戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://horahorazoon.blog134.fc2.com/blog-entry-7536.html


【ゆるゆり】あかり「……櫻子ちゃんって、意外と怖がりだよね」 : ホライゾーン - SSまとめサイト

【ゆるゆり】あかり「……櫻子ちゃんって、意外と怖がりだよね」

≫ EDIT

2015-08-19 (水) 12:01  その他二次創作SS ゆるゆり   コメント:0   このエントリーをはてなブックマークに追加
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:47:00.00 ID:NWDOmBJQo

・さくあか



2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:47:46.56 ID:NWDOmBJQo

京子「やっぱりさ、悪の美学っていいよね!」

結衣「真っ盛りだな」

京子「こう、胸を躍らされるというかさ」

結衣「躍ればいいってもんじゃないだろ、吊り橋効果じゃないんだから」

ちなつ「そうですよ、ところで結衣先輩、山登りとか興味ありませんか?」

結衣「い、いや、しんどそうだしいいかな……」

京子「……うーむ、誰にも理解されないのか。じゃああかり!」

あかり「んー?」

京子「と、思ったけど一番遠い子だったね……」

結衣「あかりは善良まっしぐらって感じだからね」

あかり「そ、そうかなぁ」

京子「大きなことが出来ないタイプというか」

あかり「えぇ!?」

結衣「おい京子」

京子「い、いや軽い冗談というかさ……つい」

あかり「うぅ……いいもん、あかりは慎ましく平穏に暮らすから」

ちなつ「ちょっと京子先輩! あかりちゃんへこんでますよ!」

結衣「だ、大丈夫だって。あかりまで突き抜けるともうそういう次元じゃないというか」

ちなつ「そうですよ! あかりちゃんなら周りが勝手に大きくしてくれるレベルですよ!」

あかり「そ、それもどうなのかなぁ……」

京子「い、いやごめんごめん。でもさ、それもあかりの美徳だから!」

あかり「そうだと嬉しいんだけど……」

いつものような取るに足らない、ごらく部のおしゃべり。
この時は、特に後を引くこともなく、あかりも気に留めなかったんだけど、
この会話を後々思い返すなんて、夏休みになるまでは分かりもしなかった。


