【艦これ】艦娘誰でしょう?【クイズ形式】
①???
いくら撫で付けても跳ねちゃうんだ、と彼女は諦めたように口にした。
ピョコンと天に向かって跳ねた前髪は、穏やかな顔立ちと彼女が持つ静かな雰囲気にそぐわない、ただ一つの要素。
提督が、そういう髪型なのかと指摘して返ってきたのが、先ほどの苦笑交じりの答えというわけだ。
この様子を見るに、きっと今までも真っ直ぐになるように何度も工夫してきたのだろう。
その成果は、どうやら彼女の様子を見る限り期待できそうにないが。
もう気にしてないけどね、という言葉とは裏腹に、彼女は先程から提督の前で跳ねた髪の毛を押さえつけている。
いったいいつまで押さえつけているつもりだろうかと、今度は提督が苦笑する番だった。
単に気になっただけで、別にその髪型がみっともないだとか、そういう意味で言ったつもりはないというのに…。
「やっぱりヘン、かなあ?」
両手で髪を抑えながら、探るようにして提督を覗き見る瞳には不安が宿っていて、どう考えても自分の反応を気にしているのがまるわかりだ。
「いや、可愛らしくて良いと思うぞ」
お世辞でも何でもなく、提督は思ったことをそのまま口にした。艦種が艦種なので、実は戦場を駆け巡る時の彼女の動きはかなり激しい。
だから、彼女のそういう動的な部分をピョコンと跳ねた前髪が表していると思えば、むしろ似合っているのではないかと思ったからだ。
静かな雰囲気の中に、動きを表す特徴がひとつ。なるほど、艦娘らしくていいじゃないか。
提督が一言そう言うと、何を驚いたのだろうか、彼女が顔を上げてまじまじとこちらを見てくる。
その反動で押さえつけていた両手が頭から外れたせいで、彼女の前髪がピョコンと跳ねて定位置に戻った。
「ね、ねえ」
「なんだ?」
「そういうこと、あまり言わない方が良いと思うよ」
せっかく変じゃないと褒めてやったのに、どういう訳か拗ねる彼女を見て。
女の子の機嫌の取り方は難しいなと、提督は首を傾げるのであった。
②??? (?の数は関係無)
演習場へと続く鎮守府内の廊下を、提督は秘書艦である彼女と二人きりで歩いている。
鎮守府の新人を、その艦娘がどういう娘か知るために、なるべく早い段階で秘書艦に割り振る様にしているのだ。
そして、彼女の着任から三日目。
今日初めて秘書艦にした肝心の隣の彼女はといえば…あまりにも上官を、提督を舐めていると感じられた。
まあ、これは彼女に限った話ではない。何故かここの艦娘は提督という存在に対してとる態度が軽い。
それが自分の持つ親しみやすさのか、単に頼りなく見えるのだけなのかということは敢えて考えないようにして、提督は尋ねた。
「何で俺には敬意を払わないの?分かってるのかな…俺一応お前の上官だよ?」
「あ…ああ、失礼、提督。でもあなたに尊敬出来る要素が一つでもあるかしら?」
返ってくるのはこれ以上ないくらいにバカ正直な答え。
おいおい、といった表情を浮かべて提督は隣の新米秘書艦を見やる。
生真面目で、外れたことを許さない性格の割に提督である自分に対する態度はこんなもの。
今みたいに、どちらでも良いことでも細かいほど気を使うくせに、俺自身に対する扱いは雑すぎないだろうかと提督は肩を落とした。
上官とはキリリとしていて、ひたすら任務に忠実な存在でなきゃいけないという、そんな理想を抱いているのだろう。
その、自分の理想像とは余りにも違う出来の悪い上官を糾弾してやったと言わんばかりに、目の前のコイツは胸を張ってみせる。
スラリとした、女の子としてはかなり高い背丈に発育の良い体躯。
艤装の露出度も相まって正直、そんな風に無防備に胸を張られると目のやり場に困るのだが…。
生真面目なくせに、いや、生真面目な性格だからか、男のそうした視線には疎いのだろう。
「この間、海域攻略しただろう?」
それでも尊敬には至りませんかね、と提督が水を向けた。
なるべく胸を見ないように視線をそらしながらそう言うと、彼女から返ってきたのは元気の良いこんな答え。
「あら、私ならもっと上手いこと指揮してみせたもの」
高飛車とは少し違う自信に満ちた声に、提督は苛立つどころか逆に心を弾ませた。
期待のニューフェイスは、期待以上に新しい風を鎮守府にもたらしてくれそうだ。
「一応、鎮守府のエースと練りに練った作戦を実行したんだけどな」
話題を膨らませると、こちらの誘いにまんまと乗ってくるのが未熟な証拠。
駆逐の動かし方はこうじゃないとだとか、敵空母の対策は自分ならこうするだとか。
そんな事を今、自分の前で得意げに口にする時点で、前が見えていないんだよ、と提督は内心で微笑む。
それなりに戦力が整った鎮守府に着任した艦娘が何をされるのか、まるで想像出来ていないらしい。
そうなるとこの娘は、しゃんとしているようで意外と隙だらけだ。
第一印象では面白みのない真面目人間――この場合は艦娘か――と心配したが、この様子だと仲良くやっていけそうである。
