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【艦これ】 葛城 「立派な正規空母になるんだからっ!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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【艦これ】 葛城 「立派な正規空母になるんだからっ!」

1: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:49:27.71 ID:etbFRzSSo

※ 艦これに登場する艦娘、葛城が主役のSSになります。

※ 暴力表現や過度なエロはありません。

※ 長編になります。のんびり更新で2週間以上かかると思います。さらっと短編が読みたい方には向いていませんのでご注意下さい。

※ キャラの性格や口調などは、筆者なりの解釈です。自分の好みと違うようであれば、そっとスレを閉じていただけると幸いです。



2: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:50:30.83 ID:etbFRzSSo

 ―――― なんだろう……誰かが呼んでる……
 
 
 
 ―――― わたし……眠っていた……? よく思い出せない
 
 
 
 ―――― 何も見えない……そっか、目を閉じてるんだ…………目……?
 
 
 
 ―――― そうだ、わたしは……
 
 



3: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:52:05.39 ID:etbFRzSSo

目を開けると……大勢の人が居た。みんな忙しそうにしているわ。彼女たちは……艦娘。わたしの仲間ね。不思議! ちゃんと分かるんだ。


目の前に立ってる男の人。この人は艦娘じゃないけど、わたしにとって特別な人だっていうのはわかる。そう、この人がわたしの提督なのね。


葛城「雲龍型空母三番艦、葛城よ! 」


提督「……葛城……待っていた……ようこそ」


すっ


手を出されたけどこれは……そっか、人間が喜び合う時にやっていた握手というやつね! 歓迎して喜んでくれてるんだ……。


ぎゅっ


葛城「よろしくね、提督! 」

提督「ああ、よろしく頼むよ」



4: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:53:44.38 ID:etbFRzSSo

大淀「葛城さん、着任おめでとうございます」

葛城「あなたは……大淀ね! 不思議ね、姿は変わってるのに、なんとなくわかるわ」

大淀「くすっ。そうですね、言われてみれば不思議です。すごく久しぶりですね」

葛城「ところで、すごく慌ただしいけれど、空襲なの? それならわたしも高射砲を準備しないと……」

大淀「いいえ、今は西方海域を打通する大作戦の真っ最中なんです。ですので、すごく慌ただしくて申し訳ありません」

葛城「ほえー、空襲警戒どころか、こちらから遠くの海域で攻勢をかけているなんて……すごいのね」

長門「提督、大淀、話し中に済まないが、二人が居ないと次の作戦準備が進まない。葛城の歓迎は作戦後にお願いできないだろうか? 」

大淀「そうでした、すみません。葛城さん、お話はまたあとで」

提督「ごめんな。そこのソファーでくつろいでいてくれ」

長門「すまないな」

葛城「はい、ではまたっ! 」



5: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:54:34.67 ID:etbFRzSSo

よいしょっ。うわ、ソファーってふかふかなんだ。これは良いわね。



ざわざわ ざわざわ



大淀「リランカ攻略のためには、まずは補給路を断つことが……」

提督「となると、攻略隊とは別の通商破壊部隊を……」

長門「ふむ、通商破壊なら足の速い船で揃える必要が……」



なんだか難しい話をしてるわね。考えてみたら、わたしは防空専門で、艦隊決戦とか敵基地攻略とかは全く縁がなかったから、わからなくて当然か。



6: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:55:59.69 ID:etbFRzSSo

それより、この体のほうが不思議ね。こんなに小さい、本当に人間みたいな体になっちゃって……。でも、違和感が何もない……。ちゃんと大淀さんも見分けられたし……。あ! あれは利根さんね。ちゃんとわかる……ほんとに不思議だわ~。



