18光年先に輝くオーロラを発見。人間の目には見えない赤い光を放っていた
目には見えない宇宙の光。
ある天文学者チームが、観測史上最も強い光を放つオーロラを発見しました。ただし、これは地球上の北極付近で見られるものとは違い、宇宙での話。その現象が観測されたのはなんと18光年先にある褐色矮星LSR J1835+3259の空らしいのです。
天文学者の国際チームはこの果てしなく遠いところで起きたオーロラを、ニューメキシコのNational Radio Astronomy Observatoryとサンディエゴのヘール望遠鏡を使って観測に成功しました。
矮星の空には緑や黄色のカラフルな光の線が見えたそうです。この光の線は、酸素とナトリウムイオンが大気中の電子によってぶつかり合うことで発生するもの。緑色や黄色だけでなく、同様に水素がぶつかって放出された赤い光もこのオーロラには含まれているらしいのですが、人間の目には赤すぎて見ることができないのだそう。
観測結果によって起こっていることは間違いないのに、この目で確かめられないのは残念…。科学者のレポートによればこの宇宙オーロラは地球上のものよりも100万倍明るいらしく、この発見はNatureにも掲載されています。ちなみに上の画像は画家の想像によって描かれたものです。
実はこの発見、長年天文学者たちの頭を悩ませていたあるひとつの問題を解決するヒントにもなりました。熱いガスでできた巨大な塊で惑星とも恒星とも違うこの褐色矮星は、いつもは薄暗く見えるのですが、定期的に明るくなることが昔行われた観測でわかっていました。
でもその理由は謎のまま。それからも矮星に関する観測は行われ、およそ2時間周期で星が自転していることまで掴んでいたのです。そして今回発見された強い光のオーロラ。発見したチームはこのオーロラが他の褐色矮星でも見られ、これこそ定期的に起こる明るさの正体ではないかと考えています。
それに、この観測によってもたらされた変化はそれだけではありません。従来の褐色矮星に対する推測にも影響を与えました。「木星と同じく、褐色矮星にも冷たい空気を含んだ雲があり、それによってオーロラが発生するのだ。これまで褐色矮星は星と見なされることが多かったが、この観測によってより惑星に近い存在であることがわかった」とこの研究に携わるシェフィールド大学の天文物理学者Stuart Littlefair氏がthe Guardianに語っています。」
宇宙の謎を解くひとつの手がかりとなった今回のオーロラ。ただひとつ残念なことは、どんなに強い光を放っていても、その光をこの目で見れないことですね。最高に輝いている瞬間でも、人間の目には実際の15万倍も暗く映ってしまうそうです。
image by Chuck Carter and Gregg Hallinan/Caltech
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
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