70歳を目前にしてますます反骨精神溢れる ニール・ヤングが、音楽ストリーミングサービスの「最悪な音質」を非難しています。あまりに低額な楽曲使用料にも不満を表明しており、楽曲の引き揚げも辞さない構えです。
ニール・ヤングはかねてより MP3 の「あまりにひどい音質」を批判しており、自らハイレゾ音源配信サービス Pono Music を立ち上げ、さらに高音質ポータブルプレーヤー Pono Player を販売しています。
7月15日、ニール・ヤングは Facebook で「私にとってストリーミングサービスは終わった。金の問題ではない(他のアーティスト同様、勝手に決められた契約のせいで印税は激減したが)。問題は音質。放送を含めたあらゆる音楽ディストリビューション史上最悪の音質のために、楽曲の価値を貶めたくはない」、「こんな音質の作品をファンに売るのは心苦しい」と語っています。
Streaming has ended for me. I hope this is ok for my fans.It's not because of the money, although my share (like all...
Posted by Neil Young on 2015年7月15日
ニール・ヤングの Facebook へのコメントには、「確かにいまの音楽ストリーミングの音質は良くない。音楽は輝く小さな円盤か、黒いビニールで買うべき」と賛同するものもあれば、「現状の音楽ストリーミングサービスでも AM ラジオや FM ラジオに比べれば良い音質になっていると思う」という反論もあり、意見が割れているようです。
ニール・ヤングは「音質さえ納得できるものになれば、見直すこともあり得る」としています。
Pono Player の Kickstarter キャンペーンの際、ニール・ヤングは「音質的な問題がクリアになれば、Pono Player をストリーミングに対応させることも考える」としていました。一方、Pomo Music の FAQ でも音楽ストリーミングについて、「(音質的に)今はまだ。でもいつかはやりたい」としています。
音楽ストリーミングサービスには TIDAL のようにすでに CD 音質のサービスプランを用意しているところもあります。またメリディアンの MQA フォーマットはハイレゾ相当の音質を備えたストリーミングが可能とうたっています。
こうした背景を踏まえ、さらに穿った見方をすれば近い将来、ニール・ヤングが高音質なストリーミングサービスの提供を見据えていると考えられなくもなさそうです。
なお、記事執筆時点で確認したところ、日本の Apple Music ではまだニール・ヤングのカタログは引き揚げられていません。それどころか日本では7月29日に CD を発売予定の最新アルバム「The Monsanto Years」を聴くこともできます。
できれば、このままの状態で置いといてほしいものです。
ちなみにこの「The Monsanto Years」アルバム、世界最大の遺伝子組み換え企業「モンサント」を公然と批判する内容です。モンサントは米バーモント州で遺伝子組換え食品の表示を義務化する法律が成立したのに対して差し止め訴訟を起こし、さらに全米で資金力に物を言わせた反対キャンペーンを展開しています。またアルバムにはモンサントと手を組んだとされるスターバックスコーヒーを槍玉に挙げた曲も収録しています。(スターバックスはモンサントとの関連を否定しています)