだ、あと二体もいるっていうのか…!?」
獅子人(何なんですかこのテンションは)
妖精「まあ、その辺はおいおい説明してあげるから。さっさとこいつ倒しちゃって」
男「! そうだな! 覚悟しろ、このライオンマン!」
獅子人「ええー…やるんですか? どうせまたあのハメくさい戦法使う気なんでしょ? もう…」
* モンスターがあらわれた! *
炎の闘神、ファイアライオンがあらわれた!
獅子人「がおー」
男「くっ、すさまじい熱気だ…!」
妖精「こいつは別名、“唯一王”…かなりの物理攻撃力を誇っているわ」
男「何だって…!?」
妖精「今のアンタが一発でも喰らえば、一瞬で体が消し飛ぶでしょうね…」
男「くっ…!」
妖精「でも物理攻撃はしてこないっていうね。何のためのステータスなんだか」
男「なーんだ」
獅子人「あーっもー、本当に性格悪いですねーあんたはー! はよコマンド入力してくださいよー!」
男「美剣士…無念に散っていったお前の想い、俺が引き継ぐぜぇええええっ!!!」
バアーッ!!!
妖精「…! あれは…勇者の特性、“人の心の光”!」
獅子人「何ですかソレは」
妖精「ほら、終盤になってくると突然、主人公が“俺の体をみんなに貸すぞ”とか言って、故人の力が宿ったりするじゃない」
獅子人「ああ」
妖精「つまり…今あの男には、美剣士のパワーがやどりつつあるのよ…!」
獅子人「何かさっきから盛り上がってますけど、その美剣士って誰なんですか」
男「うおおおおおおおっ!!!!」
勇者は、あの美剣士が唯一得意としていた剣技…
“かえんぎり” を、受け継いだ…!
男(やった…やったよ、美剣士…! 俺、ついに特技を覚えたんだ…!)
美剣士(男… 男よ…)
男(!? 美剣士の声が、聞こえる…!?)
男「美剣士!? そこにいるのか、美剣士!?」
妖精(うわ゛っ…見えちゃいけないモノ見始めたよ、こいつ…)
獅子人(さっきから置いていかれてるなあ…) ポリポリ
美剣士(男… よくやったじゃないか…)
男「美剣士っ!」
美剣士(もうお前は一人前だ…最期に、一つ。たった一つだけ、俺の遺言だと思って…聞いてくれ…)
男「…!?」
美剣士(火属性の敵に…火属性の攻撃は、効果が無いんだぜ…?) ニカッ
男「び、美剣士っ…」 ニコッ
美剣士(もう、お別れだ…じゃあ、世界を変えてくれよ。お前は満足か、こんな世界で…俺は…嫌だね…)
男「美剣士? どこだ、返事をしてくれよ…美剣士…美剣士ぃーっ!!!」
美剣士の魂は、遠くへ旅立っていった…
獅子人「あー、終わりました?」
男「ギロッ」
獅子人(だから、何でこっちにヘイトが向くかなあ…)
妖精「♪?」
獅子人(どうせこの人が、何かしたんだろうなあ…)
男「炎の闘神よ…俺はひとつ、大切な事を美剣士から教わったんだ」
獅子人「はいはい、何ですかー?」
男「特技が火炎斬りしかなくて…火属性の敵と相対した時は…! 力に任せて、物理で殴ればいいッ!」
妖精「そうだね。こいつも弱点土属性だしね」
獅子人「だからー! せめてアナライズでも何でもかけて見破ってくださいよー、そういうのはー!」
男「いくぞっ! 炎の闘神よっ! >たたかう」
獅子人「はいはい、やっとですね。…で、どうせ妖精さんは…」
妖精「>じゅもん ”シャッター”」
獅子人「これだよ(笑)」
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気のうんたん。うんたんうんたん。"シャッター”」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
獅子人「はい詰んだー」
男の攻撃!
男「うおおおおおおっ!!!」 ザシュッ!
獅子人「いたいー」
獅子人に124のダメージ!
男「これが、俺と美剣士の怒りだッ!」
獅子人「はいはい…」
男「どうした!? 次はお前のターンだぞ!?」
獅子人「はいはい。フレアドライブー」
獅子人の攻撃… 火属性最強技! "フレアドライブ”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「そんなものは、効かんッ!」
獅子人(もうこんな茶番、これっきりにしてほしいですわ…)
―ターン 9―
獅子人「アトミックー フーレアー」
獅子人の攻撃… 冥獄の炎が、全てを灰燼に帰す! "アトミックフレア”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「これで、最後だーッ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット! 獅子人に312のダメージ!
獅子人「あだっ。あー、HPが0ですね。じゃあおやすみなさいですわ。もう起こさないでくださいね」
獅子人を倒した!
獅子人はアイテムを落とした。 ”赤い瞳のオーブ”を手に入れた!
男「やった…俺、やったよ美剣士っ…!」
妖精「はいはい。じゃあ、美剣士を元に戻して次の大陸に行くわよ」
男「えっ」
男「元に…戻す…?」
妖精「うん」
男「どうやって?」
妖精「石化解除の呪文で」
男「えっ? さっきの、人の心の光がどうたらってのは? えっ?」
妖精「勝手に幻覚でも見たんじゃないの」
男「」
―火の神殿 入り口―
男「何で最初に言ってくれなかったん」
妖精「何か面白かったから」
男「ていうか何ですぐ解除しないで石にしてほっといたん」
妖精「帰る時困るじゃない」
男「冷静に考えたら獅子人さんってすごくかわいそうじゃなかったん」
妖精「知った事か」
男「はああ…まあ、いいや。それなら犠牲になった美剣士はどこにもいなかったって事だろ?それは今日一番のグッドニュースだ…って、あれ…?」
妖精「え…? 門が、閉まってる…?」
男「おい… どういう事なんだよ、おい…!?」
妖精(! あー、やっべ…もしかして…)
妖精(>じゅもん "ディテクト”…) ボソッ
妖精はディテクトを唱えた! 美剣士の状態が、表示されます。(妖精の脳内に)
美剣士 LV―
HP0 MP0
じょうたい:LOST
妖精(ああ、そうか。あいつは灰化耐性も消失耐性もゼロなんだった。そりゃ石像にして放っておいたら、死亡→灰→ロストにもなるわね。やっちゃったぜ
☆)
男「お、おい、妖精さん…? どういう事なんだよ、これ…!」
妖精(…)
妖精「えっ、えっとね。! そう! 美剣士にはあらかじめ、遅効性の石化解除呪文をかけておいたの!」
男「あ…?」
妖精「それで、石化が解けても神殿の中には入れないから、歩いてアイロニアまで帰ったのよ☆」
男「あ…?」
妖精(く…さ、さすがにまずったか…!?)
男「…妖精さん。妖精さんは、いったい俺にいくつ嘘をつく気なんだ…?」
妖精(まずい…! いくらこいつが馬鹿でも…!!)
男「それなら何で、テレポートを使わずにわざわざここまで来たんだ…?」
妖精(ちっ…男の癖に…! こうなったらもう、魅了呪文で…)
男「すぐに美剣士に会えると思ってたのに…意味の無い嘘をつくのはやめてくれよなー、もう」
妖精「は…はっ?」
男「アイロニアの街にいるんだよな? それなら早くテレポート使ってくれよ」
妖精(こ…こいつ…!)
妖精「い、いや。アイロニアにはもう戻らないわ」
男「えっ」
妖精「言いにくいけど、あいつはこれからの戦いにはついていけない。だから美剣士との旅はここまでなのよ。ねっ、ねっ?」
男「…」
妖精(ゴクッ…)
男「そうなのかー… 残念だな」
妖精(こ、これが賢さ1の思考能力… あ、あなどれない!)
男「じゃあ、次はどこに行くんだ?」
妖精「えっ? あ、ええ。次は水の神殿に向かうわ。その前に、火の集落でイベントを進行させないといけないの」
男「よし、わかったぜ。火の集落にはどうやって行けばいい?」
妖精「まずはテレポートで西の海岸に戻るわ。そこから少し北に歩けば、すぐよ」
男「よーし、やるぜー!」
妖精(… いくら何でも、おかしい… この男、最初はここまでのバカじゃなかった筈…)
妖精(一体何が…)
男「あ、そういえば獅子人に勝ってレベルが上がってたな! 早速体力に全振りだぜー」
妖精(! そうかッ…! おそらく、生来のバカさ加減に加えて、賢さを無視したステータス振りをさせているせいで…)
妖精「脳細胞が、筋肉に変革しているんだわっ!」
男「うわっ!?」
男「何だよ、いきなり大声出すなよなー」
妖精「へっ、あっいや何でもない! 何でもないから!」
男「変な妖精さんだな…じゃあ、早速テレポートで飛んでくれよ」
妖精「ええ。まかせて!」
男(何か、いつもと調子違うな…)
妖精(これは、最後の勇者にして最大の発見をしたわ…ここまで御し易ければ、ますます以ってあたしの思惑も…!)
男「何ニヤニヤしてるんだよ…」
妖精「何でもないったら! じゃあ、飛ぶわよ。 "テレポート”!」
ドンッ
―火の大陸 西の浅瀬―
妖精「ふうっ」
男「相変わらず妖精さんの呪文はすごいな…よし、行こう!」
―森の奥深く 火の集落―
男「何だよ、あのテント…」
妖精「火の集落の人々は、ああいう家に住んでんの」
男「こんな原始人みたいな生活をしている奴らがまだいたんだな。HAHAHA!」
妖精(田舎者はすぐこれだ…)
―火の集落 族長のテント―
男「ハハハハ、妖精さん! 一体この小汚いテントに何があるっていうんだい?」
屈強な男A「動くな」
男「へっ」
屈強な男B「何者だ」
屈強な男C「何者だ」
屈強な男D「何者だ」
男「」
男「ゆ、勇者です」
屈強な男達「あぁん!?」
男「もうだめだ」
族長「みんな、待ちな。…お前、勇者だって?」
男「えっあっはい一応そうです」
族長「…本当なら、勇者の証を見せてみな。嘘だったならば、掟に従いお前を殺す」
男「妖精さーん」
妖精「ただのイベントだから。はよ出せ」
男「何か見せれば助かるんですか!? やったー!」
妖精「見せるものを間違えたら、そこの屈強な男共に槍で後ろから刺されるけどね」
男「助からないじゃないですかー! やだー!」
族長「あんのかい? ないのかい?」
男「っ…しかし、さすがに俺でもそれ位はわかる! >どうぐ "赤い瞳のオーブ”だろ!?」
妖精「あっ」
男「えっ」
族長「…」
屈強な男達「…」 ススッ
男「」
男「ああ、そうか…死んだら母さんに会えるんだったよな。母さんの固定セリフ、変わってるかな…?
いいさ、たまには死んでみたって。それも勇者の醍醐味だもんな。はは。はははははは!」
族長「みんな、部屋から出ていっておくれ。あたしやこのお方と、大切な話がある」
屈強な男達「はっ、族長」 ゾロゾロ
男「えっ」
妖精「そのオーブ以外考えられないでしょ、常識的に考えて」
男「」
族長「さて…勇者よ。お主が来る事は予知でわかっておった」
男「えっ?」
族長「お主は三つの瞳を集めて、魔王の根城に乗り込む気じゃな」
男「あっはい、そうです」
妖精「それ固定セリフだから、いちいち返事しなくていいわよ」
男「えっ」
族長「次は、この地より遥か西…水の都ウォーティスへと向かい、水の神殿に挑むが良い」
男「あっはいそれは聞きました」
族長「そして無事、青の瞳のオーブを手にしたならば…今度は北の、風の谷ウインダを目指すのだ」
男「風の谷かあ」
妖精(…)
妖精「じゃあ、男。あたしはもうこの話、聞き飽きてるから。外で待ってるわよ」
男「ん?ああ」
妖精「そうそう。その話の最後に特技を一つ教えてもらえるから、楽しみにしてるといいわ」
男「!」 ガタッ
族長「勇者よ…お主にはこれから、これまでよりも更に厳しい、幾多もの戦いの運命が待ち受けておる…」
男(自宅近くでの戦いより厳しい戦いが想像できない)
族長「だが、決して挫けるでないぞ。我々は信じておる。お主が魔王を倒し、そしてその先にある…この世界を歪めているものをも、断ち切ってくれると」
男(?)
族長「い、いや…少し喋りすぎたようじゃ」。今のは忘れてくれ
男(何だろう…? 魔王を倒したら、もう一人魔王がいたりするのかな…?)
族長「こほん。では最後に、お主に一族秘伝の剣技を授けよう」
男「!」 ガタッ
族長「火の戦士達に伝わりし、悪しき魂を持つもの達を滅ぼし灰にする剣技…」 バッ
男(! 族長が、剣を構えた…!)
族長「それが、このッ!」 ブンッ!
族長「"かえんぎり” だッ!」
男「」
―火の大陸?水の大陸間の海上―
海竜「クエーッ」
男「はあ…」
妖精「いいじゃない。水の大陸ではきっと重宝するわよ、かえんぎり(笑)」
男「おまっ…かえんぎりなめんなし!」
妖精「まだ一回も使った事ないくせに」
男「うっ…」
妖精さんのエロ画像はよ
美剣士は?
>>158
テリーを意識した結果なんかうまく描けなかった…
らくがきはこれで全部
そろそろはじめます
―水の大陸 東の海岸―
海竜「クエェ…」
男「だいぶ無理させちゃったな」
妖精「世界の端から端まで移動させたんだもの。そりゃ疲れるわよ」
男「えっ」
妖精「世界の狭さを思い知った?」
男「えっ」
男「こんなに淡々と世界の狭さを思い知らされた。感動も何もあったもんじゃない。もうだめだ」
妖精「まあ、この世界を狭く感じたなら、それだけこの海竜が優秀だって事よ」
海竜「クエッ!」
男「あっ、そうだ。そういや世界の果てってどうなってるんだ!?」
妖精(世界の最果ての住人が何か言ってるわ)
妖精「この世界がどういう形をしているかは知ってるの?」
男「知らないから聞いてるんだよ」
妖精「お盆」
男「えっ」
妖精「世界はお盆の形なのよ。世界の果てでは、海が滝のように流れ落ちているわ」
男「滝って…その水はどこに流れているんだよ」
妖精「さあ」
男「なにそれ怖い」
妖精「まあ、世界の形なんて今はどうだっていいでしょ。そんな事よりほら、さっさと水の都を目指すわよ」
男「えっあっはい」
海竜「クェッ!」 ズブズブ
男「おっ、帰るのかシドラヌー! じゃなー!」
―水の大陸 フィールド―
男「な、何だよこれ…水の大陸だって聞いて、何か勝手に綺麗なところを想像してたけど…」
妖精「見渡す限りの毒の沼でしょ」
男「何でこんな事に」
妖精「水の三闘神の仕業ね」
男「なにそれひどい」
妖精「倒せば元通りになるわよ。何っ回も何っ回も元に戻してきたんだから」
男(…何か、妖精さんがこんな性格してる理由がちょっと理解できる気がする)
男「で、これどうやって進むの。妖精さんは浮いてるからいいけどさ」
妖精「本当はね。あそこに見える洞窟の奥にある、“ペガサスのくつ”を履いて進みます」
男「…妖精さんの攻略方法は」
妖精「>じゅもん “フロート”!」
男「わっ、体が浮いた」
妖精「これで無問題ね」
―水の都ウォーティス―
男「絶望した。街の中にまで及ぶこの惨状に絶望した」
妖精「美しき水上都市だもの。水が汚染されてりゃ、そりゃきったなくなるわよ」
男「うう…で、どうしてこの街に寄ったんだ? 直接神殿に行っちゃだめなのか?」
妖精「…そろそろね」
ドンッ
少女「きゃっ!?」
男「うわっ」
男「いってー」
少女「ごめんなさい、大丈夫ですかっ…!?」
その時、男に電流走る
男(!? あ、亜麻色の…長い髪を…!!)
妖精「かぜがやーさしくつつーむー」
少女「だっ、大丈夫ですか…!?」
男「」 ポワワワーン
少女「あ、あの…?」
男「ひゃ、ひゃい!」
妖精(ここはこいつの好みの女が出てくる事になってるからね。無理もないでしょ)
男「怪我? いえっ、ありません。ありませんとも」 ニカッ
妖精(どっかで見た笑い方だわ…)
少女「あの…旅の方、ですか…?」
男「ええ、そうです。そうですとも」 ニカッ
妖精(うぜっ)
少女「そうですか。あの…今、この街の宿はどこも営業していないんです」
男「そうなのか。そうなのですか」 ニカッ
少女「大陸じゅうが毒の沼地になってから、旅人なんて訪れないので…なので良かったら、私の家に泊まっていってください」
男「」 ガタッ
少女「あの…どうされました?」
男「泊まります!泊まりますとも!」 ガタガタッ
妖精(ペッ)
―少女の家―
少女「ただいまー、おばあちゃん!」
老婆「うう…おかえり、少女…」
男「お邪魔します。お邪魔しますとも」
老婆「誰かえ…?」
少女「旅人さんよ。街の宿はやっていないから、うちに泊まっていってもらおうと思って」
妖精(毎度毎度思うけど…こんな都会の街に、そんなお人好しがいるわきゃねーだろ…)
老婆「そうかい…この子とこんな年寄りしかいない家だけど、まあゆっくりしていっておくれ…ごほっ、ごほっ」
男「お婆さん、体が悪いの?」
少女「毒にやられてしまって…直接沼に接触しなくても、体の弱いお年寄りはこの大陸に漂う毒気に耐えられないんです」
老婆「ごほっ、ごほっ…おかげでこの娘には苦労をかけっぱなしじゃよ…」
少女「もう、お婆ちゃん。それは言わない約束でしょ」
男「…」
妖精(そら来た…)
男「安心してください、お二人とも」
少女「えっ…?」
男「この大陸の清らかで美しい水は、この俺が元に戻してみせます」
妖精(お前は正常なこの街を見たことすらねーだろうがよ)
老婆「元に戻す…? おまえさんは、一体…」
男「何を隠そう! この俺は! いや、この俺こそが! 妖精に選ばれた、最後の勇者なのです!」
老婆「ええっ」
少女「まあっ」
妖精「はい、そういう事なんで今晩は泊まらせてもらいますよっと」
男「えっ!? 泊まってもいいの!? 妖精さんの事だから、てっきりダメとか言い出すと思ってたのに!」
妖精「ここで一晩明かさなきゃ、話が進まないの」
男「ひっ…一晩を、明かすッ…!」
少女「まさか、あなたが伝説の勇者さまだったなんて…今夜はゆっくりしていってくださいね!」
男「はっ、はひっ!」
妖精(好きにしろ)
―夜 少女の家、屋上―
妖精「いくら何でも鼻の下伸ばしすぎだろ、あの男…くそっ、デレデレしやがって」
妖精(…)
妖精(待っててね、みんな…もうすぐ、もうすぐだからね…)
コッ… コッ…
妖精(? 誰か、来る…? って、男とあの子…!?) ササッ
男「は、話って…何かな…?」
少女「…///」
妖精(えっ!? おいおいおいどういう事だよ、いくらお楽しみイベントだっていっても、今までここまでの進展は…)
男「えっと…少女、さん…?」
少女「あの…わ、私っ…! 街でぶつかった時から、男さんの事が…!」
妖精「」
男「」
妖精(いやいやいやいやいや! おかしいって! 絶対おかしいからっ!)
少女「男さんは…あたしの事、どう思ってますかっ…!?」
男「」
少女「や、やっぱり…いきなりすぎますか…?」
男「好きです」
少女「えっ?」
男「好きですとも」 ニカッ
少女「えっ…あのっ…それじゃあ、あのっ…!」
男「何ですか?何でしょうか?」
少女「…してください…」
男「はい?」
少女「ちゅー…してください…」
男「えっ」
妖精(えっ)
少女「だ、だめ…ですかっ…?」
男「…ですとも」
少女「えっ?」
男「いいですとも!」 ガバッ
少女「きゃっ…!」
妖精()
少女「そっ、それじゃあ…恥ずかしいので、目を瞑って…」
男「はっ、はひっ!」
少女「んっ…」
男「んっ、んーっ!」
妖精(えっ…ホントに? ホントにしちゃうの!?) チラッ
少女(…) ニコッ
妖精(!? こっちを見てる…!? あの笑い方、どこかで…)
妖精(! もしかして…いや、そんなまさか…その正解は、さすがの私もドン引きだわよ…!?)
少女「>じゅもん… “シェイプ”、解除だ…」
ドロローン
妖精(! あ…ああっ…!)
男「んーっ!!!」
ぴとっ
男(!? お、思ったより冷たくて、カタいな…!)
「どうだ、ファーストキッスの味は」
男「ひ、ひやっこくて…かたいれす…」
「そうか。思うざま吸い付いて構わないぞ」
男「!? ほ、ほんとうれすか!?」
「構わないとも。それは俺の便所サンダルだがな!」
男「えっ」 カッ
妖精「あちゃー」
「ぶわっははははははは!久しぶりだな、男!」
男「なっ…なっ…なっ…」
妖精(世界一気味の悪い、感動のご対面だわ)
男「う…うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
男「おっ、おっ、おっ…おっ、おやっ…親父…!? 親父ぃ!?!?」
父「よう、息子よ」
男「ぶっ…ぶへぇっ、ペッペッ!!! ペェエッ!!!!」
妖精「子が子なら親も親ね」
男「妖精さん!? 見てたの!?」
父「あんたが俺の息子を預かってるっていう、妖精さんかい」
男「ちょっ…あの、これ…どういう事?」
妖精「勇者の特性。“父親と、必ず敵対する”」
男「えっ」
妖精「ってのが、あるわね」
父「そういう事だ、息子よ」
妖精「いやまあ、何で女の子に化けているのかはさっぱり何だけど」
父「ハッハッハ、息子をからかいたかっただけさ」
男「じゃあ…親父は今、敵って事なのか!?」
父「そうだ。…そして、戦いは既にはじまっているんだぜ」
男「えっ」
父「俺こそが…この大陸の千の毒沼の主、水の闘神なのだ!」
男「えっ」
妖精「そのポジションで出てくるのは正直予想外だった」
父「さあ、息子よ。刃を交えよう! さあ、ターン1だ! コマンド!?」
―ターン 1―
男「ここでやるのかよ」
男「くそっ…どうすればいいんだ、妖精さん!」
妖精「さあ。あたしも初めてのケースで何がなにやら」
男「えっ」
妖精「でもまあ、これで水の神殿に行く手間も省けたってもんよね。 >じゅもん…」
男「くそっ、やるしかないのか… >たたかう だ!」
父「さあ来るが良い、息子よ!!」
妖精「とにかく、そのワケわかんない素性を暴かせてもらうわ。…“アナライズ”!」
妖精さんはアナライズを唱えた!
ミス! 父にはこうがかなかった!
妖精「はあっ!?」
父「ふははははは! 効かぬ! 効かぬなあ!!」
男「よ…妖精さんのじゅもんが、効かない…だと…!?」
妖精「ちょっ、どういう事!? これが効かない敵キャラなんて、古今東西どこにもいない筈なのに!」
父「フッフフ…お嬢さん、ちょいと頭が固いんじゃないのかい?」
妖精「なっ…賢さ1の父親のくせに、生意気なっ…!」
父「どこにもいない筈の敵がここにいる。そう考える事はできまいかな」
妖精「!」
父「そう。俺は規格外なんだよ、お嬢ちゃん…」
妖精「そんな…!?」
男(やだ…! 用務員のオッサンみたいな格好してるくせに、ちょっとかっこいい…!)
父「そして! 今の1ターンで先手を打たなかったのは、致命的! フェイタリティだぜ!」
妖精「なっ…! アナライズを弾いたくらいで、調子に乗るんじゃないわよ!」
男「そうだぜ親父! 体力全振りの俺を一撃で沈めるのは無理だろうし、百戦錬磨の妖精さんに何が通じるっていうんだ!」
妖精「そうよ。あたしのレベルは255…おまけに物理回避100%、全属性・状態異常耐性も完璧。どう? 絶望したかしら?」
父「…レベル255だと?」
妖精「ええ。あなたのAIじゃ、あたしを攻撃対象に取る事すらできないでしょう?」
父「どうかな…? 次の行動の対象は、アンタだぜ…?」
男「何っ!?」
※親父の声は藤原啓治に脳内変換してお楽しみ下さい
妖精「は、はったりよ…!」
父「それは自分の目で確かめてみるんだな。>じゅもん… モード反転、裏コード! ザ・チートッ!!」
男「えっ」
妖精「ば、ばかなっ!? そのコードは…!」
父「そう…! 前時代的、オールドタイプな五文字制限の呪文など、俺は超越した…!」
妖精「禁忌の技を使う気なのね…!?」
父「そう! 世界の“均衡”を破壊しかねないがために、神々が封印した禁呪だ!」
男(えっと、これって誰の親父なんだっけ…?)
父「クックク…お前さん、レベルが255なんだってな? わざわざ教えてくれてありがとうよ!」
妖精「!? し、しまったっ!」
父「とくとテイスティングしろ! >うらじゅもん… “レベル5パラライ”ッ!!!」 バリバリバリッ
妖精「きゃああっ!?」
妖精さんは麻痺してしまった!
男「よ、妖精さーんっ!?」
妖精「くっ、くそっ…!」
妖精(うかつだった…まさか、伝説の耐性無視呪文を使える者がいただなんて…!)
男(妖精さんが行動不能に陥るなんて…くそっ、一体どうすれば!?)
父「どうした息子よ。女の子のサポートがなければ、お前は戦えないのか?」
男「なっ…何だとっ」
父「ここまで一人でやってこられたのか? 相変わらず、誰かの助けがなきゃあ何にもできないガキのままか?」
男「うるさいっ! フラッと出たまま何年も帰ってこない無責任親父のくせに…俺に、説教するなあっ!」
男の攻撃!
男「だりゃあああああっ!」
父「はっはは…やっぱり、ガキのまんまだな!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「なっ…!?」
父「言っただろ? 俺は水の闘神なんだぜ?」
男「くっ、くそっ… !?」 クラッ
妖精「男っ!?」
男「な、何だ…体が…」
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「そんな…?い、一体いつ…!?」
父「どうだ? 俺からお前に贈るハニー・トラップ…恋の罠の味、もとい、便所サンダルの味は!」
男「あっ」
妖精「うわっ」
父「ふっはは! さあ、続けるぞ…さあ、ターン2だ! コマンド!?」
―ターン 2―
男(くそっ…このままじゃ、マズい!)
