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先代勇者「あの時のツケがやってきたか…」|エレファント速報:SSまとめブログ

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先代勇者「あの時のツケがやってきたか…」

1: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:32:58.56 ID:zjwa/9Ee0

よくある話だが、この剣と魔法の世界に魔王が現れた。
そして、これまたよくある話だが、王様は魔王の元に勇者を送ることになったのである。

王「期待しているぞい、現勇者よ」

現勇者「は、はい王様…か、必ずや魔王を討ちとって…」ガチガチ

王「ほっほ、そんなに怖がる必要はない。のう、先代よ」

先代「はい、現勇者は我が指南所いちの剣の使い手です」

王「先代の勇者がこう言っておるのだ、お主は太鼓判を押されたも同然じゃ」

現勇者「は、はい! 先生…俺、先生の顔に泥を塗らないよう頑張ります!」

先代「…あぁ」



2: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:33:21.34 ID:zjwa/9Ee0

>町の入口前


「頑張れよー現勇者!」「帰ってきたらチューしてあげるーっ」「現勇者、ばんざーい!」

先代「…」

先代(生きて帰ってこい)

彼の名は先代。20数年前に先代魔王と戦い、平和を勝ち取った英雄である。
帰還後は指南所を開き、次世代の戦士を育ててきたが…。

町民A「あっ先代勇者様!」

先代(目立たぬようにしていたが、気付かれてしまったか…)フゥ

町民B「先代勇者様、現勇者に同行しないのですか?」

町民C「貴方から太鼓判を押されたとはいえ…やはり若者に頼るのは不安があります」

先代「俺ももう50近いんだ、若い奴の方が元気がある。それに、家族もいるしな…」

町民A「あぁ、3人のお子さんがいらっしゃるんでしたね」

町民B「お子さん、おいくつでしたっけ?」

先代「上から16、10、8で…」

先代(あぁ人に囲まれるのは疲れる)



3: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:33:48.84 ID:zjwa/9Ee0





町民A「流石、先代勇者様です! それで~…」

先代「…悪いが、そろそろ帰らんと」

町民B「はっ、つい時間を忘れて」

町民C「ではご機嫌よう先代勇者様、またお話を聞かせて下さい!」

先代「あぁ」

先代(色々聞かれて、長引いてしまった…)

生真面目な性格のせいか、話を適当に切り上げることもできなかった。
帰り道を急ぐ。従順な性格の妻は、帰りが多少遅れた所でにこやかに待っていてくれるだろうが、待たせるのは気分が良くない。

急がねば――余裕が無くなっていたせいか、今すれ違った人間にも気を留めなかった。


「大人気ですねェ――英雄様」

先代「――」


背後から声をかけられて、立ち止まる。
振り返り、嫌な予感は的中した。

先代「お前は…!!」

黒「久しぶりィ~…グゲゲゲゲ」


全身真っ黒のその男は、先代と目が合うと不気味に笑った。



4: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:34:14.17 ID:zjwa/9Ee0

>食卓


先代「…」


黒『また来るぜェ♪』


先代(あの後、あいつはすぐ去っていったが…)

長女「こらっ、ちゃんと野菜も食べなさい」

長男「はーい」

先代(あいつ――何故、今になって俺の前に姿を現した?)

次女「お父さん? なんか、ぼーっとしてるよ?」

先代「あ、いや…」

妻「今日はお父さんの生徒さんが旅に出たのよ。心配しているのよね、あなた」

先代「あ、あぁ…そんな所だ」

長男「その人も父さんみたいな英雄になるのかなー!」

長女「無事でいてくれるといいわね、父さん」

先代「そうだな」

先代(現勇者に危険が及ばんといいが…明日、招集をかけよう)