櫻子「あっ! あかりちゃんだ!」

あかり「櫻子ちゃん?」

夏休みの午後。いつものように、お散歩に出かけて、公園のベンチで休息と水分を取っている時だった。





4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:48:28.74 ID:NWDOmBJQo

櫻子「こんなとこでなにやってんの?」

あかり「お散歩だよぉ。今日は一段と陽射しが強くてまいっちゃうけど……櫻子ちゃんはどうしたの?」

櫻子「んー? 探し物かな。まあこんな暑い日がちょうどいいよね」

あかり「?」

櫻子ちゃんの言っていることが良く分からなくて、首を傾げていると、いつの間にか櫻子ちゃんが隣に腰を下ろしていた。

櫻子「あかりちゃん、これなーんだ?」

あかり「鍵?」

櫻子ちゃんがポケットから取り出したそれは、鍵としか言いようがなくて、返した言葉はたったの二音だった。

櫻子「そう! なんの鍵だと思う?」

あかり「えぇ!? 急に言われても……」

櫻子「実はね、楽園の鍵なんだよ!」

あかり「ら、らくえん?」

現実味のない言葉に、気が抜けてしまった。

櫻子「まあ学校のプールの鍵なんだけど」

あかり「えっ?」

櫻子「ちょろまかしてきたの」

あかり「えぇ!?」

櫻子「先生が」

あかり「なんだぁ……ってなんで櫻子ちゃんが持ってるの!?」

櫻子「あはは! あかりちゃんおもしろーい!」

あかり「櫻子ちゃんは恐ろしいね……」

櫻子ちゃんが言うには西垣先生から貰い受けたらしいけど、経緯については詳しく突っ込まなかった。




5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:49:26.66 ID:NWDOmBJQo

櫻子「なんかさー夏休みに刺激が足らないと思わない?」

あかり「そうかなぁ、あかりは平穏でいいと思うけど」

櫻子「私は退屈なの! だから!」

あかり「……だから?」

櫻子「夜のプールに忍び込もうかなーって」

あかり「……そんなワック行くようなノリで言わないでよぉ」

櫻子「それでね、今日の夜なんて丁度いいと思うんだけど、あかりちゃん一緒に行こうよ!」

あかり「なんであかりが……」

櫻子「丁度会ったのも何かの縁かなーって」

有無を言わせない押しに、圧倒されてしまう。
呑み込まれかけたところで、一つの懸念が口から出た。

あかり「……でもどうやって家から抜け出せばいいの?」

櫻子「えー、友達の家に泊まるとかでいいじゃん」

あかり「……実際はどこに泊まればいいのかな」

櫻子「じゃあうちにおいでよ! 多分大丈夫だと思うから」

あかり「た、多分……」

なにやら凄い不安に感じる単語だった。




6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:50:50.17 ID:NWDOmBJQo

櫻子「……やっぱり駄目かな?」

あかり「い、いや! その! うーんと……い、いいよ、いこっか!」

櫻子「ほんと!?」

あかり「う、うん」

悲しげな櫻子ちゃんの顔を見て、思わず許可してしまったけど、大丈夫かなぁ……。
……うーん、だけど、満面の笑みを浮かべる櫻子ちゃんを見たら、あまり後悔がわかなかった。

櫻子「じゃあ待ち合わせ場所はね……」


空に薄い藍色がかかっているころ、櫻子ちゃんとの待ち合わせ場所についた。
時間よりも結構前なのに、櫻子ちゃんはすでにいて、はやる気持ちを抑えきれない様子だった。
……確かにあかりもドキドキはしていたけど、この前の結衣ちゃんの、躍ればいいというものじゃないという言葉が頭をよぎった。

櫻子「あかりちゃん結構荷物持ってるね」

あかり「そりゃいろいろあるもん。……櫻子ちゃんは随分軽装だね」

櫻子「まあね! 身軽な方がいいじゃん!」

Tシャツにハーフパンツといった出で立ちの櫻子ちゃんは、いかにも活発な少女という体だった。
バッグにも最低限の荷物しかなさそうで、確かに動きやすそうではあった。

なぜか開いている校門を抜け、プールの出入り口につくと、櫻子ちゃんは鍵を使い、
ロックを解除した。……照明まで完備してるなんて。警備とかも大丈夫かなぁと思ったけど、それも西垣先生のお蔭なんだろうか。

櫻子「今日暑くて良かったね」

櫻子ちゃんはプールサイドから水に手を突っ込み、パシャパシャと音を立てている。

櫻子「じゃあ入ろっか!」

あかり「あ、あのね。一応聞くけど、服は?」




7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:52:18.12 ID:NWDOmBJQo

櫻子「そのままでいいよ! そっちの方が特別な感じがするし」

あかり「だ、だよね」

意味のない確認だったかも……そもそもあかりも水着は持ってきていなかった。

櫻子「よし、じゃあ!」

櫻子ちゃんはバッグを置き、サンダルを脱ぐと、勢いよく水の中に飛び込んだ。
少し離れたこちらにも、届くぐらいの規模の、派手な水しぶきが舞った。
その瞬間がなんだか網膜に焼き付いて、身体の動かし方を、少しの間忘れてしまう。
半ば呆然としていると、櫻子ちゃんは声を上げて、その心地よさをレビューしている。
それは気持ちいいだとか、単純な言葉だったけど、説得力は余りあるほどにあった。

櫻子「ほら、見て見て! 水も滴るいい女でしょ!」

照明と水に塗られた櫻子ちゃんは、確かに綺麗だった。

あかり「櫻子ちゃん美人さんだもんね」

櫻子「へ? うーんまあね!」

櫻子ちゃんは一瞬戸惑いを見せると、すぐさま元の様子に戻り、輝かしい笑顔を浮かべている。
……胸の高鳴りが、さっきよりも気持ちのいいものに思えた。この感覚に、身を任せていいのかなと自分に問いかける。
半信半疑のままだったけど、サンダルを脱いで、バッグをプールから離れた場所に置いた。

バシャンと、それはさっきの音よりも随分主張が弱い音だったけど、
あかりにとっては精一杯の勢いで、その音を鳴らした。

あかり「……きもちいい」

櫻子「でしょー!」

水の中に入った途端、周りの世界が塗り替わった気がした。
櫻子ちゃんの、楽園の鍵という言葉が、やっと現実味を持って刻まれた。
そこまで大きい規模のプールではないのに、だだっぴろく感じて、人の海がまるでないのが、酷くアンバランスな光景に見える。
この広大な場所を、独り占めに……二人占めにしているという事実を認識すると、高揚感がわいてきて、また胸の鼓動が速くなる。