妖精「男…あたしが許すから、>にげる を選択しなさい…!」
男「妖精さん!?」
父「ほう…逃げる気か? それもいいだろう。だが、この父…ファーザーからは逃げられんぞ…?」
男「っ…!」
父「無様にもその背中を曝したところを… 後ろから一突き、バックスタブだ…」
男「くっ… 誰が、逃げるかよっ! >どうぐ っ!」
父「ほっほう、少しはマシな面構えになったじゃないか。だが…お前に父は、越えられぬッ!」
妖精「男ぉーっ、ダメぇーっ!!」
父「はっはは。お嬢ちゃんよ。そう心配しなくても、こいつに裏呪文なんて使わんよ」
父は、身を守っている!
父「父は父らしく…こうしてどっしり構えて、息子の敗北を見学…シーイングするとしよう」
男「なめるなぁっ!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「おひさしー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
父「ハッハハハッハハ! 無駄無駄ァ!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「くそっ…!」
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「っ…!」
妖精「あの毒のタイプは、分類“イベント毒”… 解毒不能の、毎ターン10%ダメージ…! あれではいずれ…!」
男「そうなのか、妖精さん…ネタバレ、ありがとうな!」
妖精「ばっ、バカっ! そんな事はどうでもいいから、早く逃げろって言ってるのよ!」
男「いや…逃げない。ターン3、コマンドだ!」
父「ほう…」
父「何を強がっているんだ、息子よ。お前はここで負け帰って、母さんのところで目を覚ませばいいじゃないか」
男「…」
父「勇者だって、嫌々やらされているような物なんだろ? やめちまったらいいさ、そんなもん」
男「…」
父「嫌な事があったら、別に投げ出したっていいんだ。自分の生き方を自分で決められるのもまた、大人だぜ?」
男「…あんたこそ、怖いんじゃないのか?」
父「…何?」
男「自分が目を背けていた息子の成長が、怖いんじゃないのかっ!」
父「…ほう。息子の癖に、生意気な事を言う。だが、成長とは一体何だ? お前はこの妖精に頼り切ってここまで来たんじゃないのか」
男「そうだ」
父「ハッハハ! そうだろうとも! …全く、お話にならない… ノープロブレムだよ、お前は」
男「だが、それだけじゃない…!」
父「何…?」
男「この、まだまだ短い旅のはじまりでっ!」
>とくぎ!
男「俺には、確かに得た“経験値”とッ!」
“かえんぎり”!
父「むっ!?」
男「敵の弱点を教えてくれる、心強い“仲間”とッ!」
“かえんぎり”!
妖精「そうか、火炎斬り…! いや、でもただの火炎斬りじゃない。あれは…!?」
男「志を共にして… 凄い技を教えてくれた、“友”がいたんだーッ!!」
“かえんぎり” + “かえんぎり” 一人連携、発動!!
父「バカな…何だ、その技はっ!?」
男「くらええええええっ、オヤジイイイイイイっ!!!」
男の攻撃!
男「真、必殺ッ! 音速…火炎斬ッ…!」
父「ぬおおっ!?」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
水の障壁は消滅した!
父「ふっ…ふっはは、ふっははふっはは!」
妖精「だ、ダメなのっ!?」
父「息子よ! マイ・サンよ! 中々見事な切り札、良いショーダウンだったぞ!」
男「…」
父「だが…次のターンで障壁を貼りなおし、リペアすれば良いだけの事! 所詮は、子供の付け焼刃に過ぎなかった!」
男「…だっ」
父「何…?」
男「まだだぁッ!」
男の追加攻撃!
妖精「えっ!?」
男「“二重音速火炎斬”…これが二重の、極みだァーーーーーッ!!!」
父「ぬおおおおおおッ!?」
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 障壁突破ボーナス! 弱点攻撃ボーナス! 思い出補正ボーナス!
父に6190のダメージ!!!
父「ひ、光が…!? ぐあああああああっ!?」
父を…倒した!
男「はぁっ、はぁっ、はぁっ… や、やった…やったぞーーーーっ!!!」
妖精「うそーん」
周囲の視界が、ドロドロと融けて行く…
男「えっ!?」
水の都ウォーティアは、まぼろしのヴェールに包まれていたようだ…
なんと、この場所は水の神殿だった!
妖精「そういえば、あれだけドンパチやったのに人っ子ひとり出てこなかったものね…」
父「はっはは…やるじゃねえか、息子…マイ・サンよ…」 どろどろ
妖精「!」
男「なっ…!? おっ、親父っ!?」
妖精「そうか…何かおかしいと思ってたけど…」
男「妖精さん!?」
父「シャーラップ…言ってくれるな、妖精さんよ… ネタバレはお断り…ノーサンキューだ…ぜ…」
男「い、いや! 構わない。続けてくれ、妖精さん!」
妖精「…これは、あなたの父親ではないわ…水の塊に、魂だけが宿ったもの…」
男「えっ…?」
:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [sage] 2012/02/08 13:06:01.55 ID:CEWH2HDM0
男「つまり…どういう事だってばよ…?」
妖精「ここには、あんたのお父さんの魂はあっても…体は、無いって事」
男「まさか…まさか、そんな…!」
父「あーあ、バレちまったか…」
男(親父…もう、何年も家に帰って来ないと思ったら…!)
男「なあ、親父…? ウソだろ? ウソなんだろ、そんなのッ!?」
父「はっはは… バーカ、嘘じゃねえよ。ノン・フィクションだ…」
男「!」
父「俺は…出稼ぎに出た土の要塞帝国・グラン近くの鉱山で…5年前、地震に巻き込まれて…そのまま、な…」
男「う…嘘だ…嘘だッ!!!」
父「そのまま…命だけは助かったんだが…足を悪くしてな…何かこう、仕事には差し支えないんだけど…遠き故郷、ファーランドまでの道のりが…しんどくて…」
男「ズコー」
父「まあとにかく、お前の様子が見たかっただけだ」
男「さっきまでのテンションは一体どこに振ったらいいんだ。もうだめだ」
妖精「あーくだらない…ほら、さっさと青い瞳のオーブをよこしなさい」
父「おお、そうだったな」
“青い瞳のオーブ” を受け取った!
男「やたっ!」
父「…元気そうで何よりだったぜ。ま、俺もそのうち帰るからよ。
お前もさっさと魔王とやらを退治して、家で待っててくれや」
男「親父…」
父「おっと…もうこの体も限界みたいだな。じゃあな、男。達者でな」
父の体は、水に還ってしまった…
妖精「男…」
男「妖精さん…」
妖精「あたしからあんたにかけられる言葉は、たったひとつしかない…」
男「えっ…?」
妖精「…あんたのファーストキス、便所サンダルの底(笑)」
男「」
妖精「しかも父親の(笑)」
男「」
―水の大陸 フィールド―
男「最悪の大陸だった」
妖精「まあまあ。それにしても、アンタらしからぬ奮戦だったわね」
男「よ、妖精さんが俺を褒めるなんて…!?」
妖精「まあ今回は認めてやるわよ。あたしが真っ先に無力化されるなんて思いも寄らなかった」
男「それについては、俺の方がびっくりした」
妖精「かえんぎりの連続攻撃か…よく思いついたわね」
男「いやー、自分でもびっくりだよ。何か妙に頭が冴えてさ」
妖精(新手の勇者特性…? それとも、あの規格外親父の息子だから、かしら? いや、もしかして…)
男「今なら、今までわからなかった事も理解できる気がするんだぜ!」
妖精「えっ」
男「ん…あれ? そういえばずっと、頭の中で何かがひっかかってたんだよな…」
妖精「」
男「…そういえば、火の大陸で…」
妖精「ああーっ、ほら男! 今の戦いで経験値がたっぷり入ってるわよ!」
男「おっ? おお、本当だ」
妖精「早速体力に全振りしましょう! ほらほらっ!」
ピロリーン ピロリーン
男「え、えへへ…えへ…」
男「ええっと、次は風の大陸だっけ?」
妖精「…うん」
男「どうやって行くんだ? またシドラヌに頼むのか?」
妖精「着いてきて」
-
―水の大陸の北端 海神のほこら―
妖精「到着。ここよ」
男「ここは?」
妖精「ちょっと奥に進むわ」
―海神のほこら 水の祭壇―
妖精「ちーっす」
婆「…何者だ」
男「あっ、あれ? 火の集落の族長?」
婆「火の集落? ここは水の大陸じゃぞ」
妖精「男。世の中には自分と似た人が、色違いで3人はいるの。気にしないで」
男(別人なのか…)
婆「して、何用じゃ?」
妖精「男。アレ出しなさい」
男「アレって…やっぱり、これかな」
>どうぐ “青い瞳のオーブ”
婆「これは!? お主ら、まさか…!」
妖精「はいはい勇者御一行です」
婆「ふむ…では、“海蛇の道”を通って、風の大陸に行くのだな」
男「海蛇の道?」
婆「海の魔物が暴れておるせいで、船は全て止まっておるからな。
本来、神聖なる海神の道は、誰も通ってはいけない事になっておるが…
勇者なら話は別じゃ」
男「妖精さん、通訳」
妖精「聞いたとおりでしょ」
男「海で魔物が暴れてるって。今までそんな風には見えなかったけど」
妖精「シドラヌには魔物が寄ってこないからね」
男「いやだから、シドラヌに乗っていけばいいんじゃないの?」
妖精「海竜シドラヌ入手のタイミングは、本当は3つのオーブ入手後なの」
男「え?」
妖精「あれに乗っていくと風の谷のイベントが始まらないのよ」
男(ああ、インチキしてるツケが回ってきてるのか…)
婆「相談は終わったかの?」
男「あっはい」
妖精「とにかく海神の道に乗っけてちょうだい」
婆「仕方あるまい。あれは持っておるのだろうな?」
妖精「ぬかりないわよ」
男(あれって何だ?)
―海蛇のほこら深部 海蛇の道前―
婆「さ、準備は良いな」
妖精「OKよ」
男「ちょっと待った」
妖精「何よ」
男「海蛇の道って…これ、何なんだよ」
妖精「見た通りでしょ」
男(穏やかに凪いでる海面に一本だけ、幅3メートルくらいの不自然な激流がある)
男「まさかこれがずーっと風の大陸まで続いてるんじゃないだろうな」
婆「そうじゃが」
男「自然とはいったい…うごごご…」
妖精「男。はい、これ」
男「えっ」
“ガラスだま”を手に入れた!
男「何この金魚鉢。どっから出てきたの」
妖精「アイロニアで買っておいたのよ。それ頭装備だから、はやく被って」
男「えっ」
妖精「いいからはよ」
男はガラスだまを装備した! ぼうぎょりょく 217 → 218
男「防御力1しかないんだけど。あと息で視界が曇る」
妖精「今だけだから我慢しなさい」
婆「準備は整ったな。では、海神の加護のあらん事を…」
男「おっ、出発か。それで船は?」
妖精「んなもん無いわよ」
男「えっ…まっ、まあ妖精さんも同行するって事はそれで大丈夫なんだよな」
妖精「…」
男「何で黙るの。ねえ何で黙るの」
妖精「>じゅもん! “アミュレト”!」
妖精は男にアミュレトを唱えた!
男「わっ!? 何、何したの」
妖精「お守りよ。今回はあんた一人で行ってもらうから」
男「えっえっ」
-
男「何でよ」
妖精「何でもよ!!」
男「な、何怒ってるんだよ…」
妖精「…とにかく、風の大陸の事はあんたに任せるわ。
あたしは後で合流するから。さっさと緑の瞳のオーブを取ってきなさい」
男「後でって…」
婆「何をもたついておる? 男だったら潔く飛び込まんか」
ドンッ バシャーン
男「アバーッ!? アイエエエエ、入水!? 入水ナンデ!?!?」
男は海神の道に乗った! 不思議な力がはたらく…
男「何これぇ!? すごい勢いで沖に流されていくんですけどー!!」
妖精「そのタイルは移動速度8倍の矢印床属性だからねー! そのまま風の大陸まで止まらないわよー! じゃねー!」
男「ちょっおまっいくら何でもざっけっ段々深くなってきたよぉあばばばばばばば」
妖精「ガラスだまは呼吸装置だから大丈夫よー」
男「こんなんで息ができてたまるがぼぼぼぼぼぼぼもうだめばばばば」
男は水平線の彼方に消え去った…
妖精「…ごめんね、男」
水の大陸おわり ちょっと休憩します
はじめます こっから中二入ります
―風の大陸 浜辺―
男「ごほっごぼっべはっ…くそっ、何で死んでないんだよ…
で、ドコなんだよ…ココは…」
男は周囲を調べた! ここは風の大陸の浜辺のようだ…
男「俺のかしこさじゃあ小学生並みの状況把握しかできない」
?「キャーッ!」
男「悲鳴!? あっちか!?」
盗賊A「ヘッヘッヘ…観念しなってお嬢ちゃん」
娘「いやーっ! 誰か助けてーッ!!」
盗賊B「そんなに騒いだって誰も来やしねェって…ぐへへへへ」
男「な、何だよあのテンプレ展開…まるでRPGじゃないか…!
おいっ、お前らっ!」
盗賊A「あァ? 何だァ、テメエ」
男「俺は…勇者だ!(キリッ)」
娘「えっ?」
盗賊B「ブフォwwwww」
男「大丈夫ですかお嬢さ…って、うわあああああ!? その顔っ…おっ、親父かっ!?」
娘「えっ? あっ、あのっ…何を言ってるのか、よく…」
男(あっ…世の中には似た容姿の人が3人はいる、って奴か?)
男「いえ、お嬢さん。何でもないんです。これは失礼をば(ニカッ)」
盗賊A「おいィ? さっきから何ワケのわからなねー事ひとりでブッ呟いてンだ?」
盗賊B「人のデート邪魔しといてさあ、あんまりチョーシこいてるとボコにすんよ勇者クーン?」
男「うるっせええオラアアアアア!」
バキャッ
YOU WIN! テレッテッテッテーン
盗賊A「ぎにゃぁぁぁぁ!!」
盗賊B「うっぐぺぺぺぺーっ!」
男「えっ…何、コレは…」
娘「す、凄い…戦うまでもないレベル差があったから、戦闘を省略して瞬殺してしまったんですね!」
男「そ、そうなの? い、いやまあ勇者の為せる技ですとも。ハハハ。ハハハハハハ!!」
娘「素晴らしいです! 貴方なら村を救えるかもしれない!」
男「村を救う…? す、すげえ…RPGや…これRPGやぞ!! ウヒョ―――イ!!!」
娘「引き受けていただけますか、勇者様!」
男「ハハハ! お任せ下さいお嬢さん! 血まなこ巨人でもキングラフレシアでも、どんと来いですよ!(ニカッ!!!)」
娘「ありがとうございます! では、こっちです!!」
―風の集落―
男「ここが風の集落かあ…すごい数の風車小屋だなあ」
娘「勇者様、あれを見てください」
男「えっ? …何だこりゃあ、村中盗賊まみれだ」
娘「あの人たち、3日くらい前にやってきて…村中で好き放題やってるんです」
男「さっきの連中の仲間か。要するに俺に奴らを倒して欲しい、って事だろ?」
娘「はい。お願い、できますか?」
男「フッ…お任をば(ニカカッ)」
―風の集落、広場―
盗賊C「AとBが帰ってこねえな」
盗賊D「クク…奴らは俺ら盗賊団の中でも最モブ…」
盗賊E「娘一人かどわかせないとは、盗賊のツラ汚しよ…」
男「ウオオオオ!!!」 ザクーッ
盗賊CDE「ギャアアアアアアアアア!!!」
YOU WIN! テレッテッテッテーン
男「俺TUEEEEEEE!!! この調子でお前ら全滅だらァーッ!!!」
ガチャッ
黒騎士「騒がしいな…」
男「えっ…何か真っ黒いフルアーマーの騎士がいきなり民家から出てきた…」
盗賊達「おかしら!!」
男「どう見ても盗賊団の頭じゃない」
黒騎士「我は漆黒の騎士…“ビューティフィリオンフェヒター”と呼ばれし者」
男「ひどい名前だ」
娘「気をつけて下さい! 村の男達が束になっても、あの騎士には敵わなかったんです!!」
男「ボスキャラかよ…でも、今の俺なら…!」
黒騎士「ほう…面白い。試してみるか?」
漆黒の騎士は、男の身の丈をゆうに越える騎士剣を構える…
男「剣でけえ」
黒騎士「これは剣というにはあまりにも大きすぎた…大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた…」
男「なにいってんの」
黒騎士「形容する…“鉄塊”、と!」
漆黒の騎士は大地を蹴り、恐ろしいスピードで男に迫る!!
男「素早い!」
* モンスターがあらわれた! *
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
男(妖精さんのいない、正真正銘のタイマンははじめてだ…)
黒騎士「どうした、臆したか?」
男「あせんなって! >たたかう!」
―ターン 1―
男の攻撃!
男「だりゃあああああ!」
黒騎士の攻撃!
黒騎士「はああああああっ!」
男「えっ!?」
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「そ、そんなのあるのかよ!」
黒騎士「甘いぞ…そらあっ!」
男「ぐあっ!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 27のダメージ!
男「いいってえ!」
―ターン 2―
黒騎士「どうした。貴様の力はその程度か」
男「くそっ! 火力負けか…なら! >とくぎ!」
黒騎士「ほう」
男「いくぜえっ!」
男の攻撃! ガイアソードが炎にうなる! 火炎斬り!
黒騎士「フッ、火炎斬りか…ならば!」
黒騎士の攻撃! 鉄の塊が炎にうなる!
黒騎士「燃えよ…世界は命じた!」
火炎斬り!
男「何っ!?」
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「ふぬぬぬぬぬっ!」
黒騎士「おおおおおおおっ!」
男「うぎぎぎぎぎ…お、押されているッ! 駄目だアッ―!!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 45のダメージ!
男「うあっちぃいいいい!!」
―ターン 3―
黒騎士「くだらん」
男「な、何だと!?」
黒騎士「こんなものなのか、男!」
男「ぐぎぎ…言わせておけば! こうなったら! >とくぎ!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「真、必殺っ!! 二重音速火炎斬―――ッ!!!」
黒騎士「面白い! こちらも、行くぞォッ!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「う、嘘だろ!?」
黒騎士「最 終 警 告 ッ!“法則の崩壊”…ミラ・アンセス―――ッ!!!」
両者の素早さは互角! 打ち合いが発生!!
男「てやっ! だらっ! そりゃぁっ!!」
黒騎士「ほっ! ふっ! ハァッ!!」
1合目、攻撃は相殺した!
2合目、攻撃は相殺した!
3合目、攻撃は相殺した!
男「こなくそーっ!!」
黒騎士「オオオオオッ!!!」
盗賊C「す、すげえ…何かドラゴンボールみたいな事になってら」
盗賊D「ものすごい熱気が二人の周りを囲んでるぞ、ありゃあ何だ?」
娘「あれは…互いの闘気が互角のレベルで炸裂しているせいで、互いの体にダメージが届かず、
周囲にエネルギーが留まり続けている状態です」
盗賊D「えっ」
娘「あのエネルギーは戦況の拮抗が崩れた瞬間、押し負けた方に一気に流れ込む筈…
そうなれば必死のダメージは免れない!!」
盗賊E「そ、そう。お嬢ちゃん詳しいですね」
娘「モブのたしなみです」
―ターン EXTRA―
男「お前ッ! どこでこの技をッ!!」
96合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「知りたいかっ…はあッ!」
97合目、攻撃は相殺した!
男「俺のオリジナル技じゃ…なかったのかよ!!」
98合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「俺は死の淵より舞い戻り、この技を得たのだ!
それに、元はといえば…火炎斬りは、俺の技だッ!!」
男「何っ… うわっ!?」
99合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「フッ… 終わらせるぜ、男!!」
男「お、お前…まさか!?」
黒騎士「おおおおおおおおおッ!!!」
黒騎士の攻撃! クリティカルヒット!
100合目! 男は競り負けてしまった!!
男「うわあっ!?」
場を渦巻いていたエネルギーが、一気になだれ込む!!
男「ぎゃああああああッ!!!!」
男に9709のダメージ! 男は、倒れてしまった…
娘「お、男さ―――――んっ!!」
盗賊達「SUGEEEE!!! さすがお頭!!!!」
男「く…そっ…」 ガクッ
黒騎士「お前は何も知らんのだ…男」
―くらやみ―
男「あれ…どこだここ」
妖精「やあ、男」
男「あれ、妖精さん? ここどこですか、何で俺連れてこられたんですか」
妖精「ボクはセーブ妖精。君の知ってる妖精じゃないよ」
男「あ、ああ…よく見たら色が違う。またそっくりさんなのか。一体どうなってんだ?」
男「俺に何か用なの? セーブなんてした事ないけど」
妖精「そりゃあそうだよ。セーブ妖精はもう、ボクしか残ってないから」
男「えっ?」
妖精「それはとにかく、ちょっとじっとしててね。>じゅもん… ごにょごにょ」
妖精は男に呪文を唱えた!
男「わっ!? 何したんだ!?」
妖精「はい、おしまいだよ。んじゃ、リスポンさせるからねー」
男「ちょ、ちょっと待ってくれよ。意味わかんないんだって。何? どうなってんの?」
妖精「気にしないで。ちょっとしたおまじない。
おっと、そろそろ切らないとやつらに気付かれちゃうな」
くらやみの空間に、少しずつ光が差し込んでくる…
男「うおっまぶしっ! おい、まだ聞きたい事が…!」
妖精「またね。頑張ってね、男」
―風の集落 娘の家―
男「っぷはぁ!?」
娘「勇者さん! 目が覚めたんですね!!」
男「娘さん!? ここは…」
娘「ここは私の家です」
男「盗賊の奴らは? 黒騎士はどうなった!?」
娘「あの人達は引き上げていきました。勇者さんのおかげです」
男「そっか。…良かった、な」
娘「はい。本当に、ありがとうございました。」
―風の集落 高台―
男「風、ンギモッチイイイイイイイイ!!」
娘「くすっ、この村は気に入って貰えました?」
男「うん、牧歌的で超最高。俺の村も風は吹いてたけど、なんか終末感がすごくてさ…
あっそうだ娘さん、緑の瞳のオーブって知ってる?」
娘「はい。緑の瞳のオーブは、あの山の頂に祀られています」
男「あの山に?」
娘「はい。あれは“妖精の山”。不思議な妖精達が住まう、おとぎの山です」
男「! 妖精の山…じゃあ、妖精がたくさんいたりするの?」
娘「そう伝えられています。もっとも、見たことがある人はいないんですけどね。
妖精がいるなんて、不思議で素敵なお話ですよね」
男(俺が知ってる妖精さんは不思議というより理不尽で、間違っても素敵ではない)
男「じゃああの山が次のダンジョンってわけだね。娘さん、俺ちょっと行ってくるよ」
娘「もう行ってしまわれるのですね。では、これをお持ちください」
男は“どうぐぶくろ”を受け取った!
男「これは?」
娘「一人旅では何かと入用かと思って。少しばかりのアイテムを入れておきました」
男「おおっ、すごい助かるよ。ありがとう娘さん」
娘「いえ、村を救っていただいた勇者さんへのせめてものお礼です。
では勇者さん、お気をつけて」
男「うん。じゃあ、さようなら娘さん!」
男は妖精の山に向かって行った…
娘「…頑張るのですよ、男…」
―妖精の山、登山道―
男「ハァ、ハァ、ハァ…ふう、結構登ったな。
エンドナも最後の村だけあって悪路だらけだったけど、こらきっついわ。
…ん? あれは洞窟の入り口かな」
―妖精の洞窟、入り口―
男「巨大な岩が洞窟の入り口を塞いでいる。側に立て札があるなあ。>しらべる」
“これより禁足地 何人も立ち入るべからず”
男「それじゃあ話が進まないだろ。うーん…岩を、>しらべる」
男は岩を調べた。よく見ると、岩の真ん中にはくぼみがある…
男「これでしょ! >どうぐ、“赤い瞳のオーブ!”」
男は赤い瞳のオーブを使った!
何も、おこらない。
男「詰みです \(^o^)/」
男「いや、こっちか…」
男は青い瞳のオーブを使った!
岩は音を立てて崩れ始め、跡形もなく崩れ去った!
男「ふう…大ハマリかと思ったぜ。よっしゃ、行こう」
―妖精の洞窟 第一の試練の部屋―
男「いかつい扉が目の前にある。>しらべる」
扉は堅く閉ざされている。
男「で、何か床がくぼんでてこんなんなってる」
□□□
□□□
□□□
男「これ、アレだよね… 床の上に立って、>しらべる と」
□■□
■■■
□■□
男「やっぱりお約束のアレだこれー!」
でも俺は知っているんだ。まずは四隅の床を踏むだろ?」
■□■
□□□
■□■
男「そんで真ん中を踏んで、パパッとやって終わり!」
■■■
■■■
■■■
男「いやー、賢さ上がっちゃうなー!!」
どこかで扉の開く音がした…
男「すぐそこだろ」
―妖精の洞窟 第二の試練の部屋―
男「…」
□□□□
□□□□
□□□□
□□□□
男「まあ、いいけどね。これくらいなら適当に踏んでても解けるでしょ。ポチポチー」
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
男「えっ…敵出るのかよ、面倒臭い」
☆ 省略(ちゃんと戦った) ☆
20分後…
■■■■
■■■■
■■■■
■■■■
男「ふう、疲れた…まあこんなの妖精さんにやらされた苦行に比べたら何でもない。
むしろ謎解きはRPGの醍醐味だもんな! よっしゃ、次行こう!」
―妖精の洞窟 第三の試練の部屋―
男「ウッソだろお前…」
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
男「これ、結構時間かかるんじゃないの…」 ポチポチポチポチ
1時間後…
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
男「ハァー、ハァー、ハァー… よし、頑張った。俺頑張った」
どこかで扉の開く音がした…
男「大丈夫。風、吹いてきてる。確実に。今までに無い冒険感を感じる。着実に俺の旅に。
とにかく最後までやってやろうじゃん!」
―妖精の洞窟 第四の試練の部屋―
男「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
□□□□□□
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□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
男「誰だよダンジョンには謎解きが必須みたいな風潮を生みやがったのはよ!!!!!
