僧侶「勇者様を、おとします!!」
酒場
遊び人「何言ってんの?」
僧侶「そのままの意味ですよ、遊び人さん」
遊び人「そのままって言われても、勇者は魔王討伐に行ったきりでしょ。ねえ、魔法使い?」
魔法使い「あなた、新聞読んでないの?先週討伐を果たしたわ」
遊び人「マジで!?」
武闘家「号外って無料で配ってたよな!あたしも知ってるぞ!」
商人「ただどちらにしても、凱旋に各地への挨拶で当分は会えないと思いますけど…」
狩人「そうね、討伐時点でのパーティーならまだしも、リストラ組の私達じゃね…」
僧侶「そういうと思って、色々調べたんです!結果、会えると分かりました!」
遊び人「本当!?」
商人「情報は!?ソースはどこ!?」
僧侶「本人から、手紙が来たんです!これです!」
魔法使い「見せて!」
僧侶「これによると…!」
狩人「休暇をもらって3日ほどここに、彼の故郷に滞在するようね」
僧侶「そうです!本日皆さんに集まってもらったのはそのためです!」
武闘家「どういうことだよ」
僧侶「私達の大好きな勇者様と会える数少ない機会!これをものにして、勇者様をおとします!」
商人「それは先も聞きました」
魔法使い「それをあたし達に伝えて、何のつもりかって聞いてんの」
僧侶「情報を独占して抜け駆けするのは不公平だと思って、皆さんの前で宣言した次第です!」
遊び人「なるほど~。確かにこれで公平…」
武闘家「な訳ねえだろ!!」
狩人「そうね。これではまだ不公平よ。アタックする順番まで決めて初めて公平でしょう」
遊び人「本当だ!騙された!」
僧侶「だ、騙してませんよ!」
魔法使い「じゃあ、公平に順番を決めましょ?」
商人「まさか断るなんて言いませんよね?」
僧侶「臨むところですよ!」
武闘家「じゃあ、準備はいいな?」
「「じゃんけんぽん!!」」
翌日
勇者宅
勇者「じゃあ皆にも挨拶してくる。昼までには戻るよ」
「いってらっしゃい」
勇者「行ってきます」
勇者「懐かしいな。皆元気にしてるかな…」
遊び人「お~い勇者~」
勇者「遊び人!久しぶりだな、元気にしてたか?」
遊び人「お陰様で…と、改めまして」
勇者「ん?」
遊び人「バ~カア~ホドジ間抜けー、イ~カタ~コ禿ボヨヨン」
勇者「……え?」
遊び人「お前のかーちゃんで~べそ、やっぱりお前もで~べそ」
勇者「…どうしたんだ本当に」
遊び人「じゃ」
勇者「おい待てよ!ってもう行っちまった…」
勇者(何だったんだ…里帰り早々傷つくな…)
酒場
遊び人「勇者貶してきた~」
商人「早!結果はどうでした!?」
遊び人「結果?別に、軽く心配されただけ」
僧侶「それはどういう意味でですか!?」
狩人「待って。遊び人あなた、何て言って落としたの?」
遊び人「バ~カア~ホドジ間抜けー、イ~カタ~コ禿ボヨヨン。お前のかーちゃんで~べ…」
魔法使い「もういいわ。落とすを勘違いしてたのね」
武闘家「しょうがねえな。手本を見せてやるよ!飯食ったら着いて来い!」
遊び人「了か~い」
勇者「今日は後、武器屋と道具屋と…」
武闘家「よう勇者!」
勇者「おわ!いきなり後ろから抱きつくなよ武闘家」
武闘家「んなこと言って、嬉しいくせに」
勇者「い、いや、お前に抱きつかれても、その、重いだけだし…」
武闘家「何を~!?送り襟締め!」
勇者「んが!?ぐぐぐぐ、ぐえ…」
武闘家「やべ!起きろ!しっかりしろ!」
酒場
武闘家「悪い、勇者落としちまった…」
僧侶「謝らないで下さい!余計に惨めになるだけじゃないですか!」
武闘家「そういうことじゃねえんだよ…」
狩人「あなたは何したの?」
遊び人「抱きついて首絞めて経験値もらってた」
魔法使い「字だけ近づいたのね」
商人「独自のアピールには成功してる…なら私も…!」
翌日
勇者「昨日は酷い目に遭ったな。今後はデリカシーに気を配るか」
商人「勇者様」
勇者「商人か、久しぶり。繁盛してるか?」
商人「それなりに。ただ、今日勇者様が協力してくれればさらに発展しそうです」
勇者「俺で良ければ力を貸すよ」
商人「ありがとうございます。では、着いて来て下さい」
酒場
遊び人「2000G!」
武闘家「こっちは3000Gだ!」
狩人「なけなしの5500Gで!」
魔法使い「8600Gよ!」
僧侶「そんなに持ってない…」
勇者「……」
魔法使い「じゃあ、あたしで決まりね」
商人「10万G」
魔法使い「ちょ!?主催者が参加するなんて卑怯よ!」
商人「これ以上の方はいないようなので、今回の落札者は私です!これで勇者様との半日デートは私のもの!」
勇者「…俺は競りに掛けられるまでも…いや、まあいいか」
魔法使い「久しぶりね、勇者」
勇者「今朝会ったばっかだろ。まあ元気そうで何よりだよ」
魔法使い「そういうあなたもね」
勇者「まだ、俺の魔法の研究は続けてるのか?」
魔法使い「ええ。擬似的に再現できるまでになったわ。見てて」
勇者「ああ、期待してる」
魔法使い「じゃあ行くわよ…ライデイン!」
勇者「おわあああ!!」
魔法使い「ごめん!発動位置はまだランダムなの!」
酒場
魔法使い「勇者に落としてきたわ…」
商人「え?てにをは間違えてませんか?」
魔法使い「あいつにライデイン落としちゃったの…」
武闘家「殺す気かよ!」
遊び人「武闘家に言われたくはないんじゃない?」
僧侶「安心していいのか心配した方がいいのか…」
狩人「明日は私の番ね…」
翌日
勇者「昨日と一昨日の分も取り返さないと、回りきれないぞ」
勇者「…今日は大丈夫だよな?あいつらだってそんな暇じゃないだろうし…ん!?」
勇者(殺気!?背後から、しかも遠い!)
