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家には様々な日用品は時に何かに代用することもある。科学者だって例外ではない。時に身の回りのものを有効活用し、クリエイティブな用途に使ってしまうのだ。
ゼラチン、猫砂、タンポンなど、ここでは科学者たちが目をつけ有効利用を考えている10のものとその使用法を見ていくことにしよう。
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10. ゼラチン
ゼラチンはゼリーや、一部の砂糖をまぶしたシリアル、さらにはヨーグルトなどに入っている。だが、これが洋服に使われると聞けば驚くだろう。ゼラチンといえば、ネバネバ、ベタベタしていると思うだろうが、これは皮膚や軟骨や骨髄などを砕いた粉末なのだ。したがって、丈夫で、無駄の少ない服を作る素材としてはぴったりだ。
すでに科学者はゼラチンから糸を紡ぐことに成功している。これにホルムアルデヒドとラノリンのスプレーを吹きかけることで、丈夫で暖かい布を織ることができる。
しかし、これだけではない。石油から作られる化学繊維が席巻するまで、繊維業界では1世紀も前から、植物や食品副産物を用いた実験を行っていた。今日、私たちはより環境に優しい暮らし方を模索している。これは着る物についても同じ話だ。今のところは奇妙にも聞こえるかもしれないが、いつの日か、ゼリーの靴下や竹のドレス、あるいはミルクのシャツなどが当たり前になっているかもしれない。
9. 日光から液化燃料
大量にあるのに誰も気に留めもしないものは何だ? そう、日光だ! これを容器に入れておけないのは残念としか言いようがない。科学者もまたそう考えた。そして、太陽の光をボトルに入れておく方法を考えついたのだ。
太陽光発電がどんどん普及している。アメリカでは50万台の太陽光発電システムが導入されているが、価格が手ごろになればさらに普及が進むと推測されている。だが、石油に依存する社会インフラのために、その使用はまだ限定的である。
そこで、ハーバード大学の科学者は、太陽光を液体燃料に転換する方法を考案した。彼らが開発した人工葉システムは、太陽の光を利用して水を元素成分に分解し、そこで発生した水素と酸素を微生物によって液体燃料イソプロパノールに変換するのだ。
すなわち、光合成を模倣する方法が発見されたということだ。次の目標は、植物の1%の効率を打ち破ることだそうだ。そのうち、太陽が作り出した液体燃料で走る車が通りに溢れるようになることだろう。
8. タンポン
街中には大抵2種類の下水処理システムがある。1つは家庭から汚水を集め、下水処理施設に流すシステム。もう1つは、雨水を川に流す排水システムだ。残念なことに、雨水の排水設備はときおり下水によって汚染され、綺麗な水源まで汚すことがある。
では、水源の汚染の有無を確認する方法はないのだろうか? 1つは、光ファイバーケーブルを下水に通して、汚染源を突き止めることだ。これには、1m当たり1600円以上のコストがかかる。また、分光光度計を利用する方法もあるが、これもやはり高額だ。
そこでタンポンの登場だ。これは未加工の綿という吸収材でできている。トイレットペーパー、洗剤、シャンプーなど、下水の中に含まれる様々な化学物質に触れると、それを吸収し、紫外線に曝せば、わずかな量であっても30日間は膨らんだままになる。
この性質を利用すれば、水の汚染を手軽に確認することができる。科学者はタンポンを使って河川や水路などの汚染先から徐々に遡り、汚染源を特定することに成功している。他の方法とは異なり、タンポンは安価で、入手も容易だ。また、特別な訓練が要らないという利点もある。
7. ジャガイモ
ジャガイモが電池代わりになることをご存知か? しかも、1月以上も部屋を照らしてくれる優れものだ。
ジャガイモは世界第5位の主要作物だ。実はこれが安価な自然の電力源になる。わずか8分間茹でて、ぶつ切りにするだけで、ジャガイモを効果的な塩橋、つまり電子流が移動する空間に仕立て上げられることを科学者は発見した。ジャガイモ電池を作るには、他にも鰐口クリップと2つの電極が必要になる。どれも手軽に手に入るものばかりだ。