そういうゲームじゃねーからこれ!!!!1111」 ポチポチポチポチポチポチポチ
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
どろハンドC があらわれた!
どろハンドD があらわれた!
どろハンドA「ヌトォ…」
男「しかも何でどろハンドなんだよ!!!
こいつら仲間呼ぶから戦闘が終わらねーんだよ!!!!
何が妖精の試練の間だよ妖精族は人に苦痛を味あわせるのが
生き甲斐なのかよヴボァアアアアアアア!!!!!111111」
気の遠くなるような時間が流れ…
男「ハァ゛― 、ハァ゛― 、ハァ゛」 ポチ
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どこかで扉の開く音がした…
男「次もこのギミックだったら帰る。もう勇者やめる」
―妖精の山 山頂―
男「はぁー…ひゃあ゛あ゛ぁ゛ー、空気うまいいいぃぃ…
さすがにあれで終わりだよな。続きを作ろうなんて鬼畜の所業を越える」
―山頂のほこら―
男「あった! あれだ、緑の瞳のオーブ!!」
男は山頂のほこらに駆け寄った。
突然、凄まじい旋風が吹きすさんだ!!
男「のわっ!?」
黒妖精「フン、遅っせーんだよバカが。スイッチ床でどんだけ手こずってんだよ」
男「何だお前!? …って、また妖精で、また黒かよ! もうわけわかんないよ!!」
黒妖精「また妖精? 山の途中で妖精を見たのか? そんなの有り得ないだろ、バーカ」
男「初対面で感じの悪い奴だな! だからお前は誰なんだっつーの!」
黒妖精「俺は風の闘神。魔王様の最も忠実なるしもべだよ」
男「! 三闘神か!!」
黒妖精「他のバカふたりと括るんじゃない。…さて、最後の勇者なんて言葉に踊らされてるバカめ。
遊んでやるから来てみろよ」
男「このっ、生意気なチビスケが…!」
黒妖精「なっ…! チッ、>じゅもん…“メタモル”!」
黒妖精はメタモルを唱えた! 黒妖精は青年の姿になった!
黒「うお、イケメンになった」
黒妖精「二度とそんな口が訊けないようにしてやるよ!」
* モンスターがあらわれた! *
風の闘神、黒き妖精があらわれた!
男「こんなガキはちゃっちゃとやっつけて、妖精さんとエンドナに帰るんだ! >たたかう!」
―ターン 1―
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
男「ちっ、風の闘神ってだけあって、先手を取るのは厳しいか…!」
黒妖精「クク…」
黒き妖精は精神を統一した! 次の攻撃は必中になる!
男「? 攻撃は、してこないのか?」
黒妖精「ほら、来いよ…」
男「言われなくてもだ! うおおおっ!」
男の攻撃!
黒妖精「バカめ」
ミス! 黒き妖精にダメージを与えられない!
男「くっそ、あたらねえ…!」
―ターン 2―
男(スピード差がすごいぞ、どうする…!)
黒妖精「どうした? 来ないのかバカめ」
男「うるさいっ! >とくぎ…!」
黒妖精「カカカッ、できねえよ!!!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「死ね。“息の根止め”」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
男「何だソレ反則っ…がぁッ!?」
精神統一により必中! 男は死んでしまった!
黒妖精「アハハハハハハッ!!!」
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「がほっ! ごほっ! げほげほぉっ!!」
黒妖精「…ハァ?」
男「ぜぇっ! はぁっ! はぁ…っ! 俺、何で生きて…!?」
黒妖精「…あァ、わかった。おいバカお前、アミュレト付けられてるだろ」
男「アミュレト…? そういえば妖精さんが…」
黒妖精「即死肩代わり呪文なんて無駄な事しやがって…これだからアイツは」
男(妖精さんの事を知っているのか? …いや、三闘神なら当たり前か)
黒妖精「ま、どっちにしろもう1回死ねるだけだよな。ハハハハ!」
男「くそっ…この野郎っ…!」
―ターン 3―
男「畜生! どうすれば…!!」
黒妖精「別に何も考えなくていいだろうが。何したって当たりゃしない。逃げられもしない。
お前じゃ俺には絶対に勝てないんだよ!」
男「くっ… くそっ!!」
?「全く見苦しいな、男」
* 更なるモンスターがあらわれた! *
男「えっ!?」
黒妖精「あァ?」
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
黒騎士「最後の勇者とやらがこの体たらくか…全く、失笑を禁じ得ないな」
男「お前っ!?」
黒妖精「誰かと思ったら没モンスターデータの残骸が。何でこんなところをうろついてるんだよ」
男「没モンスターの残骸!?」
黒騎士「貴様の知った事ではない。俺は出現位置を持たない亡霊…どこにいようと自由だ」
黒妖精「フン。どっちにしろお前の加勢など無用だよ。そこで黙って見てろ」
黒騎士「加勢だと? 笑わせるな」
男「えっ?」
黒妖精「何を言っている?」
黒騎士「知らないのか? パーティアタックという概念を」
黒妖精「テメエ…」
男「パーティーアタック…って、味方に攻撃するって意味だよな、確か…」
黒騎士「男。合わせろ」
男「合わせろ、って…」
黒騎士「ふたつの火炎斬りの連携が俺達の技だ。それを更に連携させれば、こやつとてひとたまりもない」
男「そうか…よし、わかった! >とくぎ!」
黒妖精「バカがバカみたいな作戦を…立ててんじゃねえッ!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「そこのアホ面さえ殺せば…こんな茶番は、終わるんだよッ!!!」
黒妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「死ねェェェェ!!!」
男「くっ…!」
黒騎士「臆するな! 精神統一は乗っていない!! かわせ!!!」
男「おおっ…おおおおおおおお!!!」
ミス! 男には効果がなかった!
黒妖精「何だとっ…!?」
黒騎士「よくやった! 今だ!!」
男「うおおおおおおおっ!!! 俺の両手が真っ赤に燃える!!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒騎士「お前を倒せと轟き叫ぶ!!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒妖精「何だ、このバカ熱気はッ…!?」
男と黒騎士の連携攻撃!!
男「真…必殺…音速、火炎ッ!!!」
黒騎士「最終…警告…法則、崩壊ッ!!!」
“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”、炸裂!!!
超高熱のエネルギーが、天を貫く柱となる!!!
男&黒騎士「エクス…カリバアアァ―――――――ッ!!!!!!!」
黒妖精「バカ…な…う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」
男&黒騎士「光に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 素早さシンクロボーナス! 精神シンクロボーナス!
友情パワーポーナス! 限界突破ボーナス!
黒妖精に99999のダメージ!!!!!
男「すごい…や、やった…! 俺達、こんなパワーが…!!」
黒騎士「…いや…!!!」
―ターン 4―
男「な、何だって…!?」
黒妖精「テメエらぁあああ…!!!!」
黒騎士「化け物め…」
男「え、HP10万越え…!?!?
何なんだよ…結局こいつだって、ただのボスキャラなんじゃないのかよ!?!?」
黒妖精「バカがバカ騒ぎしやがって…!!! この落とし前はキッチリつけてもらうからなァ!!!!!」
?「そこまでよ!」
男「! この声は…!」
妖精がかけつけた! パーティーに妖精が加わった!
男「妖精さん! 今度は本物だ!!」
黒妖精「よーう、アバズレ妖精」
妖精「アミュレトが切れたから来てみれば…あんた、何しに出てきたのよ」
黒妖精「何って? 俺は風の闘神なんだからここにいて当たり前だろ?」
妖精「HP10万の風の闘神なんざいないわよ。…本当の本当にバカなのね、あんたは」
黒妖精「そっくりそのままお返しするよ、バーカ」
男「妖精さん。その言い合いは気が抜ける」
妖精「気ぃ抜くんじゃないわよ。いいからこいつ、どかすわよ」
黒騎士「…俺はここまでにさせてもらおう」
黒騎士は様子を見ている…(1ターン放棄)
妖精「あんたは…いや、後でいいわ。>じゅもん…」
男「やるしかない…!」
妖精「男。こいつのHPは10万ぴったりよ。何でもいいからあと1発、ぶち込んでやりなさい」
男「わかった! >たたかう!」
黒妖精「…」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
妖精「無駄よ。あたしの素早さはカンストしている…!」
妖精はアミュレトを唱えた!
妖精「魔退けたる五芒の星を刻まん。護印となりて命に代われ。“アミュレト”!」
男は1度だけ、即死攻撃に耐性を得た!
男「よっしゃ!」
妖精「フ…詰みね」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「…そらよ!」
男「がっふ…!」
命中! 男は死んでしまった!
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「はぁッ…! げほげほっ、キッツい…!! が、耐えたぞ!!」
黒妖精「…クククッ!!!」
黒騎士「むっ!?」
黒き妖精の特殊能力! 手負いの獣!
HPが10%以下の時、連続行動!!
妖精「はっ…、しまった!?」
黒妖精「アハハハ―――ッ!!! バカがバカがバカが!!!!」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
黒妖精「死ねェエァ――――ッ!!!」
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒騎士「よけろ、男―――ッ!!!」
男「だ、ダメだ…かわせなっ…」
命中!
男「ぐっ…は…」
男は死んでしまった!
黒騎士「男!!!」
妖精「男―――っ!!!」
男「ごぼっ、はっ、はぁ… え…?」
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
黒騎士「なっ…」
妖精「ちょ…はっ? 何で?」
黒妖精「バカな!? アミュレトはひとりにつき1回ずつしかかけられない筈だ!!!!」
男「はぁっ、はぁっ…そうか、あの妖精がかけてくれたの…あれ、アミュレトか…」
妖精「あの妖精、って…」
黒妖精「妖精だと!? そんなワケねえ…俺達以外に妖精がいる筈ねェ…!」
男「何だかわかんねーけど…覚悟しろ、このガキ―――っ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット!!
黒妖精「づぁああああああああ!!!」
黒き妖精に120のダメージ! 黒き妖精を…倒した!
書き溜め尽きました(´・ω・`)
リアルタイム進行になります…
男「いょっしゃあああ! 」
黒妖精「ぐうっ…クソがっ…!」
黒妖精の体が消えていく…
男「あっ、消えちゃうぞ。妖精さん、知り合いなんだろ?何か話さなくていいのか?」
妖精「…コイツと話す事なんかないわよ」
黒妖精「まさか負けるとはッ…ハッ、だが聞けバカ男! こんなのは全部茶番なんだよ!!」
男「えっ?」
妖精「…やめなさい」
黒妖精「風の闘神? 笑わせるなよ、俺の本懐はそんな所じゃねえ。
他のバカふたりと決定的に違うのは、」
妖精「やめなさいって言ってるでしょ! とっとと消えなさい!!」
男「妖精さん…」
黒妖精「ヘッ…」
黒き妖精は、山の頂に霧散してしまった…
男「消えた…よかったのか、妖精さん。俺最後の勇者なんだろ?もう会えないんじゃ…」
妖精「どうだっていいのよ。それより、そこのガチャガチャ黒鎧」
黒騎士「…」
男「そうだ。聞く機会が無かったから忘れてた。なあお前…美剣士なんだろ?」
黒騎士「…違う」
男「いやいやどう考えてもそうだろ。俺でもわかるわ」
妖精「あんたそれ、まんま没モンスターの“黒き騎士”じゃない。
どういう事なのよ」
黒騎士「ぬけぬけとお前が、よくもそんな事を言えたものだ…まあいい。」
黒騎士「今の俺は…阿修羅すら凌駕する存在だ」
妖精「そういうのはいいから、ロストしてから今に至るまでを説明しなさいっつってんの」
男「ロスト? え??」
黒騎士「俺は、火の神殿の燭台の上で力尽き、そのままロストした。
俺という存在はこの世界から“抹消”され、自我は虚空の中に呑まれていった…」
男(あっこの語りかっこいい)
黒騎士「冷たい水の中に沈んでいくような感覚…自分という個が塵になり、世界の闇に溶け込んでいく。
俺のその奈落の深淵で、ひとつの騎士鎧と出会った。“漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター”…
この世界に生まれる事なく、何ひとつ活躍する事もなく虚の海で眠り続ける、哀れな存在…
奴は望んでいた。その漆黒を、闇の深淵から光の中へと」
妖精「あーあー大体わかったわかった没データと合体して復活したのね出番の無いクズ同士のフュージョンねはいはい」
男(あっ、もっと聞きたかった)
妖精「それで黒騎士と融合した影響で元々ひどかった中二病がもっともっともーっと悪化してるわけね」
黒騎士「…相変わらず、人格が悪魔に支配されているかのような女だな」
男「えーっと…よくわからないけど、美剣士がパワーアップして帰ってきたって事だろ?
よかった。俺、またお前と冒険したいなって思ってたんだ」
妖精(えっ…コイツまだあたしが美剣士をロストさせたのに気がつかないの…? こわっ)
黒騎士「フッ…変わらないな、お前は。だが、俺はお前と共に行く事は無い」
男「? な、何でだよ。また一緒に旅しようぜ!?」
妖精「男。こいつ敵データなのよ。パーティーには入りようがないわ」
男「えっ? だって今、一緒に戦ってくれたじゃないか。あんな感じでいいじゃん」
妖精「あのね、あたしたち勇者パーティー。こいつが隣を歩いてて、あたしたちが歩くとどうなるか、わかんない?」
男「あっ…もしかしてエンカウントするのか?」
黒騎士「そういう事だな」
妖精「そういうわけでしょ。あんたなんて居ても何の役にも立たないの。さっさと消えて」
黒騎士「お前に言われずとも、俺は俺の道を行く。もう俺は美剣士ではない」
男「そうか…じゃあ、またしばらくお別れなんだな。美剣士…えっと、今は黒騎士?」
黒騎士「何だ」
男「魔王倒したら、一緒に遊ぼうぜ(ニカッ)」
黒騎士「…! フッ…」
黒騎士「覚えておこう!」
黒騎士は去っていった…
妖精「はあ…」
男「妖精さん…えっと、聞いていい?」
妖精「…何よ」
男「風の大陸には来たがってなかったじゃないか。どうして来てくれたんだ?」
妖精「別に。アミュレトが切れたから、面倒なのが出たんだと思ったのよ」
男「…あいつって、妖精さんの何なの? 獅子人戦と違って明らかにシリアスだったじゃん、何あの空気」
妖精「ばっ…あんた、あたしの事まで中二病扱いする気!?」
男(いや…だって思いっきり飲み込まれてたし)
妖精「アイツは…あのバカはただの知り合いよ。他には何もないわよ」
男(そうかなあ… あと、すごく聞きたい事があるんだけど。これを聞いてもいいものか)
妖精「何も無いなら、さっさとそこのオーブを回収してエンドナに戻るわよ」
男「なあ、妖精さん」
妖精「今度は何よ」
男「ここって…妖精の山って、妖精さんの…」
妖精「! …男、行くわよ!!」
男「あっ…ちょっと待ってよ!」
男と妖精は緑の瞳のオーブを手にし、風の大陸を後にした…
―最果ての地 四柱の祭壇―
男「さて…いよいよ帰ってきたのか。旅の終着点、最果ての地…地元に!!」
妖精「はいはい。ここは説明いらないでしょ。ちゃちゃーっとやっちゃいなさい、男」
男「おう。まず、オーブがみっつだろ。んで中央の黒い柱を取り囲むように、赤青緑の柱があるだろ」
妖精「うんうん」
男「柱の下に各色のオーブを置くだろ。すると何かおこる!」
妖精「はいはーい、賢さ1くんよくできましたー」
男は朱の柱に、赤い瞳のオーブを置いた。
男は蒼の柱に、青い瞳のオーブを置いた。
男は翠の柱に、緑の瞳のオーブを置いた。
三つのオーブから黒き柱へと光が注がれ、
黒き柱は天へと誘う光の柱となった!
男「お、おおー…すごい」
妖精「後はこれに乗って魔王城までひとっとびよ」
男「魔王城って…曇天に阻まれて、見えないけど」
妖精「宙に浮いてんのよ」
男「ほぁー…いかにもって感じだな」
男は光の柱に触れた。体が天空に引きずりこまれる…!
男「う、うわあああああああぁぁぁぁ!!!」
―魔王城 滅びの庭―
男「ハッ!?」
妖精「はぁー、着いた着いた。さ、あの門から入るわよ」
男「ちょっ…妖精さん、ここ最終決戦の舞台でしょ!? そんな不用意にズカズカと…」
妖精「大丈夫よ、ここはエンカウントないから。はよ行くわよ」
―魔王城 ホール―
男「ガクガクブルブル…」
妖精「なにびびってんの」
男「いやだってここ魔王城」
妖精「大丈夫だって言ってんの」
男「まだレベル上げが足りないんじゃ…」
妖精「あたしレベル255。無問題です」
―魔王城 玄武の間―
男「玄武の間!? 何!? 四天王!?」
妖精「いないいない。素通りしまーす」
―魔王城 白虎の間―
男「いかにもすぎるでしょ!? 何かいるんでしょ!?」
妖精「何もいませーん素通りしまーす」
―魔王城 朱雀の間―
男「もう駄目だぁ…おしまいだぁ…」
妖精「だから何もいないんだっての」
―魔王城 青龍の間―
男「…あ、あれぇー?」
妖精「拍子抜けよね。さ、パパーっと行きましょ」
―魔王城 最後の間―
妖精「いやー、誰とも会わずに済んだわ。ラッキーラッキー」
男「…」
妖精「ん、どしたの男。もうこの先は魔王の間だよ、準備いいかしら?」
男「…いや、おかしくない?」
妖精「えっ?」
かしこさ1のはんげき!
男「いや、いくら何でも敵いなさすぎだろ」
妖精「ほら、終盤のダンジョンだから。知ってる? 魔王の城っていうのはさ、
本当に信頼のおける精鋭部隊しかいないから、エンカウント率が極端に低くって…」
男「いやいやいや! おかしいって、絶対おかしいって!!」
…なあ、妖精さんこれ変だって…」
妖精「…じゃあ、何だっていうのよ?」
男「えっと…魔王の罠、とか…」
妖精(…こいつは、どこまでも)
男「な、妖精さん? 引き返した方がいいんじゃ…」
妖精「いいのよ。どっちにしろこの扉あけないと何も進まないじゃない。
仮にあんたは命を絶たれたって復活できるんだから、いいでしょ」
男「うーん… うーん、うーん、うーん…」 ブスブス
妖精(知恵熱でとるわ)
男「ま、まあー…いいのかなぁ…」
妖精(! 流石やで!) グッ
男「よ、よし…じゃあ開けるぞ」
妖精「うん。それで魔王倒して、…全部、終わりにしましょう」
男「ん、そうだな。世界に平和をもたらさなきゃな!
じゃあ…」
妖精(…)
男「>しらべる!」
男は最後の間の扉を調べた。
禍々しい音を立てて扉は開いていき、背筋の凍るような冷たい風が漏れ出した…
妖精(…)
妖精(ごめんね、)
妖精(男。)
―魔王の間―
男「…ゴクッ」
男が魔王の間に足を踏み入れると、扉は無情な音を経てて封を閉じた。
引き返す事は、できない…
男「あの、階段の上でドクロのトゲトゲ玉座に座ってるのが魔王か…」
魔王「…」
男「ゴクッ… プッ、プレッシャァーッ…すげえぜ…」
魔王「…」
男「くっ…」
魔王「…」
男「…」
魔王「…」
男「…!」
妖精「何してんだよ。はよいけ」
男「えっあっ、はい」
男は一段ずつ、階段を登っていく…
男(何か…下からだとよく見えなかったけど)
一段、階段を登る。
男(黒いマントに… ヤギ…? みたいな頭した…)
また一段、階段を登る。
男(なんか、線が細くって…)
更に一段、踏みしめる。
男(何だ…すっごい老けてない…?)
そして、ついに玉座と対峙した…
男「えっと…お、お前が魔王か?」
魔王「…」
男(間近で見ると、ほんとにヨッボヨボで…何つーか)
魔王「…」
男「すごく…弱そうです…」
魔王「…そうとも」
男「うっひゃぁっ!?」
魔王「さあ…始めよう、勇者よ。…そして、終わらせよう。
私は待っていた…この時を。永く、永く…そしてただ、虚しく」
* モンスターが あらわれた! *
男「か、語りもそこそこに…もうかよ!?」
魔ヲ統ベル皇 と…対峙した…!!!
―ターン1―
男「くっ…いよいよ年貢の納め時か! 妖精さん、戦術は…って、」
妖精の姿は無い。
男「あれえええええええ!? あ、あれえええええええええ!?!?」
魔王「何を怯えている、勇者よ」
男「なんでいないんだよ!? 何でラスボス戦で仲間がいないんだよおおおぉぉ!?!?」
魔王「恐れる事は無い。…さあ、来るが良い」
男「恐れるなって…無理だよぉおおお! 村男Aひとりで魔王と戦えるわけないだろおおお」
魔王「取り乱すな。勇者、お前には最初から…」
魔王「仲 間 な ど 、 い な か っ た の だ 。」
男「えっ…?」
魔王「意味は自ずとわかるだろう…さあ、勇者よ」
魔ヲ統ベル皇は様子を見ている…(1ターン放棄)
男「はっ?」
魔王「その剣で、私を殺せ」
男「えっ? えっ???」
男「あ、わかった。あれでしょ?」
魔王「…」
男「今あの段階なんでしょ? 世界の半分をやろうとか言ってさ、」
魔王「…」
男「油断しきった所を背後から一突き…バックスタブだ! みたいな」
魔王「黙 れ」 ギロッ
男「ひいっ!?」
男「うっ…うわぁああああ!!!」
男は恐怖にかられてしまった! 男の攻撃!
魔王「ぬっ…」
魔ヲ統ベル皇に305のダメージ!
男「はぁっ、はぁっ…えっ、何かすごいダメージでて…」
魔ヲ統ベル皇を…倒した!
男「はっ?」
えっ?
魔王「ふっ…」
魔王の姿は、黒い霧へと変わり霧散していく…
男「はっ…はぁ?」
あ な た は 魔 王 を 打 ち 破 っ た の だ ! ! !
男「いやお前何いって…」
魔王「これでもう…苦しまずに済む」
魔王は闇の彼方へと溶けていった…
男「…」
男「…」
男「…あれ?」
男「…」
男「…」
男「えっ?」
男「…」
男「…」
男「…」
男「………………!!!」
男「何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で何で!!!」
>しらべる
何も、おこらない。
男「どうして、何も起こらないんだ!?!?」
?「それが、この世界の真実だからだよ」
男「!? なっ、な…誰!?」
?「はじまりの村から、大志を抱いて旅立って。
仲間と共に大地を駆り、海を越え、時には空すらも翔んで。
世界を救う英雄となる事を夢見て、ついには魔王に挑み…」
男「何言って…」
?「結果、このザマだ」」
男「お、お前は…」
?「はじめまして男くん。僕はアレックス。
はじまりの村より出でて、この地に佇む、ある者の成れの果てだ」
男「ある者って…」
?「そうだね。例えば、」
勇者「“ 勇 者 ” とか。」
男「…!?!?」
男「い、いやっ…勇者は俺だろ!? 何言ってるんだ!?」
勇者「妖精から聞いていないのか? 勇者は一人じゃないって」
男「全員ロストしたはずじゃあ…!?」
勇者「うん。そう言えって命じたのは僕だし」
男「はっ…? 命じ、って…」
勇者「あながち嘘でもないしね。実際、」
勇者「他は全部僕が殺したよ」
男「なっはっちょっえべべべべあばばばばばばば」
勇者「やれやれ。賢さ1じゃあ理解が追いつかないのかな。おーい、妖精」
妖精「…」
男「よ、妖精さん? 妖精さん、説明を要請するよ妖精さ――――――――んッ!!!」
妖精「うっさい! 取り乱しすぎだろこのバカ!!!」
男「えっちょっどういう事なのこれ」
妖精「そうね。別にこんな事、わざわざ説明してやる義理もないんだけどね」
男「義理ない、って…」
妖精「あんたがバカにも程があってあんまり哀れだしね。」
妖精「冥土の土産に教えておいてあげるわ」
男「…!」
妖精「あんたは最後の勇者。…に、世界が仕立て上げたって言ったでしょ」
男「…あ、ああ」
妖精「そもそもあんたは勇者じゃないのよ」
男「いや、それは知ってるけど…」
妖精「そうじゃない。そもそもあんたが勇者になる可能性事態がそもそもゼロだったのよ」
男「は?」
勇者「勇者の枠は255人なんだよね」
男「枠…? え?」
勇者「データベース。僕がナンバー1ね。で、赤き鎧の勇者だとか、隼の盗賊の勇者だとか、
まあぞろぞろ、ぞろぞろ。255人までまあ無駄に数がいてさ」
男「いやお前、さっきそいつら殺したって…」
勇者「うん。殺した。僕と、僕達…その仲間が。…例えば、」
勇者「妖精とかね」
男「!!!!!!」
妖精「で、その254人を消した時点で目的は達成できる筈だったの。
なのにあんたが出てきた」
男「な…何で」
勇者「盲点だったよ。1〜255を抹消してしまえばいいと思っていたのに。
全ての勇者をこの世界から排除した後で、
まさか、“0”に該当する勇者がでっち上げられるなんて」
男「それが…それが俺なのか??」
妖精「そうよ。全く、おかげでステータスも、とくぎも、まるっきりバグった特性ばっかり持ちやがってね。
振り回されて疲れたわよ」
男「…つ、つまり妖精さんは…俺を消すために、俺をここまで連れてきたのかよ!?」
妖精「やっとわかったの? そういう事よ」
男「何で…何でそんな事するんだよ!? 魔王倒して…世界を平和をにして、普通に暮らせばいいじゃないか!!」
?「アッハッハッハッハッハ!!!」
男「な、何だよ!? 今度は誰だ!?」
黒妖精「いやーお前マジでバカだよな! ほんとバカだよな!」
男「お、お前…風の大陸の…」
黒妖精「お前さぁ、たっった今、何した?」
男「えっ…」
黒妖精「今だよ、今! ほんっっとうについぞさっき! 5分くらい前!! なっ、何した!? 言ってみ!?」
男「何って…魔王を、倒して…」
黒妖精「アッハハハハハ!! で、何? どうなった?」
男「どうなったって…こ、こんな事になってなかったら、そのまま…」
黒妖精「そのままァ?」
男「世界に平和が戻ったんだから…後は帰って、普通に…暮らして…」
妖精(…)
勇者「そう。それだよ」
男「えっ…」
最後の村出身って時点でバグって事か
勇者「男くん。この世界って何?」
男「えっ…?」
勇者「思いっきりメタっていいよ。風の大陸でも叫んでたじゃないか。
床のギミックに苦戦してさ」
男「あっ…いやっ、はずみで言ったんだけど…何かタブーっぽい風潮あったけど、ついはずみで…」
妖精「…言いなさいよ。それが世界の現実にして、あたしたちが対峙してる矛盾よ」
男「えっと…」
男「ゲーム…」
勇者「そうだね。では、この世界がロールプレイングゲームだとして。
魔王を倒したら?」
男「魔王を倒したら…エ、エ、エ…エンディン、グ…」
勇者「…そうだね。では、今は?」
男「えっ?」
勇者「今、この時は?」
男「うっ…うっ、うっ…!」
>しらべる
何も、おこらない。
男「う、嘘でしょ…?」 ダッダッダッダッ…
男「か、帰る…俺もう、帰る…」
>しらべる
男は扉を調べた! 扉は堅く閉ざされている…
男「うぐっ…ぐぅっ――――――!!!」
引き返す事は、できない…
男「うわあああああああああああああああああ!!!!!!」
男「な、何でぇぇぇっ!?!?」
勇者「…エンディングは、無い。出来損ないなんだよ、この世界は。
僕は最初の勇者だったから…一番早くそれに気付いてしまった」
男「おかしいいだろおお!?!? だ、だからって!! だからって、
妖精さんを使って…他の勇者を、皆殺しにしたのかよぉっ!?!?」
黒妖精「あーあ、そうだよ。楽しかったぜ? ハ、ハハハハハハハ!!!」
男「なあ、妖精さん! おかしいだろ妖精さん!?