「なる程、大変参考になったよ。今後は俺やエースじゃなくて、君の作戦を使わせてもらおうか」
「あら、話が分かるじゃない。完璧な勝利を上げてみせるわ」
そう息巻く彼女に…ただし、と提督はイタズラっぽく付け加える。
その、ウチのエースと演習して勝てたらの話だけどなと。
「へ!?ど、どういう事?」
「Hey,待ちくたびれたネー!」
丁度演習場へと着くと、お待ちかね、鎮守府のエースがテンション高く出迎えてくれた。
鎮守府のエース、金剛は英国淑女を気取っているとは思えない気さくさで、演習相手に挨拶をまくし立てる。
得意の英語を使うのは構わないが、多分それでは伝わっていないだろう。
「艦隊戦の演習をするっていうことさ。金剛とお前が旗艦同士でな」
「割り振るのは駆逐2隻と重巡1隻。これならお前も指揮しやすいだろう?」
まだ状況を飲み込めていない彼女に説明してやる。
どうやら突発的な事態に遭遇するのは苦手らしく、彼女はまだ戸惑っている。
「金剛、作戦練るぞ。コイツの癖はさっき全部聞いて学習済みだから」
「なっ、ちょ…ズルイわよ、この卑怯もの!日本人なら真面目に…」
「ほら、作戦タイム開始だ、お前は向こう側」
そんなもん初めから持ち合わせていない。なので相手にしない。
今日の秘書艦業務の中で、俺という人間をきちんと見抜けなかった証拠だと、提督は漏らす。
提督の方針はいたって簡単だ。
要はみんな無事で帰ってきて、オマケに勝てばいいのだ、多少小ずるいことをしたとしても。
それが分かっちゃいないのだったら、鎮守府のエースは金剛のままかな。
5分後に演習開始だ、配下の艦隊と作戦を練っておけと言い残して提督は金剛のもとへ。
「テートクも酷いことするネ」
「部下のしつけは最初が肝心、ってね」
遠くで何を言っているか分からないが、多分自分を罵倒しているのであろう言葉を背中に受けて。
提督は、長年の相棒と共に生意気な新人の鼻っ柱を折ることに全力を傾けるのだった。
そろそろ答えを発表して行きましょうか?
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見るのが嫌という方はそのレスを避けるなりNGワードに入れておくなりして下さい
【答え】
①時雨
改二絵を見れば一目瞭然、分かった方も多いようです。黒髪ロングの天使ですが前髪だけは大人しくありません。
比叡や睦月型、球磨なんかも跳ねていますが文中の口調、物静かな雰囲気などの表現で分かって頂けるかと思います。
時雨は拗ねる時もストレートに感情表現するのではなく、持って回った言い方をするイメージです。
【答え】
② ビスマルク
時雨とは違い沢山ネタを仕込んでおります。
>>15の「あ…ああ、失礼、提督」
母国語で「admiral」と言いかけて、ここは日本だからと「提督」と呼び直すビス子。
どちらでも意味は伝わるのにわざわざ日本式に訂正する律儀さに提督も苦笑しています。
ここで分かったという方は推理小説とか好きなタイプではないでしょうか?
付け袖(グローブ?)なのに肩出しの艤装とかいう死ぬほど性的な服装。アカン。
第一印象はドイツ人らしく真面目、でも自信家かつ隙が多くて憎めない人柄
金剛の英語挨拶が伝わらない⇒日本語で言わなきゃ、でなく独語で言わなきゃという意味
提督「遠くで何を言ってるか分からないが多分自分への罵倒」⇒距離でなく言語の問題
着任仕立てのビス子が指揮しやすい駆2重1⇒Z1、Z3、プリンツ という顔なじみ
③??? (?の数は関係無)
膝まづいて瞬間、提督は勢いよくトイレの便器に吐瀉物をぶちまけた。
ぜい、ぜいと荒い息遣いを繰り返しながら、毎回の様に取るこの行動。
自分以外はみんな女の子、という環境で良かったと改めて思う瞬間だった。
ここには男である自分以外入ってこないから…こんな無様な姿を誰かに見られることはないだろうと。
全てを出し切ったあと、口元を拭いながら提督は思う。情けない息遣いはそのままに。
いつもいつも、彼女の期待に答えようとするから自分は押しつぶされそうになるのだ。
もうやめよう、彼女に本当の自分を打ち明けてしまおうと…そう思いながらも結局、無茶をしてここに来るハメになるのだから懲りないものだ。
懲りない、というだけならばまだ良い。馬鹿な自分を責めるだけだ。
この事が原因で冷静な艦隊運営が出来なくなるようであれば…提督失格だ。それでは結局、彼女を失うことに変わりはない。
ドッドッドッドッド、と心臓が飛び出さんばかりに脈打っている。
ああ、とかうう、だとか意味
コメント一覧
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- 2015年07月20日 00:00
- 時雨ちゃんのアレ前髪だったの?
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