8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:53:06.81 ID:NWDOmBJQo

櫻子「あかりちゃん!」

あかり「へ? ……うわっ!?」

声の方へ向くと、熱し切った頭に、水を掛けられた気分だった。
……というよりも、実際に掛けられていた。

あかり「えっ!? えぇ?」

櫻子「引っ掛かったね」

櫻子ちゃんは手に何かを持っていた。

あかり「……水鉄砲? なんでそんな」

櫻子「ほら、いろいろ楽しめた方がいいかなーって」

呆れ半分感心半分だった。あんな軽装なのに、こんなものは用意しているなんて。
だけど、櫻子ちゃんにいかにもしてやったりという顔をされると、むしろ清々しいぐらいに思えて、なんだか楽しい気分になってくる。

あかり「ずるいよぉ! あかり丸腰なのに!」

櫻子「んー? じゃあ手でも挙げてみる?」

あかり「?」

言われるがまま、手を挙げてみた。
すると、櫻子ちゃんがこちらに近づいてきて、あかりの脇を勢いよくくすぐった。

あかり「ちょ、ちょっと櫻子ちゃん!?」

櫻子「いやー無防備だったからね」

あかり「無防備にしたのはそっちだよね! もう!」

あかりが怒りのスタンスを見せると、櫻子ちゃんは泳ぎもせず、水の中を走って逃げていく。
同様にあかりも走って追いかけたけど、中々差が縮まらない。
けど、なぜだか足が凄く軽やかに動いている気がした。そんなはずはないのに、地上より動き易いように思えて、心まで弾んでしまう。

あかり「待ってよ櫻子ちゃん!」

櫻子「待てと言われたら待たないよ!」

声にまでその弾みがついたようで、普段では出さないような大きい声が出た。
本気で怒っているはずもなく、追いかけっこをするのがとにかく楽しくて、無心で櫻子ちゃんの背中を追い続けた。


櫻子「……流石に疲れたね」

あかり「……うん」

いくら気持ちが弾んでいても、身体はついていかず、しばらくすると、
二人して足だけを水の中に入れて、プールサイドに座り込んでいた。

櫻子ちゃんは、大人しくなって、手に持った水鉄砲に視線を落としていた。
それから、数十秒ぐらいたったあと、銃口を上に向けて、中身を発射した。




9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:54:21.50 ID:NWDOmBJQo

あかり「……なにしてるの?」

櫻子「特に意味も無いけど……なんか照明弾みたいだね」

あかり「誰かに伝えたいことでもあるのかな」

合図みたいな、そんな使い方を思い浮かべた。

櫻子「別に無いよね。……あっでも」

あかり「ん?」

櫻子「今、すっごく楽しいって、誰かに伝えたいかも!」

あかり「あはは、少なくともあかりには伝わってるよ」

櫻子「あっ、そっか。じゃあ伝わったね!」

そう言って、満面の笑みを浮かべる櫻子ちゃんを見ると、つられてこっちまで笑顔になってしまう。

あかり「……ねえ、櫻子ちゃん」

櫻子「んー、なに?」

あかり「あかりもね、今すっごく楽しいよ!」

櫻子「……そっか!」

二人して笑顔をうつしあって、しばらく頬の緩みが元に戻らなかった。


その後は、妙に準備のいい櫻子ちゃんが、ビーチボールを膨らませて、それを使って遊んだり、
意味も無く水の上に浮かんだりしたり、特に中身もないおしゃべりをした。そろそろ時間が遅いかなという頃合いで、プールから上がった。
夏とは言え、濡れた身体に吹き付ける風は冷たくて、着替えないと風邪をひきそうだなぁと、そう思ったとき、櫻子ちゃんが声を上げた。

