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梓「気楽に殺ろうよ」




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1:SS速報:2009/12/09(水) 21:21:17.98 ID:8OTiwgwm0


とある病院の診察室にて。

梓「多分、あれがきっかけだったと思うんです。
  昨日……月曜日ですね……
  いつもと変わらない日常でした……」

梓「いつもの時間に学校に行き、
  いつものように授業を受けました……」

梓「いつものように部活……音楽室へ」

梓「その時です! ものすごい激痛が!
  死ぬかと思いました……背中から刃物でもつっこまれたみたいな……」

梓「発作は5分も続いたでしょうか……。
  ケロっとおさまりました……」

医者「ホウ、ケロっとね、フムフム……」


3:SS速報:2009/12/09(水) 21:29:11.87 ID:8OTiwgwm0


梓「それからです。いつも通りじゃなくなったのは……」

医者「どんなふうに?」

梓「たとえばですね…………」

興味深げに体を乗り出してくる医者。
それを見て梓は話すのをやめた。

梓「よしましょう。
  どうせおかしいのは、私の方です……
  だいたい私はこんなとこへ来たくなかったんです。
  唯先輩がどうしてもって言うから……」

医者「まあ、そう結論を急ぎなさんな」

梓「いえ、みんなそう言うんですよ。
  それに私もそんな気がしてきましたから」

医者「まあまあ……」

梓は帰り支度を始めたが、
医者に促されて再びベッドの上に寝転んだ。
そして、自らの身に起こったことを少しずつ語り始めた。

梓「……で、まあ発作がおさまって、起きたわけです」


9:SS速報:2009/12/09(水) 21:34:06.15 ID:8OTiwgwm0



――
―――
――――
―――――

ところがですね……なんだか変なんです。
どこが変だとは言えないんですけど……。
勝手知った音楽室が、まるで見知らぬ世界みたいな感じ…………。

音楽室には先輩たちが既に集まっていました。

唯「あっ、あずにゃん。
  あずにゃんも学校きてたんだね」

梓「へ? そりゃそうですよ。
  日曜じゃあるまいし」

唯「?」

私は唯先輩を軽くあしらいつつ、
テーブルにつきました。

梓(うーん……どうも、なんだか……)

私は小さな違和感を覚えました。


12:SS速報:2009/12/09(水) 21:40:03.59 ID:8OTiwgwm0


すぐに違和感の正体が分かりました。
いつもならお茶やらお菓子やらが並んでいるのに、
テーブルの上に何も出ていなかったんです。

梓「今日はティータイムはなしですか?」

なにげなく言っただけでしたが、
律先輩は「ぶっ」と噴き出し、澪先輩は顔を真っ赤にして俯きました。

律「なんだよいきなりー。大胆だな、梓は」

梓「へ? 何がですか? 今日は珍しくお菓子食べてないなー、って……」

澪「ば、ばかっ! そういうこと言うなっ!」

梓「はい?」

紬「うふふふ、じゃあ梓ちゃんのリクエストにお答えしてお茶を始めようかしら///」

唯「えへへ、恥ずかしながらいつ始まるのかソワソワしてたんだ」

そういうと唯先輩は立ち上がり、
カーテンを閉めてドアに鍵をかけました。





14:SS速報:2009/12/09(水) 21:44:23.54 ID:8OTiwgwm0


梓「お、お菓子食べるのになんでカーテン閉めて鍵かけるんですか!?」

唯「え? なんでって……」

律「普通だろ」

梓「ふ、普通って……」


―――――
――――
―――
――



梓「……ね、おかしいと思うでしょ!」

医者「……いや……今の常識から見ればちょっぴりはずれてるともいえるが……
   決して異常ではありません。しごく正常です」

梓「そうですか?」


17:SS速報:2009/12/09(水) 21:49:41.72 ID:8OTiwgwm0


医者「だいたい食欲なんてものは生きていく上に不可欠の本能で、
    これをもっとオープンなものにしようという考え方は、
    北欧あたりから始まって、今や世界的風潮となっていますな。
    異常ではないどころかあなたは大変進んでいらっしゃる!」

