薔薇乙女達のノー・マネー・ノー・ファーザーズ・デイ
- § 主な登場人物紹介
真紅
ローゼンメイデン第5ドールにして究極の少女アリスにもなったことがある聖少女。
確かな信念と姉妹思いの優しい性格を併せ持ちながらも鬼畜外道なのが玉に瑕。
雛苺
ローゼンメイデン第6ドール。汚れと常識を知らない天真爛漫ガール。
翠星石
ローゼンメイデン第3ドール。育ててはいけない植物を桜田家の庭で育てていたことが発覚し
警察に拘束されて取り調べを受けているため今回はお休みです。
蒼星石
父の日でなくとも結菱一葉の肩をよく揉んでいる孝行な第4ドール。
ただし、その度に一葉からお小遣いをもらっている。
金糸雀
忘れ去られがちな第2ドール。二千円札が好き。
水銀燈
逆十字を捺された自称最凶の第1ドール。一万円札が大好き。
雪華綺晶
実体化した第7ドール。お金であれば大小関係なく何でも好き。
薔薇水晶
槐メイデン。お金が好き、お金を増やすのはもっと好き。
- § 桜田ジュンの部屋
真紅「ジュン、お金ちょうだい」
ジュン「嫌だ」
真紅「なっ!? 即答!? なんでよ!?」
ジュン「なんでも何も、いきなり金くれと言われてやるわけないだろう」
真紅「り、理由ぐらい聞いてくれてもいいじゃないの! お金に困ってるのよ、こっちは!」
ジュン「どうせ、ろくでもないことに使う気のくせに…」
真紅「そんなことない! ちゃんとした理由があるのだわ!」
ジュン「ほう? どういう理由だ?」
真紅「いや~、もうすぐ父の日じゃん? 何かお父様に贈り物してーじゃん?」
ジュン「…何故、唐突に若者言葉?」
真紅「さあ、どう? これで納得でしょ? 早速お金を…」
ジュン「理由は分かったけど、それでもダメ」
真紅「んなっ!? かつての父の日にはジュンに贈り物したこともあったじゃない(※狙われた柏葉巴参照)!
だったら…! だったらよ! 今回ぐらいはお金を出してくれてもいいはずでしょう!?」
ジュン「それはそれ、これはこれ」
真紅「くっ、そこまで言うのならば、しょうがない。これでどう」チラッ
ジュン「何の真似だ真紅?」
真紅「パンチラよ、どうかこれで…」チラチラッ
ジュン「それで僕がお金払う気になるか? ならないだろ」
真紅「なっ…!?」
ジュン「大体そんな楽して汚い方法で稼いだお金で買ったプレゼントでローゼンさんが喜ぶのか」
真紅「うっ、なんという正論…! セイロンティー…!」
ジュン(セイロンティー…?)
雛苺「真紅~? ジュンからお金もらえたのよ?」ヒョコッ
真紅「…いいえ、ダメだったわ。私の体まで自由にさせてあげたのにジュンはビタ一文払わなかった」
雛苺「うにゃにゃっ!? 真紅の熟れた肉体を好きなだけ堪能しておきながら
ノーマネーでフィニッシュなのー!? ジュンは吐き気を催す邪悪なのー! 世界の歪みの根源なの!」
ジュン「はいはい…何とでも言え。ともあれ父の日に何かしたいんだったら
お金のかからないプレゼントを考えるか、サービス的なことをするんだな」
真紅「くっ…」
雛苺「チョメチョメとひきさがるしかないのよね真紅」
ジュン「チョメチョメじゃなくて、おめおめ」
真紅「しょうがない、こうなったら…」
ジュン「他のマスターに無心しに行っても無駄だからな。日頃からお前達にお金を渡さないように頼んである」
真紅「ッッ!!!?」
- § 近所の空き地
真紅「はあ、リアルガチでやばいわね。どうしましょう」
雛苺「うゆゆ、このままじゃあヒナ達は父の日に何も出来ないクズ乙女ジャンクになっちゃうの」