5: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:34:40.39 ID:zjwa/9Ee0

>翌日、茶飲み処


先代は、かつて共に旅した仲間たちを呼び出していた。


自警団長「どうした、何かあったかい」

元賢者。女性ながら男勝りな性格で、現在は自警団の団長を務めている。


社長「ひょっとして、ビジネスの話ですかい」

元盗賊。金に関してはシビアで、現在は全国チェーンの万事屋の経営者。


隠居「勿体ぶらずに話せ。時間が惜しい」

元武闘家。現在は隠居し近所の嫌われ者。バツ2。


先代「話というのは、魔王の件だ」

自警団長「あぁ、新しい魔王が現れたんだってな。お陰でこっちも大忙しだよ」

社長「こっちもっすよ。ま、この機会に稼がせて貰いますよ」

隠居「旅立ったのはお前の所の教え子だそうだな、まだ若造という話だが」

先代「そうなのだが…少し、気がかりがあってな」

自警団長「…気がかりってのは?」

先代「詳しくは言えん」

自警団長「そうかい」

かつての仲間達は追及をしなかった。



6: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:35:09.57 ID:zjwa/9Ee0

先代「お前達に頼みたいことがある」

社長「報酬次第っすよ」

隠居「仕方あるまい、力を貸してやろうではないか」

先代「自警団長。自警団で勇者へのサポートをしつつ、奴の行動を報告してくれないか」

自警団長「あぁ、いいよ」

隠居「最近の若造は、サポートでもしてやらんと頼りないからな」

先代「社長。現魔王の身辺調査を行ってくれるか」

社長「へいへい。盗賊時代の仲間に依頼してみます」

隠居「最近の若造は、自分の足で調べるということを知らんからな」

先代「隠居」

隠居「あぁ何だ、何でも言ってみろ」

先代「お前は何もするな」

隠居「何で呼んだ」

先代「お前だけ呼ばないと、すねるだろう」

社長「同感っす~」ハハハ

自警団長「流石の老害っぷりだ」

隠居「泣くぞ」

先代「では、俺はこれで」



自警団長「…何か隠しているねェ、あいつ」

社長「今更じゃないっすか~?」

隠居「それは、あの時からじゃないか」



7: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:35:38.50 ID:zjwa/9Ee0

>20数年前、魔王城


勇者(先代)『ようやくたどり着いたぞ…! あとは魔王を討ち取るのみ!!』

『そうはいかん』

勇者(先代)『!?』

幹部A『道中はるばるご苦労だったなぁ勇者よ』

幹部B『しかしお前を通すわけにはいかないのでな』

幹部C『我ら〝紅の三幹部”が貴様の相手をしよう』

勇者(先代)『くっ、こんな所で足止めを喰らっている暇はないのに…!』

盗賊(社長)『そいじゃ勇者さん、魔王ん所まで突っ切って下さいや』

勇者(先代)『何っ』

賢者(自警団長)『本当は魔王と戦いたかったが、私らはこいつらで我慢してやるよ』

武闘家(隠居)『さぁかかってこい、三幹部とやら…!』

勇者(先代)『…っ、すまん!』ダッ



8: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:36:12.39 ID:zjwa/9Ee0

自警団長「それから数時間して、奴は1人で戻ってきた。だが…」



勇者(先代)『討ち取ってきたぞ…魔王を』



社長「あん時の先代さんの面、な~んか怪しい匂いがプンプンしましたねェ」

隠居「余程、卑怯な手でも使ったのか、それとも…」

自警団長「…ま、どうでもいいわな。実際、世界は平和になったんだし」

社長「やましいことがあるのかもしれねぇけど、それを隠して英雄でいてくれる方が世界にとっちゃ都合がいい」

自警団長「元仲間つっても、魔王討伐という共通目的を掲げたビジネスの仲だ。いらんことに首を突っ込む道理はないね」

隠居「同意だ。それぞれ上手くやっている今、多少のことは見て見ぬフリするのが良いだろう」

社長(アンタは上手くやってねーだろ)

自警団長「つっても、万が一あいつの手に負えない問題に膨らんだら困るんだけどねェ…」



9: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:36:40.69 ID:zjwa/9Ee0

先代(何か不審に思われただろうか…まぁ「大人の対応」を心得ている連中だ、気にするまい)

先代(それより、あの男が俺の手に負えない問題を起こさないか…)

先代(とにかく自警団長と社長頼りだ。それまでは焦るな…)