ジャガイモ電池は電気の乏しい途上国なら大活躍してくれるだろう。だが、問題はそうした国々では栄養不足も深刻であることだ。ジャガイモがあるなら電気をつけている場合ではないかもしれない。
6. インク
あなたがペン回しの練習に励んでいる間、科学者が考えたのはペンでエネルギーを蓄える方法だ。ほとんどのペンのインクはよく流れ、滲むことなく素早く乾燥するよう設計された油性染料だ。これが電気二重層コンデンサをより強力にしてくれる。
コンデンサは電力を静電荷として蓄える。足を絨毯に擦り付けて、何かに触ったところを想像してみよう。あなたが蓄えた電気は、指から放出される。電気二重層コンデンサは、風力タービンやハイブリッドカーなど、多量の電力を蓄える必要がある機械ならどこにでも利用されている。
これの効率を高めてくれるのがインクなのだ。中国の研究チームは、電気二重層コンデンサをペンインクでコーティングすることで柔軟で極薄の外層を作り、充電量を10倍にも高めてくれることを発見した。展性を持つコンデンサがウェアラブルな機器を可能にするかもしれない。何世代か先のiPhoneがiシャツになっている可能性だってあるのだ。
5. 猫砂
2014年2月、米ニューメキシコ州の核廃棄物処理施設で警報が鳴り響いた。放射性廃棄物を詰めた200リットルタンクが破裂し、大気中に放射性物質を撒き散らしたのだ。数ヶ月がかりで突き止めた事故の原因は、誰かが猫砂の種類を間違ったことだった。
猫砂は猫の尿を吸収するが、放射性廃棄物をも吸収してくれる。1950年代まで、猫砂は砂や泥、あるいは灰などでできていた。だが、今日の猫砂は超吸収性の粘土で、優れた安定剤になる。放射性廃棄物のタンクの中にこれを混ぜることで、廃棄物と環境との反応を防ぐことができる。
問題の核廃棄物処理施設では、ある時点から環境に優しい有機性の猫砂を利用するようになったようだ。通常の猫砂と違ったのは、これが植物の繊維でできており、燃料としても優れていたことだ。そして、これを混入されたタンクは危険な時限爆弾と化した。幸いにも、漏洩のあったタンクは地下に保管されていたが、他のタンクは2重のタンクで補強せざるを得なくなった。
4. レジ袋
レジ袋が与える環境への負荷については悪名高い。枯渇しつつある石油からできており、分解されるまでに10〜20年の歳月がかかる。外へ捨てられた袋は、動物たちが飲み込んで、窒息の原因にもなる。一部の海では、プランクトンの6倍のレジ袋が漂っているという。
世界のレジ袋を削減するために、一部の国では買い物用レジ袋に課金することにした。だが、それでも結局は埋め立てられるレジ袋をどうすればいいのだろうか?
科学者たちはその有効な利用方を考案している。例えば、ここからディーゼル燃料を作ることができる。さらに、天然ガス、ガソリン、ナフサという溶剤、あるいはエンジンオイルや油圧オイルに転換することもできる。レジ袋は元来が燃料から作られているのだから、その80%までを戻すことができるのだ。環境や埋立地にとっては朗報だろう。
3. イヌハッカ(キャットニップ)
猫を飼っている人の家なら、乾燥させたイヌハッカの玩具があるかもしれない。イヌハッカはシソ科の多年草で、マタタビのように猫を興奮させる物質が含まれている。これを一嗅ぎした猫は恍惚感から、まるで酔っ払ったかのように地面を転げまわる。
こうした反応を見せる猫はおよそ半数ほどだ。遺伝的な理由であるようだが、はっきりとはしていない。その理由が何であれ、イヌハッカを嗅いだ猫は、10分ほどこの世の至福を味わうか、「ニャ?」とそっけない態度をとるかのいずれかだ。
このハーブに反応する動物は何も猫だけではない。虫もイヌハッカの油分には敏感だ。ただし、猫とは反対に非常に嫌がる。2001年の実験では、ディート(虫除けに使われる化合物)よりも10倍蚊が嫌がることが判明した。また、2010年には、家畜を狙う吸血性昆虫にも同様に効果的であることが明らかとなった。
昆虫学者のクリス・ピーターソン氏によれば、イヌハッカにこれほどの虫除け効果がある理由は分からないそうだ。臭いかもしれないし、あるいは昆虫にとって刺激性があるのかもしれない。
