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ガンジス川の岸辺にある都市ヴァーラーナシーは、ヒンドゥー教徒にとって、死者のためのもっとも神聖な土地だ。毎日、300人もの人がこの神聖な場所で火葬にされ、肉体から解放された魂が涅槃にたどり着いて生まれ変わると信じられている。
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ガンジス川西岸に位置する古代都市ヴァーラーナシー。ここにある最大の火葬場マニカルニカ・ガートの火葬用の薪の炎は、3000年もの間、燃え続けているという。
インドのウッタルプラデシュ州にあるこの神聖な都市は、ヒンドゥー教徒にとってもっとも神聖な場所。火葬にされた人々の灰がまかれ、彼らの魂が解脱し、涅槃に到達する地と信じられている。
使い古した肉体から魂を解放するには、まず火葬にしなくてはならない。写真家ミカル・フーニーヴィクスがマニカルニカ・ガートでとらえた珍しい写真の数々は、ヒンドゥー教徒の遺体の最期の時間に肉薄している。
屍衣に包まれた遺体はガンジス川に運ばれ、洗い清められて、マニカルニカ・ガートでの火葬に備える。ここでヒンドゥー教徒は肉体から魂を解放するため、何千年も荼毘にふされてきた。
まだ煙のくすぶる人の灰の山の前を、船に乗ったふたりの観光客が通り過ぎる。彼らは儀式の証人。すぐ右手の階段には、ガンジス川での清めが済んだオレンジ色の屍衣に包まれた遺体が順番を待っている。
死は伝染すると信じられているため、遺体に触れることが許されているのは、下層カースト不可触民のドムだけ。
1日に300人にものぼる人々がこの火葬場で火葬にされる。マニカルニカ・ガートとは、神聖な水へ続く階段という意味だ。何世紀にも渡って、老い病んだ者たちがガンジス川のこのほとりに集まってきて、特別な施設「死を待つ人の家」で最期のときを待つ。
この巨大な火葬場には、死を嘆き悲しむ悲愴感はなく、葬儀を準備する傍らで、笑いさざめき、おしゃべりをし、カードゲームをする姿が見られる。ヒンドゥー教の死への考え方は、喪失ではなく、古びた肉体をもう着られなくなったボロボロの服のように脱ぎ捨てるというものだ。
ヴァーラーナシーの現場はにぎやかそのもの。遺族たちが火葬のために積み上げられている薪の間をぬって歩き、家畜がそのまわりをゆっくりと歩き回り、見物人や観光客もたむろしている。
葬儀のプロセスは、涅槃に達するために必要不可欠なものだ。儀式のたくさんの手順は完璧に行われなくてはならず、そうしないと魂はあの世への道を見つけられない。
マンゴーの木の薪は、白檀よりも安く、火葬によく使われる。インドでは年間、約900万人の人が亡くなるため、実用的な理由で、電気やガスなどほかの火葬手段も導入されている。
オレンジ色の屍衣に包まれ、棺台に乗せられてガンジス川に運ばれる遺体。亡くなってから24時間以内に火葬にしなければならない。
遺体は遺族によって川で清められる。白い服の男性は、死者にもっとも近い親族なので、葬儀を執り行う。現場に居合わせることができる女性は外国人旅行者だけ。
遺体は清められると、すぐに階段の上に戻され、火葬が始まるのを待つ。
遺体は階段の上に2時間ほど置かれ、火葬の前に乾燥させる。
まず、遺体は色鮮やかな布に巻かれた竹の担架に乗せられ、古い町の路地を聖なるガンジス川へと運ばれる。死者に一番近い親戚の男性が、葬式を執り行わなければならない。女性は嘆き悲しんで、神聖な雰囲気を壊すといけないということで、伝統的に葬儀には出席できない。
Varanasi funeral procession
遺体はガンジス川で清められ、階段のところで2時間ほど乾かす。その間、ほったらかしにされるので、うろついている家畜が供えられている花をかじったり、遺体に排尿してしまうこともある。
遺体が乾くと、薪の積みあがった穴の上に置かれる。遺族が葬儀にかけられる費用によって、薪の量や種類は慎重に決められる。
死は伝染すると信じられているので、社会的に虐げられているいわゆる下層カーストの不可触民階級の人間だけしか、遺体に直接触れることができない。彼らはドムと呼ばれている。ドムの中にはヴァーラーナシーでの葬儀ビジネスで市場を独占して裕福になる人もいる。
遺体が十分に乾いたら、遺族が火葬の穴に移動させる。
毎日300もの遺体がガンジス川のほとりのヴァーラーナシーで火葬にされ、その魂は解放され、生まれ変わる。
順番待ちのため、ときに遺体は何時間も階段で放置される。遺族の少年たちが座って待っている。
立ったまま静かに火葬を待つ男たち。儀式に過度な悲しみをもたらすとして、女性は葬儀に立ち会うことができない。
火葬に直接関わるドムたちは近くの山から高価な薪を取ってきて販売もする。
火葬の穴がある場所は、それぞれのカーストによって違う。この写真の穴は戦士の階級クシャトリヤのもの。
縄が外され、遺体は遺族が購入した薪の上に置かれる。遺体の上にも薪が積み上げられる。