雲龍姉さんと天城姉は居ない……。鎮守府にすべての艦娘が居るわけじゃないのは知ってるけど……。雲龍型はわたし一人だけなんだ……。ちょっと心細いな……。



??「ワタシは基地攻略に参加するデース! 三式弾装備しなきゃネ!」

??「わたしは通商破壊かぁ。がんばるよー」

??「僕はどっちだろう……基地相手の夜戦だと僕の出番はないかな? 」



……話していることも全然分からないし、知っている人もほとんどいないし……。わたし、本当にここにいていいのかしら……。どうしよう、怖くなってきた……。



7: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:56:35.00 ID:etbFRzSSo

大淀「基地攻略は連合艦隊ですね。金剛さん、長門さん、加賀さんは決まりとして、残りのメンバーはどうしましょう? 」

提督「…………。そうだな、通商破壊との兼ね合いもあるし、希望もあるだろう。大淀、もう少しみんなと話して、大体の案をまとめておいてくれないか? 」

大淀「それは構いませんが……提督は? 」

提督「俺はちょっと葛城を案内してくる」

長門「提督、大事な作戦会議中だぞ」

提督「長い会議になるし、俺がどうしても必要なのは決定の時だけだ。大まかな方針はもう決まっている訳だし、メンバーの希望集めなんかは任せて大丈夫だろ? 」

長門「それはそうだが……」

提督「じゃあ、頼む」

大淀「分かりました。それでは後ほどまた戻ってきて下さい」

提督「ああ」



8: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:57:22.74 ID:etbFRzSSo

……ここにいる人達は、前世でも歴戦だったのかな。それに比べてわたしは……。どうしよう、笑われたり、失望されたり……。もういらないって言われちゃうかな……。


コツコツコツコツ ←足音


提督「葛城、ごめん、待たせた。さ、鎮守府を案内するよ」



びくっ



葛城「きゃっ! び、びっくりしたっ。あなた、突然声かけないでよっ」

提督「何か考え事してたのか? ごめんな、待たせて」

葛城「え……。だって、まだ会議中じゃないっ」

提督「あはは、優秀なメンバーがいるからな。俺は決定の時にOKするだけでいいのさ 」

葛城「あきれたっ」

提督「ま、そういうわけさ。さ、行こう」



全く、司令官なのにこんないい加減でいいのかしらっ。でも助かったから良いことにしましょうっ。



10: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:58:43.13 ID:etbFRzSSo

提督「葛城、着任早々、殺気立った会議でびっくりしただろ? 」

葛城「え……。うん、そうね」

提督「こんな大規模な作戦は数ヶ月に一度ってところなんだ。それ以外の時は、のんびりと、訓練したり遠征したりって感じだから、作戦が終わるまではのんびり待っていてくれよ」

葛城「そんな……大事な作戦なんでしょ? わたしもすぐに参加するわっ! 」(しゅっしゅっ)←シャドーボクシング中

提督(苦笑)

提督「いや、なにせ敵地奥深くに侵入して、基地攻略、そして打通を目指す作戦だ。歴戦の艦娘たちでないと挑戦することすら難しい。葛城は転生したてで、練度は1だ。これからしっかりと練度を上げ、改装を受けて、それからだな」

葛城「練度が足りないかぁ。確かに、この体でどういう風に戦うのか、なんとなく分かるけど、あまり自信が無いわね」(ぺたぺた)

提督「最前線組は練度80以上が当たり前だからなぁ。猛訓練と、数百の実戦をくぐり抜けて、ようやくたどり着ける練度だよ」

葛城「うぇぇぇ。聞いただけで気が遠くなりそう」


ワイワイ



11: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/16(火) 23:59:28.56 ID:etbFRzSSo

提督「ふふ……あははは…………」

葛城「な、なによ、突然」

提督「いやな、空母葛城が艦娘に転生したらどんな感じかって、俺がイメージしてたのは、母性たっぷりの包み込むような女性だったんだよ。鳳翔さんみたいな。それが、なんというか、こんな直情型のおてんば娘だから、そのギャップがおかしくて……あははは」

葛城「(むかっ) な、なによ! その評価っ。 そんなこと言ったら、あなただって、わたしのイメージする提督とは程遠いわ! 提督といえば、どっしり落ち着いた、威厳あふれる人って感じなのに、あなたときたら、ぼやっとしていて、軽いノリでっ! 」