妖精さんは…妖精さんは、こんな事やりたくてやってるんじゃないんだろ!?!?」
妖精(…! くっ…)
1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:51:28.341 ID:mbZx2GAX0.net
男「もう冒険をするしかない」
2: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:51:59.418 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 高台の上、男の家―
母「起きなさい、男よ」
男「おはよう母さん」
母「男よ、あなたも今日で16歳の誕生日。冒険に旅立つ時が来たのです」
男「えっ」
3: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:52:05.368 ID:bFW9zyCP0.net
人生ハードモード
8: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:53:51.501 ID:0GjV3F8w0.net
何年も前に読んだぞこれ
10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:54:38.624 ID:mbZx2GAX0.net
>>8
3年ほっといたけど今度こそ完結させたい
・【R-18】兄「女装してたら弟に告白された」【胸糞注意】
・男「俺のち○こはこの世で最も強い」
・ヴォルデモート「ポッターを倒して俺様が勝った」
・魔法使い「勇者さんは、私の命の恩人ですから」勇者「いいえ」
・【閲覧注意】貞子「俺!!お前の事好きだぜ!!ビデオ見てくれたから!!」
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:52:21.222 ID:mbZx2GAX0.net
母「まずは長老に挨拶にいきなさい」
男「ちょっとまってここ最果ての村なんだけど」
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「ちょっとまって村一歩出たらすごい名前の魔物が跋扈してるんだけど」
6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:52:56.062 ID:mbZx2GAX0.net
母「男よ、私は必ずお前が魔王を倒すと信じていますからね」
男「早くも固定セリフを吐く機械と化した。もうだめだ」
男「まさか16歳の誕生日がフラグになっていただなんて…」
男は裏庭の木の下を調べた。なんと階段を見つけた!
男「俺は知ってるんだ。自宅の裏に隠しダンジョンがある事も…」
7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:53:36.123 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 男の自宅の下―
男は無造作に置いてあるタルを調べた。なんと、ガイアソードを見つけた!
男「自宅近くのタルに、ありえないくらい立派な剣が入っている事も…」
―最果ての村エンドナ 宿屋“開闢と終焉の混濁亭”―
亭主「いらっしゃい。一晩2750Gだよ。泊まっていくかね?」
男「宿屋の価格設定が終盤な事も…」
13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:55:30.790 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 道具屋“賢人の御用達処”―
店主「いらっしゃい!何にするかね?」
すごいやくそう 500G
奇跡のやくそう 2500G
ばんのうやく 1000G
復活のくすり 5000G
男「やくそうも毒消しも売ってない事も…」
17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:57:50.866 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 長老宅―
長老「四柱の台座に輝きの聖石がすべて供えられる時、魔界への扉が開かれるじゃろう…」
男「長老に話しかけても、終盤のイベントメッセージしか喋らない事も…」
―最果ての村エンドナ 星がよく見える丘―
男「どうすればいいんだ…あ、そうか。でも」
男はガイアソードをそうびした! こうげきりょく 2 → 196
男「おお、凄い。これなら俺でも…」
18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:58:21.542 ID:mbZx2GAX0.net
※装備を扱う必要能力値の基準に達していないので、本来の性能は発揮されません。
補正後の攻撃力 196 → 15
必要な筋力 150(現在の筋力 8)
男「がっかりだ。もうだめだ」
妖精「諦めないで!」
男「え、どなたですか」
妖精「あたしは勇者をサポートする妖精さん!あたしが来たからにはもう大丈夫!」
男「いや俺ただの村男Aなんだけど」
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:58:48.380 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「いいえ。他の勇者の資質を持つものが全て倒れてしまった今、希望はあなただけよ!」
男「どういう事だってばよ」
妖精「火の集落ブレイザ、水の都ウォーティス、風の谷ウィンダ、土の要塞グラン、
鉄の故郷アイロニア、雷の魔境サンディ、光の聖域ルクシア、闇の帝国ダーク、
その他もろもろの繋ぎの町たちの勇者すべては、ダンジョン内でロストしました」
男「えっ?ロスト?えっ?」
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:59:12.539 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「死亡よりも二段階ひどい状態よ。つまり消えてなくなった」
男「もうだめだ」
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「まあ、それは妖精さまね。紛れも無い勇者の証だわ。やはり男はお父さんの子ね」
男「セリフ変わった。だが俺の親父は鉱夫だ。もうだめだ」
妖精「私がパーティーに居る事でフラグが立ったのよ」
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:59:27.583 ID:mbZx2GAX0.net
男「昨日まではみんな普通に喋ってくれたんだ。
でも今は犬ですら機械的に“わん!”って鳴くんだ。もうだめだ」
妖精「それは、世界があなたを勇者に仕立て上げ…じゃなかった、勇者に選んだのよ」
男「なんてひどい本音なんだもうだめだ」
23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 10:59:48.752 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「まあまあ、いいじゃない。魔王退治して英雄になれるわよ?」
男「なんだか凄そうな出身の連中も全員ロストしたって聞いたけど」
妖精「あれは…欲をかいた結果よ」
男「詳しく話せ」
妖精「隠しダンジョンのお宝目当てでみんな死んでいったのよ。それも同じ場所の」
男「まさかウチの真下の事じゃないだろうな」
妖精「えっ」
男「えっ」
24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:00:27.638 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「…な、何の話なのかよくわからないッス☆」
男「ウチの下で凄い数の人間が死んでた。もうだめだ」
―最果ての大陸 フィールド―
妖精「さて…まずはちゃちゃっとレベルを上げてみましょうか」
男「ちょっと待って。レベルって何」
妖精「ああそうね、ごめんなさい。一般人にはレベルの概念が無いんだったね。
よ?し…“アナライズ”!」
男「うおすげえ魔法はじめてみた」
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:00:42.225 ID:mbZx2GAX0.net
名前:男
LV:1
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:19
MP:0
筋力:8
体力:7
賢さ:1
敏捷:4
26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:00:54.485 ID:mbZx2GAX0.net
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:15
防御力: 2
<おぼえたとくぎ>
なし
<つかえるじゅもん>
なし
27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:01:07.596 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「これはひどいステータス…賢さ1www」
男「個人情報が筒抜けだ。もうだめだ」
妖精「しかも経験0か。チェリー乙」
男「経験ってそっちなのか。もうだめだ」
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:01:22.195 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「冗談よ。まあ、勇者補正に期待してレベルを上げましょうか」
男「勝てないから。絶対勝てないから」
妖精「あんたガイアソード持ってるでしょ?」
男「攻撃力15だから。絶対勝てないから」
妖精「あたしもいるから大丈夫だよ。そぉれ、反復横とび!」
男「おい、やめろ! 歩いたら敵でちゃうだろ! やめろ! やめろください!」
29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:01:38.681 ID:mbZx2GAX0.net
* モンスターがあらわれた! *
死を告げる鳥A があらわれた!
死を告げる鳥B があらわれた!
男「すごい名前の鳥が出てきた。もうだめだ」
妖精「大丈夫だって。さ、コマンドをいれなさい」
男「コマンド?」
30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:02:19.736 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「勇者権限で、こっちの行動が決まるまでは大人しくしててくれるから」
男「何てよくわからない理屈なんだ。もうだめだ」
たたかう ぼうぎょ
とくぎ じゅもん
どうぐ >にげる
妖精「おいコラ」
32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:02:32.900 ID:mbZx2GAX0.net
男「勝てないから。絶対勝てないから!」
妖精「大丈夫だから、あたしを信じて言うとおりにしなさい」
男「本当ですか」
妖精「当然よ。まずは“どうぐ”を選択なさい」
男「>どうぐ」
―男の道具袋―
>Eガイアソード
34: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:02:44.433 ID:mbZx2GAX0.net
男「ガイアソードしかないけど」
妖精「それは使ってこそ真価を発揮するアイテムなのよ」
男「マジで? …いや、ちょっと待て。敏捷に差があるから使う前にやられるのでは」
妖精「大丈夫よ。何の為にあたしがいると思ってるの」
男「えっ」
35: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:02:59.105 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「>じゅもん!」
―妖精の呪文―
アナライズ ヒール
フレイム >クイック
リバイブ 次へ(1/18)
男「なんか凄い数覚えてますね」
妖精「実は全部使える」
男「お前が魔王倒せよ」
36: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:03:13.997 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「いいからホラ、1ターン目はじまるよ」
―ターン 1―
妖精はクイックを唱えた!
妖精「汝風の神に愛されうんちゃら。疾風韋駄天のなんちゃらかんちゃら。クイック!」
男「なんて適当な詠唱なんだ。もうだめだ」
37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:03:24.792 ID:mbZx2GAX0.net
男はターンの最初に動けるようになった!
男「おお、すごい」
妖精「さ、やりなさい!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
男「おっ、おお! 何だかスゴいぞ」
38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:03:36.373 ID:mbZx2GAX0.net
男は“ガイアトード”を召喚した!
土蛙「…」
妖精「ガイアソードはガイアトードを召喚できるのよ!」
男「くだらなさすぎるだろ」
39: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:03:50.815 ID:mbZx2GAX0.net
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
男「おお、何だか凄そう」
死を告げる鳥A には効かなかった。
死を告げる鳥B には効かなかった。
男「えっ」
妖精「あっ」
40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:04:09.154 ID:mbZx2GAX0.net
死を告げる鳥Aの攻撃! 頭蓋わしづかみ!
男「ひあっ」
ゴキッ ぐちょっ
男「あっあっ」
41: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:04:20.295 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 男の家―
母「男よ。起きなさい、男よ…」
男「っぷはぁ!?」
母「目が覚めたのですね、勇者よ。あまり無理をしてはいけませんよ」
男「母さん…?」
42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:04:31.221 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「いやあごめんごめん」
男「一体何が…俺はどうなったんだ?」
妖精「浮遊してる敵にガイアソードは効かないんだったわ。面目ない」
男「あの、俺どうなったの」
妖精「弾けたトマトみたいになった」
男「ひぃ」
43: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:04:46.284 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての村エンドナ 自宅の裏庭―
男「もういやだ」
妖精「まあまあ。ちょっと作戦を変えましょう」
男「もういやだ」
妖精「調べてみたら、最果ての大陸には浮遊系のモンスターしか出ないみたいなのね」
男「もういやだ」
44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:05:13.622 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「で、ガイアソードじゃ無理だから、隠しダンジョンのアイテムで何とかしましょ」
男「もういやだ」
妖精「バグったかな…?」
―最果ての村エンドナ 隠された地下洞窟―
男「全ての勇者が没した場所じゃないか。もうだめだ」
妖精「あいつらは言う事きかないからああなったの。欲を出さなきゃ大丈夫よ」
男「何か看板立ってる」
“隠されし 禁断の 聖域”
男「凄い名前だ」
45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:05:39.444 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さ、アイテムを回収しましょ」
男「宝箱は空なのでは」
妖精「いなくなった連中が持ってたぶんは元に戻ってるから大丈夫よ」
男「なにそれ便利」
―隠されし禁断の聖域 1F―
火吹き鳥「ギェー」
氷の霊鳥「グェー」
男「早くも越えられない難関が」
妖精「大丈夫よ。あたしを信じて行きなさい」
男「初戦でドタマかち割られたんだけど」
妖精「今度こそ必勝の策があるから。行きなさい」
男「微塵も信用できない。もうだめだ」
46: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:06:03.992 ID:mbZx2GAX0.net
* モンスターがあらわれた! *
火吹き鳥 があらわれた!
氷の霊鳥 があらわれた!
コマンド?
男「>にげる」
妖精「おいコラ」
男「いや飛んでるし勝てない」
妖精「こいつらは門番だから逃げても消えないの。いいから攻撃しろ」
男「しくしく… >たたかう」
妖精「>じゅもん! “シャッター”!」
47: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:06:20.285 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気の霊よ!その掌で我ら守りたまえ!シャッター!」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
男「おお」
火吹き鳥「ギエー」
火吹き鳥は 炎のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
48: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:06:33.313 ID:mbZx2GAX0.net
氷の霊鳥「グエー」
氷の霊鳥は 氷のブレスを吐いた!
風の障壁がブレスを防いだ!
男「おお、これならいけるか? でやーっ」
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「えっ」
49: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:06:58.882 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「火吹き鳥はHPが785だから、あと784回で倒せるよ」
男「えっ」
妖精「氷の霊鳥も同じHPね。頑張って」
男「いやいやいや、あんたのMPが先に切れるんじゃないのか」
妖精「ううん」
妖精のMPが50回復した!
妖精「あたしターン終了時にMP回復するから大丈夫よ」
男「えっ」
50: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:07:12.529 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 35―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「腕いたい」
妖精「あと750ね。頑張れ」
51: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:07:24.239 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 102―
男の攻撃!
火吹き鳥「サッ」
ミス! 火吹き鳥にダメージを与えられない!
男「指先の感覚がもうない」
妖精「ちゃんとやらないと終わらないわよー」
52: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:07:46.423 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 398―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギェ」
火吹き鳥に1のダメージを与えた!
男「ミ、ミス分もいれてやっと半分…」
妖精「もう一匹いるからまだ4分の1だけどね」
男「えっ」
53: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:08:00.134 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 812―
男の攻撃!
火吹き鳥「ギョエー」
火吹き鳥に1のダメージを与えた! 火吹き鳥を倒した!
男「ゼェハァゼェハァ」
妖精「ほら、もうひと頑張りだよ」
55: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:09:17.675 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 1612―
男の攻撃!
氷の霊鳥に1のダメージを与えた! 氷の霊鳥を倒した!
男「うぉぉおおおおおおお勝ったァァアアアアアアアアアア疲れたアアアァアアアアアアアア」
妖精「あたしだって疲れたわよ」
男「お前途中から詠唱とか完全に省いてたじゃねえか」
妖精「うんまああたしクラスだったら指先ひとつでちんちくりんだし?」
男「だからお前が魔王倒せよ」
56: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:09:35.895 ID:mbZx2GAX0.net
* 戦いに勝利した! *
男はレベルが1から18に上がった!
男「おおおおおおすげええええええ」
* レベルアップボーナス 能力値を振り分けてください *
男「おおおおお!よし、さっそく筋力に…」
妖精「体力に全振りしなさい」
男「えっ」
57: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:09:51.973 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「きこえなかった? 体力に全振りしろって言ったの」
男「ど、どうして…」
妖精「あんたが死ぬとリスポンポイント(自宅)まで戻されて面倒なの。とにかく死なないようにして」
男「で、でも火喰い鳥と氷の霊鳥を狩れば…」
妖精「あれは門番モンスターでもう出てこないの」
男「もうだめだ」
58: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:10:04.239 ID:mbZx2GAX0.net
―隠されし禁断の聖域 2F―
妖精「“アナライズ”!」
名前:男
LV:18
経験:0
称号:最後の勇者
性別:おとこ
年齢:16歳
HP:151
MP:0
筋力:21
体力:56
賢さ:1
敏捷:10
59: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:10:18.617 ID:mbZx2GAX0.net
そうび
E ガイアソード
E ぬののふく
攻撃力:30
防御力:31
男「HPだけ高すぎる。賢さが上がらないもうだめだ」
妖精「これでいいの。後は軽い防具を探さないと…」
男「あっ、宝箱」
60: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:10:42.220 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「ゴルァ!」
男「ひっ」
妖精「ここが全勇者をロストさせた迷宮だって事を忘れたの?」
男「すいませんでした」
妖精「その宝箱は開けたらあんたに200ダメージ入る罠がかかってるのよ」
男「なにそれこわい。でもそれなら妖精さんが開ければいいじゃない」
61: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:11:05.686 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「あたしは見ての通り非力な妖精だから、宝箱の蓋なんて開けられません」
男「なんで中途半端に軟弱なんだチクショウ。
っていうかダンジョンをネタバレされるから冒険感も何もあったもんじゃないもうだめだ」
妖精「もうウン十回も来てるからね。イヤでも覚えるわ」
男(っていうか、そんなに勇者を犠牲にしてるあんたは結構無能なんじゃないのか)
―隠されし禁断の聖域 3F―
妖精「あった。あの部屋の中だわ」
62: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:11:18.000 ID:mbZx2GAX0.net
巨人「うべー」
男「なんかすっごいのが守ってるけど」
妖精「大丈夫よ、たかがレベル65の中ボスだから」
男「俺のレベル18なんだけど」
妖精「>とくぎ “くちぶえ”! ピュー」
男「何してはるんですかね」
妖精「くちぶえは、近くのモンスターをおびき寄せる事ができるのよ」
男「」
63: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:11:35.557 ID:mbZx2GAX0.net
* モンスターがあらわれた! *
血まなこ巨人 があらわれた!
男「>にげる」
この戦いからは逃げられない!
男「もうだめだ」
妖精「戦え。今度はガイアソードも効くから大丈夫だって」
男「でもレベル65だって」
64: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:12:00.930 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「レベル255のあたしがついてるんだから大丈夫だってば」
男「だからお前が魔王倒せよ」
―ターン 1―
妖精「母なる地の庇護の手よ、我ら弱き器持つ者を覆わん! “プロテクト”!」
男は守りの手を得た! 防御力が飛躍的に上昇!
男「おおすげー、手形のバリア」
血まなこ巨人「うがー」
血まなこ巨人の攻撃! 玉砕棍棒!
男「ぶべらっ」
65: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:12:15.283 ID:mbZx2GAX0.net
男は149のダメージを受けた!
男「い、いでえよ゛ー! 骨がおれてるよぉぉおお」
妖精「しっかりしなさいよ。前の勇者なんて、HPが1でも残ってれば半身が吹っ飛んでも戦ってたわよ」
男「ひぃぃいいいい」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「よんだ?」
66: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:12:31.943 ID:mbZx2GAX0.net
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげっ」
血まなこ巨人に205のダメージ!
妖精「よしっ。回復しながら戦えば、あと10回くらいで倒せるわ」
男「ちょ、ちょっと待て。あと10回もこれをやるのか」
妖精「男でしょ。根性見せなさいよ」
男「もうだめだ」
67: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:12:44.186 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 13―
男「ひぐっ… ぐすっ…」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「めんどいのー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
血まなこ巨人「うげぁー」
血まなこ巨人に217のダメージ! 血まなこ巨人を倒した!
男「ズェーハァー ズヒュー」
68: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:13:00.208 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「はい、お疲れ様。“ヒール”ね。」
男「その呪文で傷はすぐ治るけど、まだめっちゃ痛い」
妖精「万能じゃないからねえ」
男「あとなんで妖精さんにはターゲットがいかないのかな」
妖精「あたしは回避率が高すぎるから、攻撃しても無駄だって魔物のAI…じゃなかった、魔物の頭が判断してるの」
男「なんて鬼畜仕様なんだもうだめだ」
妖精「そんな事よりレベルアップしてるから、はよ体力に振れ」
男「うう…普通に冒険したいよお…」
69: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:13:12.885 ID:mbZx2GAX0.net
―隠されし禁断の聖域 3F 宝箱の間―
男は宝箱を開けた! “かぜよみのころも”を手に入れた!
男「おお、かっこいい!マジックアイテムっぽい!」
妖精「それは装備制限も無いし、回避率があがる強力な防具よ。早速着てみなさいな」
男はかぜよみのころもを装備した! ぼうぎょりょく 57 → 102
男「おおおおおおおおお」
70: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:13:26.386 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さて、これでここに用事は無いわね…」
男「えっ? おいおいやっとこさ軌道に乗ってきただろ。レベルも23になったんだぜ、これなら…」
妖精「次の階にはキングラフレシアっていうレベル78のモンスターがいてね、その触手で生きたままはらわたを」
男「帰還するぜ。妖精よ、脱出呪文を使ってくれ」
妖精「キャラ変えんなこのぺーぺーが」
71: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:13:38.462 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての大陸 エンドナの村前―
妖精「さて。いよいよ、他の大陸に旅立つ時が来たわ」
男「ちょっと待て。進路がおかしくないか」
妖精「おかしくないわよ」
男「だって西に20歩も歩けば魔王城に続く四柱の祭祀場がある」
72: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:13:57.272 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さすが現地人は詳しいわね。でもその祭祀場で使うアイテムが無いの」
男「みっつのオーブだっけ。妖精さん持ってないのかよ」
妖精「前の勇者が持ってたけどロストしたわ。元の場所にあるはずよ」
男「うぇーめんどくさーい。あ、でもワープ呪文的なのでひとっとびか」
妖精「無理です」
男「なんでよ」
73: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:14:14.608 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「“テレポート”…勇者が一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「使えよ」
妖精「“勇者が”一度行ったことのある街やダンジョンに転移する呪文」
男「あっ」
妖精「おわかりかしら」
75: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:14:25.782 ID:mbZx2GAX0.net
―エンドナの海辺 海竜シドラヌの上―
海竜「クェーッ」
男「こいつぁ気持ちいいやーっ」
妖精「気に入ったみたいね」
男「海竜シドラヌか、勇者になるとこんないい事もあるんだな」
妖精「気に入ってもらえて何よりだわね」
妖精(まあ、普通の勇者はもっとまともな特典がたくさんあるんだけどね)
76: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:14:41.763 ID:mbZx2GAX0.net
―火の大陸 西の浅瀬―
男「じゃなー、シドラヌー!」
海竜「クエッ」
妖精「さて…まずは鉄の故郷アイロニアに向かうわ」
男「どこそれ。火の大陸ってくらいだから火の集落に向かうものかと」
妖精「火の集落には後で行くわ。その前にアイロニアに仲間を迎えに行くのよ」
男「え、仲間!?」
77: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:14:55.391 ID:mbZx2GAX0.net
―武器大国 鉄の故郷アイロニア―
男「ほぁー、都会やー」
妖精「キョロキョロすんな田舎モン」
男「あっ、武器屋行こうよ武器屋」
妖精「そんなの後よ。まずは酒場に行くわ」
78: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:15:47.823 ID:mbZx2GAX0.net
―ダルーイの酒場―
女将「ダルーイの酒場へようこそ、坊や」
男「で、何しに来たんだよ」
妖精「酒場に来たんだから仲間を増やすに決まってるでしょ。こんにちわ、おかみさん!」
女将「あらー、妖精ちゃん?久しぶりじゃないの。勇者アレックス達はどうしたの?」
妖精「えっと…アレックスは今、体を壊しちゃってて…」
男(体壊したってレベルじゃねーぞ)
79: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:15:58.809 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「今はこれが代理です」
女将「まっ。なんとも頼りがいがなさそうだけれど…」
男「ふっ…私のレベルは23です」
女将「えー、マジレベル23ー!? キモーイ!」
妖精「レベル20代が許されるのは、小学生までだよねー! キャハハハー!」
男「」
80: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:16:10.109 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さて、そんな事よりあいつを引き取りに来たわ」
女将「えっ…? あいつって…本気かい?」
妖精「もう他に人材がいないの。」
女将「そうかい…そこまで切迫しているなら仕方が無いね。ちょっと待ってなさい」
男「?」
81: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:16:21.578 ID:mbZx2GAX0.net
―10分後―
美剣士「俺に今更何の用だ…」
妖精「紹介するわ。剣士のテニーよ」
美剣士「今になって俺に泣きついてくるとは…全く、失笑を禁じえないぜ」
男(スカしたイケメンだ)
妖精「こいつは剣士のくせに、HPも筋力も僧侶以下のツワモノよ」
美剣士「そんな数字で俺の何を計れる!?」
男(えええー…)
82: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:16:32.341 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「“アナライズ”!」
名前:テニー
LV:28
経験:208262
称号:バトルマスター(笑)
性別:おとこ
年齢:?歳
HP:226
MP:86
・
・
・
83: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:16:44.962 ID:mbZx2GAX0.net
男(レベルが近くて親近感が湧くなあ)
妖精「相変わらずの貧弱ステね…」
男「何だよ、結構頼れそうじゃないか」
美剣士「! そ、そうだろ!?」
妖精「甘いわね。もっとよく見てみなさい」
男「?」
84: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:16:58.325 ID:mbZx2GAX0.net
<おぼえたとくぎ>
かえんぎり
<つかえるじゅもん>
なし
美剣士「見るなーッ!」
男「え…これだけ…え…?」
妖精「本家よりひでーのよ、こいつは」
85: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:17:09.809 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「正直、新米でぺーぺーな今のアンタと大差無いレベルよ」
美剣士「うおおおおお!!!」
男「おいおい、これからの旅の仲間なんだろ? そこまで言う事ないじゃないか」
妖精「…ま、それもそうね。こんなんでも役に立ってもらう事になるし」
美剣士(…! 役に立つ…だと…!?)
