Native Instruments社が、DJ向けのオープンなマルチトラックオーディオフォーマット Stems 対応DJコントローラの割引セールを実施中です。割引は最大2万5000円。
StemsはれまでのDJは曲と曲をスムーズにつなげていくことが大きなタスクでしたが、これからは1曲の中の4つの音楽要素を操作することができるようになります。StemsファイルはDJソフトウェアTRAKTOR PRO 2の最新バージョン2.9 で再生することができます。
新オーディオフォーマットStemsは、見たところは通常のmp4と同じオーディオファイルで、拡張子は stems.mp4 を使います。しかしNative InstrumentsのDJソフトTRAKTOR PRO 2.9など対応環境で再生すると、ひとつの楽曲を4つの音楽要素に分解して再生可能です。例えばボーカルの音だけをカットしてカラオケトラックとして再生してみたり、逆にボーカルの音だけをならせばアカペラトラックになります。
TRAKTOR専用のコントローラ(KONTROL S8、D2、F1)を使えば、制作用の素材としてだけでなく、Stemsの音量やエフェクトをリアルタイムに確認しつつハンズオン操作できるようになります。コントローラのスクリーンには4つのStem波形がカラー表示され、DAWソフトウェアさながらの詳細な情報を目で把握できます。
Native Instrumentsdでは、KONTROL S8が2万5000円引きの11万4800円など、Stemsフォーマットのリリースを記念した割引セールも実施中です。期間は9月30日まで。
Stemsはオープン・フォーマットです。つまり誰でもStemsで曲をリリースできます。特にクラブ音楽業界から大きな注目を集めており、Beatport、Junodownloadを始めとする海外のオンライン音楽ストアではすでにStmesフォーマットの楽曲販売を開始しています。取り扱い楽曲数は配信開始からすぐに600曲を超え、さらに拡大中です。BeatportのStemsのコーナーではStemsファイルの試聴も用意しています。
Stemsの楽曲1曲あたりの価格はおよそ431円。通常のmp4フォーマットよりは割高です。ファイルのサイズはおよそ4分の楽曲で36.3MB、通常iTunesストアで購入する楽曲のおよそ5倍のサイズです。
また近日中にリリース予定の「Stemsクリエーターツール」無償アプリを使えば、ユーザーは独自にStemsファイルを作成できるようになります。コンピューターを使ってライブをするミュージシャンは要チェックです。
なお、mp4はもともと複数の音声コーデックのデータを格納できるフォーマットです。では、Native Instrumentsが開発したものは何なのか?というと、それは「4つのオーディオファイルを格納する」というアイデアを形にしたこと。もしかしたら8つのオーディオトラックでも良かったのかもしれませんが、DJプレイの本番中に8つのトラックを操作するのは複雑過ぎます。またファイルのサイズがこれ以上膨れ上がってしまったら流通にとっても望ましくなかったはずです。
DJは機能が増えた分だけ忙しくなりそうですが、もっとクリエイティブなことにチャレンジできます。今のところはDJ業界の注目ニュースですが、YouTubeやニコニコなどを発表の場にするアマチュアも含めさらに広い分野への普及が期待されるフォーマットです。