姫「そっきん!」 側近「如何なさいましたか?」
姫「おはよう!そっきん!」
側近「おはようございます、姫様」
姫「そっきん!」
側近「如何なさいましたか?」
姫「だっこ!」
側近「恐れ入りますが姫様、まだ朝の5時前です」
姫「だって、めがさめちゃったんだもんッ」
側近「だからといって休日に気持ちよく寝ている私をだっこのために起こしに来たのはどうかと…」
姫「いいじゃん!だっこ~!!
側近「わかりました、わかりましたから大きな声を出してはいけません」
姫「はやく~ッ!」
側近「ふぅ……」ヒョイ
姫「んふふ~♪」ダキッ
側近「…よいですか、姫様」ヨシヨシ
側近「両陛下が外出中でお寂しいのは分かりますが、姫様はもう5歳でございます」
側近「いや、一般的にまだ幼い姫様には酷かもしれませんね」
側近「ですが、来年には王族として神の洗礼の義も控えております、古より勇者様の手によって築き上げられたこの国の…ん?」
姫「ん…ンくぅ…」スヤスヤ
側近「……よしよし」ナデナデ
側近「散歩でもいきましょうか」
侍女「? あら、側近様、おはようございます! って、姫様」
側近「おはようございます、どうかされましたか?」
侍女「姫様を探していたのですよ、寝室にいなくて。
どちらに行かれたのかと思って心配していましたが、側近様のお部屋にいたのですね」
側近「抱っこのために起こされてしまいました」
侍女「ふふ、寂しかったのでしょうね。
でもよく寝てる…、起こしちゃ可哀想ですね」
側近「ああ、それで、このまま少し散歩に出ようかと。
申し訳ありませんが、姫様の羽織ものを持ってきて頂けませんか?
外は冷えますので」
侍女「ええ、かしこまりました」
側近「あっ、日が出てきましたよ、姫様」
姫「ん……」スヤスヤ
侍女「お待たせ致しました」
側近「ありがとうございます、よいしょ」
侍女「ああっ、いいですよ、私が着せますので…。
ん、これでよし」
側近「あったかそうですね」
侍女「あと、側近様、お部屋に剣をお忘れです」スッ
側近「いいですよ、そんな物」
侍女「ええっ?しかし……」
側近「散歩の時にそんなものぶら下げたくありませんし、城内は安全です」
侍女「は、はぁ…」
側近「それでは行って参ります」
侍女「はい、いってらっしゃいませ」
- 城内 中庭 -
側近「うーん、城内の木もすっかり葉が落ちてしまいました、ますます寒くなりますね」
老人「おお、側近ではないか!」
側近「これは、大魔導老師様、おはようございます。
こんな朝早くからどうされたのですか?」
大魔導老師「おはよう。
なに、朝の散歩じゃ、年寄りは早起きでの…おや?姫様じゃないか」
側近「朝早くに私の部屋に…、こうして抱き上げたら眠ってしまいました」
大魔導老師「ほう、お前によく懐いておるのぉ」ヨシヨシ
側近「両陛下不在で寂しいのでしょうね」
大魔導老師「同盟国へのあいさつ回りじゃそうだが、王も難儀なもんじゃな。
ところで、護衛はどうしたんじゃ?いつもならお前もついて行くじゃろうて?」
側近「今年はフェンリルの部隊と教会から幾人かお伴しております。
せっかくの休みなのだからと…、使い魔もおりますので、何かあれば連絡がくるかと」
大魔導老師「まぁ、この領土内で王に危害を及ぼそうなどと考える輩はおらんじゃろて」
側近「平和ですね」
大魔導老師「平和じゃ」
??「おや、お義父さん、朝の散歩ですか?」
??「あらあら、側近様も、姫様までいらっしゃるのね、うふふ」
側近「これは、魔闘士団長様に看護部隊長様、おはようございます」
魔闘士団長「やぁ側近くん、朝早くから姫様のお守りかい?」
側近「そんなところです」
看護部隊長「うふふ、気持ちよく眠ってますね、かわいい」フニフニ
側近「お二人とも、どうされたのですか?今日はどの部隊もお休みに入るはずですが」
魔闘士団長「いやなに、早くに目覚めてしまってね、自室の片付けが終わって妻と散歩でもと」
看護部隊長「私は日課のお祈りに、そうしたらこの人が教会に迎えに来たの、うふふ」
大魔導老師「まったく、見せつけてくれるわい」
看護部隊長「お父様ったら、昨日は大分呑まれていたんでしょう?
