今年で終戦70年です。
漫画でも太平洋戦争をテーマにした漫画は数多くあり、ものすごい面白いんですよね。テーマがテーマなだけに、角度も様々で、ノンフィクションからドキュメンタリーや民間人の悲劇やイデオロギーが強いものまで。そんな中から個人的にお勧めの戦争漫画10選!


人間ども集まれ!

人間ども集まれ! 1 人間ども集まれ! 2
パイパニア戦争の脱走兵天下太平は、人工受精の実験材料にされてしまった。ところが、彼の精子により生まれた子どもは、第三の性を持つミュータントだった!! 新人類の誕生をめぐり壮大に展開する人間喜劇
かなりぶっ飛んでいる!風刺作品なのかな。名著です。架空の東南アジアのパイパニアという国で、戦争末期に日本の義勇軍に参加させられた天下太平が脱走兵として逃亡生活をする中、敵軍に捕まり捕虜となる。そして人工授精の研究をする研究所へ送られ、調べて見れば天下太平の精子は特殊であった…。

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人間ども集まれ

天下太平の特殊な精子から人工授精で製造された人間は男でも女でもない無性人間。新人類がどんどん量産され、やがて、それが商売となる。戦争をするならば人がいる。ここに死んでもいい人間がいる。規則正しく死を恐れない勇敢な新人類を格安で売る。世界中で人間の代理で戦争をするまで新人類が広がり、その後に彼らはどうするか…。しんみりするラストと、戦争というのはつくづくショーなのだと思わせてくれる。かなり際どい描写もあるけど…。

戦争めし

戦争めし (ヤングチャンピオン・コミックス)
兵隊さんと戦地ゴハン。戦時下のお寿司屋さん。餃子と引き揚げ兵。激動の時代の中で生まれた感動の“食エピソードたち”。昭和初期の“グルメ”を“食漫画マスター”の魚乃目三太がほんわか温か~く描く珠玉のオール短編物語。
こういう戦争の描き方もあるのだな、と。戦争といえば戦場とか過酷とか悲惨とかが描写されることが多いですけど、そういうのではなく本当に、ほのぼのと、戦時中の日本軍の食事を人間ドラマを交えつつ描く温かい漫画。飯について感動的に調理したエピソードはグッとくる。名作やで…。

はだしのゲン

[まとめ買い] はだしのゲン
戦中戦後の広島を舞台に、たくましく生きる少年たちを描いた名作漫画が、電子版で登場! 敗戦まぢかのヒロシマの町、食糧難でうえる子どもたち。人々は疲弊していた。下駄の絵付けで生計をたてる中岡家は貧しくとも、国民学校2年生のゲンたち兄弟は元気に育っていたが、戦争に批判的な父の言動から、近所からは疎外されていた。そして、ついに「あの日」がやってきた……。
ジャンプで連載された第一部と、政治色が強い第二部がある。第二部はかなりイデオロギーが激しくて何度も「お…おう」となるかも。ジャンプで連載された第一部は原爆投下前後から終戦直後の日常や動乱の描写が描かれる。何度読んでも素晴らしいと唸るね。かなりグロい描写もあるけど、それだけ悲惨さを際立たせる。

新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論

新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論 (幻冬舎単行本) 新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論2 (幻冬舎単行本) 新ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論3 (幻冬舎単行本)
戦後60余年の見えざる呪縛の鎖を断ち切る解放の書か? それとも戦争の悪夢を喚び起こす禁断の一冊か? 戦争とは何か? 国家とは何か?そして「個」とは?384ページの傑作超大作!
名著である。ちょっとイデオロギー色が強い側面もあるけど、戦後70年経過してあの戦争は何だったのかと見つめ直すもの。3では時代背景としてイラク戦争がありイラク戦争を批判してる。自分には描かれている事が正しいのか間違ってるかは分からないけど、凄まじい説得力がある。漫画としてすごく面白い!

