犬娘「ご主人様は働かない」
- 2015年09月16日 23:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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犬娘「ご主人様ー!」
男「……どうした」
犬娘「ナデナデしてください!」ダキッ!
男「はいはい」ナデナデ
犬娘「……♪」しっぽフリフリ
男「はぁ。お前はいいよなぁ」
犬娘「?」
男「そうやって愛想振りまいてればメシ貰えるんだから」
犬娘「? どうかしましたか、ご主人様」
男「かーちゃんがさぁ、さっさと仕事見つけないと追い出すわよ、って」
犬娘「……ご主人様、追い出されてしまうですか」
男「……」
犬娘「ボ、ボクからもお願いしてみます! お母様に追い出さないでください、って」
男「いいよ、お前がそこまでしなくても」
犬娘「でも……」
男「はぁ……。俺も人間じゃなくて、お前みたく生まれたかったよ」
犬娘「……ってことがあったんだけど。どう思うかな、ポチ君」
ポチと呼ばれた犬「どう思うも何も」
犬娘「うん」
ポチ「それは君の飼い主が悪いでしょ。人間って言うのは働かないといけないんだ、僕らと違って」
犬娘「やっぱりそうなのかなぁ……。ご主人様もそう言ってた……」
ポチ「働かない人間なんて、かわいくない犬と同義さ。
僕らは人間にかわいがられないと生きていけない愛玩動物なんだから」
犬娘「……」
ポチ「君の飼い主のお母さんも別に間違ったことは言っていないよ」
~道端~
犬娘(やっぱりそうなのかな。働かないと生きていけないって)
「いらっしゃいませー!」
犬娘「こんびにの店員さんも一生懸命働いてる……」
「おでん70円セール中でーす!」
犬娘「そうだ!」
犬娘「私も働いてみよう!」
コンビニの店員「いらっしゃい。あら、お買い物のお手伝い? 偉いわね」ナデナデ
犬娘「くぅん♪ ……じゃ、なくて!」
店員「?」
犬娘「ボク、ここで働きたい!」
店員「うーん……。ワンちゃんはみんなにかわいがられるのがお仕事なのよ?
別に人間と同じように働かなくても……」
犬娘「でも……ボク働いてみたい……」ショボーン
店員「ちょ、ちょっと待っててね。店長に聞いてきてあげるから、元気出して」タタタッ
犬娘「! うんっ!」
店長「そっかそっか。君のやる気は分かったよ」
犬娘「じゃあ!」
店長「ああ。ちょうど小さな制服が余ってたから。お店の外を掃き掃除してもらえるかな?」
犬娘「うんっ! ボクがんばるよ!」フリフリ
店員「あらあら。良かったわね」ナデナデ
犬娘「うんっ!」
店長「じゃあこれホウキとチリトリね。やり方は……分かる?」
犬娘「お母様がやっているの毎朝見てるから! 大丈夫!」
「ねえ見てよ。あの子可愛い」
「どれ? ああ、ほんとだー」
犬娘「おそうじ……がんばらねば……」ザッ……ザッ……
「がんばってるね、君」ナデナデ
犬娘「ひゃんっ……。が、がんばってます……」
「あ、そうだ。ここでちょっと待っててね」ガー
イラッシャイマセー
犬娘「?」
「お待たせ。これあげるね」スッ
犬娘「あ、ビーフジャーキー!」フリフリ
「こういうの食べられる?」
犬娘「はいっ! 大好物なのですっ!」
「良かった。じゃあね」
犬娘「も、もらってしまっていいのですか?」
「ええ。君頑張ってるから、ご褒美」
犬娘「ありがとうございます! なのです!」
『おう、ちっこいのに頑張ってんな。これやるよ』
『お嬢ちゃん偉いわねぇ。これお飲みなさいな』
『これあげるよぉ。おいしいから』
犬娘「なんだかたくさんいただいてしまいました……」
店長「お疲れさん。もう綺麗になったからそれくらいでいいよ」
犬娘「うんっ。きれいになった!」
店長「ありがとうね」
犬娘「こちらこそ働かせてくれてありがとう! 勉強になりましたっ!」ペコッ
店長「じゃあ、これ今日のお給料……」
犬娘「また来るね! バイバイ!」タッタッタッ……
店長「あ、ちょっと……」
店員「あら。店長どうしたの? ハトが豆鉄砲食らったような顔して」
店長「あの子……給料受け取らずに帰っちゃった」
店員「まぁ……。でもいいんじゃない? お客さんに色々ともらってたみたいだし」
店長「……あの子のおかげで随分売り上げ伸びたなぁ」
店員「ふふっ。また働きに来てくれるといいわね」
犬娘「ご主人様ー!」
男「……」
犬娘「……? 元気ないですね……?」
男「……別に。また母ちゃんに小言言われちまったよ」
犬娘「それはそれは……。あ、そうだ!」
男「?」
犬娘「これあげるから元気出してください!」
男「ど……どうしたんだよ……こんなに……。お前まさか……盗って来たのか……?」
