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インベーダーの侵略に新たな動き 巷を賑わす「#reactivation」とは?

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September.30.2015
インベーダーの侵略に新たな動き 巷を賑わす「#reactivation」とは?
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文_編集部

都内にはグラフィティが溢れている。90年代末のストリートムーブメントが押し上げたこのカルチャーは、ゼロ年代にはすでに風景の一部となった。壁、電信柱、階段など、あらゆる場所に潜むグラフィティは、姿の見えない持ち主の存在を常に主張し続けている。

2000年初頭、東京はとある侵略に脅かされていた。インベーダーの襲来だ。モザイク・タイルで作られたその姿は、株式会社タイトーが1978年に発売したゲーム「スペースインベーダー」に登場する敵キャラクターをベースにしており、街のあちこちにぺたぺたと貼られ、増殖した。また同時期に「宇宙からの侵略MAP」というピンク色のフリーペーパーが都内各所で配布され、一部の人々の間ではインベーダー探しが密やかな楽しみとなった。

モザイク・タイルをローラーで貼付ける。全て地名と数字を組み合わせた名前があり、同じものはふたつとない

モザイク・タイルをローラーで貼付ける。全て地名と数字を組み合わせた名前があり、同じものはふたつとない。

この首謀者である「INVADER」は、パリ在住のアーティスト。拠点であるヨーロッパからアジア、アメリカ、最近ではタンザニヤまで、インベーダーで各国を侵略し続けている。それぞれの場所や、建物にちなんだアートワークも人気のひとつである。

Elephant in the savana #grumeti natural reserve #Tanzania #grti_02

Invaderさん(@invaderwashere)が投稿した写真 –

復活するインベーダー
#reactivation の動き

「INVADER」のみならず、グラフィティは常に「誰かに消されてしまう」という大きな宿命を背負っている。そして、東京のインベーダーたちも多からず、その宿命に従うことになった。家主に剥がされたり、窃盗団に盗まれたりと、街から姿を消していったのだ。(まあ、貼られた側からすれば、宿命などと言われるのは心外だろう。家の外壁に落書きをされたようなものなのだから。)

しかし今年5月、突如、東京のいくつかのインベーダーが復活を遂げたのである。剥がされた場所に、同じような色のタイルで、インベーダーが貼られていたのだ。

TK_16

「TK_16」(2015年9月24日撮影)

TK_48

「TK_48」(2015年9月17日撮影)

TK_62

「TK_62」(2015年9月28日撮影)

TK_02

「TK_02」(2015年9月28日撮影)

インベーダーファンは数多い。これらのインベーダーはすぐさま、「#reactivation」のハッシュタグとともにInstagramに投稿され、そして瞬く間にシェアされた。何より「INVADER」本人がこの現象をリポストしたことが大きかった。

TK_02 and many more are back to life ! 👾👏👏🙏🙏 #reactivation #reactivationteam #Tokyo photo: @nico_funato

Invaderさん(@invaderwashere)が投稿した写真 –

こうした「#reactivation」の動きは、東京に限ったものではない。海外では東京に先駆けてそうした投稿が増えており、失われたインベーダーが元の場所に収まる様子が確認できる。

HK_20 Lost in space ! 31Mar2015 #HK_20

JohnnyWalkerさん(@johnnywalker2000)が投稿した写真 –

#HK_20 Welcome back #invaderwashere #theworldinvasion #streetart #spaceinvader #reactivation #invaderhk #spaceinvaderhk

Martin Leeさん(@thejokerxiii)が投稿した写真 –

しかし、これらの活動は誰がどのような目的で行っているのだろうか。

誰が一体、どうやって?
深まる謎と「INVADER」の反応

グラフィティとは「タグ付け」だと言われる。自分の名前を街にタグ付けしていく。そのマーキングのごとき行為自体が、ひとつの表現活動であると。であれば、これを作った者の意図するところは、どういうところにあるのだろう。

ファンによる純然たるリスペクトで、敬愛する「INVADER」の作品を忠実に再現しているだけなのか。または「INVADER」の名を借り、全く同じ作品を再現することで、そこに何らかのカタルシスを得ているのか。

当の「INVADER」本人は、Instagramで次のようにコメントを寄せている。

「For a little while some of my disappeared #spaceinvaders have come back to life ! Those “reactivations” can be noticed in Paris, Bastia, London, La Ciotat, Lyon, Basel and L.A. A huge thank’s to all the people who have made this awesome job.」
(最近、いくつかの姿を消してしまったインベーダーたちが生き返った!これらの”reactivations”たちはパリやバスティア、ロンドン、ラ・シオタ、リヨン、バーセル、そしてロサンゼルスで目撃されている。こうした優れた仕事をした人たちに大きな感謝とハグを)

彼はこの行為をおおいに歓迎しているようだ。また、ファンたちも喜んでこの復活劇を見守っている。「パクりやがって!」という声は上がらない。

日本人は”パクり”に厳しいが、「#reactivation」はパクり行為とはみなされない。もしかすると修復の質が悪ければ、大きくバッシングされたかもしれないが、このレベルで再現されたことが誰しもを納得させるのだろう。そこには作り手と受け手の世界観の共有と、確かなコミュニケーションがある。

新しいジャンルを生み出した?
INVADERの次なる侵略は

インベーダーの侵略活動が盛んだった2002年、『relax』61号(マガジンハウス)で「INVADER」はこう答えている。

「僕がやってるのはもともとグラフィティじゃない。(中略)僕自身はコンテンポラリーアートとグラフィティの間にいる。アートの畑にはランド・アートというムーヴメントがあって、自然のなかで創造をするんだけど、そういうのを都会の場でやっているのをあまり見たことがなかった。グラフィティのエネルギーと都市の構造を利用して、新しいフォームや表現を作ろうとしてるんだ。」

それから13年。「#reactivation」なる行為を生んだ背景には、アートとしての立ち位置を確立した「INVADER」の、ひとつの到達点があるようにも思える。2013年に発表された、インベーダーを集めるiPhoneアプリ「Flash INVADER」は既存のファン以外の新たな層を開拓したはずだし、身近なアートとして街に根付く一助となった。インベーダーは「INVADER」のものでもあり、それを愛する人々のものでもある。

現在、彼の侵略活動はどのようなフェイズに入っていくのだろうか。「#reactivation」の拡散を眺めながら、我々は次の侵略を待ち望んでいる。

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