櫻子「あっ!」

あかり「……どうしたの?」

プールサイドに立ち尽くす櫻子ちゃんに、焦りが見えた。

櫻子「……着替え忘れた」

あかり「大丈夫だよ、これでいいかな」

櫻子「へ?」

置いてあるバッグを開け、中身を取り出し、櫻子ちゃんに見せた。




10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:55:21.67 ID:NWDOmBJQo

あかり「その辺で適当に買った下着だけどいいかな? 上着はあかりのになっちゃうんだけど」

櫻子「……な、なんで?」

あかり「んー。櫻子ちゃん、ちょっとそそっかしいところがあるから、念のためかな。念のための準備って馬鹿に出来ないんだよぉ」

嫌味にならないように、柔らかく笑ってみせると、櫻子ちゃんはまた固まって、
動き出すようになるとすぐさまこちらに駆け寄り、あかりの身体を抱きしめた。

櫻子「あかりちゃん!」

あかり「さ、櫻子ちゃん、冷たいよぉ。せめてタオルで拭いてから……」

櫻子「あっ!」

あかり「……こ、今度はどうしたの」

櫻子「な、なんかいる」

あかり「へ?」

櫻子「ほらまた!」

あかり「……櫻子ちゃん」

櫻子「な、なに?」

あかり「ただの風だよぉ」

櫻子「あ、あれ? そうかな」

あかり「……櫻子ちゃんって、意外と怖がりだよね」

櫻子「そ、そんなことないもん!」

あかり「……じゃあなんで離れないのかなぁ」

櫻子「それは、そうじゃなくて……なんかあかりちゃんから離れたくなくて……」

あかり「……? あっ」

櫻子「どうしたの?」

あかり「それって、吊り橋効果ってものなのかな?」

ゆっくり身体を引き離しながら、いつかのごらく部の会話を思い出した。




11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:56:21.05 ID:NWDOmBJQo

櫻子「なにそれ」

あかり「えっとね、ドキドキしてると、その人が好きだって勘違いしちゃうことかなぁ」

櫻子「? 私あかりちゃんのこと好きだよ」

あかり「えっ!? あっ、いや、違う」

櫻子「えっ!? 嫌なの!? あかりちゃん私のこと嫌い!?」

あかり「そ、そうじゃなくて! あかりは櫻子ちゃんのこと大好きだよ!」

櫻子「……えへへ、そっか」

捨てられた子犬のようだった櫻子ちゃんの顔が、満開の花が咲いたように変わった。
櫻子ちゃんの笑顔はやっぱり魅力的で、あかりから見ても、ドキリとしてしまう。
……あれ? これも吊り橋効果なのかな。


帰り道を行く途中、櫻子ちゃんは思い出したように口を開いた。

櫻子「……あっ、しまった。今日私の家泊まれないかも」

あかり「へ?」

櫻子「いや、ねーちゃんの友達が来るらしくて、あんまり邪魔しちゃ駄目だとか……だっけ?」

あかり「だっけって言われても……」

櫻子「あと、口実が出て来なくて、焦って友達の家に泊まるって私も言っちゃった……ど、どうしよう、野宿しなきゃ駄目かな?」

あかり「えぇ!? ……い、いや大丈夫だよぉ。あかりのお家に来れば」

櫻子「で、でも嘘ついたのばれちゃうんじゃ」

あかり「……うーん。しょうがないよね。やっぱり回ってきちゃうというか」

櫻子「なにが?」

あかり「嘘をつくのは良くないねってことだよ。……どうしよっかな。なんとか櫻子ちゃんをこっそり入れる方法とかあればいいんだけど」 

櫻子「……いや、私が謝るよ」

あかり「えっ?」




12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:57:00.01 ID:NWDOmBJQo

櫻子「元はと言えば私が無理やり誘ったせいだし……」

あかり「で、でも……」

櫻子「あかりちゃんは優しすぎ! もっと怒ってくれていいのに」

あかり「……さ、さっき怒ったもん!」

櫻子「本気じゃないのが見え見えだよ、ただでさえ分かり易いんだから」

あかり「だ、だけど……」

櫻子「あーもう! 謝るったら謝るの!」

あかり「う、うん」

謝る態度からは程遠い櫻子ちゃんに気圧されて、それから家につくまで口を開けなかった。


櫻子「すみませんでした!」

あかり「ちょっと櫻子ちゃん!?」

あかね「あらあら……」

お姉ちゃんが玄関に出て来ると、流れるように櫻子ちゃんは土下座して、こっちの方があたふたしてしまう。
お姉ちゃんも困り顔で、頬に右手を当てている。
櫻子ちゃんは、経緯を話すと、そのまま頭を上げずに微動だにしない。

