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iPhone 6sの「深押し」3D Touchの使い方。アプリ設計はどう変わる? (深津貴之 fladdict のUIコラム) - Engadget Japanese


[編集部:iPhone 6s の新機能 3D Touch について、インターフェースデザインと iOS アプリ開発の第一人者 深津貴之 氏 aka @fladdictにお話を伺いました]
新しいiPhone 6sに搭載される「深押し」こと3D Touchについて、どんなものか説明してよ!ということで寄稿させていただきました。

3D Touch とは何か?の基本から、iOS 9での便利機能、そして今後のインターフェースやアプリ設計への課題についてご紹介します。

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3D Touchってなんなの?



新しいiPhoneのスクリーンで、タッチの強弱を感知できるようになります。3D Touchの導入で、通常のタッチに加え、「深押し(ディープ・タッチ)」「浅押し(シャロー・タッチ)」の2つの新しいジェスチャーが追加されます。
ではタッチに強弱がつけられると、どう変わるかご紹介していきましょう。まずは新ジェスチャー。そして次にアプリの変化について。

PopとPeek



メニューに軽くふれたときに、ポップアップがでる挙動をPeekといいます。このPeekのお仕事は、子階層のコンテンツを画面移動なしにプレビューすることです。iPhoneのメニューテーブルで何かを軽くタッチすると、そのアイテムのコンテンツがポップアップでプレビューされます。
このPeekを使いこなすことで、URLを浅く触ってポップアップで飛び先を確認したり、コンテンツの見出しを浅く触ると、ポップアップが開いて中身を閲覧できます。PCでいうところのロールオーバーに近い挙動ですね。
Peek中に画面を強く押し込むと、プレビュー中のコンテンツが全画面に展開されます。これがPopよばれる新挙動。PeekとPopの組み合わせで、無駄な画面移動が減らせます。これからはコンテンツの消化がサクサクと進みそうです。
あわせて、押し込んだり浮かび上がる表現が増えるので、iOS全体でより立体的な世界観が強調されていくと思われます。

新機能クイックアクション



クイックアクションは、PCで言うショートカットメニューや、右クリックのポップアップに近い機能です。

ボタンをタップするかわりに、強く押し込むと色々なショートカットメニューが展開されます。たとえばマップアプリなら、アイコンそのものの長押しで、自宅や現在地、検索などのサブメニューをホーム画面上で開くことができます。

タスクスイッチやテキスト選択も3D Touch




このほか iOS 9では以下の部分でも3D Touchが使えます。
  • キーボードをプレスしてトラックパッドに切り替え。カーソルを指で隠さずテキストの選択がしやすく。
  • ホーム画面の左側をプレスしてマルチタスク表示。従来のようにホームボタンの二度押しでも同じ画面になりますが、3D Touchではカードをめくるように1ストロークで開けます。
  • 純正アプリでは、強化された「メモ」アプリが感圧手描き対応。

Taptic Engineによる微妙な手触り、洗練されたフィードバック


タッチの強弱判定とあわせて、リニアアクチュエータを使った触感フィードバック技術 Taptic Engine でバイブレーションが一新されました。従来の「ブー」だけではなく、押し具合に連動させて、微妙に強さを変えた振動が発生します。ようやく「長年のタッチスクリーンでは、触覚がわからない」という課題が解決しそうです。


この3Dタッチとフィードバックが組み合わせることで、様々な操作性が一段階クオリティアップします。
具体的には、お絵描きアプリの筆圧感知や、ピアノの演奏の強弱調整。ゲームにおいては、モノをどのように触ったかがプレイングに反映されるかもしれません。ペットゲーム、恋愛ゲーム、手術のゲームなどは面白い展開がおこりそうです。

こういった触覚感知系は、今までの端末だと、筆の強弱はスピードで、演奏の強弱はジャイロセンサーの衝撃で、無理やりに再現してたんです。新しいiPhoneでは強く押したら太くなったり、大きな音がでたり、より自然なフィードバックで操作を行うことができるはずです。

また、情報のプレビューやショートカット的な使い方ができるため、一画面にのせる情報や機能を抑えてあえてシンプルにしていく流れが生まれそうです。複雑な操作や周辺情報は浅押しにまかせられるので。

3D Touchの課題


ユーザー的には夢と希望が溢れる3D Touch技術。一方でアプリの開発者からすると、解決すべきチャレンジも色々とありそうです。ぱっと思い浮かぶものでは、以下のようなところでしょうか。
  • 深タップできる場所とできない場所の違いをどうやって可視化するか?
  • 旧端末との互換性をどう設計するか
  • iPadとの互換性をどう設計するか
  • Androidアプリとの互換性をどう設計するか
UI設計のポイントとしては、一般的なアプリでは3D Touchはパソコンのショートカットキーのようなイメージで扱うと、古いiPhoneやAndroidとの互換性も維持できるのでよいでしょう。
まず通常のタッチだけでアプリを十分に使えるようにするべきです。

そして、より高度な操作や、素早くショートカットを行うために3D Touchを採用します。
3D Touchを前提としたコア機能を作ってしまうと、古いiPhoneでやAndroidではアプリそのものが使えなくなるかもしれないためです。

せっかくの素敵な新技術、「強タップってどこでできるかわからないから、強タップしなーい」とならないように、工夫が必要でしょう。ボタンやパネルに影をつけて浮かせてみたり、ぐいっと押し込むアニメーションをつけたりと、「強く押せそう」に見せるのがコツになるかとおもいます。今後、世界中のデザイナー、エンジニアが頭を振り絞って、予想もできなかた画期的な使い方が次々と生まれていくでしょう。

おまけ


個人的には、「押し方の強弱でユーザー認証」とか、実験としては面白いかなと。横から手元を見てもバレませんし、パスワード(?)が流出しても、他人が入力するのが難しそう。実務に耐えるかはともかく、実験してみる価値はあるかもしれません。

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iPhone 6s / 6s Plus実機ギャラリー

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iPhone 6sの「深押し」3D Touchの使い方。アプリ設計はどう変わる? (深津貴之 fladdict のUIコラム)

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