提督「あはは。まー、そのへんは勘弁してくれ。俺もこんな歳で、突然提督なんてやらされてるんだ。威厳なんて持ってないよ。っと、着いたよ」

葛城「はぁはぁ……。ん? 着いたってどこに?」

提督「鳳翔さんのところだよ、おーい、鳳翔さーん」



12: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/17(水) 00:00:18.39 ID:DwUzEhO7o

スタスタスタスタ


鳳翔「あら提督。昼間から珍しいですね。おや……そちらの子は……葛城さんですか! 」

葛城「あ……鳳翔……さん……」

鳳翔「ふふっ。お久しぶりです。懐かしいですね」



鳳翔さん……わたしたち空母みんなのお母さんみたいな存在……。前世のことは、おぼろげであんまり思い出せないけど……ずっと一緒に居たような……そんな気がする……。



葛城「鳳翔……さん……。おひさしぶり……です……(ぼろぼろ)」

鳳翔「あらあら、どうしました、泣いてしまって」


ぎゅっ


葛城「あれ、どうしたんだろう……ぐすん……」



13: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/17(水) 00:02:35.09 ID:DwUzEhO7o

提督「葛城はつい先程着任したのですが……。ご存知の通り、今は殺気立った作戦中で……。それに、葛城は知り合いの艦が少ない上に、姉妹も当鎮守府には着任していません。それで……すごく不安なはずです。鳳翔さん、しばらく葛城をお任せ出来ませんか? 」



!!! 提督、わたしの事、ちゃんと考えてくれてるんだ……。



葛城「ふ、ふんっ。わたしは、こう見えても正規空母よっ。不安なんて、そんなことあるわけ無いじゃないっ(ごしごし)」

鳳翔「くすっ……。はい、葛城さんは、わたしとは縁がある仲良しさんですから。せっかく着任してくださったんです、最初ぐらいご一緒したいです。葛城さん、落ち着くまで、わたしと一緒に居て頂けますか? 」

葛城「え……? も、もちろんっ。鳳翔さんと一緒にいられるなんて、とっても嬉しいです」

提督「それなら良かった。葛城、慌てることは無いから、ゆっくり艦娘の生活に慣れてくれ」

葛城「あなた、さっきからわたしのことを子ども扱いしすぎよっ。平気に決まってるじゃない! いーーっだ! 」

鳳翔「葛城さん、提督相手にそんな態度はいけませんよ」

葛城「ぇー。だってこの人が……」

提督「あはは、いいんですよ、鳳翔さん。なにせじゃじゃ馬はいっぱい居ますからね。慣れてますよ」

葛城「また失礼なこと言って! もう、知らないんだからっ」



14: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/17(水) 00:03:28.10 ID:DwUzEhO7o

はぁはぁ。全く失礼な人ね!


……でも、先程までの不安な気持ちはすっかり消えて……。優しく微笑んでくれる鳳翔さんと、ここでの生活が始まりました。


一応、わたしのことを考えてくれたわけだし……ちょっとぐらいは……感謝してあげてもいいかなっ!



―――― これが、わたしのはじまり。艦娘としての……前世では想像もつかなかった、びっくりするような日々の……そして、前世も含めて、わたしの世界がひっくり返るような、そんな日々の……始まりでした。



32: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/18(木) 20:06:28.75 ID:vUklJJkno

――――― 一週間後 ―――――



33: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/18(木) 20:07:01.36 ID:vUklJJkno

 ―――― 敵機来襲! 対空砲全門斉射っ。守りぬくわよっ!
 
 
 
 ―――― 直撃っ! く、飛行甲板使用不能……でも、悔しいけど影響は無いわ。
 
 
 
 ―――― 敵機が来てるのに……直掩も出せなければ、動くことすら出来ないなんて……。
 
 
 
 ―――― これじゃあ、わたしは空母とは言えない……ただの浮き砲台よ……



34: ◆8sA8xtnAbg:2015/06/18(木) 20:07:31.83 ID:vUklJJkno
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