櫻子「あの、だから! あかりちゃんは悪く無くて! ……えっと」

あかね「顔を上げてくれるかしら」

櫻子「……」

お姉ちゃんに促されて、ゆっくりと櫻子ちゃんは起き上がった。

あかね「……実を言うとね、少し安心しちゃったのよ」

あかり「へ?」

櫻子「はい?」

思いもよらなかった言葉に、あかりと櫻子ちゃんは固まってしまった。




13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:57:48.71 ID:NWDOmBJQo

あかね「そのあかりって、姉が言うのも変だけど、いい子すぎると思うのよ」

櫻子「……そうですね」

さっきの櫻子ちゃんと同じような言葉に、どう反応すればいいのか分からない。

あかね「だからね、ちょっと抑圧された所があるんじゃないかって」

櫻子「よくあつ?」

あかね「抑え付けすぎてるってことかしら。たまに一人でいるときに良く分からない行動を起こすし」

あかり「お、お姉ちゃん!」

櫻子「あーなるほど」

お姉ちゃんの言葉に、櫻子ちゃんまで納得してしまって、板挟み状態だった。
……そういえば大きなことが出来ないとか前に言われた気がする。

あかね「ねえ、あかり。今日大室さんと遊んで、どう思った?」

あかり「えっ!? ……うーんと」

あかね「ご、ごめんなさいね。威圧するつもりはなかったんだけど。正直に言ってくれていいの」

あかり「……凄く楽しかったよ」

あかね「……そう」

笑みを絶やさないお姉ちゃんだけど、今はいつも以上に柔らかく笑っている気がした。

あかね「だから良いってことはないんだけどね。やっぱりあなたたちはまだまだ子供なんだし、こんな時間まで二人だけで歩くのは危ないわ。
……あんまりね、お説教はしたくないんだけどね、心配している人がいるってことだけは忘れないでね」