そう語りながら、医者は棚の引き出しを開けて
中から写真やらフィルムやらを取り出した。

医者「実は、私コレクションしとるのです。
    写真、テープ、8ミリ……ほれ、乱食パーティーのカラーですぞ」

と、独りでにやにやと趣味にふける医者を尻目に
梓は帰り支度をしていた。

医者「どうして帰るんですか!」

それに気づいた医者が慌てて引き止める。

医者「あなたの行動は、理解できると言ったのですよ」

梓「もう嫌です、全然噛みあわないじゃないですか!」


19:SS速報:2009/12/09(水) 21:54:53.32 ID:8OTiwgwm0


医者「分かりました!
    やり直します。いっさいの常識とか固定観念なんかを捨てて……
    そうだ! われわれは火星人になりましょう!」

梓「火星人?」

医者「初めて地球にやってきたのです。
    さあ、見るもの聞くもの、すべて奇異に感じられる。
    あなたは昨日から探検に出かけ、今帰ってきた」

梓「はあ」

医者「ごくろうさま!
    さ、報告をきかせてくれ。
    君の体験のすべてを……それからふたりで考察しよう」

梓はみたびベッドに寝転んだ。




――
―――
――――
―――――


20:SS速報:2009/12/09(水) 22:00:19.31 ID:8OTiwgwm0


お菓子は食べましたよ。
なんとなく罪深く気恥ずかしい雰囲気でね。

唯『今日もおいしいね……///』

紬『うふ、ありがと……///』

澪『うう……恥ずかし』

律『もぐもぐ』

梓『……?』

やがてティータイムは終わりました。
それでも先輩たちは一向に練習を始める気配がありませんでした。
まあ、いつものことなんですけど。

梓『先輩、練習しましょうよ』

唯『練習? なんの?』

梓『バンドのですよ』

澪『なんでだよ、せっかくの部活なのに』

梓『……?』


23:SS速報:2009/12/09(水) 22:04:55.85 ID:8OTiwgwm0


澪先輩まで練習したがらないというのは異常でした。
私は独りで練習することにしました。

梓『……』じゃんじゃかじゃんじゃんじゃかじゃん

紬『精が出るわね、梓ちゃん』

律『部活中なんだから練習なんてしなくていいのに』

唯『部活中くらいゆっくりしたいよねえ』

澪『そうそう』

梓『はあ……』

私はなんだか馬鹿らしくなってきました。

唯『あれ、もうやめちゃうの』

梓『はい』

紬『そういえば梓ちゃん、この間の話、お父さんにしていただけたかしら?』

梓『え? なんでしたっけ』


24:SS速報:2009/12/09(水) 22:10:49.25 ID:8OTiwgwm0


紬『梓ちゃんちの権利書を譲ってもらう話よ。
  急かすようで申し訳ないんだけど』

梓『はあ……?』

紬『私の父は、100万円まで出してもいいって言ってるわ』

梓『100万……?』

紬『早いうちに話を付けてほしいの。
  梓ちゃんのおうちの人が、さしあたり殺したい人もいないなら……』

梓『はあ、そうですね…………殺す!?
  い、い、い、今なんて言いました!?』

紬『もう、ちゃんと話を聞いててよ』

梓『む、む、ムギ先輩がいきなり意味分かんないこと言うからっ!』

イライラしてたとこに、またまたトンチンカンな話でしょ。
喧嘩になっちゃいましたよ。

唯『お、落ち着いて、二人とも……』


26:SS速報:2009/12/09(水) 22:18:59.88 ID:8OTiwgwm0


紬『もう……またあとで、ゆっくり相談しましょう』

梓『はい………………すみません』

律『あ、そ、そうだ。楽器のカタログ持ってきたんだ。
  一緒に見ようぜ』

澪『そ、そうだな』

私のせいで重くなってしまった空気を変えるように、
律先輩たちが必要以上に明るく振る舞ってくれました。
違和感続きでしたがこういうところは変わりませんでした。

律『私、このドラムいいなーって思ってて』

澪『どれどれ?』

私も横からページを覗き込みました。
すると、そこには全裸の女性が描かれていたのです。

梓『うわっ!!』

律『ど、どうしたんだよいきなり』


28:SS速報:2009/12/09(水) 22:23:59.73 ID:8OTiwgwm0


梓『なななななな、なんですかっ! この卑猥な……』

律『はぁ……? 女の人が映ってるだけだろ』

澪『これがどうかしたのか?』