ジパング

[まとめ買い] ジパング (1-25) [まとめ買い] ジパング (26-43)
200X年のイージス艦が、1942年にタイムスリップしたならば―。“来る”太平洋戦争が、その先の“みらい”が激震する!!―海上自衛隊所属、最新鋭イージス艦「みらい」、謎の暴風雨に遭遇。そしてすべての僚艦(りょうかん)、失踪(ロスト)…。やがて、1942年・ミッドウェー海戦域のド真ん中に“出現”した「みらい」は、撃墜された海軍将校を救助。そして、「歴史」は塗り替えられる―!!講談社漫画賞受賞。圧倒的なイマジネーションで描き出される、歴史横断超大作!
戦国自衛隊の太平洋戦争バージョンという設定。自衛隊が1942年にタイムスリップしたら…。中盤までは、自衛隊と当時の日本軍の人間ドラマを交えながら当時と未来の史実が見事にもつれ合いながら展開していき、最高の傑作であった。最後はかなり残念かも。ブン投げてしまった感がある。

あとかたの街

[まとめ買い] あとかたの街
太平洋戦争末期の昭和19年、名古屋。木村家次女・あいは、国民学校高等科1年生。青春真っ只中にいるあいの関心は、かっこいい車掌さんに出会ったことや、今日の献立のこと。自分が戦争に参加しているなんて気持ちは、これっぽっちもなかった――。しかし、米軍にとって名古屋は、東京や大阪と並んで重要攻撃目標だった。少女・あいにとって、戦争とは、空襲とは、空から降り注いだ焼夷弾の雨とは、一体何だったのだろうか。
戦争末期の民間人のエピソード。東京大空襲や原爆投下はよく聞くけど名古屋空襲はあまり知らなかったりする。自分が戦争に参加してるなんて自覚がない主人公のあいは、突如、空襲の襲われ…。1巻の戦時中の日常の描写は勉強になる。最新4巻は胸に刺さる。思想などなく、女子供から見た戦争の悲惨さが際立つ。

あれよ星屑

[まとめ買い] あれよ星屑
敗戦から1年あまり。ぼろぼろに焼け落ちた東京で、酒浸りの暮らしをしていた川島徳太郎は、かつて死線を共にした戦友・黒田門松に再会し…。その非凡なる画力に、同業者からも熱烈な賛辞を受ける、異色の漫画家・山田参助が挑む初の長編作。闇市、パンパンガール、戦災孤児、進駐軍用慰安施設など、戦後日本のアンダーワールドの日常を、匂い立つような筆致で生々しく猥雑に描き出す、敗戦焼け跡グラフティ、開幕。
敗戦の東京を舞台にした焼跡ロマン漫画なり。超傑作!ほのぼのした作品かと思ったら、けっこうキツイシーンもある。男があの時に死んでればと言えば、女が生きる為に現実と向き合ったり。日本人慰安婦のエピソードはけっこうキツイ。3巻はさらに色々とヤバイ。戦争孤児や自分は日本人だと言う朝鮮人の元特攻隊…泣ける。精神ダメージはかなり食らうが。

夕凪の街 桜の国

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)
昭和30年、灼熱の閃光が放たれた時から10年。ヒロシマを舞台に、一人の女性の小さな魂が大きく揺れる。最もか弱き者たちにとって、戦争とは何だったのか……、原爆とは何だったのか……。漫画アクション掲載時に大反響を呼んだ気鋭、こうの史代が描く渾身の問題作。
広島が主題の名作。感動して泣く。戦争を題材にした漫画というのは大半が悲劇的で泣けるものですが、『夕凪の街桜の国』がめったくそ感動して泣けるのは「題材」ではなく「表現力」こそである。テーマで泣かせるわけではなく、漫画の表現で泣かせるのは凄い。大感動の超名作です。

この世界の片隅に

[まとめ買い] この世界の片隅に
平成の名作・ロングセラー「夕凪の街 桜の国」の第2弾ともいうべき本作。戦中の広島県の軍都、呉を舞台にした家族ドラマ。主人公、すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。しかし、一日一日を確かに健気に生きていく…。
『夕凪の街 桜の国』同様に広島を舞台とした作品。軍港呉の北條家に嫁いだ少女すずが戦時下でありながら、のほほんと過ごす日常。最初はほのぼの、中盤ジワジワ、後半はノンストップで駆け巡る。終盤の展開は心が痛むけど、最後まで読んで良かったと心から思える。

COCOON

COCOON
シマいちばんの女学校に通う主人公・サンらは、クラスメイトとともに学徒隊として戦地に赴く。戦況の悪化とともに、ひとり、またひとりと仲間を喪っていく中、世界の凄惨さと自己の少女性との狭間でサンは……。 戦後65年。新世代の叙情作家が挑み描いた衝撃の長編傑作。
詳細に名言されてないけど沖縄戦の断片。あっさりとした可愛らしい絵柄で淡々と重い話が展開される。シンプルな絵だから残酷さが際立つ。あくまで、普通の少女が戦争に駆り出されただけで、可愛いものが好きだしおしゃべりだし、恋や友情などの少女性が浮き上がる。印象深いラストは泣ける。