あかり「……うん」

櫻子「……はい」




14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 21:59:15.74 ID:NWDOmBJQo

あかね「はい! じゃあこれでこのお話は終わりね。お風呂沸いてるから、二人で入っていらっしゃい」

あかり「お、お姉ちゃん……」

あかね「どうしたの?」

あかり「ありがとう……」

あかね「……ふふっ、いいのよ」

俯くあかりの頭を、大好きな手が撫でた。

櫻子「あの、本当にありがとうございました!」

あかね「……これからもあかりと仲良くしてね」

櫻子「はい! もちろんです!」


櫻子「お姉さん、凄く優しい人なんだね」

あかり「……あかりの自慢のお姉ちゃんなんだ」

頭から流れて来るシャワーが熱いのか、目頭が熱いのか、定かにならなかった。

あかり「塩素を浴びてるから、ちゃんと流さないとね」

櫻子「髪傷めないといいんだけどなー」

出来るだけ丁寧に洗って、影響が出ないといいなと願った。
一通り身体を洗い終えた後、二人で湯船に入った。

あかり「二人だと足伸ばしにくいね」

櫻子「うーん、じゃあ私はさっさと上がろうかな」

あかり「駄目だよ!」

櫻子「へ?」

あかり「身体冷やしてるんだから、ちゃんと浸からないと風邪ひいちゃうよ」




15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 22:00:49.83 ID:NWDOmBJQo

櫻子「でもなんかのぼせちゃいそうというか……」

あかり「うーん、あっ、そうだ! ……ちょっとごめんね」

立ち上がって、向き合っている櫻子ちゃんの背後にまわって、そのまま腰を下ろした。

櫻子「あ、あかりちゃん?」

あかり「これなら足伸ばせるし、櫻子ちゃんがのぼせそうになってもわかるよぉ」

櫻子ちゃんの身体を両足で挟むようにして、座り込んだ。

あかり「体型同じぐらいで良かったね」

櫻子「なんで?」

あかり「これなら顔が見やすいもん」

櫻子「そうなの、かな?」

語尾を上げる櫻子ちゃんが少し可笑しくて、クスっと笑ってしまう。

櫻子「あかりちゃんってさ、髪下ろしてると大人っぽいよね」

あかり「そ、そうかなぁ」

素直に嬉しくて、口元が緩んだ。

櫻子「たまには下ろしてみたら?」

あかり「……櫻子ちゃんは、こっちの方が好き?」

なんだか恋人さんに言う台詞みたいで、口に出してから顔が熱くなった。




16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 22:01:33.52 ID:NWDOmBJQo

櫻子「うーん、わかんないけど、好きなのかな?」

あかり「じゃあ、櫻子ちゃんの前では下ろしてようかな」

櫻子「……秘密の共有ってやつだね!」

あかり「えっ?」

櫻子「ほら、今夜のプールとかもさ、なんかそんな感じしない!?」

あかり「……うーん、お姉ちゃんには言っちゃったしね」

櫻子「うぅ……まあそうなんだけど」

あかり「でも、そういうのってなんだか大人っぽいよね!」

櫻子「……なんかそういう風にはしゃいでいるのは子供っぽいかも」

あかり「うぅ……」


櫻子「あかりちゃんは寝るの早いんだよね」

あかり「うん。でも、今夜はちょっと寝付けないかも」

櫻子「私も」

あかり「でももう疲れてるから……」

櫻子「……私も」

胸の高鳴りは、まだあのプールの延長線上にあるようで、どうも落ち着きがたらなかった。
とは言っても身体は疲れていて、そのギャップがなんとも難儀なものだった。

櫻子「うーん、そうだ。あかりちゃん、そっちいっていい?」

あかり「こっち地面だよ」

なんとなくベッドで寝る気がしなくて、上は櫻子ちゃんに譲ったような形だった。




17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 22:02:47.84 ID:NWDOmBJQo

櫻子「じゃあ、こっちきてよ」

あかり「えぇ、いいけど。なんで?」

けだるい身体を起こして、櫻子ちゃんの寝床に入り込んだ。

櫻子「なんかあかりちゃんと一緒だと落ち着くから、眠れるかなって。……こういう穏やかなのって私好きかも」

あかり「あかりは櫻子ちゃんと一緒だとドキドキしちゃうんだけどなぁ。でもそういう刺激もいいかなって」

櫻子「じゃ、じゃあ眠れなかったりする……!?」

あかり「今は違うよぉ」

込み上げてきた欠伸を、こらえもせずにした。

あかり「だって大切なお友達が添い寝してくれるんだもん、安心しちゃうよ」

櫻子「……そっか。……ねえあかりちゃん」

あかり「んー?」

櫻子「……手、繋いでくれないかな」

あかり「暑苦しくないかなぁ……」

櫻子「大丈夫だよ、すぐ眠れる気がするから」

あかり「……あかりもそんな気がする」

あかりの右手で、櫻子ちゃんの左手を握った。
手を繋ぐと、徐々に残り火のような高鳴りが収まって、今日が終わる気がした。
ちょっとだけ物寂しかったけど、繋がれた手はそのままで、次の日が来ても、
櫻子ちゃんがおはようって言ってくれるから。それってきっととっても幸せだと思うから。
明日を楽しみに待ちながら、意識は夢の中へ落ちて行った。






18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/09(日) 22:05:49.34 ID:NWDOmBJQo

おわり
さくあか好きです




22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/11(火) 21:28:19.38 ID:YoxoieQmO

淡くて綺麗なSSだった
さくあかはいいものだ




関連記事

その他二次創作SS ゆるゆり   コメント:0   このエントリーをはてなブックマークに追加
コメント一覧
コメントの投稿





ランダム記事ボタン
週間人気SSランキング
新刊ピックアップ
フィギュア
ゲーム
アニメ
最近のオススメSS
清麿「強くてニューゲームか…」 ヌァァァァァァ!!

一夏「ドゥフッw拙者織斑一夏でござるwwww」 ギャプッwwwコポォwwww

佐天「またレイプされた…」初春「佐天さんも大変ですね」 黒髪美少女のレベル0が性的過ぎてヤバイ

佐天「すごいテニスが出来る能力かぁ」 間違いなく攻撃的な能力だなぁ

浜面「女の子になれる能力かぁ」 アイテムで性別逆転して……

オーキド「ここに3人の女性がおるじゃろ?」 レッド「は?」 僕はナツメちゃん!!

【※ネタバレ注意】エレン「同期にホモとレズしか居ない……」 確かに

ボーボボ「黒の騎士団入団希望のボーボボでぇす!!」ゼロ「ほう?」 死ねやぁ!!!!!

桐乃「そうです!私はブラコンの変態ヤローです!」 きゃわわ!!!!!!!