先代「ただいま」ガチャ

黒「お帰り~♪」

先代「」

長女「あ、お父さん。こちら、お父さんにお客さん」

長男「おじちゃーん、もっとお話聞かせてくれよ~」

次女「おじさんのお話、とっても面白~い」

黒「おうおう、いいぜェ! じゃあ次は邪神の鼻歌が大陸を滅ぼした話でも…」

先代「おい」グイ

黒「アイタタタ、耳つかまんでくれ~」

先代「…来い!!」ギュウウゥゥゥ

黒「あだだだだ~!!!」

長男「どうしたんだろ、父さん」

長女「親しいご友人かしら?」



10: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:37:08.14 ID:zjwa/9Ee0

>町外れ


先代「お前なあああぁぁ!!!」

黒「グゲゲゲ、怒らないでぇ~」

先代「お前、俺の子供達に何もしていないだろうな…?」

黒「可愛い子供らじゃな~い。ちょっと一緒に遊んだだけだよ、そう目くじらたてんな!」グゲゲ

先代「不穏な動きをするようなら、牢獄に縛り付けてやってもいいんだぞ」

黒「睨むなよォ」

黒い男は口元に笑みを浮かべていたが、目をギラつかせ、強引に先代の肩に手を回した。

黒「知られたくないだろォ…テメーが倒したはずのオレが、実は生きてたってよォ」

先代「……っ!!」



11: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:37:34.23 ID:zjwa/9Ee0

>20数年前、魔王戦


魔王(黒)『グギャッ…こ、この野郎……ッ!』

勇者(先代)『遂に追い詰めたぞ、魔王…!!』

1対1の戦いを制したのは先代だった。
魔王は今、正にその命に終止符を打たれようとしている。

魔王(黒)『グッ…』

勇者(先代)『魔王たる者が、まさかこの後に及んで命乞いなどという見苦しい真似はするまい?』

魔王(黒)『とっとと殺りな…魔王らしい最期で頼むぜ……』

勇者(先代)『…あぁ』チャキ

魔王(黒)『…と言うとでも思ったかァ♪』ニッ

勇者(先代)『!?』

先代が一瞬油断していた隙を付き、魔王は手をかざす。
しまった――そう思った時には遅かった。

魔王(黒)『邪神よ我に力を!! こいつに、ありったけの呪いをおおぉぉ!!』


カッ―――



12: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:38:10.37 ID:zjwa/9Ee0

勇者(先代)『…っ?』

何か攻撃を仕掛けられたと思った。
だが、自分の体にこれといった変化は見られない。

魔王(黒)『グゲゲ…やったぜ……!!』

勇者(先代)『お前…俺に何をした? まぁいい…今度は油断せずにお前を』

魔王(黒)『いいのか? テメーにかけた呪いの効果を知らねーままで…』グゲゲ

勇者(先代)『なら答えろ。俺に何の呪いをかけた』

魔王(黒)『道連れ』

勇者(先代)『っ!?』

魔王(黒)『オレが死ねば、呪いをかけた相手も道連れに殺せる呪いだよ!! オレを殺して英雄様~って呼ばれたかったぁ~? グギャギャギャ、ざ~んね~んで~した! グギャギャギャギャ!』



13: ◆WnJdwN8j0.:2015/09/16(水) 20:38:36.98 ID:zjwa/9Ee0

黒「あん時のテメーの面、思い出しただけで傑作だぜ…」グゲゲ

先代「……」

黒「つってもテメーも甘くはなかった。秘技だか何だか知らねぇが、オレは魔力を封じられて弱体化させられた」

黒「そんな恥ずかしい状態で魔王城に居続けるわけにもいかず、オレは死んだことにしてひっそり生きてきた
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 21:22
      • 微妙
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 21:44
      • わりと嫌いじゃない
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 22:19
      • ガンダムの種運命じゃないけど
        先代を生かすにはやはり現代のキャラをころすって方向になるな
        上手い事どちらも立てられれば良いけど難しいね
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 22:31
      • 嫌いじゃないけど現魔王だけ死んでるのは可哀想だなぁ。
        というか魔王は年取るのか。何時までも若いのかと思ってた。
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 22:53
      • 面白かった
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2015年09月18日 23:39
      • 何気に現勇者1人で魔王城までこれる強さ

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