真紅「今更自販機の下を漁っても大した稼ぎにはならないし…」
雛苺「うぃ、最近は水銀燈の人が深夜にこの辺りの自販機の下をゴソゴソしてるから尚更なの」
真紅「この間、桜田家の家具を勝手に質屋に持っていったらマジでジュンに解体されたし…」
雛苺「うぃ、真紅は三日間ぐらいアラレちゃんの整備時みたいにバラバラだったのよね」
真紅「ローゼンブーメラン(※真紅、自分を売る。参照)も最近やったばかりで
質屋に顔が割れてるから無理でしょ。何とかして日雇いのアルバイトでも探そうかしら」
雛苺「え~? ヒナ働くの嫌い~!」
真紅「私だって働いたら負けだと思ってるわよ! でも、他に方法が…!」
薔薇水晶「…こんな所で大声で騒いで何をしているのです? 真紅に雛苺?」ヌッ
真紅「ッ!? あ、あなたは…!」
雛苺「横浜(ハマ)の狂犬! ロードスペクター先輩!?」
薔薇水晶「いえ、薔薇水晶ですけど…」
雛苺「うゅ? 似ていたから間違えちゃったのよね! ごめんなの薔薇水晶」
薔薇水晶「……」
真紅「あなたこそ、どうしたの? 私達に何か用?」
薔薇水晶「たまたま買い物帰りに通りがかりまして。何かお悩みのように見えたので声を掛けたのです」
真紅「実はかくかくしかじか、というわけなの」
薔薇水晶「金欠ですか。大変ですね。それでは御機嫌よう」ススス
雛苺「うにゃにゃっ!? どうして、いきなり帰ろうとするのよ薔薇水晶!?」
薔薇水晶「他所様のお金絡みのトラブルには関わるなというのが槐家の家訓でして」
真紅「声を掛けてきたのはそっちでしょ薔薇水晶! 聞くだけ聞いといて帰ろうって言うの!?」
雛苺「買い物帰りだったら、小銭をヒナ達に恵んでやろうって気持ちになってもいいはずなのよ!」
薔薇水晶「ならぬものはなりません」ダダダッ
真紅「あっ!? 逃げた! 追ってホーリエ…て、しまった! ホーリエは帰省中だったわ! 雛苺、苺わだちを!」
雛苺「うぃ! お金くれるまで逃がさないのよ薔薇水晶! 苺わだち!」シュルルル
薔薇水晶「地面から蔓が…? ならば…クリスタルストンプ!」ばんっ
真紅「ああっ!? 薔薇水晶が足で踏み鳴らしたところを中心に地面から水晶が生えて…!?」
雛苺「苺わだちがズタズタに切られちゃったの!」
薔薇水晶「おさらばでございまーす」シュタタタ
真紅「あっという間にローズテイルの射程距離外にまで逃げられてしまったわ」
雛苺「ねぇ真紅ぅ、この薔薇水晶が生やしていった水晶は売れないのよ?」
真紅「それ10分ぐらいしたら消えるはずだから無理よ」
雛苺「ふみゅみゅ…」
真紅「勢いで新技を編み出してまで逃げるとは、薔薇水晶もやるわね」
雛苺「感心している場合じゃあないのよ真紅」
真紅「…じゃあ、取りあえず駅前の広場にでも行ってみましょう。お金が落ちてるかもしれないし」
雛苺「わぁい」
- § 駅前広場
- ♪
ノ
, ⌒⌒ヽ ♪(
(リノヽ、卯) / )
9!,^ω^ノ≠)n=ョ♪
ミ(_)二つ,,ノ ♪昼間のパパはちょっと違う~
./(__ハ_) ♪昼間のパパは光ってる~
`しテ′
| ̄ ̄ ̄|
聴衆達『パチ…パチ…』ちゃりーんちゃりーん
金糸雀「おありがとうござーい…」♪ギーコーギーコー
金糸雀「…ふぅ。朝からずっと弾き語りしてたけど、小銭しか恵んでもらえなかったかしら…。
駅前でバイオリン弾いてさえいれば、通りがかりの人がジャラジャラとバイオリンケースに
お金投げ込んでくれて、さらにはメジャーレーベルからカナにお声が掛かると思っていたのに…」
ポロッ! チャリチャリチャリーン!