岡部「紅莉栖をひたすら愛で続けたらどうなるか」 うわぁぁああぁ!!(AA略

クリリン「やっぱりオレも、サイヤ人の子供欲しいな・・・」 スレタイのインパクトェ……

ゆうしゃ「くらえー!まおー!!」魔王「くはははは!!」 ゆうしゃちゃん!!!!

俺「グヘヘヘ……」 女騎士「早くこの手錠を外せ!」 お○んぽなんかには絶対負けない!

鍛冶師「今日中に仕上げるぞ」弟子「はい」 雰囲気が良いSS

< `∀´> 「ついに地球はウリ達の物ニダー」 ニダニダ
みんなのいちおし!SS
よく耳にするとか、印象的なSS集ダンテ「学園都市か」 "楽しすぎて狂っちまいそうだ!"

一方通行「なンでも屋さンでェす」 可愛い一方通行をたくさん見よう

インデックス「ご飯くれるとうれしいな」一方通行「あァ?」 "一方禁書"凄まじいクオリティ

フレンダ「麦野は今、恋をしているんだね」 通称"麦恋"、有名なSS

キャーリサ「家出してきたし」上条「帰って下さい」 珍しい魔術側メイン、見るといーの!

垣根「初春飾利…かぁ…」 新ジャンル定温物質ウヒョオオ!!

美琴「……レベル5になった時の話ねえ………どうだったかしら」 御坂美琴のレベル5に至る努力の経緯

上条「食蜂って可愛いよな」御坂「え?」 ストレートに上食。読めて良かった

一方通行「もっと面白い事してモリモリ盛り上がろォぜ」 こんなキャラが強い作者は初めて見た

美琴「週末は アイツの部屋で しっぽりと」 超かみことを見てみんなで悶えましょう

ミサカ「たまにはMNWを使って親孝行しようぜ」 御坂美琴のDNAは究極に可愛くて凄い

番外個体「     」 番外通行SSの原点かな?

佐天「対象のアナルを敏感にする能力か……」 ス、スタイリッシュアクションだった!

麦野「どうにかして浜面と付き合いたい」 レベル5で楽しくやっていく

ミサカ「俺らのこと見分けつく奴なんていんの?」 蒼の伝道師によるドタバタラブコメディ

一方通行「あァ!? 意味分からねェことほざいてンじゃねェ!!」 黄泉川ァアアアアアアアアアア!!

さやか「さやかちゃんイージーモード」 オナ禁中のリビドーで書かれた傑作

まどかパパ「百合少女はいいものだ……」 君の心は百合ントロピーを凌駕した!

澪「徘徊後ティータイム」 静かな夜の雰囲気が癖になるよね

とある暗部の軽音少女(バンドガールズ)【禁書×けいおん!】 舞台は禁書、主役は放課後ティータイム

ルカ子「きょ、凶真さん……白いおしっこが出たんです」岡部「」 これは無理だろ(抗う事が)

岡部「フゥーハッハッハッハ!」 しんのすけ「わっはっはっはっは!」 ゲェーッハッハッハッハ!

紅莉栖「とある助手の1日ヽ(*゚д゚)ノ 」 全編AAで構成。か、可愛い……

岡部「まゆりいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」 SUGEEEEEEEEEEEEEEEEE!!

遊星「またD-ホイールでオナニーしてしまった」 ……サティスファクション!!

遊星「どんなカードにも使い方はあるんだ」龍亞「本当に?」 パワーカードだけがデュエルじゃないさ

ヲタ「初音ミクを嫁にしてみた」 ただでさえ天使のミクが感情という翼を

アカギ「ククク・・・残念、きあいパンチだ」 小僧・・・!

クラウド「……臭かったんだ」 ライトニングさんのことかああああ!!

ハーマイオニー「大理石で柔道はマジやばい」 ビターンビターン!wwwww

僧侶「ひのきのぼう……?」 話題作

勇者「旅の間の性欲処理ってどうしたらいいんだろ……」 いつまでも 使える 読めるSS

肛門「あの子だけずるい・・・・・・・・・・」 まさにVIPの天才って感じだった

男「男同士の語らいでもしようじゃないか」女「何故私とするのだ」 壁ドンが木霊するSS

ゾンビ「おおおおお・・・お?あれ?アレ?人間いなくね?」 読み返したくなるほどの良作

犬「やべえwwwwwwなにあいつwwww」ライオン「……」 面白いしかっこいいし可愛いし!
モバイルゾーン
QR