86: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:17:20.792 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「妖精よ…貴様がそこまで言うなら、力を貸してやらん事も無いぞ。ふっ…ふはは! ふははははは!」
男「どうしたの突然」
妖精「冒険の役に立った事が無いのよ、こいつは」
美剣士「うるさい!」
87: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:17:31.810 ID:mbZx2GAX0.net
―火の大陸 フィールド―
美剣士「フィールドに出られたのは久しぶりだぜ…」
男「ずっと酒場にいたのか?」
妖精「勇者以外には、酒場の人間を動かせないのよ」
男(なんだかすっごいかわいそうな人なんじゃないのか)
88: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:17:51.438 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「ようし…早速腕を振るうとするか。出て来い、モンスターども!」 サッサッ
男「ああ! 美剣士がさっそく反復横飛びを!」
妖精「ちょっ…こらぁ! 勝手な真似すんなー!」
* モンスターがあらわれた! *
妖精「ああ、もう!」
89: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:18:03.350 ID:mbZx2GAX0.net
オバケたいまつが あらわれた!
男「あっ、何かすっごいかわいいのでてきた」
妖精「そりゃあアンタがさっきまでいたのは最終大陸の隠しダンジョンだものね」
美剣士「何っ…!? キサマ、そんなレベルでエンドナに挑んだというのか!?」
男「地元なんで…」
美剣士(ず、ずるいっ…!)
90: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:18:18.830 ID:mbZx2GAX0.net
男「えーっと…んじゃあ俺は、“たたかう”で…」
美剣士「チクショオオオオオ! くらえおばけたいまつ、新必殺音速火炎斬!」
男「えっ!? 命令させてくれないの!?」
妖精「自分よりレベルの低いやつの命令なんて聞くわけないじゃない」
男「それはそうだけど…何だかなあ」
91: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:18:29.466 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「行くぞぉお!」
美剣士の攻撃! てつのつるぎが炎にうなる! 火炎斬り!
男「素早い!」
妖精「敏捷だけはまあまあなのよ」
オバケたいまつ「?」
ミス! オバケたいまつにダメージを与えられない!
美剣士「えっ」
92: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:18:42.392 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「火属性の魔物に火属性攻撃が効くわけないじゃない。AIまでクズだったのね」
美剣士「…もうだめだ」
男(やっぱり親近感がわくなあ)
妖精「ほら、次はあんたの番よ」
男「えっ、俺!? モンスターより先に動けるの!? や、やったー!」
美剣士(ほう…敵より早く動く事に感動を覚えるとは。こいつからは、俺と同じ臭いがするぜ…!)
93: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:18:59.870 ID:mbZx2GAX0.net
男の攻撃!
男「そういえばまともに攻撃させてもらえるのはじめてかもしれない。だりゃー!」
オバケたいまつ「ぐごっ」
オバケたいまつに126のダメージ! オバケたいまつを倒した!
男「おっ…おお、おおおおおお!!!」
妖精(そういえばオバケたいまつは土属性が弱点だったわね)
94: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:19:13.299 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「や、やるじゃねえか… ところで、その剣はいったい?」
男「ん? ああこれ、ガイアソードっていうらしいんだ」
美剣士「なかなかの魔剣じゃないか。一体どこで手に入れたんだ?」
男「自宅近くのタルから拾ったんだ」
美剣士「なっ…!?」
95: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:19:24.284 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「く、くそぉおおおおおぉっ…!」
男「ビクッ」
美剣士「俺だって…俺にだって、愛用の魔剣が、あったんだぞォオっ!」
妖精(そういえばいつだったかの勇者が剥ぎ取ってポイしてたわね)
美剣士「俺だって…! 俺だって、かつては独り身で魔物を倒して回った孤高の剣士だったんだっ…!」
男「美剣士っ…!」
96: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:19:36.645 ID:mbZx2GAX0.net
ガシッ!
美剣士「!」
男「泣かないでくれ、美剣士…!」
美剣士「お、男…?」
男「俺なんてただの村人だったんだ…俺達は、これから強くなればいいんだ!
一緒に魔王を倒そう! 俺達で共に、伝説を作ろうっ…!」
美剣士「お、男っ…! 男ぉっ…!」
妖精(ふん、クズどもがっ…! 酔っぱらってやがるぜ、自分達にっ…!)
97: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:19:52.206 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「ほらほら、もういいからさっさと目的地に行くわよ」
男「あっ、ああ…ほら、美剣士。これで涙を拭くんだ」
美剣士「グスッ…ふ、ふっ。ありがとうよ男」
男「ニコッ」
美剣士「ニカッ」
妖精(うぜえ…)
99: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:20:09.327 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さて… >じゅもん! “サンクリ”!」
弱い魔物が出現しなくなった!
男「えっ? おいおい妖精さんよ、レベルは上げなくていいのかよ」
妖精「こんな大陸でレベル上げなんてたるくてやってらんないわ。さっさとオーブを手に入れてオサラバよ」
美剣士「それで、向かっているのは北の “火の神殿” なのか?」
妖精「そうよ。さすが、無駄にこの大陸でくすぶってただけの事はあるわね」
美剣士(こいつの性格は相変わらず最悪だぜ…)
100: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:20:38.819 ID:mbZx2GAX0.net
―火の神殿 入り口―
男「荘厳な神殿だな」
美剣士「すごい熱気だ」
妖精「相変わらず暑苦しくてかなわないところだわ」
男「このすーっごく巨大な門は、どうやったら開くんだ?」
美剣士「ふっ…わかっちゃいねえぜ男。あっちを見てみな」
男「…? あっ、脇道がある」
103: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:20:55.561 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「最初からこんな巨大な門がやすやすと開いては、神殿の威厳も何もあったものではないだろう?」
男「確かに」
美剣士「ここを訪れる者達に、まずこの巨大な開かず門を印象づける。そして回り道で門を開かせる事によって、入場の際にカタルシスを与えるというわけだ」
妖精(人はそれを演出と呼ぶわね)
104: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:21:22.785 ID:mbZx2GAX0.net
男「そうなのかー! さすがだな、美剣士! ぜんぜんわからなかったよ!」
妖精(さすがは賢さ1ね)
美剣士「ふっ…褒める程の事ではないさ。 ニカッ」
男「ニコッ」
妖精(うぜっ)
105: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:21:32.912 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「んでもって更に言うと。その門が開く仕掛けは、その燭台の上に石像が降ってきて炎が消えるだけのごく粗末なものよ」
男(いい加減このネタバレ、何とかならないかな…)
妖精「そんでもって、そこのヘナチョコ野郎についてきてもらったのはただそれだけのためよ」
男「えっ」
美剣士「えっ」
106: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:21:52.646 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士「お、おい妖精…? 何を言っている…?」
妖精「呪文ってのは、便利なものなんだけれどね。無い呪文っていうのは、どうしようも無いの」
男「妖精さん…? 一体何を言ってるんだ…? 何の話をしているんだっ!?」
妖精「土属性系統には、地面を揺らすシェイクから、石礫を巻き上げるブラスト…そして大地震を起こすクエイクまであるけれど」
男(ゴクッ…!)
妖精「石像を作り出す呪文なんて、無いから」
美剣士「!!!」
107: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:22:05.104 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「>じゅもん! “パラライ”!」
美剣士「うわあああああああっ!? か、体が動かないッ…!」 バリバリ
男「テニーっ!? な、何をするだぁーッ!?」
妖精「うるさいわね。黙って見てなさい。 >じゅもん! “フロート”!」
美剣士「うおぁっ!」
男「美剣士の体が、宙に!?」
妖精「本来は罠を避けたり、遠くの足場に移動するための呪文なんだけれどね。こういう使い方もできるわね」
108: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:22:19.643 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「そお?れ、あっちよ」
美剣士「うわあああああっ!? あ、あつぃーッ!」
男「け、剣士を燭台にっ!? ま、まさか妖精さん…」
妖精「>じゅもん! さて…美剣士。冥土の土産に教えておいてあげるわ。あんたの石化耐性は…ゼロよ」
美剣士「やめてくれー! そっ、それだけはやめてくれえええええ!!」
妖精「“ ロ ッ ク ユ ー ”」
男「美剣士ィィイイイイイ!!!!」
109: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:22:34.929 ID:mbZx2GAX0.net
ドスン!!!
男「あ…あ…」
剣士は石になった…
男「う…う…、うああああああああああァアーーーーーーッ!!!!!!!」
ゴゴゴゴゴゴ…
神殿の巨大な扉が、開いていく…
110: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:22:46.050 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「さーて、開いた開いた。これでかなりのショートカットになったわね。行くわよ」
男「何で…何でだよ! どうしてなんだよ!?」
妖精「あ?」
男「どうして美剣士がッ! あんな、駄洒落みたいな呪文で石にされて…扉を開く犠牲にならなきゃいけなかったんだよぉっ!!!」
妖精「あまったれるんじゃないわよっ!」
ベシッ
男「ぐぉがっ!?」
111: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:23:01.756 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「こんなところでクヨクヨして、せっかく美剣士がショートカットしてくれた時間を無駄にする気!?」
男「なっ…何を言っているんだ…!?」
妖精「こんな事をしている間にも…世界には、魔王の手によって苦しめられている人々が…いるのよっ…!」
男「!」
妖精「歴代勇者達が次々と倒れてしまって…魔王の時代は長く続きすぎた。その間酷い目にあっている人たちが、いるのよっ!!」
男(涙…!? 妖精さん…まさか、これまでの凶行はそこまで考えての事だったのか…!?)
112: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:23:15.634 ID:mbZx2GAX0.net
男「…悪かったよ、妖精さん…」
妖精「男…」
男「俺…もう、クヨクヨしないよ。行こう。一刻も早く、世界を…救うんだッ…!」
妖精「…ふっ、全く…いい面構えになったじゃない…」
男「美剣士…」
美剣士「」
男「綺麗な顔しやがって…お前、役立たず何かじゃなかったぜ…! お前は、俺の…最高の、仲間だったっ…! うう?っ…!」 ボロボロ…
113: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:23:27.755 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「美剣士へのお別れは済んだわね…? さあ、彼の屍を乗り越えて…行くわよ…!」
男「くうぅ?っ…! う、うおおおおぉおおおっ!!」
タッタッタッタッタッタッ…!
勇者は 一つの悲しみを乗り越えて 業火の吹き荒れる火の神殿の扉を 開いた…
妖精(賢さ1は御しやすくて楽だわぁ)
美剣士(もうだめだ)
114: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:23:39.484 ID:mbZx2GAX0.net
―火の神殿 内部―
男「妖精さんっ! 俺は…俺はどうすればいいんだっ!」
妖精「神殿の中にさえ入ってしまえば…後は、オーブの守り人を倒すだけよ!」
男「守り人ぉーっ! どこだぁーっ!? 美剣士のカタキだぁーっ、出てこいーっ!!」
男は混乱している!
妖精(さすがの私もこれには苦笑い)
115: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:23:52.067 ID:mbZx2GAX0.net
獅子人「はいはい何ですか、もう。暑苦しいなあ…」
男「貴様かぁっ、オーブの守り人はっ!!!」
獅子人(これまた面倒臭そうな勇者が来たなあ)
妖精「やっほー」
獅子人「また妖精さんですか。あんたの顔も見飽きましたよ」
妖精「こっちもね」
116: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:24:02.856 ID:mbZx2GAX0.net
男「知っているのか、妖精さん!?」
妖精「そりゃあもう何十回と倒したボスだもの。勇者ロストの度に再配置されるんだから、面倒ったらないわ」
獅子人「こっちとしてももう、いちいち起こさんで欲しいんですけどね。最近はもう魔王様や、他の二神からも連絡が無いし。あの人ら、ちゃんとお役目果たしてるんですかね」
男「他の二神…だと…!?」
妖精「ああ、言ってなかったっけ。四柱の祭壇に捧げる為のオーブは、魔王直属の三闘神が守っているのよ」
男「こんな奴がまだ、あと二体もいるっていうのか…!?」
獅子人(何なんですかこのテンションは)
117: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:24:31.470 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「まあ、その辺はおいおい説明してあげるから。さっさとこいつ倒しちゃって」
男「! そうだな! 覚悟しろ、このライオンマン!」
獅子人「ええー…やるんですか? どうせまたあのハメくさい戦法使う気なんでしょ? もう…」
* モンスターがあらわれた! *
炎の闘神、ファイアライオンがあらわれた!
獅子人「がおー」
男「くっ、すさまじい熱気だ…!」
妖精「こいつは別名、“唯一王”…かなりの物理攻撃力を誇っているわ」
118: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:24:53.247 ID:mbZx2GAX0.net
男「何だって…!?」
妖精「今のアンタが一発でも喰らえば、一瞬で体が消し飛ぶでしょうね…」
男「くっ…!」
妖精「でも物理攻撃はしてこないっていうね。何のためのステータスなんだか」
男「なーんだ」
獅子人「あーっもー、本当に性格悪いですねーあんたはー! はよコマンド入力してくださいよー!」
119: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:25:05.862 ID:mbZx2GAX0.net
男「美剣士…無念に散っていったお前の想い、俺が引き継ぐぜぇええええっ!!!」
バアーッ!!!
妖精「…! あれは…勇者の特性、“人の心の光”!」
獅子人「何ですかソレは」
妖精「ほら、終盤になってくると突然、主人公が“俺の体をみんなに貸すぞ”とか言って、故人の力が宿ったりするじゃない」
獅子人「ああ」
妖精「つまり…今あの男には、美剣士のパワーがやどりつつあるのよ…!」
獅子人「何かさっきから盛り上がってますけど、その美剣士って誰なんですか」
120: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:25:16.590 ID:mbZx2GAX0.net
男「うおおおおおおおっ!!!!」
勇者は、あの美剣士が唯一得意としていた剣技…
“かえんぎり” を、受け継いだ…!
男(やった…やったよ、美剣士…! 俺、ついに特技を覚えたんだ…!)
美剣士(男… 男よ…)
男(!? 美剣士の声が、聞こえる…!?)
121: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:25:30.940 ID:mbZx2GAX0.net
男「美剣士!? そこにいるのか、美剣士!?」
妖精(うわ゛っ…見えちゃいけないモノ見始めたよ、こいつ…)
獅子人(さっきから置いていかれてるなあ…) ポリポリ
美剣士(男… よくやったじゃないか…)
男「美剣士っ!」
美剣士(もうお前は一人前だ…最期に、一つ。たった一つだけ、俺の遺言だと思って…聞いてくれ…)
男「…!?」
122: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:25:42.577 ID:mbZx2GAX0.net
美剣士(火属性の敵に…火属性の攻撃は、効果が無いんだぜ…?) ニカッ
男「び、美剣士っ…」 ニコッ
美剣士(もう、お別れだ…じゃあ、世界を変えてくれよ。お前は満足か、こんな世界で…俺は…嫌だね…)
男「美剣士? どこだ、返事をしてくれよ…美剣士…美剣士ぃーっ!!!」
美剣士の魂は、遠くへ旅立っていった…
123: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:25:59.600 ID:mbZx2GAX0.net
獅子人「あー、終わりました?」
男「ギロッ」
獅子人(だから、何でこっちにヘイトが向くかなあ…)
妖精「♪?」
獅子人(どうせこの人が、何かしたんだろうなあ…)
男「炎の闘神よ…俺はひとつ、大切な事を美剣士から教わったんだ」
獅子人「はいはい、何ですかー?」
124: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:26:10.056 ID:mbZx2GAX0.net
男「特技が火炎斬りしかなくて…火属性の敵と相対した時は…! 力に任せて、物理で殴ればいいッ!」
妖精「そうだね。こいつも弱点土属性だしね」
獅子人「だからー! せめてアナライズでも何でもかけて見破ってくださいよー、そういうのはー!」
男「いくぞっ! 炎の闘神よっ! >たたかう」
獅子人「はいはい、やっとですね。…で、どうせ妖精さんは…」
妖精「>じゅもん ”シャッター”」
獅子人「これだよ(笑)」
125: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:26:21.359 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 1―
妖精「暖と冷を司る大気のうんたん。うんたんうんたん。"シャッター”」
味方パーティーはこのターン、火炎と冷氷の攻撃を受けない!
獅子人「はい詰んだー」
男の攻撃!
男「うおおおおおおっ!!!」 ザシュッ!
獅子人「いたいー」
獅子人に124のダメージ!
126: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:26:34.314 ID:mbZx2GAX0.net
男「これが、俺と美剣士の怒りだッ!」
獅子人「はいはい…」
男「どうした!? 次はお前のターンだぞ!?」
獅子人「はいはい。フレアドライブー」
獅子人の攻撃… 火属性最強技! "フレアドライブ”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「そんなものは、効かんッ!」
獅子人(もうこんな茶番、これっきりにしてほしいですわ…)
127: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:26:49.956 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 9―
獅子人「アトミックー フーレアー」
獅子人の攻撃… 冥獄の炎が、全てを灰燼に帰す! "アトミックフレア”!
風の障壁が、攻撃を防いだ!
男「これで、最後だーッ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット! 獅子人に312のダメージ!
獅子人「あだっ。あー、HPが0ですね。じゃあおやすみなさいですわ。もう起こさないでくださいね」
獅子人を倒した!
128: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:27:00.853 ID:mbZx2GAX0.net
獅子人はアイテムを落とした。 ”赤い瞳のオーブ”を手に入れた!
男「やった…俺、やったよ美剣士っ…!」
妖精「はいはい。じゃあ、美剣士を元に戻して次の大陸に行くわよ」
男「えっ」
129: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:27:11.914 ID:mbZx2GAX0.net
男「元に…戻す…?」
妖精「うん」
男「どうやって?」
妖精「石化解除の呪文で」
男「えっ? さっきの、人の心の光がどうたらってのは? えっ?」
妖精「勝手に幻覚でも見たんじゃないの」
男「」
131: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:27:24.996 ID:mbZx2GAX0.net
―火の神殿 入り口―
男「何で最初に言ってくれなかったん」
妖精「何か面白かったから」
男「ていうか何ですぐ解除しないで石にしてほっといたん」
妖精「帰る時困るじゃない」
男「冷静に考えたら獅子人さんってすごくかわいそうじゃなかったん」
妖精「知った事か」
132: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:27:42.602 ID:mbZx2GAX0.net
男「はああ…まあ、いいや。それなら犠牲になった美剣士はどこにもいなかったって事だろ?それは今日一番のグッドニュースだ…って、あれ…?」
妖精「え…? 門が、閉まってる…?」
男「おい… どういう事なんだよ、おい…!?」
妖精(! あー、やっべ…もしかして…)
133: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:27:54.201 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(>じゅもん "ディテクト”…) ボソッ
妖精はディテクトを唱えた! 美剣士の状態が、表示されます。(妖精の脳内に)
美剣士 LV―
HP0 MP0
じょうたい:LOST
134: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:28:05.691 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(ああ、そうか。あいつは灰化耐性も消失耐性もゼロなんだった。そりゃ石像にして放っておいたら、死亡→灰→ロストにもなるわね。やっちゃったぜ
☆)
男「お、おい、妖精さん…? どういう事なんだよ、これ…!」
妖精(…)
妖精「えっ、えっとね。! そう! 美剣士にはあらかじめ、遅効性の石化解除呪文をかけておいたの!」
男「あ…?」
135: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:28:17.456 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「それで、石化が解けても神殿の中には入れないから、歩いてアイロニアまで帰ったのよ☆」
男「あ…?」
妖精(く…さ、さすがにまずったか…!?)
男「…妖精さん。妖精さんは、いったい俺にいくつ嘘をつく気なんだ…?」
妖精(まずい…! いくらこいつが馬鹿でも…!!)
136: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:28:28.685 ID:mbZx2GAX0.net
男「それなら何で、テレポートを使わずにわざわざここまで来たんだ…?」
妖精(ちっ…男の癖に…! こうなったらもう、魅了呪文で…)
男「すぐに美剣士に会えると思ってたのに…意味の無い嘘をつくのはやめてくれよなー、もう」
妖精「は…はっ?」
男「アイロニアの街にいるんだよな? それなら早くテレポート使ってくれよ」
妖精(こ…こいつ…!)
137: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:28:45.046 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「い、いや。アイロニアにはもう戻らないわ」
男「えっ」
妖精「言いにくいけど、あいつはこれからの戦いにはついていけない。だから美剣士との旅はここまでなのよ。ねっ、ねっ?」
男「…」
妖精(ゴクッ…)
男「そうなのかー… 残念だな」
妖精(こ、これが賢さ1の思考能力… あ、あなどれない!)
138: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:28:56.525 ID:mbZx2GAX0.net
男「じゃあ、次はどこに行くんだ?」
妖精「えっ? あ、ええ。次は水の神殿に向かうわ。その前に、火の集落でイベントを進行させないといけないの」
男「よし、わかったぜ。火の集落にはどうやって行けばいい?」
妖精「まずはテレポートで西の海岸に戻るわ。そこから少し北に歩けば、すぐよ」
男「よーし、やるぜー!」
妖精(… いくら何でも、おかしい… この男、最初はここまでのバカじゃなかった筈…)
139: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:29:09.361 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(一体何が…)
男「あ、そういえば獅子人に勝ってレベルが上がってたな! 早速体力に全振りだぜー」
妖精(! そうかッ…! おそらく、生来のバカさ加減に加えて、賢さを無視したステータス振りをさせているせいで…)
妖精「脳細胞が、筋肉に変革しているんだわっ!」
男「うわっ!?」
140: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:29:19.942 ID:mbZx2GAX0.net
男「何だよ、いきなり大声出すなよなー」
妖精「へっ、あっいや何でもない! 何でもないから!」
男「変な妖精さんだな…じゃあ、早速テレポートで飛んでくれよ」
妖精「ええ。まかせて!」
男(何か、いつもと調子違うな…)
141: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:29:31.306 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(これは、最後の勇者にして最大の発見をしたわ…ここまで御し易ければ、ますます以ってあたしの思惑も…!)
男「何ニヤニヤしてるんだよ…」
妖精「何でもないったら! じゃあ、飛ぶわよ。 "テレポート”!」
ドンッ
―火の大陸 西の浅瀬―
妖精「ふうっ」
男「相変わらず妖精さんの呪文はすごいな…よし、行こう!」
142: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:29:46.841 ID:mbZx2GAX0.net
―森の奥深く 火の集落―
男「何だよ、あのテント…」
妖精「火の集落の人々は、ああいう家に住んでんの」
男「こんな原始人みたいな生活をしている奴らがまだいたんだな。HAHAHA!」
妖精(田舎者はすぐこれだ…)
143: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:29:58.380 ID:mbZx2GAX0.net
―火の集落 族長のテント―
男「ハハハハ、妖精さん! 一体この小汚いテントに何があるっていうんだい?」
屈強な男A「動くな」
男「へっ」
屈強な男B「何者だ」
屈強な男C「何者だ」
屈強な男D「何者だ」
男「」
144: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:30:13.489 ID:mbZx2GAX0.net
男「ゆ、勇者です」
屈強な男達「あぁん!?」
男「もうだめだ」
族長「みんな、待ちな。…お前、勇者だって?」
男「えっあっはい一応そうです」
族長「…本当なら、勇者の証を見せてみな。嘘だったならば、掟に従いお前を殺す」
男「妖精さーん」
妖精「ただのイベントだから。はよ出せ」
145: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:30:31.216 ID:mbZx2GAX0.net
男「何か見せれば助かるんですか!? やったー!」
妖精「見せるものを間違えたら、そこの屈強な男共に槍で後ろから刺されるけどね」
男「助からないじゃないですかー! やだー!」
族長「あんのかい? ないのかい?」
男「っ…しかし、さすがに俺でもそれ位はわかる! >どうぐ "赤い瞳のオーブ”だろ!?」
妖精「あっ」
男「えっ」
族長「…」
屈強な男達「…」 ススッ
男「」
146: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:30:41.521 ID:mbZx2GAX0.net
男「ああ、そうか…死んだら母さんに会えるんだったよな。母さんの固定セリフ、変わってるかな…?
いいさ、たまには死んでみたって。それも勇者の醍醐味だもんな。はは。はははははは!」
族長「みんな、部屋から出ていっておくれ。あたしやこのお方と、大切な話がある」
屈強な男達「はっ、族長」 ゾロゾロ
男「えっ」
妖精「そのオーブ以外考えられないでしょ、常識的に考えて」
男「」
147: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:30:53.831 ID:mbZx2GAX0.net
族長「さて…勇者よ。お主が来る事は予知でわかっておった」
男「えっ?」
族長「お主は三つの瞳を集めて、魔王の根城に乗り込む気じゃな」
男「あっはい、そうです」
妖精「それ固定セリフだから、いちいち返事しなくていいわよ」
男「えっ」
148: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:31:05.588 ID:mbZx2GAX0.net
族長「次は、この地より遥か西…水の都ウォーティスへと向かい、水の神殿に挑むが良い」
男「あっはいそれは聞きました」
族長「そして無事、青の瞳のオーブを手にしたならば…今度は北の、風の谷ウインダを目指すのだ」
男「風の谷かあ」
妖精(…)
149: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:31:22.939 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「じゃあ、男。あたしはもうこの話、聞き飽きてるから。外で待ってるわよ」
男「ん?ああ」
妖精「そうそう。その話の最後に特技を一つ教えてもらえるから、楽しみにしてるといいわ」
男「!」 ガタッ
族長「勇者よ…お主にはこれから、これまでよりも更に厳しい、幾多もの戦いの運命が待ち受けておる…」
男(自宅近くでの戦いより厳しい戦いが想像できない)
族長「だが、決して挫けるでないぞ。我々は信じておる。お主が魔王を倒し、そしてその先にある…この世界を歪めているものをも、断ち切ってくれると」
男(?)
族長「い、いや…少し喋りすぎたようじゃ」。今のは忘れてくれ
男(何だろう…? 魔王を倒したら、もう一人魔王がいたりするのかな…?)
150: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:31:37.934 ID:mbZx2GAX0.net
族長「こほん。では最後に、お主に一族秘伝の剣技を授けよう」
男「!」 ガタッ
族長「火の戦士達に伝わりし、悪しき魂を持つもの達を滅ぼし灰にする剣技…」 バッ
男(! 族長が、剣を構えた…!)