梓『あっ……いや、その』


―――――
――――
―――
――



梓「あの目つき……
  先生も変だと思いますよね!?」

医者「んっ!? ハイハイハイまったく!! 実に変だ!!
    地球人は実に変わってる! なんと不思議なおかしな人種だろう。
    ……………で、何が?」

梓「もう、ちゃんと私の話を聞いてくださいよっ!!」

医者「あ、なるほどなるほど! わかった、わかりました」


29:SS速報:2009/12/09(水) 22:29:34.12 ID:8OTiwgwm0


医者「つまり、食欲に関すること一切が秘めごとになっているのに、
    性欲の方があまりにもあけっぴろげだと、こういう疑問ですな」

梓「はあ、まあそういうことです」

医者「まったくだ!! われわれ火星人から見ると、
    じつに奇怪な価値観の逆転だ!!」

梓「うう、やっと話をわかってくれる人にめぐりあえた……」

思わず涙ぐむ梓。

医者「しかし! せっかく地球へ来たんだから……
    ひとつ地球人の立場で考えてみましょうや。
    それなりの必然性があるかもしれない」

梓「はあ」

医者「食欲、性欲……ともに最も根源的な欲望ですな。
    どちらが欠けても地球人は滅亡する」

梓「……でしょうね」

医者「ところで、この二つのうち、どっちか恥ずかしがらねばならんとすれば、
    はたしてどちらですかな」





33:SS速報:2009/12/09(水) 22:34:43.96 ID:8OTiwgwm0


医者「食欲とはなにか!?
    個体を維持するためのものである!
    個人的、閉鎖的、独善的、欲望と言えますな」

また話が変な方向に向かいつつある……
と思いながらも梓は黙って聞いていた。

医者「性欲とは!?
    種族の存続を目的とする欲望である!
    公共的、社会的、発展的、性格を有しておるわけです」

梓「はあ?」

医者「と、こう考えれば、
    地球社会のあり方も怪しむにたりませんな!」

梓「私は怪しみますよっ!
  大体いつからそんなことになったんですか?」

医者「昔からに決まっとる……だと思いますよ」

梓「そうかなあ……」

医者「じゃ、まあその問題はこっちへおいといて……」


34:SS速報:2009/12/09(水) 22:43:01.62 ID:8OTiwgwm0



――
―――
――――
―――――

唯『あずにゃん、どうしたの?
  さっきからおかしいよ』

おかしいのはそっちですっ!!……と怒鳴りたかったのですが、やめました。
なんだか自信がなくなっちゃって……。
私はそれから先輩たちの会話になるべく口を挟まないようにしました。

律『そうだ、ライブハウスの件だけどな』

澪『うん』

律『どうやら、私たちにライブさせてもらえそうなんだ』

唯『え? そうなの?』

紬『他のバンドがやることになったんじゃなかったかしら』

律『そのバンドのボーカルが殺されたらしくてさぁ』


35:SS速報:2009/12/09(水) 22:48:41.91 ID:8OTiwgwm0


唯『へえー』

律『それで、そのバンドが辞退して、
  こっちに回ってきたってわけ』

澪『おー、やったな』

紬『うふふ、殺してくれた方にお礼を言いたいわね』

それなら本番に備えて練習しましょう! とか
殺人者にお礼なんて不謹慎です! とか
言いたいことは山ほどありましたが、ここはぐっと堪えました。

唯『あずにゃん、ほんとに大丈夫?
  顔色悪いけど』

梓『あ、いえ、大丈夫です……』

律『本当か~? ライブハウスの話で一番喜ぶの梓だと思ったのに、
  完全に無反応だし』

紬『具合悪いならそう言わなきゃダメよ』

梓『はあ……』


36:SS速報:2009/12/09(水) 22:54:03.72 ID:8OTiwgwm0


澪『梓が体調悪そうだし、今日の部活はここまでにするか』

紬『そうね』

梓『いえ、いいですよ、そんな……
  私一人で帰りますからっ』

唯『だめだめ、帰る途中で倒れたりしたら危ないから、
  送ってってあげるよ』

梓『はあ、そうですか……すみません』

唯『いーのいーの、たまには先輩を頼ってくれなきゃ』

私たちは部活を終えて帰ることにしました。
私は別に体調を崩しているわけではありませんでしたが、
色々あって精神的に疲れてしまったので、
さっさと家に帰って横になりたい……と思っていました。