犬娘「ボクはそんなことしませんよぉ! 全部いただきものですっ!」
男「ビーフジャーキー、チキンステーキ、スペアリブ、鯖の塩焼き、鮭おにぎり、カツサンド、
ホットドッグ、くんさき、ポテチ、コーラ、牛乳、ヤクルト……」
犬娘「持って帰るのが大変でした!」
男「もらった、って……お前いったい何したの?」
犬娘「こんびにで働いてきたんです!」
男「働いてきた……?」
犬娘「はいですっ! お店の前おそうじしてたらお客さんが色々くれたんです。
それはボクのお給料なのです」
男「……」
犬娘「ボクたくさんがんばりました! 褒めてください、ご主人様っ!」フリフリ
男「なるほど、ね」
犬娘「っ♪」
男「……俺へのあてつけか。お前ふざけんなよ」
犬娘「え……」
男「仕事してきた、だ? 違うだろ。そうやって色々もらえたのもお前がちっこいからだ。
犬だからだ。愛玩動物だからだよ」
犬娘「ご主人様……?」
男「俺が働いてないのを馬鹿にしてんだろ? そうだよな?」
犬娘「違っ……違いますよぅ……。ボクはただ……」
男「ペットのくせに偉そうな口を聞くなっ!」ガッダーンッ!!!
犬娘「っ!!!?」ビクゥッ!
男「なんだ、母ちゃんに入れ知恵でもされたんか。俺を働かせるために」
犬娘「……」
男「ふざけてんじゃねぇぞ……。寄ってたかって人を小馬鹿にしくさりやがって……」
犬娘「ボクは……」
男「出てけ。お前の顔なんて見たくない」
犬娘「ごめんなさい……。ごめんなさい……」ポロポロ
男「出てけって言ってんだろッ!」ガンッ!
犬娘「っ!!!」ビクッ!
男「……出てけ」
犬娘「分かりました、出て行きます……。ご主人様ごめんなさい……」
男「……」
犬娘「でも分かってください……。ボクはただ……ご主人様に褒めてもらいたくて……」
男「……」
犬娘「ご主人様の喜んでる顔が見たくて……ただそれだけで……。
ごめんなさい……。ごめんなさい……」ガチャッ
男「……」
男「……ちょっと言い過ぎたかな」
母親『ちょっと!? あんた犬娘ちゃんに何言ったの!?」
男「ちっ……。うっせぇババア! いちいちでけぇ声だすなや!」ドンッ!
母親『犬娘ちゃん泣いてたわよ!』
男「……ほんとにうっせぇな」
母親『まったくもう……』ブツブツ
男「そういや犬娘のやつ……コンビニで働いたとか言ってたな……。
コンビニ……か。駅前のやつかな」ピッ
犬娘「うわああああああん……っ。あああああん……っ」ポロポロ
ポチ「いい加減元気だしなって。君の飼い主だって今頃言い過ぎたって反省してるよ」
犬娘「ボクが悪いんです……。ボクが悪いのですぅ……!」ポロポロ
ポチ「別に君は悪くないって」
犬娘「……ううん。ボク、ご主人様の気持ちなんて何も考えてなかった」
ポチ「……」
犬娘「ただ褒められたいからって、自分のことしか考えてなかった」
ポチ「そんなの当たり前だよ。君は犬なんだから」
犬娘「ごめんなさいご主人様……。ご主人様ぁ……っ! わああああん……っ!」
ポチ「もう……」
店員「いらっしゃいませー!」
男「あの……エット……」
店員「? おタバコですかぁ? 番号でお願いします」
男(あれ……話通ってねぇのか……?)
「イエ……その、面接を……」
店員「あ、バイトの。話は聞いてますよ。こっち、事務所の方来てください」テクテク
男「あ、ハイ……」
(話聞いてんだったら言う前に察しろや。使えねぇ女だなおい)
店長「君、ほんとに接客業やったことあるの?」
男「あ……その……」
店長「うん」
男「ここを受ける前に……3年ほど飲食店で……」
店長「ねぇ。それ嘘でしょ」
男「え……」
店長「全然元気ないじゃん。そんなので接客できると思う?」
男「イエ……本当……ほんとうです……」
店長「ま、いいや。なんでそこは
コメント一覧
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- 2015年09月16日 23:48
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- 2015年09月16日 23:53
- 泣いた
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- 2015年09月16日 23:57
- うーん…
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- 2015年09月16日 23:58
- 全く、サテライトにはこんなどうしようもねぇクズ野郎しかいねぇんだから困るよなぁ。
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