族長「それが、このッ!」 ブンッ!
族長「"かえんぎり” だッ!」
男「」
151: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:31:54.180 ID:mbZx2GAX0.net
―火の大陸?水の大陸間の海上―
海竜「クエーッ」
男「はあ…」
妖精「いいじゃない。水の大陸ではきっと重宝するわよ、かえんぎり(笑)」
男「おまっ…かえんぎりなめんなし!」
妖精「まだ一回も使った事ないくせに」
男「うっ…」
153: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:35:52.262 ID:mbZx2GAX0.net
154: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:37:46.242 ID:xausnYRYd.net
妖精さんのエロ画像はよ
156: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:43:31.595 ID:mbZx2GAX0.net
158: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:44:34.479 ID:N/dVrDSA+.net
美剣士は?
159: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:48:10.241 ID:mbZx2GAX0.net
>>158
テリーを意識した結果なんかうまく描けなかった…
らくがきはこれで全部
そろそろはじめます
160: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:49:25.943 ID:mbZx2GAX0.net
―水の大陸 東の海岸―
海竜「クエェ…」
男「だいぶ無理させちゃったな」
妖精「世界の端から端まで移動させたんだもの。そりゃ疲れるわよ」
男「えっ」
妖精「世界の狭さを思い知った?」
男「えっ」
161: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:50:01.296 ID:mbZx2GAX0.net
男「こんなに淡々と世界の狭さを思い知らされた。感動も何もあったもんじゃない。もうだめだ」
妖精「まあ、この世界を狭く感じたなら、それだけこの海竜が優秀だって事よ」
海竜「クエッ!」
男「あっ、そうだ。そういや世界の果てってどうなってるんだ!?」
妖精(世界の最果ての住人が何か言ってるわ)
162: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:50:11.723 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「この世界がどういう形をしているかは知ってるの?」
男「知らないから聞いてるんだよ」
妖精「お盆」
男「えっ」
妖精「世界はお盆の形なのよ。世界の果てでは、海が滝のように流れ落ちているわ」
男「滝って…その水はどこに流れているんだよ」
妖精「さあ」
男「なにそれ怖い」
163: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:50:22.453 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「まあ、世界の形なんて今はどうだっていいでしょ。そんな事よりほら、さっさと水の都を目指すわよ」
男「えっあっはい」
海竜「クェッ!」 ズブズブ
男「おっ、帰るのかシドラヌー! じゃなー!」
164: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:50:43.791 ID:mbZx2GAX0.net
―水の大陸 フィールド―
男「な、何だよこれ…水の大陸だって聞いて、何か勝手に綺麗なところを想像してたけど…」
妖精「見渡す限りの毒の沼でしょ」
男「何でこんな事に」
妖精「水の三闘神の仕業ね」
男「なにそれひどい」
妖精「倒せば元通りになるわよ。何っ回も何っ回も元に戻してきたんだから」
男(…何か、妖精さんがこんな性格してる理由がちょっと理解できる気がする)
165: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:50:54.936 ID:mbZx2GAX0.net
男「で、これどうやって進むの。妖精さんは浮いてるからいいけどさ」
妖精「本当はね。あそこに見える洞窟の奥にある、“ペガサスのくつ”を履いて進みます」
男「…妖精さんの攻略方法は」
妖精「>じゅもん “フロート”!」
男「わっ、体が浮いた」
妖精「これで無問題ね」
166: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:51:07.368 ID:mbZx2GAX0.net
―水の都ウォーティス―
男「絶望した。街の中にまで及ぶこの惨状に絶望した」
妖精「美しき水上都市だもの。水が汚染されてりゃ、そりゃきったなくなるわよ」
男「うう…で、どうしてこの街に寄ったんだ? 直接神殿に行っちゃだめなのか?」
妖精「…そろそろね」
ドンッ
少女「きゃっ!?」
男「うわっ」
168: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:51:25.496 ID:mbZx2GAX0.net
男「いってー」
少女「ごめんなさい、大丈夫ですかっ…!?」
その時、男に電流走る
男(!? あ、亜麻色の…長い髪を…!!)
妖精「かぜがやーさしくつつーむー」
169: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:51:41.945 ID:mbZx2GAX0.net
少女「だっ、大丈夫ですか…!?」
男「」 ポワワワーン
少女「あ、あの…?」
男「ひゃ、ひゃい!」
妖精(ここはこいつの好みの女が出てくる事になってるからね。無理もないでしょ)
170: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:51:59.092 ID:mbZx2GAX0.net
男「怪我? いえっ、ありません。ありませんとも」 ニカッ
妖精(どっかで見た笑い方だわ…)
少女「あの…旅の方、ですか…?」
男「ええ、そうです。そうですとも」 ニカッ
妖精(うぜっ)
172: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:53:26.376 ID:mbZx2GAX0.net
少女「そうですか。あの…今、この街の宿はどこも営業していないんです」
男「そうなのか。そうなのですか」 ニカッ
少女「大陸じゅうが毒の沼地になってから、旅人なんて訪れないので…なので良かったら、私の家に泊まっていってください」
男「」 ガタッ
少女「あの…どうされました?」
男「泊まります!泊まりますとも!」 ガタガタッ
妖精(ペッ)
173: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:53:37.518 ID:mbZx2GAX0.net
―少女の家―
少女「ただいまー、おばあちゃん!」
老婆「うう…おかえり、少女…」
男「お邪魔します。お邪魔しますとも」
老婆「誰かえ…?」
少女「旅人さんよ。街の宿はやっていないから、うちに泊まっていってもらおうと思って」
妖精(毎度毎度思うけど…こんな都会の街に、そんなお人好しがいるわきゃねーだろ…)
174: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:54:05.380 ID:mbZx2GAX0.net
老婆「そうかい…この子とこんな年寄りしかいない家だけど、まあゆっくりしていっておくれ…ごほっ、ごほっ」
男「お婆さん、体が悪いの?」
少女「毒にやられてしまって…直接沼に接触しなくても、体の弱いお年寄りはこの大陸に漂う毒気に耐えられないんです」
老婆「ごほっ、ごほっ…おかげでこの娘には苦労をかけっぱなしじゃよ…」
少女「もう、お婆ちゃん。それは言わない約束でしょ」
男「…」
妖精(そら来た…)
175: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:54:53.081 ID:mbZx2GAX0.net
男「安心してください、お二人とも」
少女「えっ…?」
男「この大陸の清らかで美しい水は、この俺が元に戻してみせます」
妖精(お前は正常なこの街を見たことすらねーだろうがよ)
老婆「元に戻す…? おまえさんは、一体…」
男「何を隠そう! この俺は! いや、この俺こそが! 妖精に選ばれた、最後の勇者なのです!」
老婆「ええっ」
少女「まあっ」
176: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:55:04.175 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「はい、そういう事なんで今晩は泊まらせてもらいますよっと」
男「えっ!? 泊まってもいいの!? 妖精さんの事だから、てっきりダメとか言い出すと思ってたのに!」
妖精「ここで一晩明かさなきゃ、話が進まないの」
男「ひっ…一晩を、明かすッ…!」
少女「まさか、あなたが伝説の勇者さまだったなんて…今夜はゆっくりしていってくださいね!」
男「はっ、はひっ!」
妖精(好きにしろ)
177: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:55:14.578 ID:mbZx2GAX0.net
―夜 少女の家、屋上―
妖精「いくら何でも鼻の下伸ばしすぎだろ、あの男…くそっ、デレデレしやがって」
妖精(…)
妖精(待っててね、みんな…もうすぐ、もうすぐだからね…)
コッ… コッ…
妖精(? 誰か、来る…? って、男とあの子…!?) ササッ
男「は、話って…何かな…?」
少女「…///」
178: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:55:31.310 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(えっ!? おいおいおいどういう事だよ、いくらお楽しみイベントだっていっても、今までここまでの進展は…)
男「えっと…少女、さん…?」
少女「あの…わ、私っ…! 街でぶつかった時から、男さんの事が…!」
妖精「」
男「」
179: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:55:46.202 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(いやいやいやいやいや! おかしいって! 絶対おかしいからっ!)
少女「男さんは…あたしの事、どう思ってますかっ…!?」
男「」
少女「や、やっぱり…いきなりすぎますか…?」
男「好きです」
少女「えっ?」
男「好きですとも」 ニカッ
180: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:55:59.525 ID:mbZx2GAX0.net
少女「えっ…あのっ…それじゃあ、あのっ…!」
男「何ですか?何でしょうか?」
少女「…してください…」
男「はい?」
少女「ちゅー…してください…」
男「えっ」
妖精(えっ)
181: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:56:10.384 ID:mbZx2GAX0.net
少女「だ、だめ…ですかっ…?」
男「…ですとも」
少女「えっ?」
男「いいですとも!」 ガバッ
少女「きゃっ…!」
妖精()
182: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:56:21.607 ID:mbZx2GAX0.net
少女「そっ、それじゃあ…恥ずかしいので、目を瞑って…」
男「はっ、はひっ!」
少女「んっ…」
男「んっ、んーっ!」
妖精(えっ…ホントに? ホントにしちゃうの!?) チラッ
少女(…) ニコッ
妖精(!? こっちを見てる…!? あの笑い方、どこかで…)
183: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:56:34.498 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(! もしかして…いや、そんなまさか…その正解は、さすがの私もドン引きだわよ…!?)
少女「>じゅもん… “シェイプ”、解除だ…」
ドロローン
妖精(! あ…ああっ…!)
男「んーっ!!!」
ぴとっ
男(!? お、思ったより冷たくて、カタいな…!)
184: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:56:44.837 ID:mbZx2GAX0.net
「どうだ、ファーストキッスの味は」
男「ひ、ひやっこくて…かたいれす…」
「そうか。思うざま吸い付いて構わないぞ」
男「!? ほ、ほんとうれすか!?」
「構わないとも。それは俺の便所サンダルだがな!」
男「えっ」 カッ
妖精「あちゃー」
185: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:56:55.582 ID:mbZx2GAX0.net
「ぶわっははははははは!久しぶりだな、男!」
男「なっ…なっ…なっ…」
妖精(世界一気味の悪い、感動のご対面だわ)
男「う…うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
男「おっ、おっ、おっ…おっ、おやっ…親父…!? 親父ぃ!?!?」
父「よう、息子よ」
186: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:57:05.611 ID:mbZx2GAX0.net
男「ぶっ…ぶへぇっ、ペッペッ!!! ペェエッ!!!!」
妖精「子が子なら親も親ね」
男「妖精さん!? 見てたの!?」
父「あんたが俺の息子を預かってるっていう、妖精さんかい」
男「ちょっ…あの、これ…どういう事?」
187: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:57:25.378 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「勇者の特性。“父親と、必ず敵対する”」
男「えっ」
妖精「ってのが、あるわね」
父「そういう事だ、息子よ」
妖精「いやまあ、何で女の子に化けているのかはさっぱり何だけど」
父「ハッハッハ、息子をからかいたかっただけさ」
男「じゃあ…親父は今、敵って事なのか!?」
188: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:57:41.545 ID:mbZx2GAX0.net
父「そうだ。…そして、戦いは既にはじまっているんだぜ」
男「えっ」
父「俺こそが…この大陸の千の毒沼の主、水の闘神なのだ!」
男「えっ」
妖精「そのポジションで出てくるのは正直予想外だった」
父「さあ、息子よ。刃を交えよう! さあ、ターン1だ! コマンド!?」
―ターン 1―
男「ここでやるのかよ」
190: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:58:53.004 ID:mbZx2GAX0.net
男「くそっ…どうすればいいんだ、妖精さん!」
妖精「さあ。あたしも初めてのケースで何がなにやら」
男「えっ」
妖精「でもまあ、これで水の神殿に行く手間も省けたってもんよね。 >じゅもん…」
男「くそっ、やるしかないのか… >たたかう だ!」
父「さあ来るが良い、息子よ!!」
191: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:59:06.985 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「とにかく、そのワケわかんない素性を暴かせてもらうわ。…“アナライズ”!」
妖精さんはアナライズを唱えた!
ミス! 父にはこうがかなかった!
妖精「はあっ!?」
父「ふははははは! 効かぬ! 効かぬなあ!!」
男「よ…妖精さんのじゅもんが、効かない…だと…!?」
妖精「ちょっ、どういう事!? これが効かない敵キャラなんて、古今東西どこにもいない筈なのに!」
192: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:59:21.308 ID:mbZx2GAX0.net
父「フッフフ…お嬢さん、ちょいと頭が固いんじゃないのかい?」
妖精「なっ…賢さ1の父親のくせに、生意気なっ…!」
父「どこにもいない筈の敵がここにいる。そう考える事はできまいかな」
妖精「!」
父「そう。俺は規格外なんだよ、お嬢ちゃん…」
妖精「そんな…!?」
男(やだ…! 用務員のオッサンみたいな格好してるくせに、ちょっとかっこいい…!)
193: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 11:59:34.434 ID:mbZx2GAX0.net
父「そして! 今の1ターンで先手を打たなかったのは、致命的! フェイタリティだぜ!」
妖精「なっ…! アナライズを弾いたくらいで、調子に乗るんじゃないわよ!」
男「そうだぜ親父! 体力全振りの俺を一撃で沈めるのは無理だろうし、百戦錬磨の妖精さんに何が通じるっていうんだ!」
妖精「そうよ。あたしのレベルは255…おまけに物理回避100%、全属性・状態異常耐性も完璧。どう? 絶望したかしら?」
父「…レベル255だと?」
妖精「ええ。あなたのAIじゃ、あたしを攻撃対象に取る事すらできないでしょう?」
父「どうかな…? 次の行動の対象は、アンタだぜ…?」
男「何っ!?」
194: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:00:42.891 ID:mbZx2GAX0.net
※親父の声は藤原啓治に脳内変換してお楽しみ下さい
195: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:01:22.560 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「は、はったりよ…!」
父「それは自分の目で確かめてみるんだな。>じゅもん… モード反転、裏コード! ザ・チートッ!!」
男「えっ」
妖精「ば、ばかなっ!? そのコードは…!」
父「そう…! 前時代的、オールドタイプな五文字制限の呪文など、俺は超越した…!」
妖精「禁忌の技を使う気なのね…!?」
父「そう! 世界の“均衡”を破壊しかねないがために、神々が封印した禁呪だ!」
男(えっと、これって誰の親父なんだっけ…?)
196: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:01:34.604 ID:mbZx2GAX0.net
父「クックク…お前さん、レベルが255なんだってな? わざわざ教えてくれてありがとうよ!」
妖精「!? し、しまったっ!」
父「とくとテイスティングしろ! >うらじゅもん… “レベル5パラライ”ッ!!!」 バリバリバリッ
妖精「きゃああっ!?」
妖精さんは麻痺してしまった!
男「よ、妖精さーんっ!?」
妖精「くっ、くそっ…!」
197: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:01:46.797 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(うかつだった…まさか、伝説の耐性無視呪文を使える者がいただなんて…!)
男(妖精さんが行動不能に陥るなんて…くそっ、一体どうすれば!?)
父「どうした息子よ。女の子のサポートがなければ、お前は戦えないのか?」
男「なっ…何だとっ」
父「ここまで一人でやってこられたのか? 相変わらず、誰かの助けがなきゃあ何にもできないガキのままか?」
男「うるさいっ! フラッと出たまま何年も帰ってこない無責任親父のくせに…俺に、説教するなあっ!」
198: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:01:58.952 ID:mbZx2GAX0.net
男の攻撃!
男「だりゃあああああっ!」
父「はっはは…やっぱり、ガキのまんまだな!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「なっ…!?」
父「言っただろ? 俺は水の闘神なんだぜ?」
男「くっ、くそっ… !?」 クラッ
199: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:02:11.203 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「男っ!?」
男「な、何だ…体が…」
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「そんな…?い、一体いつ…!?」
父「どうだ? 俺からお前に贈るハニー・トラップ…恋の罠の味、もとい、便所サンダルの味は!」
男「あっ」
妖精「うわっ」
200: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:02:22.394 ID:mbZx2GAX0.net
父「ふっはは! さあ、続けるぞ…さあ、ターン2だ! コマンド!?」
―ターン 2―
男(くそっ…このままじゃ、マズい!)
妖精「男…あたしが許すから、>にげる を選択しなさい…!」
男「妖精さん!?」
父「ほう…逃げる気か? それもいいだろう。だが、この父…ファーザーからは逃げられんぞ…?」
男「っ…!」
201: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:02:55.961 ID:mbZx2GAX0.net
父「無様にもその背中を曝したところを… 後ろから一突き、バックスタブだ…」
男「くっ… 誰が、逃げるかよっ! >どうぐ っ!」
父「ほっほう、少しはマシな面構えになったじゃないか。だが…お前に父は、越えられぬッ!」
妖精「男ぉーっ、ダメぇーっ!!」
父「はっはは。お嬢ちゃんよ。そう心配しなくても、こいつに裏呪文なんて使わんよ」
父は、身を守っている!
父「父は父らしく…こうしてどっしり構えて、息子の敗北を見学…シーイングするとしよう」
202: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:03:12.701 ID:mbZx2GAX0.net
男「なめるなぁっ!」
男はガイアソードを振りかざした! 地の底より、大地のヌシが現れる!
土蛙「おひさしー」
ガイアトードの攻撃! 怒れる地のヌシの咆哮!“グランドシェイカー”!!
父「ハッハハハッハハ! 無駄無駄ァ!」
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
男「くそっ…!」
203: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:03:24.128 ID:mbZx2GAX0.net
男の体に毒がまわる… 男は35のダメージをうけた!
男「っ…!」
妖精「あの毒のタイプは、分類“イベント毒”… 解毒不能の、毎ターン10%ダメージ…! あれではいずれ…!」
男「そうなのか、妖精さん…ネタバレ、ありがとうな!」
妖精「ばっ、バカっ! そんな事はどうでもいいから、早く逃げろって言ってるのよ!」
男「いや…逃げない。ターン3、コマンドだ!」
父「ほう…」
204: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:03:36.194 ID:mbZx2GAX0.net
父「何を強がっているんだ、息子よ。お前はここで負け帰って、母さんのところで目を覚ませばいいじゃないか」
男「…」
父「勇者だって、嫌々やらされているような物なんだろ? やめちまったらいいさ、そんなもん」
男「…」
父「嫌な事があったら、別に投げ出したっていいんだ。自分の生き方を自分で決められるのもまた、大人だぜ?」
男「…あんたこそ、怖いんじゃないのか?」
父「…何?」
205: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:03:46.517 ID:mbZx2GAX0.net
男「自分が目を背けていた息子の成長が、怖いんじゃないのかっ!」
父「…ほう。息子の癖に、生意気な事を言う。だが、成長とは一体何だ? お前はこの妖精に頼り切ってここまで来たんじゃないのか」
男「そうだ」
父「ハッハハ! そうだろうとも! …全く、お話にならない… ノープロブレムだよ、お前は」
男「だが、それだけじゃない…!」
父「何…?」
206: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:03:57.858 ID:mbZx2GAX0.net
男「この、まだまだ短い旅のはじまりでっ!」
>とくぎ!
男「俺には、確かに得た“経験値”とッ!」
“かえんぎり”!
父「むっ!?」
男「敵の弱点を教えてくれる、心強い“仲間”とッ!」
“かえんぎり”!
妖精「そうか、火炎斬り…! いや、でもただの火炎斬りじゃない。あれは…!?」
207: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:04:10.036 ID:mbZx2GAX0.net
男「志を共にして… 凄い技を教えてくれた、“友”がいたんだーッ!!」
“かえんぎり” + “かえんぎり” 一人連携、発動!!
父「バカな…何だ、その技はっ!?」
男「くらええええええっ、オヤジイイイイイイっ!!!」
男の攻撃!
男「真、必殺ッ! 音速…火炎斬ッ…!」
父「ぬおおっ!?」
208: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:04:22.091 ID:mbZx2GAX0.net
水の障壁が攻撃を防いだ!
ミス! 父にダメージを与えられない!
水の障壁は消滅した!
父「ふっ…ふっはは、ふっははふっはは!」
妖精「だ、ダメなのっ!?」
父「息子よ! マイ・サンよ! 中々見事な切り札、良いショーダウンだったぞ!」
男「…」
父「だが…次のターンで障壁を貼りなおし、リペアすれば良いだけの事! 所詮は、子供の付け焼刃に過ぎなかった!」
男「…だっ」
209: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:04:32.723 ID:mbZx2GAX0.net
父「何…?」
男「まだだぁッ!」
男の追加攻撃!
妖精「えっ!?」
男「“二重音速火炎斬”…これが二重の、極みだァーーーーーッ!!!」
父「ぬおおおおおおッ!?」
210: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:04:47.169 ID:mbZx2GAX0.net
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 障壁突破ボーナス! 弱点攻撃ボーナス! 思い出補正ボーナス!
父に6190のダメージ!!!
父「ひ、光が…!? ぐあああああああっ!?」
父を…倒した!
男「はぁっ、はぁっ、はぁっ… や、やった…やったぞーーーーっ!!!」
妖精「うそーん」
211: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:05:01.140 ID:mbZx2GAX0.net
周囲の視界が、ドロドロと融けて行く…
男「えっ!?」
水の都ウォーティアは、まぼろしのヴェールに包まれていたようだ…
なんと、この場所は水の神殿だった!
妖精「そういえば、あれだけドンパチやったのに人っ子ひとり出てこなかったものね…」
父「はっはは…やるじゃねえか、息子…マイ・サンよ…」 どろどろ
妖精「!」
男「なっ…!? おっ、親父っ!?」
212: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:05:11.331 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「そうか…何かおかしいと思ってたけど…」
男「妖精さん!?」
父「シャーラップ…言ってくれるな、妖精さんよ… ネタバレはお断り…ノーサンキューだ…ぜ…」
男「い、いや! 構わない。続けてくれ、妖精さん!」
妖精「…これは、あなたの父親ではないわ…水の塊に、魂だけが宿ったもの…」
男「えっ…?」
213: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:05:31.830 ID:mbZx2GAX0.net
:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします: [sage] 2012/02/08 13:06:01.55 ID:CEWH2HDM0
男「つまり…どういう事だってばよ…?」
妖精「ここには、あんたのお父さんの魂はあっても…体は、無いって事」
男「まさか…まさか、そんな…!」
父「あーあ、バレちまったか…」
男(親父…もう、何年も家に帰って来ないと思ったら…!)
男「なあ、親父…? ウソだろ? ウソなんだろ、そんなのッ!?」
父「はっはは… バーカ、嘘じゃねえよ。ノン・フィクションだ…」
男「!」
父「俺は…出稼ぎに出た土の要塞帝国・グラン近くの鉱山で…5年前、地震に巻き込まれて…そのまま、な…」
男「う…嘘だ…嘘だッ!!!」
父「そのまま…命だけは助かったんだが…足を悪くしてな…何かこう、仕事には差し支えないんだけど…遠き故郷、ファーランドまでの道のりが…しんどくて…」
男「ズコー」
214: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:05:59.513 ID:mbZx2GAX0.net
父「まあとにかく、お前の様子が見たかっただけだ」
男「さっきまでのテンションは一体どこに振ったらいいんだ。もうだめだ」
妖精「あーくだらない…ほら、さっさと青い瞳のオーブをよこしなさい」
父「おお、そうだったな」
“青い瞳のオーブ” を受け取った!
男「やたっ!」
215: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:06:22.392 ID:mbZx2GAX0.net
父「…元気そうで何よりだったぜ。ま、俺もそのうち帰るからよ。
お前もさっさと魔王とやらを退治して、家で待っててくれや」
男「親父…」
父「おっと…もうこの体も限界みたいだな。じゃあな、男。達者でな」
父の体は、水に還ってしまった…
妖精「男…」
男「妖精さん…」
妖精「あたしからあんたにかけられる言葉は、たったひとつしかない…」
男「えっ…?」
妖精「…あんたのファーストキス、便所サンダルの底(笑)」
男「」
妖精「しかも父親の(笑)」
男「」
216: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:06:43.189 ID:mbZx2GAX0.net
―水の大陸 フィールド―
男「最悪の大陸だった」
妖精「まあまあ。それにしても、アンタらしからぬ奮戦だったわね」
男「よ、妖精さんが俺を褒めるなんて…!?」
妖精「まあ今回は認めてやるわよ。あたしが真っ先に無力化されるなんて思いも寄らなかった」
男「それについては、俺の方がびっくりした」
妖精「かえんぎりの連続攻撃か…よく思いついたわね」
男「いやー、自分でもびっくりだよ。何か妙に頭が冴えてさ」
妖精(新手の勇者特性…? それとも、あの規格外親父の息子だから、かしら? いや、もしかして…)
男「今なら、今までわからなかった事も理解できる気がするんだぜ!」
妖精「えっ」
男「ん…あれ? そういえばずっと、頭の中で何かがひっかかってたんだよな…」
妖精「」
217: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:07:05.712 ID:mbZx2GAX0.net
男「…そういえば、火の大陸で…」
妖精「ああーっ、ほら男! 今の戦いで経験値がたっぷり入ってるわよ!」
男「おっ? おお、本当だ」
妖精「早速体力に全振りしましょう! ほらほらっ!」
ピロリーン ピロリーン
男「え、えへへ…えへ…」
218: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:07:18.716 ID:mbZx2GAX0.net
男「ええっと、次は風の大陸だっけ?」
妖精「…うん」
男「どうやって行くんだ? またシドラヌに頼むのか?」
妖精「着いてきて」
-
―水の大陸の北端 海神のほこら―
妖精「到着。ここよ」
男「ここは?」
妖精「ちょっと奥に進むわ」
219: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:07:44.513 ID:mbZx2GAX0.net
―海神のほこら 水の祭壇―
妖精「ちーっす」
婆「…何者だ」
男「あっ、あれ? 火の集落の族長?」
婆「火の集落? ここは水の大陸じゃぞ」
妖精「男。世の中には自分と似た人が、色違いで3人はいるの。気にしないで」
男(別人なのか…)
婆「して、何用じゃ?」
妖精「男。アレ出しなさい」
男「アレって…やっぱり、これかな」
>どうぐ “青い瞳のオーブ”
婆「これは!? お主ら、まさか…!」
妖精「はいはい勇者御一行です」
220: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:08:06.016 ID:mbZx2GAX0.net
婆「ふむ…では、“海蛇の道”を通って、風の大陸に行くのだな」
男「海蛇の道?」
婆「海の魔物が暴れておるせいで、船は全て止まっておるからな。
本来、神聖なる海神の道は、誰も通ってはいけない事になっておるが…
勇者なら話は別じゃ」
男「妖精さん、通訳」
妖精「聞いたとおりでしょ」
221: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:08:24.381 ID:mbZx2GAX0.net
男「海で魔物が暴れてるって。今までそんな風には見えなかったけど」
妖精「シドラヌには魔物が寄ってこないからね」
男「いやだから、シドラヌに乗っていけばいいんじゃないの?」
妖精「海竜シドラヌ入手のタイミングは、本当は3つのオーブ入手後なの」
男「え?」
妖精「あれに乗っていくと風の谷のイベントが始まらないのよ」
男(ああ、インチキしてるツケが回ってきてるのか…)
婆「相談は終わったかの?」
男「あっはい」
妖精「とにかく海神の道に乗っけてちょうだい」
婆「仕方あるまい。あれは持っておるのだろうな?」
妖精「ぬかりないわよ」
男(あれって何だ?)