学校から帰る途中、律先輩の弟さんに会いました。

聡『あっ、姉ちゃん』

律『よう』


37:SS速報:2009/12/09(水) 23:00:03.69 ID:8OTiwgwm0


聡『澪姉、この前のすごく良かったよ~。
  またやろうな!』

澪『おう、いつでもいいよ』

澪先輩と短い会話を交わすと、
弟さんは自転車でさーっと走り去っていきました。

梓『何をやったんですか?』

澪『ん? セックスだよ』

梓『ぶーっ!』

私は思わず吹き出してしまいました。

澪『聡はすっごくうまいんだぞ~。
  見かけの割にアソコもデカイしな。
  梓も相手してもらうといいよ』

梓『わっ、私は結構ですっ!!!』

澪『そうか? 気持ちいいのに。なあ、律』

律『ああ、聡はセクスうまいよな』


40:SS速報:2009/12/09(水) 23:09:15.22 ID:8OTiwgwm0


兄弟でそんなことを……と考えましたが、
落ち着いて考えてみれば私以外の人々は
そういう価値観を持っているのでした。

そういえば、ここに来るまで食べ物屋さんを
一件も見かけなかったことに気がつきました。

交差点で澪先輩、律先輩、紬先輩と分かれ、
唯先輩と2人で帰ることになりました。

唯『そうだ、あずにゃん。明日も休みでしょ?
  だから、憂がうちに泊まりにこないかって誘ってたんだけど』

梓『はあ』

唯『体調悪いんなら、やめとこうか?』

梓『そ、そうですね……遠慮しておきます』

唯『そっか、分かった。じゃあお大事にね~』

そんなことを話しているうちに、私の家につきました。
私は唯先輩に分かれを告げ、家の中に入りました。


42:SS速報:2009/12/09(水) 23:18:14.07 ID:8OTiwgwm0


すると、変なにおいが鼻を付きました。
なんだか生臭いような……。
私は廊下に赤黒いシミが点々とついているのを見つけました。
おそるおそるそれを辿っていくと……。

梓母『あら、おかえり梓』

リビングにいたのは、
血まみれで倒れる父と、ナイフを持って返り血を浴びた母。

梓『ぎゃーっ!! いやあああああっ!!!』

私は転がるように家から飛び出し、すぐに唯先輩のあとを追いました。

梓『唯先輩!! 唯せんぱーいっ!!』

唯『あれ? あずにゃん、どうしたの?』

梓『と、泊まりますっ! 唯先輩の家、泊まらせてくださいっ!』

唯『どうしたのあずにゃん、そんなに息を切らせて……なにかあった?』

私は理由を話しませんでした。
話したところで、また変に思われるだけですから。

唯『ほんとに変だよ、あずにゃん。大丈夫なの?』


44:SS速報:2009/12/09(水) 23:25:08.95 ID:8OTiwgwm0


―――――
――――
―――
――



医者「フーム……なんと恐ろしい!
    地球人たちは殺人を公認しているのですか!
    まったく考えられんことだ」

梓「そーなんですよ」

医者「さて、ここでまた地球人の視点に立ってみましょうか。
    この社会をひとつの巨大な生物にたとえよう。
    生体にとってですな、それを構成する細胞の間にですな、
    たがいに殺し合いたがるほどのトラブルを抱えこむということは、
    望ましいことでしょうかな?
    個人的イザコザは個人的に解消したほうが……」

