独マックス・プランク研究所が、8本のケーブルでカーボンファイバー製のケージを吊るす方式の「Cable Robot Simulator」を発表しました。
正二十面体のケージにはレカロのフルバケットシートが備え付けられ、VRゴーグルと組み合わせれば目と耳だけでなく体全体で仮想現実空間を体験できます。
見るからに大げさなこのシステムは、ワイヤレスVRヘッドセットを装着した人をシートに着座させ、8本のワイヤーケーブルで空中へと持ち上げます。
1本で1.4トンの荷重に耐えるこのワイヤーケーブルは、それぞれ最大348kW(473PS)の高出力ウィンチで伸縮し、最大1.5Gの加速度でケージをあらゆる方向へと「振り回す」ことができます。
ケージの動きはシミュレーターによって6軸制御され、システムを設置した室内の範囲で自由に操作可能です。またVRヘッドセットと光学トラッキング方式を組合わせて、頭部の動きに合わせた姿勢制御もできます。
研究所は、このシステムのために簡単なフライトシミュレーターとカーレーシングシミュレーターを用意し、独テュービンゲンで開催されたドライブシミュレーターのカンファレンス「DSC 2015」で公開しました。
動画を見た限りシステムの動きはすごいものの、肝心のフライト/カーレースシミュレーターソフトのデキが今ひとつ。ヘリは誰も操縦桿を握っていないのに飛んでいるし、レースカーはステアリングを切らずにコーナーを曲がってしまっています。
ここは、往年の体感ゲームで鳴らしたベテランゲーマー諸氏であれば「アフターバーナーII」や「スペースハリアー」といった名タイトルをプレイしてみたいはず。最近のゲームで言えば、456万円で一般発売もされた「スター・ウォーズ:バトルポッド」なんかも相性が良さそうです。
さらにプレイヤーを立った状態にして、床面にトレッドミルを備えれば、もしかすると「トゥームレイダー」のような3Dアクションゲームも実現できるかもしれません。
現在「Cable Robot Simulator」はごく初期の試作段階とのこと。もし完成しても開発の目的がフライト/ドライビングシミュレーターであるため、一般発売などはまずなさそう。とはいえ、もしもどこかのテーマパークなどに設置されることがあるのなら、ぜひとも一度体験してみたいものです。