お身体に障りますよ?まだ寝ていたほうが…」
大魔導老師「馬鹿を言え、久々に孫の顔を見れるんじゃ、おちおち寝ておれんわい」
側近「今日は皆様、ご自宅に帰られるのですか?」
看護部隊長「ええ、もう3ヶ月も娘の顔を見てませんもの」
魔闘士団長「面倒をみてもらってる使用人から手紙が来ていてね、やはり寂しがってるそうだよ」
大魔導老師「たんと土産を買って帰ってやるとしよう。
側近よ、聞け。 さすがわしの孫じゃ!
姫様と同い年なのにの、もう魔法に興味を示しておる。
幼子向けの魔法文学書をたんまり買ってやるつもりじゃ~、喜ぶかのぉ」
側近「それはそれは、将来が楽しみですね」
大魔導老師「じゃろ?きっと偉大な魔闘士になるぞ!…いや、魔法薬学師でもええかの?
容姿も娘によーく似てべっぴんじゃ!」
看護部隊長「もう、お父様!気が早いですよ」
魔闘士団長「はははっ、いいじゃないか!今日は城下町に連れだして目一杯遊んでやるつもりだよ」
姫「じょーかまち……?」
側近「姫様…?お目覚めになったのですね」
姫「おはよう、そっきん。
みんなもおはようございます!」
魔闘士団長「おはようございます、姫様」
看護部隊長「はい、おはようございます、姫様」
大魔導老師「おお!おはよう姫様!しっかり挨拶ができて偉いのぉ」ナデナデ
姫様「んむ…えへへ。
ねぇそっきん!わたしもじょーかまちにいきたい!」
側近「姫様…、陛下の留守中に外出は…」
姫「……だめ…なの?」ウル
側近「うっ……」
魔闘士団長「ははは!我が国最強の剣の使い手も姫様には弱いんだね。
いいんじゃないかな、我々がお供させて頂きますよ、姫様」
大魔導老師「そうじゃそうじゃ!王もそのような事を咎めるお人ではなかろうて!
何かあればわしらが弁明してやる!共に参ろうぞ!姫様!」
側近「国王陛下はお許しになって頂けるかと、問題は女王陛下ですが…」
看護部隊長「あら、女王陛下なら私からお話致しますよ、もと“同期“ですもの、うふふ」
側近「はぁ…それならば心強いばかりです…。
姫様、本日は皆さんと私と、城下町へ参りましょうか」
姫「ほんと!?やった!やったー!!」スルッ
側近「姫様っ!?危ないです!ああっ!走ってはだめですよ!」
姫「やった!じょーかまちー!たのしみー!!……あうっ」ドテン
側近「あ」
魔闘士団長「おや」
大魔導老師「およ」
看護部隊長「あら」
姫「ふぇ…ふぇぇぇぇ…ヒック…」ジワジワ
ビィェェェェン!!!
側近「姫様!!姫様ぁ!!」ダダッ
大魔導老師「やれやれ…ちーとばかし、元気が良すぎるのぉ、姫様も」
魔闘士団長「側近くんも苦労が絶えないね」
看護部隊長「でも楽しそう…、“カーリア“、いい子にしているかしら」
- 城門前 -
側近「というわけで、何かあれば伝書鳩をお願い致します。
私も含め、お歴々も一緒なので、心配はないかと思いますが」
衛兵A「なるほど、承知いたしました側近様」
衛兵B「我々は午前で交代となりますが、後続の者に引き継ぎ致します」
衛兵C「楽しんできて下さいッス!姫様!」
姫様「うん!たのしみ!」バンザイ
大魔導老師「おーい!すまんすまん!待たせたわい!」
看護部隊長「もう!荷物はまとめておいてとあれほど言ったではありませんか!」プンスカ!
