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シンジ「…カヲル君、カミソリ没収ね」|エレファント速報:SSまとめブログ

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シンジ「…カヲル君、カミソリ没収ね」

1:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:01:35 ID:wi9ChIRk

カヲル「……どうして」

シンジ「…もってたらまた手首、切るじゃないか」

カヲル「……」

シンジ「しかも、こんな歯こぼれして錆びたカミソリで…また膿むよ?」

カヲル「……うん。いいよ」



2:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:06:01 ID:wi9ChIRk

シンジ「…とにかく、これは没収だから」

カヲル「…うん」

シンジ「これ、捨ててくるね」

シンジ(カヲル君は絶対に僕の言葉を否定しないから、素直にしたがってくれる)

シンジ(…でも、また隠れてやっちゃうんだろうな。消毒液、補充しとかないと)



3:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:12:06 ID:wi9ChIRk

………

カヲル「は…ぁ…」ガタガタ

カヲル(あと一回だけ、あと一回だけ切ったらもう止めよう。このハサミも、すぐに片付けるから…)

カヲル「……」

すっ

ぽたっ

カヲル「…ぅ…」 ビクッ

カヲル(…駄目だ、全然足りない…)



4:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:17:30 ID:wi9ChIRk

ぐりぐりっ

カヲル「ぁ゙…っ!ぐっ、ふぅぅっ…!」ビクン

ごりごり

ぶちぶち

カヲル「い゙っ、ぎ…ぁ、!」ギリギリ

カヲル(傷口が熱い、身体が熱い、脳が…熱い)

カヲル(痛い、痛い痛い痛い)

カヲル(僕、今……こんなに必死に、生きてるんだ…)



5:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:21:22 ID:wi9ChIRk

シンジ「…カヲル君?」

カヲル「っ…!?し、シンジ君…!?」ハッ

カヲル「み、見ないで!!違うんだ、これは…違う!僕は、僕は…!!」

シンジ「落ち着いてカヲル君!…起こったりしないから、…ね?」

カヲル「…ぅっ、シンジ、君……」

シンジ「カヲル君……」



6:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:24:49 ID:wi9ChIRk

シンジ「大丈夫だよ、カヲル君…ほら、見せて」

カヲル「シンジ君…ごめん、ごめん…なさい…」ボロボロ

すっ

シンジ「…また派手にやったね。こんなに抉れて…骨まで見えてる」

カヲル「……ごめん」

シンジ「…謝らないで。僕が勝手に、君に構ってるだけなんだから」

カヲル「……」



7:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:29:56 ID:wi9ChIRk

カヲル「本当にありがとう、シンジ君…でももういいよ」スッ

カヲル「治療なんてしてもしなくても…すぐに治ってしまうんだから」

シンジ「……」

シンジ(カヲル君は傷の治りが異様に早い。それは本来、いいことなんだろうけど)

シンジ(でもそれは結果として、彼の自傷を加速させてる。もっと傷が残れば、もう少しは自傷のペースが落ちるんだろうけれど……)



8:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:33:07 ID:wi9ChIRk

シンジ「…カヲル君、今日は何があったの?」

カヲル「……」

カヲル「…子猫がね、死んでたんだよ」

シンジ「うん」

カヲル「可哀想に、痩せ干そって…餓死したみたいだったんだ…」



9:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 00:36:20 ID:wi9ChIRk

カヲル「…それで、ね」

シンジ「…うん」

カヲル「……その、子猫…が…」プルプル

カヲル「……ッ!」

シンジ「…もういいよ、カヲル君。ごめんね、嫌なこと聞いたよね」

カヲル「……ごめん、シンジ君…ごめん…」



11:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 01:38:57 ID:FzKFE.rs

……………

カヲル「……」

シンジ「…こんなところにいたの、カヲル君」

カヲル「……」チラッ

シンジ「何してるの?」

カヲル「…星をみてるんだよ」

シンジ「…そっか」



12:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 01:46:23 ID:FzKFE.rs

シンジ「…僕も見よっかな」

カヲル「……不思議だよ、シンジ君」

シンジ「?」

カヲル「…こうして二人で、星を見上げたことがあった気がしないかい?」

シンジ「あったかな?」

カヲル「……それはずっとずっと、昔の…いや、未来…ううん」

カヲル「……きっと、僕の思い違いだね。忘れてくれ」

シンジ「カヲル君…?」



13:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 01:51:37 ID:FzKFE.rs

カヲル「シンジ君、知ってるかい」

シンジ「…?」

カヲル「…今見えてる星はね、何万年も…何億年も昔の姿なんだよ」

シンジ「距離の関係で、だっけ」

カヲル「そう。…僕達が今見てる光は、気が遠くなるほど太古に爆ぜた…星の断末魔かもしれない」

シンジ「……」

カヲル「もしかしたら、僕ももう、とっくに」

シンジ「…止めてよ、そんなの」

カヲル「……ごめん」



15:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 10:19:06 ID:FzKFE.rs

シンジ「カヲル、君…星見るのって楽しい?」チラッ

カヲル「……」ジッ

カヲル「…どうだろうね」

シンジ「……」

シンジ(この、寝たまま肘を立ててるカヲル君…どこかで)

