いけさんフロムエル : 「藍の時代一期一会」～不良でも漫画家になれる！路上の出会いと最後のメッセージ！！

ブログネタ：: 車田正美に参加中！

週刊少年チャンピオン連載「藍の時代一期一会」第２回です。
今週はセンターカラーで登場しました。

車田正美の漫画家人生を元にしたフィクションという事でスタートしたこの作品。
やはり読んでいて何処までがリアルで何処からがフィクションなのか気になる訳ですけど、フィクション要素を出来るだけ抑えたストーリーにする訳にはいかなかったのでしょうか？
せっかく自伝的な作品を描いているのにそれをフィクションにしてしまうのは勿体無い気がするんですよね。
恐らくは全８回終了後にコミックスが出るんだと思いますが、巻末に解説などをつけてそういった疑問を補足してくれるとありがたいですね。

さて、ヤクザアウトローを英雄視するそんな少年時代を送っていた中学三年生の中山歳男・小林純一・東田正巳の３人。
そんな東田たちが憧れる健さんが逮捕されるが、警察に捕まっても貫禄を失わない彼の姿に３人は感激する。
そんな３人の将来を心配し、ヤクザは人間のクズだというところを見せて目を覚まさせて欲しいと健に土下座して頼んだ宇津木刑事。
それを受け入れたのか、護送される際に「死にたくない」と泣き喚く姿を晒した健さんだったのだが…！？

あれから都立高校に無事入学したという東田正巳。
その一方で、中山歳男は工場に就職し、小林純一は持病が思わしくなく入退院を繰り返していたのだという。
そのジュンの見舞いで彼が漫画雑誌を見ている事に気がついた東田。
何と、それは少年ジャンプだった！？

最近創刊された雑誌であり、本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」が面白いと言うジュン。
それを読み頭を木刀でぶっ叩かれたような衝撃を受けたという東田だが、上っ面の正義感やきれいごとではなく、そのへんにいそうでいない生身の主人公に打ちのめされてしまったらしい。
そういうテーマなら描けるのではと、東田に漫画家になる様に勧めるジュン。
だが、当の東田は手塚治虫も本当は医者だし、大卒の秀才でなければ漫画家になれないと最初から諦めムードだった様子。
「この本宮ひろ志は中卒だって」
「しかも子供の頃は大松中の裏番だったらしいよ」
そんな東田に思わぬ裏情報を教えたジュン。
子供の頃東田はろう石で路上に絵を描いており、それを見てきたジュンには彼に才能があると感じていたらしい。

何やら少年ジャンプと本宮ひろ志の存在が大きかった様ですけど、他社の紙面で「少年ジャンプ」と明記するのは今時珍しい気がします。
まあ、元々ジャンプ作家ですし、そこは避けられなかったんだと思いますが、架空の雑誌名にしなかったのは懸命な気がします。
見たところ集英社等の許可は取っている様ですし、だとするとジャンプ黎明期の作家なども出てくる可能性もあるのかな？
そういうリアルな情報は嬉しいですし、出来ればジャンプだけでなく当時の漫画について何か語ってくれる事にも期待したいところです。

本宮ひろ志の絵は決して上手くはないが惹きこまれると言う東田。
と同時に、絵に見覚えがあるという東田だが、何とかつて本宮ひろ志本人と出会った事があるらしい。
錦糸町で一対三のケンカを見た東田。
だが、一人で闘っていた人物こそ他ならぬ本宮ひろ志だった！？
その男が落とした原稿を見て覚えていたらしい東田。
たった一度見て特定するというのも何ですけど、このあたりはさすがに少し話を盛っている気がしますね（笑）。

一方、仲間で一番危うかったトシはとなり町のチンピラとケンカになり、相手のナイフを奪って腹を刺して数ヶ月の重傷を負わせてしまったのだという。
逮捕されこれでハクがついたと笑みを浮かべた中山歳男。
そんなトシの姿に激怒する東田だが、健さんの最後の姿を見てまっとうに生きようと誓っていたらしい。
「悪ぃ　オレにはムリだった」
そんな東田に何も反論せず謝罪するトシ。
最終的にヤクザの抗争で死んだというトシですけど、この時点ですでにヤクザの世界に足を踏み入れていたのでしょうか？

そんなトシにも漫画家になる様に言われた東田。
何やら全く描いている様子がないのにみんなに期待されているのは少し気になりますね（笑）。

ケンカをしても中途半端、落ちていたジャックナイフを拾うも相手を刺して不良の道を歩む事も出来ないでいた東田。
その数日後、定年退職していた宇津木刑事が亡くなってしまったのだという。
ジュンは入院中、トシはネリカンの為一人で葬式に参加した東田。
そんな東田のために宇津木は手紙を残していたらしい。

『東田　お前自分が何をやりたいのかわからないって言ってたが…』
『お前漫画家になれよ　小さい頃描いていた路上の絵　お前ならなれるよきっと…』
何と、東田には漫画家になって欲しいとメッセージを残していた宇津木。
自分にはムリだと涙を流す東田ですけど、本人にその気がないのに周囲が勧めるというのは漫画家漫画としては珍しいんじゃないかな？
その根拠が路上の絵だというのも何だか凄い話です。
それこそ尋常じゃない落書きをしたのかも知れませんが、同時に宇津木やジュンたちの才能を見抜く目は確かだったと言えるのかも知れません。

秀才には程遠く、不良にもなりきれていなかった当時の東田。
そんな彼が漫画に目覚めるのはいつなのか？
あるいは彼が立ち上がるためには恩師の刑事だけでなく、仲間の死さえも待たなくてはならないのでしょうか…？

ウィキペディア：車田正美

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