歴史というものは既に決定している事象なのですが、その歴史を解釈する時代や背景や史家によって大きく変わる。例えば赤穂浪士。忠臣蔵なんて武士道や忠義が絶賛されたのは明治以降らしい(庶民には人気あったらしいけど)。近代国家を目指す政府にっとって赤穂浪士の武士道という観点が都合よかったのでフィーチャーした(という説もある)。逆恨みによって集団でジジイを闇討ちした事件も様々な解釈がある。

歴史というのはどう解釈するか、時に為政者の都合で改変されたり、と角度を変えたりすると面白い。で、漫画でも歴史物がかなり多いんですけど、そう解釈するかとかそう描いちゃうとか知らなかった事を知ったりとめったくそ面白い。というわけで、いま面白い歴史漫画でも紹介します。

『センゴク一統記』
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羽柴秀吉と徳川家康、天下を占う総力決戦!!織田家筆頭家老となった羽柴秀吉は、天下人への道を進み始めた。だが、覇道を進む秀吉に、あの徳川家康が牙を剥く!!日本史上ただ一度、二人の傑物が激突する“小牧・長久手の合戦”、ここに開帳―!!

オレ内部歴史漫画の堂々1位に君臨し続けているのがこの『センゴク』シリーズ。舞台は戦国時代なり。宮下英樹先生が独自の解釈(?)で描く事柄や人物に興奮度MAX。現在は小牧・長久手の合戦である。徳川家康をここまでかっこ良く描くのかと心底震えるね。超面白い!
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『アド・アストラ』
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紀元前3世紀、台頭著しい共和政ローマを恐怖の底に突き落とした男がいた。ハンニバル・バルカ── ローマ史上最大の敵となった怪物と、彼からローマを守った英雄プブリウス・コルネリウス・スキピオ。同時代を生きた二人の戦いが、今幕を開ける!!

スキピオとハンニバルの武将を描く。性格が正反対の2人の心理描写は読ませてくれる。一方は孤高の天才、もう一方は人当たり良く仲間に囲まれる。狂気と陽気。また戦争描写が舌を巻く。アクションの迫力だけでなく、心理戦の面白さを堪能できます。

『軍靴のバルツァー』
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軍靴のバルツァー(6)
軍靴のバルツァー(5)
軍靴のバルツァー(4)
軍靴のバルツァー(3)
軍靴のバルツァー(2)
軍靴のバルツァー(1)
十九世紀帝国主義時代。軍事大国から派遣され、同盟小国バーゼルラントの士官学校へ教官として赴任したバルツァー少佐。彼への指令は同盟国の軍政改革を押 し進めるというものだったが、バーゼルラントの前時代的な戦略戦術論と旧式の兵器の前に悪戦苦闘を続ける毎日。挙げ句の果てに同僚教官と衝突すること に!! 近世士官学校の日常と兵器や戦術を緻密に描写した新ジャンル歴史漫画スタート!!

厳密に言えば架空戦記ものなんですけど、モデルはプロセインでしょう。とにかく19世紀の事細かな時代考証が素晴らしい。超リアル(と思う)。最初は教師と生徒の物語と思いきや世界が動き出しスケールがどんどん大きくなる。グイグイと読ませてくれる。
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『長歌行』
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六二六年 唐の李世民は玄武門の変において兄・李建成などを謀殺し二代目皇帝となる そして敵勢力根絶に成功する… 唯一の例外、建成の娘・永寧姫…李長歌を除いて…

何年か前に美しすぎる中国人漫画家としてネットで脚光を浴びた夏達(シャアタァ)先生。描く漫画がめったくそ面白いという事実はあまり知られていない。公的には死んだ事になっている永寧姫の今上帝への復讐物語。当時の氷菓子の値段(20両銀)とかリアル(と思う)。あと片親がウイグル族とか結構デリケート。

『阿・吽』
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阿・吽(1)
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不安が蔓延してゆく日本の中枢で、人々に求められたものは果たして何か――空海、最澄ふたりの天才を描く話題作、待望の第2集の登場です!世界を変える男たちの物語がまた一歩、動き始めます。

空海と最澄の物語。幼少の頃の2人の成長する過程を丁寧に描く。2巻から一気に大加速して読ませてくれます。最澄の山篭りを描くのですが、息をつかせぬ展開の連続で圧巻の一言。歴史漫画としてもヒューマンドラマとしても面白い。
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『辺獄のシュヴェスタ』
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16世紀、神聖ローマ帝国。 罪なき賢者が「魔女狩り」という名の迫害に遭った時代。 魔女狩りを指揮する修道会の処刑で 家族を失くした「魔女の娘」エラは、魔女の子供達を集めた女子修道院に収容された。激流のごとき変革の刻。 聖母を形どった拷問具「鋼鉄の処女」と共に辿る エラの苛烈な運命を描く、サバイバル歴史大作…!!