金糸雀「あああっ!? 折角みんなからもらった善意の小銭をケースからこぼしてしまったかしらー!?
拾って頂戴ピチカート…て、しまった! ピチカートは帰省中だったわ!」
真紅「…あら?」コツーン
雛苺「うゆ? どうしたの真紅?」
真紅「硬貨が何枚か転がってきて私の足に…」
金糸雀「グッドタイミングかしら真紅! それ拾ってちょうだ…」
真紅「雛苺!」シャカシャカ
雛苺「うぃ!」ヒョイヒョイ
金糸雀「ありがとうかしら! そんなに必死に拾ってくれて…」
真紅「だんけしぇーん! 金糸雀! あなたの想い、確かに受け継いだわ!」ダダダッ
雛苺「あでぃおすあみーご、なの!」ダダダッ
金糸雀「ちょっ!? 何処へ行く気!? そのお金はカナが必死で稼いだ…ッ!」
真紅「状況判断よ! 金糸雀が未来へと托すツェペリ魂、この胸に確かに熱く届いた!」ダバダバダバ
雛苺「かなりあの遺志は無駄にはしないのー!」ダバダバダバ
金糸雀「その状況判断チョー間違ってるかしら! 待ちなさい二人ともー!」
真紅「待てと言われて待つ乙女がいる? いな~~~い!」シュタタタ
金糸雀「ええい! こうなったら…必殺ぅ~! バイオリンミサイル!」ひゅぱっ
真紅「ごふぅっ!?」バチコーン
雛苺「真紅ぅーーー!? カナの投げたバイオリンが真紅の後頭部に直撃なのーッ!!!」
金糸雀「まったく油断も隙も無さ過ぎる妹達だわ」
真紅「これも私のお父様への愛が誰よりも深き故よ。許して頂戴金糸雀」ピクピク
金糸雀「虫の息で謝りながらなのに、どうしてそこまで偉そうなのかしら真紅は…」
雛苺「真紅、しっかりしてなのー! 目を…、目を閉じちゃダメなのよー!」
真紅「ふふふ、ごめんなさい雛苺。どうやらその頼みは聞けないよう…だわ…」
雛苺「し、真紅?」
真紅「私の屍を越えていきなさい雛苺、そしてお父様へ父の日のプレゼント…を…」ガクッ
雛苺「真紅ーーーーーーーーーーッッ!!!!」
金糸雀「……」
―――真紅、再起不能(リタイヤ)。この後、電話でジュンを呼んで真紅を持って帰ってもらいました。
- § 再び近所の空き地
雛苺「金糸雀のせいで真紅は二本挿しオカマで倒れたのよ」
金糸雀「二本挿しオカマじゃあなくて『志半ば』よ雛苺、それを言うなら」
雛苺「そ、そうとも言うの! とにかくカナには責任とってもらうんだから!」
金糸雀「責任!?」
雛苺「そのお金を真紅への慰謝料としてもらうのー!」
金糸雀「それはできないかしら! そんなことしたらカナが水銀燈にボコボコニされちゃうわ!」
雛苺「水銀燈…? なんで水銀燈の人の名前がここで出てくるのよ?」
金糸雀「そ、それは…ッ!?」
雛苺「そもそも金糸雀が駅前で小銭を稼いでいたところからして怪しいの!」
金糸雀「目的はヒナ達と同じかしら。カナと水銀燈もお父様へのプレゼントのためにお金を…」
雛苺「うぇっ? そうだったのよ? だったらヒナ達も一緒に…」
水銀燈「ダメに決まってるでしょ。何、最後だけ尻馬に乗っかろうとしてるのよぉ?」スタッ
金糸雀「水銀燈ッ!?」
雛苺「いつの間に!?」
水銀燈「こっちの台詞よ。金糸雀と待ち合わせの予定だったのに、勝手にみそっかすが増えてるんだから」
金糸雀「ごめんかしら水銀燈。雛苺ったらカナからくっついて離れなく
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