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ねこパンチが生態系を脅かす? 飼い主のある行動が、人類の未来に繋がるかも! : ギズモード・ジャパン

ねこパンチが生態系を脅かす? 飼い主のある行動が、人類の未来に繋がるかも!

2015.07.05 23:00
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日なたでお昼寝していたかと思いきや、急に家の中を駆け回ったり、外で鳴く鳥に向かってキャッキャと威嚇したり。そんな無邪気でワイルドな猫の一面について、イギリスで最近ある調査が行われました。

家で飼っている猫、「外に出してー」と言わんばかりに、にゃーにゃー鳴いたことはありませんか? そんなご家庭では、実際に目撃されているかもしれません。小さな虫をハンティングして家の中に持ち帰ってきた、誇らしげな猫の姿を。

生態学者であるジェニファー・マクドナルドの研究チームでは、「月に何匹ほどの小さな生き物(ネズミなど)を家に持ち帰ってきたことがあるか」など猫の飼い主に対していくつかのアンケートを取りました。

猫に対するイメージは、メディアでのキャラクターも確立しつつありますが、もともと猫は、プレデター(捕食者)。多くの人はペットとしての猫の生活行動の一部を見ているだけで、本来はとってもキュートに見えるプレデターなのです。何百万年ものあいだ、猫は小さな生き物をハンティングしながら進化してきた動物です。小さい(そして可愛い)爪の先から、長い(そして可愛い)しっぽまで、ハンティングに役立てるため。おもちゃのネズミを追いかけて、ねこパンチをするのも本能から。


にゃんこと地球の生態系のお話


150703CatsBiology.jpgImage credit: Enfo via Wikimedia Commons


エコロジー・アンド・エボリューション誌で発表された研究によると、猫は月に十匹ほどハンティングをするそうです。動物行動学に詳しい専門家によると、実際に家のなかに持ち帰ってくるのはその三分の一なのだそう。その他は食べちゃったり原型が残らないほどだったり…。

また先述の研究チームによるアンケートでは、「我が家の猫は優しい子であってほしい」と願っている飼い主は、ハンティングした数を低く見積もり、「飼い猫にワイルドさを望んでいる」という飼い主は多く見積もったといいます。これはオーナーシップ・エフェクトとよばれる人間ならではの心理行動で、物事は自分の想像している通りだとポジティブに考える習慣の表れなのだそうです。

さて、野生の猫について。生態系のなかで考えてみるとこうなります。ある街に野良猫が百匹いるとしましょう。すると毎月三千の小さな虫や動物が猫の餌食となります。
ではここで野良猫に加えてペットの猫が、外で束の間のハンティングに出かけると…? ペットの猫は、天敵がいる野生の生き物と違って、安全な家の中にいるため殆ど生態系や自然の一部とはいえません。…つまりそうです、ペットの猫が自然の生態系にちょっとした影響を及ぼしているかもしれないのです。

猫のハンティング対象は、鳥、ヘビ、ネズミ科の生き物など。そのなかには絶滅危惧種になっているものも既にいます。とはいえ生態学者たちは、猫の狩りの習慣が絶滅危惧種に対してどの程度(どのエリアでどのくらい等)影響があるのか実質的に計測できないことを指摘しています。さらに餌食となる生き物が、猫がいる場合といない場合でどう変化するか、について比較することも(一定期間、猫を広大なエリアから何とかして完全に追い出す必要があるため)殆ど不可能だといいます。

実際、生き物の世界は弱肉強食。理科の授業で習うような、分解者(土壌生物)、生産者(植物)、消費者(動物)から成る「生態ピラミッド」を覚えていますか? 生き物の世界は巡り巡って成り立っているので、もし生態バランスが崩れれば、人間にも影響が一切ないとは言い切れません。とはいえ、家では猫が外に出たがって鳴くから、つい外に出しているご家庭もあるのでは?


