案内の英語だけうまくなった
札束風呂に入るとき、身体の上にお札が乗るように、お札の下に足を潜り込ませるのがコツである。Strech your foot under the bill. という英語だけうまくなった。
たぶんいま僕は「オバンデス」から覚えてしまった外国人みたいになっているんだと思う。
たぶんいま僕は「オバンデス」から覚えてしまった外国人みたいになっているんだと思う。
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デイリーポータルZのイベントとして去年から日本各地で札束風呂体験を行っている(詳しくは「札束風呂の民主化」をどうぞ)。それを先日、アメリカのサンフランシスコで開催したのだ。
結論から言うと、めちゃくちゃうけた。 文化の違いで怒られたりスルーされるんじゃないか、架空紙幣を持ち込むのでまず入国できないのではないかなど実施前はいろいろ心配したが100%杞憂だった。
林雄司(はやしゆうじ)
1971年東京生まれ。ニフティ株式会社勤務。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと新宿区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。> 個人サイト webやぎの目 イベントのようすは動画で札束風呂はJ-POPサミットという日本のポップカルチャーを紹介するイベントでのだった。そのようすを2分程度の動画にまとめたのでどうぞ。
1日に300人は入った。2日なのでだいたい1万人ぐらいだろうか(算数が苦手です)。
日本では恵比寿、お台場、大阪、京都で開催したが、印象としてサンフランシスコは大阪ぐらいうけた。サンフランシスコは大阪なのかもしれない。 アメリカ人がHow do you do? と質問で挨拶するのは「儲かりまっか?」に似ている。 日米の違い当たり前だが、全部が全部大阪ではなかった。みんな英語をしゃべっているし。
そのほかのサンフランシスコでの印象をまとめた。札束風呂とともに巡回したものとして(たぶん世界にひとりだ)のザ・ポジショントークである。 その1 キメ顔がうまい
サンフランシスコの人は入ったときの表情がきまっている。照れがない。英語ネイティブのゼスチャー入門という本を買ったら、話す前に口を大きく広げて顔の筋肉をほぐせと書いてあった。さすがそういう国だけあってキメ顔が決まっている。
彼女はこのあと友だちを連れてきて、ふたりして素晴らしいキメ顔を発揮していた
ただ、身体全身を使ってのポージングは日本人も負けてない。単にアメリカで準備したバスタブが大きくて足が出なかったからというせいもあるかもしれない。
こちらお台場での写真。日米浮かれ対決
その2 照れ屋の割合は日本と同じ
札束風呂の横で通り過ぎる人に「レッツトライ!」と声をかけていたのだが、照れくさそうにいいようーという人は一定数いる。その割合は日本と同じだった。自分で声をかけておきながら、照れくさそうにする人の気持ちもわかる。
ただ、照れくさそうにするときのしぐさもわかりやすい。190センチぐらいある男が照れているのはちょっとかわいい。 札束風呂は行列できました
その3 カップルで入る
日本ではほとんどなかったのが男女で入るパターン。サンフランシスコでは一組が入ると次々とカップルで入っていた。
バスタブが丈夫でよかった
ふたりで入ってくれると行列がすぐに短くなるのでよかった。
その4 質問されない
札束風呂について、これはなんなのかという質問はされなかった。日本で開催していると、1日に1〜2回、これはなんなのか、なぜやっているのかを聞かれるのだが、それがなかった。
冗談を冗談としてスムーズに受け入れてくれるのはありがたい(聞かれても英語で説明できないから)。 テレビに見える顔ハメもスムーズに受け入れられた
また、札束風呂を展示したのはインタラクティブパビリオンというスペースだったために、facebookページのいいねと連動して札が飛び出すようにしていた(IoT)。これまた杞憂で、これのどこがインタラクティブなんだという質問はなかった。
でも札が飛び出すと「ワーオ」「オーサム」「オーマイガ」と言っていたのであれがたぶんインタラクティブってことなんだと思う。 札束風呂inサンフランシスコへの道さて、成功裏に終わった札束風呂だが、話はさかのぼってなぜ札束風呂をアメリカでやることになったのかという話をしたい。
もともと東京カルチャーカルチャーを担当していた弊社の河原あずという人間がいまサンフランシスコに駐在しているのだ。 現地での彼の活動によりニフティが出展することになった。しかし、ニフティはアメリカでサービスをしていないので、特に商売として展示するものがない。だったらデイリーポータルZの札束風呂にしよう。という飛躍のある三段論法で実現となった。 ホップステップロケットぐらいの飛距離である。 弊社 河原あず。今回のイベントのために奔走したのだがそれを一切感じさせない写真を選んだ
バスタブ探し&搬入札束風呂が決まったとはいえ、実現にむけて問題はいろいろある。まずバスタブをどうやってアメリカまで持っていくか。持っていくのはそうそうに諦めて現地でレンタルすることにした。
河原がレンタルもしてくれる中古品の店を探してくれたのだ。 ニフティにはアメリカで
バスタブを探す仕事もあります
ちょうどこのとき、もうひとり上野というものも駐在員として加わっていた。彼のシリコンバレーでの初仕事はバスタブ選びになった。
頑張って見つけたきれいなバスタブ。売値1800ドル。レンタルなのでその1/4。
バスタブは会場まで配送を依頼したのだが、彼らいわくアメリカで時間通りに物が届くことはないとのこと。別の信頼できる配送業者を手配し、イベント前々日に無事バスタブが届いた。
搬入されるバスタブ
バスタブが搬入される写真とともに「泣きそうです」というメッセージが送られてきて、彼らのアメリカでの苦労を感じた。
(僕は日本から「もっときれいなバスタブない?」などとメッセージ送っていただけだが) お札問題次にバスタブに入れる架空紙幣だ。
これまたよく出来すぎてしまった。
架空紙幣デザインでおなじみのoloさんの力作である。000になっているし、これはお札ではありませんと英語で書いてあるのだがこれをトランクに詰めてイミグレーションに行く勇気はない。
昔自分で作った顔ハメのようなことになりかねない
なので先に送ったらちゃんと着いた。
日本総領事館に送るというアイデアもあったが、怒られる人が増えるだけなので踏みとどまった。 最悪、届かなかったらサンフランシスコでコピーして1万枚切ろうと思っていたのだがそんな地下組織みたいなことをしないで済んだ。 ブース完成ブースに展示するパネル類は日本から持ち込み、我々のブースが完成した。
アメリカのみなさん、これがニフティです
日本からは僕を含め3名+駐在員がアテンドした。
札束風呂が受けるかどうか不安になって直前になってはっぴを作ってしまった。はっぴの下が浴衣だったりして、間違った日本食レストランみたいになった。 社長も来ていたので少しだけアテンドしてもらった。
2日間、適当な英語で札束風呂を案内して互いにゲラゲラ笑って、意識低い交流ができたんじゃないかなと思っている。
案内の英語だけうまくなった
札束風呂に入るとき、身体の上にお札が乗るように、お札の下に足を潜り込ませるのがコツである。Strech your foot under the bill. という英語だけうまくなった。
たぶんいま僕は「オバンデス」から覚えてしまった外国人みたいになっているんだと思う。 落ちた札をバスタブに戻していた社長
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