勇者「っと、矢?でも、このくらいなら当たらな…うお!?」
狩人「やった!かかった!」
勇者「狩人!?お前か!矢を撃ってきたのも落とし穴掘ったのも!」
狩人「他の誰も落とせなかったけど、私は落としたわ」
勇者「聞けよ!出るの手伝えよ!ていうか置いてくな!」
酒場
狩人「私は成し遂げた。勇者を落としたの」
武闘家「マジかよ!」
狩人「本当よ。尤も、既に這い出してるかも知れないけど」
遊び人「這い出す?」
商人「もしかして今朝土を運んでたのって…」
魔法使い「往来に罠仕掛けるのやめてって言ったでしょ!?」
僧侶「救出してきます!」
僧侶「勇者様ー!大丈夫ですか!?」
勇者「ああ、服は汚れたけど、自力で脱出できたよ」
僧侶「はあ、良かった~」
勇者「良くないけど、本当お前らどうしたんだ?揃いも揃っておかしいぞ?」
僧侶「勇者様に用事があるだけです…と、そうだ!ついでにここで果たしちゃいましょう!」
勇者「今度は何だよ!?」
僧侶「そのままそこに立っていて下さい」
勇者「え?何だよ、何の魔法陣書いてんだよ」
僧侶「完成後のお楽しみです、と、できました!」
勇者「早!?」
僧侶「降霊術発動!」
勇者『おや、私は生き返ったのか?』
僧侶「お久しぶりです、お義父さん」
勇者『ん?僧侶ちゃんか。君が呼んだということはこれは息子の体か』
僧侶「そうです。本日はご挨拶をしようと、お越し願いました。不束者ですが、宜しくお願いします」
勇者『はは、こちらこそ息子を頼むよ、と、そろそろか。ではさようなら』
僧侶「お元気で~」
勇者「何?誰に言ってんの?」
酒場
僧侶「助けるまでもなく脱出してました!それとお義父さんにご挨拶してきました!」
魔法使い「え!?勇者のお父さんは魔王討伐で…」
僧侶「ですから、勇者様を媒介に一時だけ来てもらったんです!」
狩人「降霊術ね。落とすというより降ろすが正確かしら」
商人「結局最後の最後で遠ざかりましたね」
武闘家「で、どうなんだ!?勇者本人にはちゃんと言ったのか!?」
僧侶「あ!しまった!?」
遊び人「結局全滅」
武闘家「本当、何してたんだろうな、あたしら…」
王城
勇者「今戻ったぞ、女騎士」
女騎士「早かったな。賢者も戦士もまだ戻っていないぞ」
勇者「そうか。はあ…」
女騎士「何だ、溜息を吐いて。久々の帰省で却って望郷を強めたか?」
勇者「いや、ちょっとな」
女騎士「悩みがあるなら話してみろ。共に討伐を果たした仲だろう?」
勇者「ありがとう、実はさ…」
女騎士「共に冒険した者達の平素と異なるテンションに呑まれた、と」
勇者「そうだ。それで…」
女騎士「結局、あのことを伝え損なったと言う訳か」
勇者
コメント一覧
-
- 2015年07月31日 21:31
- くっ!落とせっ!
-
- 2015年07月31日 21:33
- これは旅の間酒場に幽閉していた勇者さん有能
でも自力でライデイン覚える魔法使いちゃんは連れていっても良かったんじゃないですかね
-
- 2015年07月31日 22:45
- こっからじゃないか
-
- 2015年07月31日 23:09
- なんだ、最後は国を落とすと思ったのに...
-
- 2015年07月31日 23:43
- ※4
だよな!俺もそれ期待した。
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