ハンティングにお出かけするにゃんこ


150703ACatOUTSIDE.jpgImage credit: Jacopo Werther via Wikimedia Commons


どのような要因が猫のハンティングの数に絡んでいるのか、同調査チームによっていくつか明らかになったことがあります。例えば、「音が鳴る鈴のついた首輪をつけていれば敵を逃がすかもしれない」、「エサの好みによってはハンティングを好まない猫もいるかもしれない」などの仮説は打ち砕かれたようです。鈴を首につけた猫も、どんなタイプのエサを食べるかも、ハンティングの要因としては一切関係がなかったことがわかったのです。

またオスかメスか、など性別の関係もないとのこと。猫のハンターとしての世界にジェンダーギャップはないのですね。

では夜行性であることに着目してみると、どうでしょう? 夜中に外に出ている方がハンティングの量も増えているのでは?

ところがこれも不正解。たとえ夜中は家の中にいても、日中に沢山外で遊んだ日は、夜中に外にいるのと同じくらいの量をハンティングするようです。つまり夜行性といえど、結局は昼でも夜でも、どのくらいの時間を外で過ごすか、によるのだそうです。

では何が要因なのでしょうか。それは「年齢」でした。若い猫の方が、より多くのお友達(ハンティングの成果物)を家に持ち帰るようです。これは単純に、若い方が、体力があるから。おもちゃのネズミを追いかけるのも、比較的若い猫の遊びのようです。また若いことに加えて、田舎住まいの猫の方が多く家に持ち帰ってきます。これはほかでもなく、猫の餌食となる野生の生物の種類が豊富なのが最大の理由。


にゃんこ、そして飼い主のキモチ


150703ACATINSIDE.jpgImage credit: Karelj via Wikimedia Commons


猫が外でハンティングをすると生態系に脅威をもたらす危険性があっても尚、飼い主、猫それぞれの気持ちは交錯しそうです。飼い主:「猫の自由を阻害して家の中に閉じ込めておくのもかわいそうだし、外に出してもらうまで鳴き止まない」猫:「家の中だけじゃなくて外の広い世界に出たいにゃ」など。これは猫を飼うことについて、強い責任感のある飼い主でも、複雑なところです。

同調査では98%が、「一日中猫を家の中に閉じ込めておくのは反対」と回答し、40%の人は「猫は生態系に悪影響を及ぼすと考えるが、家の中に猫を閉じ込めておけない」と答えました。研究チームが、猫が外でハンティングをすることが地域の生態系にどんな影響を及ぼすか説明したうえでも、外に出すと回答する人は多数存在したようです。なかには、「外に出るか出まいか決めるのは、ほかでもないうちの猫ちゃんです」という人まで。

飼い猫は、家の中へ!

150703INSIDEisBETTERFORCATS.jpgImage credit: Maurice07 via WikiOimedia Commons


データによると、猫にとって安全性が高いのは家の中。とりわけ、家の中で育った猫の方が長生きしているそうです。猫にとってハンティングは危ないビジネスで、間違った相手を選んだり猫同士でけんかしたりすることだけでなく、病気や害虫をもらう危険性も。ノミ、ダニ、または狂犬病からも、大切な猫を守る必要があります。

外の世界は人間が作った危険なものも沢山。道路や自動車、建物の隙間など。アメリカの獣医医療協会は、猫にとって安全で、生態系を破壊しないためにも猫を室内で飼うことを推進しています。

さぁもうすぐ夏がやってきます。ベランダでねこパンチして蝉をやっつける、あの季節です。外に出たいとばかりに、にゃーにゃー鳴くかもしれませんが、何はともあれ飼い猫の安全が第一。

家の外には出さない。その飼い主の行動が、地域の生態系のバランスを守るかもしれません。そしてそれが遠い未来の人類の生態系に繋がるのだとしたら…なんだか続けていきたいですね。


Kiona Smith-Strickland - GIZMODO US[原文
(Rina Fukazu)

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