梓「そんな、ムチャです! ムチャクチャですよ!」


48:SS速報:2009/12/09(水) 23:30:28.09 ID:8OTiwgwm0


医者「さらに……地球の容量から考えれば、
    現在の社会は成長期を過ぎたと見なければなりません」

梓「いや、しかし……」

医者「これ以上ふくれがることは許されない。
    あとは、個々の細胞の代謝だけです」

梓「でもそれじゃ……」

医者「出生率は年々増加するのに自然史は減る一方!
    と、なれば無理のない形で間引きを考える必要も……」

梓「……」

医者「では、うかがおう!
    なぜ、生命は尊重しなくちゃならんのです?」

梓「わかりきったことじゃないですか!」

医者「それじゃ答えにならない。
    論理的に説明してください! さあ!
    さあ、さあ、さあ!」

梓「それは…………」





50:SS速報:2009/12/09(水) 23:37:06.72 ID:8OTiwgwm0


待ち合い室。
唯と憂がソファに腰掛けて梓を待っていた。

憂「あっ、梓ちゃん」

梓が医者とともに診察室から出てきた。

医者「ご安心ください。
    梓さんは、すっかり妄想から解放されました」

唯「そっかー、よかったあずにゃん」

憂「良かったね、梓ちゃん」

梓「うん…………あの、憂」

憂「ん?」

梓「……朝からぶっ通しでお腹ぺこぺこなんだ。
  早く帰って憂のご飯が食べたいな///」

憂「も、もう、梓ちゃんったら///」


52:SS速報:2009/12/09(水) 23:39:48.26 ID:D8mjgrbpO


この世界だと、飲食店と同じような感覚で風俗があるのか



53:SS速報:2009/12/09(水) 23:41:37.71 ID:VX8CQ0GUO


飲食店が風俗みたいなもんだよね


つまり食事に梓を誘う唯は…



54:SS速報:2009/12/09(水) 23:47:19.44 ID:8OTiwgwm0


梓「ほんとにどうかしてましたよ、私」

唯「もういいんだよ、あずにゃんが元気になればそれで。
  そういえば、あの権利書、もうムギちゃんに売ることにしたの?」

梓「ああ、それなんですけど、私の母が使っちゃったみたいで……」

唯「なんだ、そっか」

梓「なんでそんなこと聞くんです?」

唯「いやね、さっき憂と殺人について話してたんだ」

憂「うん。私ね、純ちゃんを殺したいの」

梓「えっ、なんで?」


55:SS速報:2009/12/09(水) 23:54:57.86 ID:8OTiwgwm0


唯「憂、純ちゃんにいじめられてるんだって」

梓「え、そ、そうだったの!?」

憂「うん……ずっと前から……もう耐えられないの」

梓「そんな……仲良さそうに見えたのに」

憂「表向きはね。でも、裏では……」

梓「そ、そうだったんだ……」

唯「憂、ごめんね……お姉ちゃんなのに、力になってあげられなくて」

梓「私こそ、今まで気づかなくて、ごめんっ」

憂「ううん、気にしないで」

梓「憂……」

その後、3人は平沢家で食事を摂り、
梓は自分の家に帰った。


57:SS速報:2009/12/10(木) 00:00:47.43 ID:9W8UdWlz0


梓「ただいまあ」

梓母「おかえりなさい」

梓父「おかえり」

梓「お、お父さん!?」

梓の父は体に包帯を巻いていたが、
まだ生きていた。

梓「殺されたんじゃ……?」

梓母「いえ、どうやら致命傷にはならなかったみたい。
    でも浮気を反省してくれたから、それでいいわ」

梓父「ははは、死ぬかと思ったよ」

梓「ふうん……じゃあ、権利書は?」

梓母「まだあるわよ」

梓「そうなの? じゃあ、頂戴!」

梓父「誰か殺したいやつでもいるのか」


60:SS速報:2009/12/10(木) 00:14:07.28 ID:9W8UdWlz0


梓(これで純ちゃんを殺して、憂を救ってあげられる!)

その日の夜、梓は久しぶりにぐっすりと眠ることができた。


翌朝。

梓「うーん、久しぶりのさわやかな目覚め…………ん?
  なんか、いつもと違うような……
  いや、勘違いだよね、せっかく治ったんだから」

梓はすぐに違和感を振り払った。
着替えて登校の準備をし、そして鞄にナイフを忍ばせる。

梓「よし、やるぞ!
  いってきまーす」

梓母「えっ、梓、お弁当忘れてるわよ、お弁当ー!!
    ……行っちゃった」

梓(待っててね、憂。私が絶対助けてあげるから。
  うん、絶対に純ちゃんを殺してあげるから!)

食事屋の前を通り、お菓子を食べ歩く人とすれ違いつつ、
梓は意気揚々と学校へ向かうのであった。

          お               わ            り


63:SS速報:2009/12/10(木) 00:17:13.00 ID:9W8UdWlz0


これで終わり

最初はミノタウロスの皿でやろうと思ってたけどこっちに変更
確かに面白みが足りなかったかもしれんね


62:SS速報:2009/12/10(木) 00:16:24.15 ID:uBkIetx/O


おっ



71:SS速報:2009/12/10(木) 03:15:46.18 ID:GDh4PKxd0


普通におもしろかった





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