残念だが、猫を惹き寄せると銘打たれた虫除け剤が登場するにはまだしばらく時間がかかりそうだ。その後の研究で、イヌハッカの油分を肌に塗布してもディート以上の効果を発揮できないことが判明したからだ。それでも、科学成分を嫌う人が、無害であり、100%天然のイヌハッカを使うことは多くなってきた。
2. ベビーパウダー
ベビーパウダーは元々おむつによる気触れを防ぐために使用されていた。だが、今では医師がこれを勧めることはなくなった。簡単に吸い込んでしまい、赤ちゃんのデリケートな肺を傷つけてしまうからだ。擦傷を防ぐため太ももに使う女性もいるが、これは子宮がんのリスクを上げることが知られている。
こうしてベビーパウダーには使い途がほとんどなくなってしまった…科学者が火山爆発を起こすこと以外は。
ベンジャミン・アンドリューズは火山の破壊力を研究する人物だ。噴火にギリギリまで近づいて、自分が焦げる感じを味わってきた。毎年900人の人が噴火で命を落としており、そうした犠牲者の数を減らすために、アンドリューズ氏は命を賭して研究に励んでいる。
だが、問題は近寄り過ぎれば自分も死んでしまうことだ。噴火で本当に危険なのは、ゆっくりと流れる溶岩ではなく、爆発で飛んでくる灰や瓦礫だ。この爆発を調べるために、アンドリューズ氏は実験室に噴火シミュレーター、平たく言えば火山のミニチュアを作り上げた。彼は主にベビーパウダーの主原料であるタルク粉末を大量に購入し、様々な状況における瓦礫の飛散パターンを調査している。
パウダーは軽く、柔らかく、レーザー光に照らすとよく見える。実験風景はスモークとレーザーで演出された幻惑的なショーのようだが、噴火の研究には打って付けの素材だ。
1. グリッター(ラメ)
乙女のネイルアートに不可欠な反射素材だが、2014年12月に意外な場所で重宝されるようになった。それはNASAだ。
現在NASAは2018年にハッブル宇宙望遠鏡に取って代わる後継機のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を開発中である。総費用が1兆円近くもし、これを支える宇宙船を含めれば7トンの総重量を誇る何もかもが規格外の望遠鏡だ。
だが、これはあまりに大きすぎ、しかも金がかかりすぎた。開発計画はかなり流動的となっており、NASAは代替案を模索している。例えば、超高性能望遠鏡に必要となる400kgの鏡のダウンサイジングが検討されている。NASAのエンジニアが考案したのは、グリッターのような粒子を放出するオービティング・レインボー(Orbiting Rainbow)というコンセプトだ。粒子を宇宙を漂う雲のような鏡として利用すれば、オリジナルの望遠鏡に比べればわずかなコストと重量で、はるか遠方の星々を観測できるようになるという。
listverse・原文翻訳:hiroching
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コメント
1. 匿名処理班
9は光合成の模倣っていうのとはちょっと違うと思う。
最初と最後はいっしょだけどさw
2. 匿名処理班
こういう記事好き!
賢くなった気がする!
3. 匿名処理班
昔バイオ燃料が期待されてたのに、最近まったく聞かなくなったなぁ。原油価格が下がったからかな。9の光合成燃料はすごく期待できる。この発想はなかった
4.
5.
6.
7. 匿名処理班
再生医療で普段使うオーブントースターを見て今は複雑で不可能な
心臓や腎臓組織を作り出すことに成功したっけ
科学者って普段使うものをいかにして使えるのかを
考える知識に豊富なのでリアルマクガイバーかもしれん
8. 匿名処理班
発電技術は山ほどあるけど、
問題は効率のいい蓄電技術なんだよね…
安価に効率よくエネルギーを溜めておくことさえできれば
不安定な自然エネルギーの実用化もぐっと進むだろうな
9. 匿名処理班
猫砂で、けもがくることを期待してた…。
10. 匿名処理班
今ある技術でも使い途を変えるとこんなことできるんだな
勉強になる
11. 匿名処理班
ベビーパウダーはラブドールを保管する際に表面の
保護材として利用する。ラブドールの皮膚素材は
人型ロボットと同じものなので人型ロボが普及すれば
少子化が深刻な我が国では人間用以上にロボ用に
消費されるかもしれない。
12. 匿名処理班
牛乳から繊維もう取れてるはずだけど。インナー持ってた。