222: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:08:40.062 ID:mbZx2GAX0.net
―海蛇のほこら深部 海蛇の道前―
婆「さ、準備は良いな」
妖精「OKよ」
男「ちょっと待った」
妖精「何よ」
男「海蛇の道って…これ、何なんだよ」
妖精「見た通りでしょ」
男(穏やかに凪いでる海面に一本だけ、幅3メートルくらいの不自然な激流がある)
男「まさかこれがずーっと風の大陸まで続いてるんじゃないだろうな」
婆「そうじゃが」
男「自然とはいったい…うごごご…」
妖精「男。はい、これ」
男「えっ」
“ガラスだま”を手に入れた!
223: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:09:00.326 ID:mbZx2GAX0.net
男「何この金魚鉢。どっから出てきたの」
妖精「アイロニアで買っておいたのよ。それ頭装備だから、はやく被って」
男「えっ」
妖精「いいからはよ」
男はガラスだまを装備した! ぼうぎょりょく 217 → 218
男「防御力1しかないんだけど。あと息で視界が曇る」
妖精「今だけだから我慢しなさい」
婆「準備は整ったな。では、海神の加護のあらん事を…」
男「おっ、出発か。それで船は?」
妖精「んなもん無いわよ」
男「えっ…まっ、まあ妖精さんも同行するって事はそれで大丈夫なんだよな」
妖精「…」
男「何で黙るの。ねえ何で黙るの」
224: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:09:11.769 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「>じゅもん! “アミュレト”!」
妖精は男にアミュレトを唱えた!
男「わっ!? 何、何したの」
妖精「お守りよ。今回はあんた一人で行ってもらうから」
男「えっえっ」
-
男「何でよ」
妖精「何でもよ!!」
男「な、何怒ってるんだよ…」
妖精「…とにかく、風の大陸の事はあんたに任せるわ。
あたしは後で合流するから。さっさと緑の瞳のオーブを取ってきなさい」
男「後でって…」
225: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:09:26.406 ID:mbZx2GAX0.net
婆「何をもたついておる? 男だったら潔く飛び込まんか」
ドンッ バシャーン
男「アバーッ!? アイエエエエ、入水!? 入水ナンデ!?!?」
男は海神の道に乗った! 不思議な力がはたらく…
男「何これぇ!? すごい勢いで沖に流されていくんですけどー!!」
妖精「そのタイルは移動速度8倍の矢印床属性だからねー! そのまま風の大陸まで止まらないわよー! じゃねー!」
男「ちょっおまっいくら何でもざっけっ段々深くなってきたよぉあばばばばばばば」
妖精「ガラスだまは呼吸装置だから大丈夫よー」
男「こんなんで息ができてたまるがぼぼぼぼぼぼぼもうだめばばばば」
男は水平線の彼方に消え去った…
妖精「…ごめんね、男」
226: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:10:00.728 ID:mbZx2GAX0.net
水の大陸おわり ちょっと休憩します
235: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:22:25.915 ID:mbZx2GAX0.net
はじめます こっから中二入ります
236: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:22:38.939 ID:mbZx2GAX0.net
―風の大陸 浜辺―
男「ごほっごぼっべはっ…くそっ、何で死んでないんだよ…
で、ドコなんだよ…ココは…」
男は周囲を調べた! ここは風の大陸の浜辺のようだ…
男「俺のかしこさじゃあ小学生並みの状況把握しかできない」
?「キャーッ!」
男「悲鳴!? あっちか!?」
237: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:23:01.294 ID:mbZx2GAX0.net
盗賊A「ヘッヘッヘ…観念しなってお嬢ちゃん」
娘「いやーっ! 誰か助けてーッ!!」
盗賊B「そんなに騒いだって誰も来やしねェって…ぐへへへへ」
男「な、何だよあのテンプレ展開…まるでRPGじゃないか…!
おいっ、お前らっ!」
盗賊A「あァ? 何だァ、テメエ」
男「俺は…勇者だ!(キリッ)」
娘「えっ?」
盗賊B「ブフォwwwww」
男「大丈夫ですかお嬢さ…って、うわあああああ!? その顔っ…おっ、親父かっ!?」
娘「えっ? あっ、あのっ…何を言ってるのか、よく…」
男(あっ…世の中には似た容姿の人が3人はいる、って奴か?)
238: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:23:16.176 ID:mbZx2GAX0.net
男「いえ、お嬢さん。何でもないんです。これは失礼をば(ニカッ)」
盗賊A「おいィ? さっきから何ワケのわからなねー事ひとりでブッ呟いてンだ?」
盗賊B「人のデート邪魔しといてさあ、あんまりチョーシこいてるとボコにすんよ勇者クーン?」
男「うるっせええオラアアアアア!」
バキャッ
YOU WIN! テレッテッテッテーン
盗賊A「ぎにゃぁぁぁぁ!!」
盗賊B「うっぐぺぺぺぺーっ!」
男「えっ…何、コレは…」
娘「す、凄い…戦うまでもないレベル差があったから、戦闘を省略して瞬殺してしまったんですね!」
男「そ、そうなの? い、いやまあ勇者の為せる技ですとも。ハハハ。ハハハハハハ!!」
239: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:23:30.681 ID:mbZx2GAX0.net
娘「素晴らしいです! 貴方なら村を救えるかもしれない!」
男「村を救う…? す、すげえ…RPGや…これRPGやぞ!! ウヒョ―――イ!!!」
娘「引き受けていただけますか、勇者様!」
男「ハハハ! お任せ下さいお嬢さん! 血まなこ巨人でもキングラフレシアでも、どんと来いですよ!(ニカッ!!!)」
娘「ありがとうございます! では、こっちです!!」
―風の集落―
男「ここが風の集落かあ…すごい数の風車小屋だなあ」
娘「勇者様、あれを見てください」
男「えっ? …何だこりゃあ、村中盗賊まみれだ」
娘「あの人たち、3日くらい前にやってきて…村中で好き放題やってるんです」
男「さっきの連中の仲間か。要するに俺に奴らを倒して欲しい、って事だろ?」
娘「はい。お願い、できますか?」
男「フッ…お任をば(ニカカッ)」
240: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:23:49.324 ID:mbZx2GAX0.net
―風の集落、広場―
盗賊C「AとBが帰ってこねえな」
盗賊D「クク…奴らは俺ら盗賊団の中でも最モブ…」
盗賊E「娘一人かどわかせないとは、盗賊のツラ汚しよ…」
男「ウオオオオ!!!」 ザクーッ
盗賊CDE「ギャアアアアアアアアア!!!」
YOU WIN! テレッテッテッテーン
男「俺TUEEEEEEE!!! この調子でお前ら全滅だらァーッ!!!」
ガチャッ
黒騎士「騒がしいな…」
男「えっ…何か真っ黒いフルアーマーの騎士がいきなり民家から出てきた…」
盗賊達「おかしら!!」
男「どう見ても盗賊団の頭じゃない」
241: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:24:11.999 ID:mbZx2GAX0.net
黒騎士「我は漆黒の騎士…“ビューティフィリオンフェヒター”と呼ばれし者」
男「ひどい名前だ」
娘「気をつけて下さい! 村の男達が束になっても、あの騎士には敵わなかったんです!!」
男「ボスキャラかよ…でも、今の俺なら…!」
黒騎士「ほう…面白い。試してみるか?」
漆黒の騎士は、男の身の丈をゆうに越える騎士剣を構える…
男「剣でけえ」
黒騎士「これは剣というにはあまりにも大きすぎた…大きく分厚く重く、そして大雑把すぎた…」
男「なにいってんの」
黒騎士「形容する…“鉄塊”、と!」
漆黒の騎士は大地を蹴り、恐ろしいスピードで男に迫る!!
男「素早い!」
242: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:24:44.329 ID:mbZx2GAX0.net
* モンスターがあらわれた! *
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
男(妖精さんのいない、正真正銘のタイマンははじめてだ…)
黒騎士「どうした、臆したか?」
男「あせんなって! >たたかう!」
―ターン 1―
男の攻撃!
男「だりゃあああああ!」
黒騎士の攻撃!
黒騎士「はああああああっ!」
男「えっ!?」
243: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:25:01.748 ID:mbZx2GAX0.net
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「そ、そんなのあるのかよ!」
黒騎士「甘いぞ…そらあっ!」
男「ぐあっ!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 27のダメージ!
男「いいってえ!」
244: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:25:13.725 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 2―
黒騎士「どうした。貴様の力はその程度か」
男「くそっ! 火力負けか…なら! >とくぎ!」
黒騎士「ほう」
男「いくぜえっ!」
男の攻撃! ガイアソードが炎にうなる! 火炎斬り!
黒騎士「フッ、火炎斬りか…ならば!」
黒騎士の攻撃! 鉄の塊が炎にうなる!
黒騎士「燃えよ…世界は命じた!」
火炎斬り!
男「何っ!?」
245: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:25:25.792 ID:mbZx2GAX0.net
両者の素早さは互角! 鍔競り合いが発生!!
男「ふぬぬぬぬぬっ!」
黒騎士「おおおおおおおっ!」
男「うぎぎぎぎぎ…お、押されているッ! 駄目だアッ―!!」
男はパワー負けして吹き飛ばされた! 45のダメージ!
男「うあっちぃいいいい!!」
246: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:25:39.218 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 3―
黒騎士「くだらん」
男「な、何だと!?」
黒騎士「こんなものなのか、男!」
男「ぐぎぎ…言わせておけば! こうなったら! >とくぎ!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「真、必殺っ!! 二重音速火炎斬―――ッ!!!」
黒騎士「面白い! こちらも、行くぞォッ!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり” 一人連携、発動!!
男「う、嘘だろ!?」
黒騎士「最 終 警 告 ッ!“法則の崩壊”…ミラ・アンセス―――ッ!!!」
247: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:25:52.629 ID:mbZx2GAX0.net
両者の素早さは互角! 打ち合いが発生!!
男「てやっ! だらっ! そりゃぁっ!!」
黒騎士「ほっ! ふっ! ハァッ!!」
1合目、攻撃は相殺した!
2合目、攻撃は相殺した!
3合目、攻撃は相殺した!
男「こなくそーっ!!」
黒騎士「オオオオオッ!!!」
248: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:26:03.219 ID:mbZx2GAX0.net
盗賊C「す、すげえ…何かドラゴンボールみたいな事になってら」
盗賊D「ものすごい熱気が二人の周りを囲んでるぞ、ありゃあ何だ?」
娘「あれは…互いの闘気が互角のレベルで炸裂しているせいで、互いの体にダメージが届かず、
周囲にエネルギーが留まり続けている状態です」
盗賊D「えっ」
娘「あのエネルギーは戦況の拮抗が崩れた瞬間、押し負けた方に一気に流れ込む筈…
そうなれば必死のダメージは免れない!!」
盗賊E「そ、そう。お嬢ちゃん詳しいですね」
娘「モブのたしなみです」
249: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:26:15.665 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン EXTRA―
男「お前ッ! どこでこの技をッ!!」
96合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「知りたいかっ…はあッ!」
97合目、攻撃は相殺した!
男「俺のオリジナル技じゃ…なかったのかよ!!」
98合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「俺は死の淵より舞い戻り、この技を得たのだ!
それに、元はといえば…火炎斬りは、俺の技だッ!!」
250: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:26:37.941 ID:mbZx2GAX0.net
男「何っ… うわっ!?」
99合目、攻撃は相殺した!
黒騎士「フッ… 終わらせるぜ、男!!」
男「お、お前…まさか!?」
黒騎士「おおおおおおおおおッ!!!」
黒騎士の攻撃! クリティカルヒット!
100合目! 男は競り負けてしまった!!
男「うわあっ!?」
場を渦巻いていたエネルギーが、一気になだれ込む!!
男「ぎゃああああああッ!!!!」
男に9709のダメージ! 男は、倒れてしまった…
251: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:26:49.524 ID:mbZx2GAX0.net
娘「お、男さ―――――んっ!!」
盗賊達「SUGEEEE!!! さすがお頭!!!!」
男「く…そっ…」 ガクッ
黒騎士「お前は何も知らんのだ…男」
―くらやみ―
男「あれ…どこだここ」
妖精「やあ、男」
男「あれ、妖精さん? ここどこですか、何で俺連れてこられたんですか」
妖精「ボクはセーブ妖精。君の知ってる妖精じゃないよ」
男「あ、ああ…よく見たら色が違う。またそっくりさんなのか。一体どうなってんだ?」
252: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:27:08.214 ID:mbZx2GAX0.net
男「俺に何か用なの? セーブなんてした事ないけど」
妖精「そりゃあそうだよ。セーブ妖精はもう、ボクしか残ってないから」
男「えっ?」
妖精「それはとにかく、ちょっとじっとしててね。>じゅもん… ごにょごにょ」
妖精は男に呪文を唱えた!
男「わっ!? 何したんだ!?」
妖精「はい、おしまいだよ。んじゃ、リスポンさせるからねー」
男「ちょ、ちょっと待ってくれよ。意味わかんないんだって。何? どうなってんの?」
妖精「気にしないで。ちょっとしたおまじない。
おっと、そろそろ切らないとやつらに気付かれちゃうな」
253: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:27:19.961 ID:mbZx2GAX0.net
くらやみの空間に、少しずつ光が差し込んでくる…
男「うおっまぶしっ! おい、まだ聞きたい事が…!」
妖精「またね。頑張ってね、男」
―風の集落 娘の家―
男「っぷはぁ!?」
娘「勇者さん! 目が覚めたんですね!!」
男「娘さん!? ここは…」
娘「ここは私の家です」
男「盗賊の奴らは? 黒騎士はどうなった!?」
娘「あの人達は引き上げていきました。勇者さんのおかげです」
男「そっか。…良かった、な」
娘「はい。本当に、ありがとうございました。」
254: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:27:31.237 ID:mbZx2GAX0.net
―風の集落 高台―
男「風、ンギモッチイイイイイイイイ!!」
娘「くすっ、この村は気に入って貰えました?」
男「うん、牧歌的で超最高。俺の村も風は吹いてたけど、なんか終末感がすごくてさ…
あっそうだ娘さん、緑の瞳のオーブって知ってる?」
娘「はい。緑の瞳のオーブは、あの山の頂に祀られています」
男「あの山に?」
娘「はい。あれは“妖精の山”。不思議な妖精達が住まう、おとぎの山です」
男「! 妖精の山…じゃあ、妖精がたくさんいたりするの?」
娘「そう伝えられています。もっとも、見たことがある人はいないんですけどね。
妖精がいるなんて、不思議で素敵なお話ですよね」
男(俺が知ってる妖精さんは不思議というより理不尽で、間違っても素敵ではない)
255: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:27:45.079 ID:mbZx2GAX0.net
男「じゃああの山が次のダンジョンってわけだね。娘さん、俺ちょっと行ってくるよ」
娘「もう行ってしまわれるのですね。では、これをお持ちください」
男は“どうぐぶくろ”を受け取った!
男「これは?」
娘「一人旅では何かと入用かと思って。少しばかりのアイテムを入れておきました」
男「おおっ、すごい助かるよ。ありがとう娘さん」
娘「いえ、村を救っていただいた勇者さんへのせめてものお礼です。
では勇者さん、お気をつけて」
男「うん。じゃあ、さようなら娘さん!」
男は妖精の山に向かって行った…
娘「…頑張るのですよ、男…」
257: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:28:00.994 ID:mbZx2GAX0.net
―妖精の山、登山道―
男「ハァ、ハァ、ハァ…ふう、結構登ったな。
エンドナも最後の村だけあって悪路だらけだったけど、こらきっついわ。
…ん? あれは洞窟の入り口かな」
―妖精の洞窟、入り口―
男「巨大な岩が洞窟の入り口を塞いでいる。側に立て札があるなあ。>しらべる」
“これより禁足地 何人も立ち入るべからず”
男「それじゃあ話が進まないだろ。うーん…岩を、>しらべる」
男は岩を調べた。よく見ると、岩の真ん中にはくぼみがある…
男「これでしょ! >どうぐ、“赤い瞳のオーブ!”」
男は赤い瞳のオーブを使った!
何も、おこらない。
男「詰みです \(^o^)/」
258: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:28:17.716 ID:mbZx2GAX0.net
男「いや、こっちか…」
男は青い瞳のオーブを使った!
岩は音を立てて崩れ始め、跡形もなく崩れ去った!
男「ふう…大ハマリかと思ったぜ。よっしゃ、行こう」
―妖精の洞窟 第一の試練の部屋―
男「いかつい扉が目の前にある。>しらべる」
扉は堅く閉ざされている。
男「で、何か床がくぼんでてこんなんなってる」
□□□
□□□
□□□
259: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:28:40.209 ID:mbZx2GAX0.net
男「これ、アレだよね… 床の上に立って、>しらべる と」
□■□
■■■
□■□
男「やっぱりお約束のアレだこれー!」
でも俺は知っているんだ。まずは四隅の床を踏むだろ?」
■□■
□□□
■□■
男「そんで真ん中を踏んで、パパッとやって終わり!」
■■■
■■■
■■■
男「いやー、賢さ上がっちゃうなー!!」
どこかで扉の開く音がした…
男「すぐそこだろ」
260: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:29:01.442 ID:mbZx2GAX0.net
―妖精の洞窟 第二の試練の部屋―
男「…」
□□□□
□□□□
□□□□
□□□□
男「まあ、いいけどね。これくらいなら適当に踏んでても解けるでしょ。ポチポチー」
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
男「えっ…敵出るのかよ、面倒臭い」
☆ 省略(ちゃんと戦った) ☆
20分後…
■■■■
■■■■
■■■■
■■■■
男「ふう、疲れた…まあこんなの妖精さんにやらされた苦行に比べたら何でもない。
むしろ謎解きはRPGの醍醐味だもんな! よっしゃ、次行こう!」
261: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:29:18.071 ID:mbZx2GAX0.net
―妖精の洞窟 第三の試練の部屋―
男「ウッソだろお前…」
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
□□□□□
男「これ、結構時間かかるんじゃないの…」 ポチポチポチポチ
1時間後…
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
■■■■■
男「ハァー、ハァー、ハァー… よし、頑張った。俺頑張った」
どこかで扉の開く音がした…
男「大丈夫。風、吹いてきてる。確実に。今までに無い冒険感を感じる。着実に俺の旅に。
とにかく最後までやってやろうじゃん!」
262: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:29:49.883 ID:mbZx2GAX0.net
―妖精の洞窟 第四の試練の部屋―
男「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
□□□□□□
男「誰だよダンジョンには謎解きが必須みたいな風潮を生みやがったのはよ!!!!!
そういうゲームじゃねーからこれ!!!!1111」 ポチポチポチポチポチポチポチ
* モンスターがあらわれた! *
どろハンドA があらわれた!
どろハンドB があらわれた!
どろハンドC があらわれた!
どろハンドD があらわれた!
どろハンドA「ヌトォ…」
男「しかも何でどろハンドなんだよ!!!
こいつら仲間呼ぶから戦闘が終わらねーんだよ!!!!
何が妖精の試練の間だよ妖精族は人に苦痛を味あわせるのが
生き甲斐なのかよヴボァアアアアアアア!!!!!111111」
263: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:30:09.463 ID:mbZx2GAX0.net
気の遠くなるような時間が流れ…
男「ハァ゛― 、ハァ゛― 、ハァ゛」 ポチ
■■■■■■
■■■■■■
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■■■■■■
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どこかで扉の開く音がした…
男「次もこのギミックだったら帰る。もう勇者やめる」
264: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:30:29.159 ID:mbZx2GAX0.net
―妖精の山 山頂―
男「はぁー…ひゃあ゛あ゛ぁ゛ー、空気うまいいいぃぃ…
さすがにあれで終わりだよな。続きを作ろうなんて鬼畜の所業を越える」
―山頂のほこら―
男「あった! あれだ、緑の瞳のオーブ!!」
男は山頂のほこらに駆け寄った。
突然、凄まじい旋風が吹きすさんだ!!
男「のわっ!?」
265: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:30:41.177 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「フン、遅っせーんだよバカが。スイッチ床でどんだけ手こずってんだよ」
男「何だお前!? …って、また妖精で、また黒かよ! もうわけわかんないよ!!」
黒妖精「また妖精? 山の途中で妖精を見たのか? そんなの有り得ないだろ、バーカ」
男「初対面で感じの悪い奴だな! だからお前は誰なんだっつーの!」
黒妖精「俺は風の闘神。魔王様の最も忠実なるしもべだよ」
男「! 三闘神か!!」
黒妖精「他のバカふたりと括るんじゃない。…さて、最後の勇者なんて言葉に踊らされてるバカめ。
遊んでやるから来てみろよ」
男「このっ、生意気なチビスケが…!」
266: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:30:51.813 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「なっ…! チッ、>じゅもん…“メタモル”!」
黒妖精はメタモルを唱えた! 黒妖精は青年の姿になった!
黒「うお、イケメンになった」
黒妖精「二度とそんな口が訊けないようにしてやるよ!」
* モンスターがあらわれた! *
風の闘神、黒き妖精があらわれた!
男「こんなガキはちゃっちゃとやっつけて、妖精さんとエンドナに帰るんだ! >たたかう!」
267: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:31:05.592 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 1―
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
男「ちっ、風の闘神ってだけあって、先手を取るのは厳しいか…!」
黒妖精「クク…」
黒き妖精は精神を統一した! 次の攻撃は必中になる!
男「? 攻撃は、してこないのか?」
黒妖精「ほら、来いよ…」
男「言われなくてもだ! うおおおっ!」
男の攻撃!
黒妖精「バカめ」
ミス! 黒き妖精にダメージを与えられない!
男「くっそ、あたらねえ…!」
268: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:31:17.414 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 2―
男(スピード差がすごいぞ、どうする…!)
黒妖精「どうした? 来ないのかバカめ」
男「うるさいっ! >とくぎ…!」
黒妖精「カカカッ、できねえよ!!!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「死ね。“息の根止め”」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
男「何だソレ反則っ…がぁッ!?」
精神統一により必中! 男は死んでしまった!
黒妖精「アハハハハハハッ!!!」
269: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:31:28.426 ID:mbZx2GAX0.net
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「がほっ! ごほっ! げほげほぉっ!!」
黒妖精「…ハァ?」
男「ぜぇっ! はぁっ! はぁ…っ! 俺、何で生きて…!?」
黒妖精「…あァ、わかった。おいバカお前、アミュレト付けられてるだろ」
男「アミュレト…? そういえば妖精さんが…」
黒妖精「即死肩代わり呪文なんて無駄な事しやがって…これだからアイツは」
男(妖精さんの事を知っているのか? …いや、三闘神なら当たり前か)
黒妖精「ま、どっちにしろもう1回死ねるだけだよな。ハハハハ!」
男「くそっ…この野郎っ…!」
270: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:31:38.754 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン 3―
男「畜生! どうすれば…!!」
黒妖精「別に何も考えなくていいだろうが。何したって当たりゃしない。逃げられもしない。
お前じゃ俺には絶対に勝てないんだよ!」
男「くっ… くそっ!!」
?「全く見苦しいな、男」
* 更なるモンスターがあらわれた! *
男「えっ!?」
黒妖精「あァ?」
漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター があらわれた!
黒騎士「最後の勇者とやらがこの体たらくか…全く、失笑を禁じ得ないな」
男「お前っ!?」
271: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:31:50.365 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「誰かと思ったら没モンスターデータの残骸が。何でこんなところをうろついてるんだよ」
男「没モンスターの残骸!?」
黒騎士「貴様の知った事ではない。俺は出現位置を持たない亡霊…どこにいようと自由だ」
黒妖精「フン。どっちにしろお前の加勢など無用だよ。そこで黙って見てろ」
黒騎士「加勢だと? 笑わせるな」
男「えっ?」
黒妖精「何を言っている?」
黒騎士「知らないのか? パーティアタックという概念を」
黒妖精「テメエ…」
272: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:32:03.786 ID:mbZx2GAX0.net
男「パーティーアタック…って、味方に攻撃するって意味だよな、確か…」
黒騎士「男。合わせろ」
男「合わせろ、って…」
黒騎士「ふたつの火炎斬りの連携が俺達の技だ。それを更に連携させれば、こやつとてひとたまりもない」
男「そうか…よし、わかった! >とくぎ!」
黒妖精「バカがバカみたいな作戦を…立ててんじゃねえッ!」
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
黒妖精「そこのアホ面さえ殺せば…こんな茶番は、終わるんだよッ!!!」
黒妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「死ねェェェェ!!!」
273: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:32:15.771 ID:mbZx2GAX0.net
男「くっ…!」
黒騎士「臆するな! 精神統一は乗っていない!! かわせ!!!」
男「おおっ…おおおおおおおお!!!」
ミス! 男には効果がなかった!
黒妖精「何だとっ…!?」
黒騎士「よくやった! 今だ!!」
男「うおおおおおおおっ!!! 俺の両手が真っ赤に燃える!!!」
男の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒騎士「お前を倒せと轟き叫ぶ!!!」
黒騎士の攻撃! “かえんぎり”+“かえんぎり”!!
