スタンフォード大の研究者チームが、ミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)に発泡スチロールを分解し堆肥へと発泡スチロールを食べて堆肥へと還元する能力があることを発見しました。
発泡スチロールを食べてもミールワームの具合が悪くなるようなことはなく、研究チームはプラスチックの分解なども可能か調べたいとしています。
ミールワームという呼び名の由来は、主に鳥や爬虫類などの生き餌として扱われることから。高カロリー高タンパクではあるものの栄養バランスはあまり良くないため、小動物に与える場合は主食としてよりもおやつ的な与え方をする場合もあります。
研究チームによる実験の結果、発泡スチロールはミールワームの腸内で堆肥とCO2に分解され排出されていることがわかりました。処理量は1匹で1日あたり錠剤1個ぶんぐらい。錠剤1個というと非常に少なく思われるかもしれませんが、通常ミールワームは大量に扱われるため、個体数を増やせばそれに応じた処理量になることが期待できます。
消化のメカニズムでいえばミールワームの消化器官に特殊なところがあるわけではないものの、腸内微生物の一部が発泡スチロールを分解する能力を有することが判明。これはノシメマダラメイガ(Indian meal morh)の幼虫にポリエチレンを分解する能力があるのとよく似た状況と言えそうです。
発泡スチロールを食べたミールワームの健康状態に異常はなく、排出された堆肥は農作物の肥料として役立ちそうなこともわかりました。研究チームは今後ミールワームの腸内微生物や酵素の研究を続け、たとえば廃車にした自動車などから大量に分別されるプラスチックごみの分解処理が可能かどうか、また逆にそうした微生物で分解可能なプラスチックの製造方法などを調べて行きたいとしています。
ちなみに、ミールワームは人間の食料としても研究されています。たとえば国連食料農業機関(FAO)では人口増加による食糧危機への対策として昆虫食の研究を進めているほか、オランダの大学ではミールワームを生地に混ぜ込んだケーキなどを開発、さらに2012年には昆虫レシピを記した料理本も出版しています。
下はオランダで開発された昆虫ケーキなどの例。
[Image credit:Reuters]