中世の拷問器具と言われるアイアンメイデン。空想上の拷問器具という説が根強いが、本当に中世に実在したのか?まだ本筋が見えないんですけど、アイアンメイデンの物語なのかな。魔女狩りの時代の少女の復讐の物語でゾクゾクさせてくれる。修道院の生活が面白い。

『ヒストリエ』
[まとめ買い] ヒストリエ [まとめ買い] ヒストリエ

舞台は紀元前。奴隷の身分にありながら、豊かな教養と観察眼、判断力、そしてそれらを駆使して行動を起こす度胸を兼ね備えた、不思議な青年・エウメネスがいた。あの偉大なる哲学者・アリストテレスの逃亡を助けたりしながら、彼が目指していたのは、「故郷」と呼ぶカルディアの街……。のちにアレキサンダー大王の書記官となるエウメネスの、波乱に満ちた生涯を描いた歴史大作が登場!

アレキサンドロス大王の英雄奇譚。とはいえ主人公はアレキサンドロス大王に使えた書記官・エウメネス。彼の出生は謎なんですが、そこを逆手に取ってオリジナリティ溢れるエピソードを描く。それが本当に面白く感動させてくれる。超傑作!
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『ジゼル・アラン』
ジゼル・アラン (1) (ビームコミックス) ジゼル・アラン(1)
ジゼル・アラン(2)
ジゼル・アラン(3)
ジゼル・アラン(4)
ジゼル・アラン(5)
20世紀初頭、ヨーロッパ。主人公の少女の名は、ジゼル・アラン。アパートの大家をしているジゼルが、ある日“何でも屋”を開業。店子のエリックを助手に、さまざまな依頼をこなしていくものの、お嬢様育ちで好奇心旺盛なジゼルは、何かと暴走しがちで

20世紀初頭の日常もの。当時のヨーロッパの生活をリアルに描く。絵が気に入っているんですけど、町の人々の人物描写が心の琴線にスマッシュヒットする。ワガママお嬢様の成長譚物語である。回りを巻き込むも、巻き込まれるほうも楽しい感じがグッド!
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『乙女戦争』
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1420年、ボヘミア王国。戦争により家族を虐殺された12歳の少女シャールカは、フス派義勇軍の英雄ヤン・ジシュカに導かれ、仲間たちと共に反カトリックの戦いに身を投じていく。15世紀、中央ヨーロッパで起こり「宗教改革」の端緒となった「フス戦争」をモチーフに、少女の視点で、史実に基づいた凄惨な戦争を描く歴史巨編!!

最近読み始めたんですけど、めったくそ面白い!(断言)
ニコニコ静画で試し読みできますのでどうぞ。表紙を見ると華麗な少女の可愛い系かと思いきや、ものすごく過酷で血なまぐさい。フス戦争の物語。戦争を負の部分をこれでもかと描く。銃の登場で虐げられる側の人でも戦えるという戦いの有り方の変化。時代考証も凄く勉強になります。

『アルテ』
アルテ 3 (ゼノンコミックス) アルテ(3)
アルテ(2)
アルテ(1)
【kindle】アルテ(1)
16世紀初頭・フィレンツェ。芸術など文化活動が花開いたルネサンス発祥の地。 そんな活気あふれる華やかなる時代に、貴族家生まれのアルテが画家工房への弟子入りを志願する。 女性がひとりで生きて行くことに理解のなかった時代、様々な困難がアルテを待ち受ける。

ルネッサンス!情熱!芸術が花開くイタリアで女性の地位が低い中で賢明に頑張るアルテが画家を目指す話。当時の風俗や日常の詳細さ、何よりこの時代の女性の生き方にスポットを当てている。アルテだけでなく、母親や娼婦ヴェロニカ、強く生きる女性の生き様にグッとくる。
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『磯兵衛物語』
[まとめ買い] 磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~ [まとめ買い] 磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~

花のお江戸に暮らす青年武士・磯部磯兵衛の夢は立派な武士になること。そのため武士道学校に通い、日々精進…する予定!? 実際は励まず学ばず勤しまず、ぐっだぐだな日々を送る磯兵衛の物語、幕を開けるで候。

歴史漫画です!