黒妖精「何だ、このバカ熱気はッ…!?」
274: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:32:35.582 ID:mbZx2GAX0.net
男と黒騎士の連携攻撃!!
男「真…必殺…音速、火炎ッ!!!」
黒騎士「最終…警告…法則、崩壊ッ!!!」
“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”+“かえんぎり”、炸裂!!!
超高熱のエネルギーが、天を貫く柱となる!!!
男&黒騎士「エクス…カリバアアァ―――――――ッ!!!!!!!」
黒妖精「バカ…な…う、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!?」
男&黒騎士「光に、なれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
クリティカルヒット! クリーンヒット! フェイタルヒット!
連続攻撃ボーナス! 素早さシンクロボーナス! 精神シンクロボーナス!
友情パワーポーナス! 限界突破ボーナス!
黒妖精に99999のダメージ!!!!!
男「すごい…や、やった…! 俺達、こんなパワーが…!!」
275: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:32:53.556 ID:mbZx2GAX0.net
黒騎士「…いや…!!!」
―ターン 4―
男「な、何だって…!?」
黒妖精「テメエらぁあああ…!!!!」
黒騎士「化け物め…」
男「え、HP10万越え…!?!?
何なんだよ…結局こいつだって、ただのボスキャラなんじゃないのかよ!?!?」
黒妖精「バカがバカ騒ぎしやがって…!!! この落とし前はキッチリつけてもらうからなァ!!!!!」
?「そこまでよ!」
男「! この声は…!」
妖精がかけつけた! パーティーに妖精が加わった!
男「妖精さん! 今度は本物だ!!」
276: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:33:05.979 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「よーう、アバズレ妖精」
妖精「アミュレトが切れたから来てみれば…あんた、何しに出てきたのよ」
黒妖精「何って? 俺は風の闘神なんだからここにいて当たり前だろ?」
妖精「HP10万の風の闘神なんざいないわよ。…本当の本当にバカなのね、あんたは」
黒妖精「そっくりそのままお返しするよ、バーカ」
男「妖精さん。その言い合いは気が抜ける」
妖精「気ぃ抜くんじゃないわよ。いいからこいつ、どかすわよ」
黒騎士「…俺はここまでにさせてもらおう」
黒騎士は様子を見ている…(1ターン放棄)
妖精「あんたは…いや、後でいいわ。>じゅもん…」
男「やるしかない…!」
妖精「男。こいつのHPは10万ぴったりよ。何でもいいからあと1発、ぶち込んでやりなさい」
男「わかった! >たたかう!」
黒妖精「…」
277: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:33:25.743 ID:mbZx2GAX0.net
黒き妖精の特殊能力! オートヘイスト!
黒き妖精の素早さは上昇している!
妖精「無駄よ。あたしの素早さはカンストしている…!」
妖精はアミュレトを唱えた!
妖精「魔退けたる五芒の星を刻まん。護印となりて命に代われ。“アミュレト”!」
男は1度だけ、即死攻撃に耐性を得た!
男「よっしゃ!」
妖精「フ…詰みね」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒妖精「…そらよ!」
男「がっふ…!」
命中! 男は死んでしまった!
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
男「はぁッ…! げほげほっ、キッツい…!! が、耐えたぞ!!」
278: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:33:37.041 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「…クククッ!!!」
黒騎士「むっ!?」
黒き妖精の特殊能力! 手負いの獣!
HPが10%以下の時、連続行動!!
妖精「はっ…、しまった!?」
黒妖精「アハハハ―――ッ!!! バカがバカがバカが!!!!」
黒き妖精の攻撃! 男の肺から空気を抜き取り絶命させる!
黒妖精「死ねェエァ――――ッ!!!」
息の根止め! 100%デスの即死攻撃!!
黒騎士「よけろ、男―――ッ!!!」
男「だ、ダメだ…かわせなっ…」
命中!
男「ぐっ…は…」
男は死んでしまった!
黒騎士「男!!!」
妖精「男―――っ!!!」
279: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:33:56.222 ID:mbZx2GAX0.net
男「ごぼっ、はっ、はぁ… え…?」
加護の呪文が発動! 男は立ち直った!
黒騎士「なっ…」
妖精「ちょ…はっ? 何で?」
黒妖精「バカな!? アミュレトはひとりにつき1回ずつしかかけられない筈だ!!!!」
男「はぁっ、はぁっ…そうか、あの妖精がかけてくれたの…あれ、アミュレトか…」
妖精「あの妖精、って…」
黒妖精「妖精だと!? そんなワケねえ…俺達以外に妖精がいる筈ねェ…!」
男「何だかわかんねーけど…覚悟しろ、このガキ―――っ!!!」
男の攻撃! クリティカルヒット!!
黒妖精「づぁああああああああ!!!」
黒き妖精に120のダメージ! 黒き妖精を…倒した!
281: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:35:49.205 ID:mbZx2GAX0.net
書き溜め尽きました(´・ω・`)
リアルタイム進行になります…
286: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:42:29.395 ID:mbZx2GAX0.net
男「いょっしゃあああ! 」
黒妖精「ぐうっ…クソがっ…!」
黒妖精の体が消えていく…
男「あっ、消えちゃうぞ。妖精さん、知り合いなんだろ?何か話さなくていいのか?」
妖精「…コイツと話す事なんかないわよ」
288: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:45:24.603 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「まさか負けるとはッ…ハッ、だが聞けバカ男! こんなのは全部茶番なんだよ!!」
男「えっ?」
妖精「…やめなさい」
黒妖精「風の闘神? 笑わせるなよ、俺の本懐はそんな所じゃねえ。
他のバカふたりと決定的に違うのは、」
妖精「やめなさいって言ってるでしょ! とっとと消えなさい!!」
男「妖精さん…」
黒妖精「ヘッ…」
290: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:47:01.432 ID:mbZx2GAX0.net
黒き妖精は、山の頂に霧散してしまった…
男「消えた…よかったのか、妖精さん。俺最後の勇者なんだろ?もう会えないんじゃ…」
妖精「どうだっていいのよ。それより、そこのガチャガチャ黒鎧」
黒騎士「…」
293: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:50:13.904 ID:mbZx2GAX0.net
男「そうだ。聞く機会が無かったから忘れてた。なあお前…美剣士なんだろ?」
黒騎士「…違う」
男「いやいやどう考えてもそうだろ。俺でもわかるわ」
妖精「あんたそれ、まんま没モンスターの“黒き騎士”じゃない。
どういう事なのよ」
黒騎士「ぬけぬけとお前が、よくもそんな事を言えたものだ…まあいい。」
295: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:53:31.749 ID:mbZx2GAX0.net
黒騎士「今の俺は…阿修羅すら凌駕する存在だ」
妖精「そういうのはいいから、ロストしてから今に至るまでを説明しなさいっつってんの」
男「ロスト? え??」
黒騎士「俺は、火の神殿の燭台の上で力尽き、そのままロストした。
俺という存在はこの世界から“抹消”され、自我は虚空の中に呑まれていった…」
男(あっこの語りかっこいい)
299: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 12:58:44.189 ID:mbZx2GAX0.net
黒騎士「冷たい水の中に沈んでいくような感覚…自分という個が塵になり、世界の闇に溶け込んでいく。
俺のその奈落の深淵で、ひとつの騎士鎧と出会った。“漆黒の騎士、ビューティフィリオンフェヒター”…
この世界に生まれる事なく、何ひとつ活躍する事もなく虚の海で眠り続ける、哀れな存在…
奴は望んでいた。その漆黒を、闇の深淵から光の中へと」
妖精「あーあー大体わかったわかった没データと合体して復活したのね出番の無いクズ同士のフュージョンねはいはい」
男(あっ、もっと聞きたかった)
302: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:03:36.836 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「それで黒騎士と融合した影響で元々ひどかった中二病がもっともっともーっと悪化してるわけね」
黒騎士「…相変わらず、人格が悪魔に支配されているかのような女だな」
男「えーっと…よくわからないけど、美剣士がパワーアップして帰ってきたって事だろ?
よかった。俺、またお前と冒険したいなって思ってたんだ」
妖精(えっ…コイツまだあたしが美剣士をロストさせたのに気がつかないの…? こわっ)
黒騎士「フッ…変わらないな、お前は。だが、俺はお前と共に行く事は無い」
男「? な、何でだよ。また一緒に旅しようぜ!?」
304: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:05:56.645 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「男。こいつ敵データなのよ。パーティーには入りようがないわ」
男「えっ? だって今、一緒に戦ってくれたじゃないか。あんな感じでいいじゃん」
妖精「あのね、あたしたち勇者パーティー。こいつが隣を歩いてて、あたしたちが歩くとどうなるか、わかんない?」
男「あっ…もしかしてエンカウントするのか?」
黒騎士「そういう事だな」
307: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:08:33.660 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「そういうわけでしょ。あんたなんて居ても何の役にも立たないの。さっさと消えて」
黒騎士「お前に言われずとも、俺は俺の道を行く。もう俺は美剣士ではない」
男「そうか…じゃあ、またしばらくお別れなんだな。美剣士…えっと、今は黒騎士?」
黒騎士「何だ」
男「魔王倒したら、一緒に遊ぼうぜ(ニカッ)」
黒騎士「…! フッ…」
309: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:10:51.047 ID:mbZx2GAX0.net
黒騎士「覚えておこう!」
黒騎士は去っていった…
妖精「はあ…」
男「妖精さん…えっと、聞いていい?」
妖精「…何よ」
男「風の大陸には来たがってなかったじゃないか。どうして来てくれたんだ?」
311: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:13:52.433 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「別に。アミュレトが切れたから、面倒なのが出たんだと思ったのよ」
男「…あいつって、妖精さんの何なの? 獅子人戦と違って明らかにシリアスだったじゃん、何あの空気」
妖精「ばっ…あんた、あたしの事まで中二病扱いする気!?」
男(いや…だって思いっきり飲み込まれてたし)
妖精「アイツは…あのバカはただの知り合いよ。他には何もないわよ」
男(そうかなあ… あと、すごく聞きたい事があるんだけど。これを聞いてもいいものか)
312: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:15:55.119 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「何も無いなら、さっさとそこのオーブを回収してエンドナに戻るわよ」
男「なあ、妖精さん」
妖精「今度は何よ」
男「ここって…妖精の山って、妖精さんの…」
妖精「! …男、行くわよ!!」
男「あっ…ちょっと待ってよ!」
男と妖精は緑の瞳のオーブを手にし、風の大陸を後にした…
316: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:20:31.576 ID:mbZx2GAX0.net
―最果ての地 四柱の祭壇―
男「さて…いよいよ帰ってきたのか。旅の終着点、最果ての地…地元に!!」
妖精「はいはい。ここは説明いらないでしょ。ちゃちゃーっとやっちゃいなさい、男」
男「おう。まず、オーブがみっつだろ。んで中央の黒い柱を取り囲むように、赤青緑の柱があるだろ」
妖精「うんうん」
男「柱の下に各色のオーブを置くだろ。すると何かおこる!」
妖精「はいはーい、賢さ1くんよくできましたー」
319: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:25:02.122 ID:mbZx2GAX0.net
男は朱の柱に、赤い瞳のオーブを置いた。
男は蒼の柱に、青い瞳のオーブを置いた。
男は翠の柱に、緑の瞳のオーブを置いた。
三つのオーブから黒き柱へと光が注がれ、
黒き柱は天へと誘う光の柱となった!
男「お、おおー…すごい」
妖精「後はこれに乗って魔王城までひとっとびよ」
男「魔王城って…曇天に阻まれて、見えないけど」
妖精「宙に浮いてんのよ」
男「ほぁー…いかにもって感じだな」
322: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:29:48.173 ID:mbZx2GAX0.net
男は光の柱に触れた。体が天空に引きずりこまれる…!
男「う、うわあああああああぁぁぁぁ!!!」
―魔王城 滅びの庭―
男「ハッ!?」
妖精「はぁー、着いた着いた。さ、あの門から入るわよ」
男「ちょっ…妖精さん、ここ最終決戦の舞台でしょ!? そんな不用意にズカズカと…」
妖精「大丈夫よ、ここはエンカウントないから。はよ行くわよ」
326: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:34:34.995 ID:mbZx2GAX0.net
―魔王城 ホール―
男「ガクガクブルブル…」
妖精「なにびびってんの」
男「いやだってここ魔王城」
妖精「大丈夫だって言ってんの」
男「まだレベル上げが足りないんじゃ…」
妖精「あたしレベル255。無問題です」
327: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:37:43.078 ID:mbZx2GAX0.net
―魔王城 玄武の間―
男「玄武の間!? 何!? 四天王!?」
妖精「いないいない。素通りしまーす」
―魔王城 白虎の間―
男「いかにもすぎるでしょ!? 何かいるんでしょ!?」
妖精「何もいませーん素通りしまーす」
―魔王城 朱雀の間―
男「もう駄目だぁ…おしまいだぁ…」
妖精「だから何もいないんだっての」
―魔王城 青龍の間―
男「…あ、あれぇー?」
妖精「拍子抜けよね。さ、パパーっと行きましょ」
330: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:38:54.383 ID:mbZx2GAX0.net
―魔王城 最後の間―
妖精「いやー、誰とも会わずに済んだわ。ラッキーラッキー」
男「…」
妖精「ん、どしたの男。もうこの先は魔王の間だよ、準備いいかしら?」
男「…いや、おかしくない?」
妖精「えっ?」
331: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:40:40.692 ID:ZMMzC3260.net
かしこさ1のはんげき!
332: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:42:44.058 ID:mbZx2GAX0.net
男「いや、いくら何でも敵いなさすぎだろ」
妖精「ほら、終盤のダンジョンだから。知ってる? 魔王の城っていうのはさ、
本当に信頼のおける精鋭部隊しかいないから、エンカウント率が極端に低くって…」
男「いやいやいや! おかしいって、絶対おかしいって!!」
…なあ、妖精さんこれ変だって…」
妖精「…じゃあ、何だっていうのよ?」
男「えっと…魔王の罠、とか…」
336: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:45:33.939 ID:mbZx2GAX0.net
妖精(…こいつは、どこまでも)
男「な、妖精さん? 引き返した方がいいんじゃ…」
妖精「いいのよ。どっちにしろこの扉あけないと何も進まないじゃない。
仮にあんたは命を絶たれたって復活できるんだから、いいでしょ」
男「うーん… うーん、うーん、うーん…」 ブスブス
妖精(知恵熱でとるわ)
男「ま、まあー…いいのかなぁ…」
妖精(! 流石やで!) グッ
337: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:48:04.988 ID:mbZx2GAX0.net
男「よ、よし…じゃあ開けるぞ」
妖精「うん。それで魔王倒して、…全部、終わりにしましょう」
男「ん、そうだな。世界に平和をもたらさなきゃな!
じゃあ…」
妖精(…)
男「>しらべる!」
男は最後の間の扉を調べた。
禍々しい音を立てて扉は開いていき、背筋の凍るような冷たい風が漏れ出した…
妖精(…)
妖精(ごめんね、)
妖精(男。)
341: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:51:08.958 ID:mbZx2GAX0.net
―魔王の間―
男「…ゴクッ」
男が魔王の間に足を踏み入れると、扉は無情な音を経てて封を閉じた。
引き返す事は、できない…
男「あの、階段の上でドクロのトゲトゲ玉座に座ってるのが魔王か…」
魔王「…」
男「ゴクッ… プッ、プレッシャァーッ…すげえぜ…」
魔王「…」
342: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:52:55.597 ID:mbZx2GAX0.net
男「くっ…」
魔王「…」
男「…」
魔王「…」
男「…!」
妖精「何してんだよ。はよいけ」
男「えっあっ、はい」
344: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:55:47.428 ID:mbZx2GAX0.net
男は一段ずつ、階段を登っていく…
男(何か…下からだとよく見えなかったけど)
一段、階段を登る。
男(黒いマントに… ヤギ…? みたいな頭した…)
また一段、階段を登る。
男(なんか、線が細くって…)
更に一段、踏みしめる。
男(何だ…すっごい老けてない…?)
そして、ついに玉座と対峙した…
345: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 13:58:14.197 ID:mbZx2GAX0.net
男「えっと…お、お前が魔王か?」
魔王「…」
男(間近で見ると、ほんとにヨッボヨボで…何つーか)
魔王「…」
男「すごく…弱そうです…」
魔王「…そうとも」
男「うっひゃぁっ!?」
350: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:01:23.376 ID:mbZx2GAX0.net
魔王「さあ…始めよう、勇者よ。…そして、終わらせよう。
私は待っていた…この時を。永く、永く…そしてただ、虚しく」
* モンスターが あらわれた! *
男「か、語りもそこそこに…もうかよ!?」
魔ヲ統ベル皇 と…対峙した…!!!
354: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:05:42.554 ID:mbZx2GAX0.net
―ターン1―
男「くっ…いよいよ年貢の納め時か! 妖精さん、戦術は…って、」
妖精の姿は無い。
男「あれえええええええ!? あ、あれえええええええええ!?!?」
魔王「何を怯えている、勇者よ」
男「なんでいないんだよ!? 何でラスボス戦で仲間がいないんだよおおおぉぉ!?!?」
355: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:07:38.413 ID:mbZx2GAX0.net
魔王「恐れる事は無い。…さあ、来るが良い」
男「恐れるなって…無理だよぉおおお! 村男Aひとりで魔王と戦えるわけないだろおおお」
魔王「取り乱すな。勇者、お前には最初から…」
魔王「仲 間 な ど 、 い な か っ た の だ 。」
男「えっ…?」
357: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:09:14.515 ID:mbZx2GAX0.net
魔王「意味は自ずとわかるだろう…さあ、勇者よ」
魔ヲ統ベル皇は様子を見ている…(1ターン放棄)
男「はっ?」
魔王「その剣で、私を殺せ」
男「えっ? えっ???」
360: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:11:46.212 ID:mbZx2GAX0.net
男「あ、わかった。あれでしょ?」
魔王「…」
男「今あの段階なんでしょ? 世界の半分をやろうとか言ってさ、」
魔王「…」
男「油断しきった所を背後から一突き…バックスタブだ! みたいな」
魔王「黙 れ」 ギロッ
男「ひいっ!?」
365: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:14:47.238 ID:mbZx2GAX0.net
男「うっ…うわぁああああ!!!」
男は恐怖にかられてしまった! 男の攻撃!
魔王「ぬっ…」
魔ヲ統ベル皇に305のダメージ!
男「はぁっ、はぁっ…えっ、何かすごいダメージでて…」
魔ヲ統ベル皇を…倒した!
男「はっ?」
368: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:16:15.121 ID:0alkVNR00.net
えっ?
369: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:16:48.325 ID:mbZx2GAX0.net
魔王「ふっ…」
魔王の姿は、黒い霧へと変わり霧散していく…
男「はっ…はぁ?」
あ な た は 魔 王 を 打 ち 破 っ た の だ ! ! !
男「いやお前何いって…」
魔王「これでもう…苦しまずに済む」
魔王は闇の彼方へと溶けていった…
373: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:18:24.066 ID:mbZx2GAX0.net
男「…」
男「…」
男「…あれ?」
男「…」
男「…」
男「えっ?」
男「…」
男「…」
男「…」
男「………………!!!」
378: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:20:22.386 ID:mbZx2GAX0.net
男「何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で…」
>しらべる
何も、おこらない。
男「何で何で何で!!!」
>しらべる
何も、おこらない。
男「どうして、何も起こらないんだ!?!?」
383: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:23:58.ウンコ ID:mbZx2GAX0.net
?「それが、この世界の真実だからだよ」
男「!? なっ、な…誰!?」
?「はじまりの村から、大志を抱いて旅立って。
仲間と共に大地を駆り、海を越え、時には空すらも翔んで。
世界を救う英雄となる事を夢見て、ついには魔王に挑み…」
男「何言って…」
?「結果、このザマだ」」
389: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:27:01.756 ID:mbZx2GAX0.net
男「お、お前は…」
?「はじめまして男くん。僕はアレックス。
はじまりの村より出でて、この地に佇む、ある者の成れの果てだ」
男「ある者って…」
?「そうだね。例えば、」
勇者「“ 勇 者 ” とか。」
男「…!?!?」
402: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:29:49.947 ID:mbZx2GAX0.net
男「い、いやっ…勇者は俺だろ!? 何言ってるんだ!?」
勇者「妖精から聞いていないのか? 勇者は一人じゃないって」
男「全員ロストしたはずじゃあ…!?」
勇者「うん。そう言えって命じたのは僕だし」
男「はっ…? 命じ、って…」
勇者「あながち嘘でもないしね。実際、」
勇者「他は全部僕が殺したよ」
407: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:32:20.133 ID:mbZx2GAX0.net
男「なっはっちょっえべべべべあばばばばばばば」
勇者「やれやれ。賢さ1じゃあ理解が追いつかないのかな。おーい、妖精」
妖精「…」
男「よ、妖精さん? 妖精さん、説明を要請するよ妖精さ――――――――んッ!!!」
妖精「うっさい! 取り乱しすぎだろこのバカ!!!」
410: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:34:51.857 ID:mbZx2GAX0.net
男「えっちょっどういう事なのこれ」
妖精「そうね。別にこんな事、わざわざ説明してやる義理もないんだけどね」
男「義理ない、って…」
妖精「あんたがバカにも程があってあんまり哀れだしね。」
妖精「冥土の土産に教えておいてあげるわ」
413: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:37:16.923 ID:mbZx2GAX0.net
男「…!」
妖精「あんたは最後の勇者。…に、世界が仕立て上げたって言ったでしょ」
男「…あ、ああ」
妖精「そもそもあんたは勇者じゃないのよ」
男「いや、それは知ってるけど…」
妖精「そうじゃない。そもそもあんたが勇者になる可能性事態がそもそもゼロだったのよ」
男「は?」
424: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:43:12.578 ID:mbZx2GAX0.net
勇者「勇者の枠は255人なんだよね」
男「枠…? え?」
勇者「データベース。僕がナンバー1ね。で、赤き鎧の勇者だとか、隼の盗賊の勇者だとか、
まあぞろぞろ、ぞろぞろ。255人までまあ無駄に数がいてさ」
男「いやお前、さっきそいつら殺したって…」
勇者「うん。殺した。僕と、僕達…その仲間が。…例えば、」
勇者「妖精とかね」
426: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:46:17.124 ID:mbZx2GAX0.net
男「!!!!!!」
妖精「で、その254人を消した時点で目的は達成できる筈だったの。
なのにあんたが出てきた」
男「な…何で」
勇者「盲点だったよ。1〜255を抹消してしまえばいいと思っていたのに。
全ての勇者をこの世界から排除した後で、
まさか、“0”に該当する勇者がでっち上げられるなんて」
男「それが…それが俺なのか??」
433: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:49:44.388 ID:mbZx2GAX0.net
妖精「そうよ。全く、おかげでステータスも、とくぎも、まるっきりバグった特性ばっかり持ちやがってね。
振り回されて疲れたわよ」
男「…つ、つまり妖精さんは…俺を消すために、俺をここまで連れてきたのかよ!?」
妖精「やっとわかったの? そういう事よ」
男「何で…何でそんな事するんだよ!? 魔王倒して…世界を平和をにして、普通に暮らせばいいじゃないか!!」
?「アッハッハッハッハッハ!!!」
男「な、何だよ!? 今度は誰だ!?」
437: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:52:33.576 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「いやーお前マジでバカだよな! ほんとバカだよな!」
男「お、お前…風の大陸の…」
黒妖精「お前さぁ、たっった今、何した?」
男「えっ…」
黒妖精「今だよ、今! ほんっっとうについぞさっき! 5分くらい前!! なっ、何した!? 言ってみ!?」
男「何って…魔王を、倒して…」
440: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:54:22.242 ID:mbZx2GAX0.net
黒妖精「アッハハハハハ!! で、何? どうなった?」
男「どうなったって…こ、こんな事になってなかったら、そのまま…」
黒妖精「そのままァ?」
男「世界に平和が戻ったんだから…後は帰って、普通に…暮らして…」
妖精(…)
勇者「そう。それだよ」
男「えっ…」
444: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:55:56.578 ID:XhGcutVt0.net
最後の村出身って時点でバグって事か
448: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 14:58:40.950 ID:mbZx2GAX0.net
勇者「男くん。この世界って何?」
男「えっ…?」
勇者「思いっきりメタっていいよ。風の大陸でも叫んでたじゃないか。
床のギミックに苦戦してさ」
男「あっ…いやっ、はずみで言ったんだけど…何かタブーっぽい風潮あったけど、ついはずみで…」
妖精「…言いなさいよ。それが世界の現実にして、あたしたちが対峙してる矛盾よ」
男「えっと…」
男「ゲーム…」
451: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 15:01:29.884 ID:mbZx2GAX0.net
勇者「そうだね。では、この世界がロールプレイングゲームだとして。
魔王を倒したら?」
男「魔王を倒したら…エ、エ、エ…エンディン、グ…」
勇者「…そうだね。では、今は?」
男「えっ?」
勇者「今、この時は?」
男「うっ…うっ、うっ…!」
>しらべる
何も、おこらない。
456: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 15:04:30.863 ID:mbZx2GAX0.net
男「う、嘘でしょ…?」 ダッダッダッダッ…
男「か、帰る…俺もう、帰る…」
>しらべる
男は扉を調べた! 扉は堅く閉ざされている…
男「うぐっ…ぐぅっ――――――!!!」
引き返す事は、できない…
男「うわあああああああああああああああああ!!!!!!」
461: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 15:08:34.108 ID:mbZx2GAX0.net
男「な、何でぇぇぇっ!?!?」
勇者「…エンディングは、無い。出来損ないなんだよ、この世界は。
僕は最初の勇者だったから…一番早くそれに気付いてしまった」
男「おかしいいだろおお!?!? だ、だからって!! だからって、
妖精さんを使って…他の勇者を、皆殺しにしたのかよぉっ!?!?」
黒妖精「あーあ、そうだよ。楽しかったぜ? ハ、ハハハハハハハ!!!」
男「なあ、妖精さん! おかしいだろ妖精さん!?
妖精さんは…妖精さんは、こんな事やりたくてやってるんじゃないんだろ!?!?」
妖精(…! くっ…)
471: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2015/06/24(水) 15:13:34.258