魔闘士団長「まぁまぁ、いいじゃないか…落ち着いて」
大魔導老師「婿殿はやさしいのぉ…、全くお前も見習わんか」
看護部隊長「なっ!?大体お父様は…」クドクドクドクド
衛兵A「け、敬礼!」ザッ
衛兵B・C「敬礼!」ザッ
大魔導老師「あーよいよい、かしこまるな!
わしらはオフじゃぞ、ホリデイじゃ、バケーションじゃ」
衛兵A「はっ!し、失礼を…ッ」
魔闘士団長「まぁまぁ、固くならないで」ポンポン
看護部隊長「あら、あなたはこの間教会で挙式をした…奥様はお元気?
赤子を授かったと聞いていたけれど」
衛兵B「はっ、おかげさまで大変体調も良く、順調であります!
王の計らいで近くの療養施設まで提供いただき、感謝の言葉もありません!」
看護部隊長「そう、よかったわ…、いろいろ大変かもしれないけれど、子供はいいわよ?うふふ」
衛兵B「へ、へへへ」ニヘラ
衛兵C「す、すごいッス…、魔法部隊の幹部が3人もこんな近くに…」
姫「ねぇねぇ」ユサユサ
衛兵C「ん?どうしたッスか姫様?」
姫「おてて、けがしてるの?」
衛兵C「へっ?ああ!大したことないッス!演習中にこけちゃっただけッス!!
ツバつけとけば治るッスよ!!」
側近「油断はいけませんよ、雑菌が入れば大事になりかねません。
ここの警備が終わったら医務室へ行きなさい」
衛兵C「きょ、恐縮ッス…」
姫「んー、えいっ!」ギュ
衛兵C「ひ、ひひ、姫様!自分の手なんか触っちゃだめッス!汚いッス!」
姫「ん~、いたいのいたいのとんでけー!」
衛兵C「……」
側近「……」
姫「えへへ、もういたくないよ!」オテテナデナデ
衛兵C「ん…んぐっ…」ジワッ
姫「!?…い、いたい!?まだいたいの!?」
衛兵「ち、違うッス!いたくないッス!もう自分は不死身ッス!」ブルブル
衛兵A「お前な…、泣く奴があるかよ…」
衛兵C「だって…だって、俺決めたッス!もう手は洗わないッス!」
姫「えー?ごはんをたべるまえと、おそとからかえったときは、てをあらいなさいっておかあさま
いってたよ?」
衛兵B「姫様の言うとおりだ、馬鹿なこといってんじゃないよ…
それでは皆様、我々は警備に戻ります」
大魔導老師「そうじゃの、じゃあ参ろうか、皆の者」
魔闘士団長「そうだね、それではよろしく頼むよ」
看護部隊長「お身体に気をつけて、奥様によろしくね」
衛兵A・B・C「「「いってらっしゃいませ」」」
側近「…」ジー
衛兵C「そ、側近様…どうかしたッスか…?」
側近「いいえ、もう医務室は必要ないようなので。
それでは宜しくお願い致します」ペコリ
衛兵C「へっ?あ、はい!いってらっしゃいませ!!」ペコリ
衛兵A「…それにしても、姫様は本当に良いお人に育っている」
衛兵B「本当に…姫様だけでなく、ここの人たちは本当に温かい方ばかりだ。
奴隷商に売り飛ばされて、後はどこぞの金持ちにこ
コメント一覧
-
- 2015年07月19日 23:01
- ひーめーさーまー
-
- 2015年07月19日 23:45
- 最後の「腕の中の処女」で読んでて良かったと思った
-
- 2015年07月19日 23:47
- とりあえず先に来た
最後処女って……台無しやん……それともそういうお話なん?
-
- 2015年07月19日 23:56
- 10年後に隣国か魔物の軍勢と戦争になりそうな所からが本編だろ
あくしろ
スポンサードリンク
ウイークリーランキング
最新記事
アンテナサイト
新着コメント
QRコード
スポンサードリンク