カヲル「…僕は、何のために生まれてきたんだろうね」



16:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 10:27:40 ID:FzKFE.rs

シンジ「……」

シンジ「…そろそろ帰ろう。風邪引くよ」

カヲル「うん、分かった」

シンジ「…カヲル君、今何か持ってる?」

カヲル「……、」

シンジ「…僕に渡して」

カヲル「…………うん」



17:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 10:37:35 ID:FzKFE.rs

カヲル「……はい」

シンジ(…今度はカッターか。そうとう刃が減ってる)

シンジ(でもこれで、とりあえず家に帰るまでは大丈夫だ)

シンジ「…ありがとう。ほら帰ろ、カヲル君」

カヲル「…どこに」

シンジ「…?…君の家に決まってるでしょ?」

カヲル「…そうだね」

シンジ「さ、立って」

カヲル「うん」



18:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 10:51:28 ID:FzKFE.rs

すたすた


カヲル「ここまでで、いいよ」

シンジ「で…でも」

カヲル「…一人でも大丈夫だよ。もう何も持ってないから」

シンジ「……そういうことじゃ…」

カヲル「…シンジ君は優しいね。真っ白な真綿のように繊細で汚れやすくて…そして優しい」

カヲル「……でもね、どんなに柔らかい真綿でも、傷口に当てれば痛いんだよ」

シンジ「…カヲル君?」

カヲル「…シンジ君のことは好きだよ。でも、僕達は一緒にいるべきじゃないと思うんだ」



19:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 10:59:37 ID:FzKFE.rs

カヲル「…僕といると、君はきっと不幸になるよ。シンジ君は幸せになるべきだ」

シンジ「……それは、僕が決めることだろ」

カヲル「ごめん…」

シンジ「謝らないでってば」

カヲル「……」

シンジ「…ごめん。……また明日」

カヲル「…うん、また明日」



20:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 11:06:50 ID:FzKFE.rs

…………


タタタッ

シンジ(カヲル君…今日は学校にも来なかった)

シンジ(心配だ。とりあえずカヲル君の家に行ってみよう)ハァハァ

シンジ(…学校の鞄に救急セットつめてるから…重いな)ハァハァ




シンジ「…着いた。カヲル君、カヲル君?いるの?」ガチャガチャ

シンジ「……またドアが開いてる…」



22:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 15:55:53 ID:44TGCeBU

シンジ「…あがるよ」

タタタッ

シンジ「カヲル君、いるよね…カヲル君……!」ハァハァ

カヲル「……ふっ、ぐぅ…ぅ…」

シンジ「カヲル君の声だ!あっちの…寝室?」

シンジ(……泣いてる?)

シンジ「…なんだ、この匂い…」ピクッ

シンジ(…鉄臭い)



23:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 16:03:15 ID:44TGCeBU

シンジ「いた…カヲル君!…っ!?」ビクッ

シンジ(…酷い、ベットが一面血塗れだ)

カヲル「ふうっ、うぅ…ぐっ…シンジ君……」

シンジ「カヲル君、大丈夫!?」バッ

カヲル「……こっちに、来ないでよ…見ないでよ…お願いだから」

シンジ「カヲル君…」



24:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 16:08:56 ID:44TGCeBU

シンジ「…カヲル君、こっち向いてよ。顔も、傷も……そうやって隠さなくたってもいいんだ」

カヲル「……嫌だ」フルフル

シンジ「……」

シンジ(カヲル君にはっきり拒否されるなんて、初めてだ)

シンジ「…カヲル君、ごめん」

カヲル「ッ!?」

ガバッ

カヲル「何するんだ、シンジ君…離して、離してよ!!」バタバタ

シンジ「…うぅっ、」

シンジ(……何だこれ、本当に酷い…)



25:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 16:24:29 ID:44TGCeBU

シンジ(左胸の皮膚と筋肉が掘り返したみたいになくなってる…
露出してる肋骨も、欠けて……こっちなんか、完全に折って放り出してる)

カヲル「…あ、はは…見られちゃったね…参ったなぁ……はは」

カヲル「……おかしいよね、これだけやったのに生きてるんだよ。平気なんだよ」

シンジ「……」

シンジ「…!」ハッ

シンジ(き、救急車!何を呆然としてるんだ、早く呼ばないと…!)バッ

ガシッ

カヲル「待ちなよ、シンジ君」

シンジ「は、離してよカヲル君!このままだと死んじゃうんだよ!?」



27:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/03/05(木) 16:35:08 ID:44TGCeBU

カヲル「…それが何か、いけないことかい?」

シンジ「……!!」

カヲル「どうして、…生きなければならないんだ」

シンジ「…もう、カヲル君は…僕の言うこと聞いてはくれないんだね」

カヲル「…!」ハッ

シンジ「…いつも僕、言ってたよね…死なないでって」

カヲル「……違う、違うんだよ、シンジ君…僕は…」スッ

シンジ「離してくれたね、ありがとう……ごめんね、僕のわがままに付き合わせて」

シンジ(…僕がこうやってひき止めなければきっと、カヲル君は一思