火が魂を浄化し、肉体から解き放って生まれ変わらせると信じるヒンドゥー教徒にとって、火葬は遺体を処理する理想的な方法だ。ヒンドゥー教の世界では棺というものはない。選ばれたある特殊な人たちだけが、火葬せずに埋葬される。
その特殊な人たちとは、聖職者と2歳未満で亡くなった子どもだ。彼らの魂は穢れがないので、火で浄化する必要がないと信じられている。犯罪者や自殺者もまた土に埋められる。彼らの罪は重く、弔いの薪では浄化できないとされるからだ。
遺体の足は死の神ヤマの王国のある南の方向へ向けられ、頭は富の神クベーラの王国のある北に向けられる。喪主は伝統的に白い服を身にまとい、ドムから火のついたクシャの小枝を受け取って、薪に火をつける。遺体は火の神であるアグニに捧げる供物になるのだ。
火葬が済んだら(薪の量が足りないと葬儀は完結しないままになる)、ガンジス川の水をかけて火が消され、灰は川にまかれる。観光客はこの葬儀を見物することはできるが、敬意を払うよう要求され、写真撮影は原則的には禁止されている。
遺体を完全に火葬するためには、一般的に300キロの薪が必要とされる。火が魂を浄化し、肉体から解き放つと信じるヒンドゥー教徒にとって、火葬は遺体を処理する理想的な方法だ。
後ろにドムが立ち、右にいる男性ふたりは薪に加えるさまざまなものが入った袋を持っている。
裕福な家族は安いマンゴーの木ではなく、高価な白檀の薪を選べる一方、貧しい家族は火葬に牛の糞を使用したり、遺体を直接川に投げ込むだけという場合もある。
ギーという澄ましバター(食用)を薪に塗る。昔は火葬前の遺体にも詰めていた。
白檀の粉を加え、毛髪が燃えるにおいを防ぐ。不思議なことに、嫌なにおいはしない。
薪に火がつけられる前に、遺族がネパール産のブラックムスクのような香を遺体の上からふりかける。
薪に火をつけるのは、長男か一番近い親戚の男性。頭を丸め、白い衣装を身につけて敬意を表する。
薪から白い煙があがる。ドムが傍らに座って、火が消えないよう見張る。
火葬の灰をかぶりながら、寝そべる犬。
遺体の上に重たい薪を乗せるのには重要な意味がある。熱が筋肉繊維を収縮させて遺体が起き上がってしまうのを防ぐためだ。
竹の棒を使って、遺体が炎の中で解体しているかどうかを確認する。
火が魂を浄化し、肉体から解き放つと信じるヒンドゥー教徒にとって、火葬は遺体を処理する理想的な方法なのだ。
線香やさまざまな香が、毎日多くの遺体を火葬にする場所のにおい消しに使われている。
ニカルニカ・ガートの荼毘の火を空から撮った写真
ヒンドゥー教徒は、熱で頭蓋骨が砕けると魂が体から抜けたと信じている。竹の棒で突いて壊す場合もある。
火葬が終わると、ガンジス川の水で火が消され、灰はまとめて川に捨てられる。そばにはまだ生焼けのほかの遺体がある。
最後は川が遺体を洗い流してくれる。向こう岸では人々が水浴びをしている。
インドのカースト制 ━━ 不可触民の虐げられた生活via:dailymail・Translated konohazuku
ヒンドゥー文化では、死は伝染すると信じられており、カーストの下層民であるドムという不可触民だけしか、遺体に直接触れることができない。インドの多くの地域では、いまだにカースト制を中心に生活が回っていて、不可触民とみなされる人たちを生み出している。
不可触民Dalitは抑圧されたという意味で、カースト制度において生まれながらにして穢れているとみなされる人々のことだ。人間以下とみなされ、インドでさまざまな人権侵害を受けている。
ほかの階級の人と同じ井戸から水を飲めない、同じ寺に参拝できない、上の階級の人と同じ靴を履いてはいけない、同じ屋台でお茶を飲んではいけないという具合だ。警察ですら上のカーストと共謀して彼らを虐待し、拘留して暴力を加えたり、通報があっても調査や取り締まりをおろそかにしたりする。
この女性はいわゆる不可触民のひとり。ヒンドゥーではもっとも低い階級とみなされている。
上級カーストは、わざと不可触民を手元において、暴力をふるったり、裸で通りを歩かせたり、女性を暴行したりする。不可触民は罰や侮辱に怯え、上級カーストの近所を歩くだけで、命の危険すらある。貧しいインド人の90%近く、文盲のインドの95%がこうした不可触民だという。最低賃金の仕事、最悪の住居環境に追いやられ、教養的に隷属状態で、どん底の生活しかできない。彼らは社会ののけ者という概念で順序づけられていて、食事や飲み水、結婚に至るまで、許される生活の範囲が細かく決められている。
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コメント
1.
2. 匿名処理班
カースト制度のひどさのせいでメインの記事の内容とんだ
3. 匿名処理班
環境破壊なんだよなあ半生で流したりして…インド政府が焼却場を作って完全に骨にしてから流すとかどうにかならんのかいな…
4. 匿名処理班
>熱が筋肉繊維を収縮させて遺体が起き上がってしまうのを防ぐため
火葬場で火をつけると、屍体が起き上がったり、身を仰け反らせたりする
という話は本当だったんだな。
5. 匿名処理班
生焼けのを犬とかが食ってんだろうなー
6. 匿名処理班
不可触民の扱いはいつ聞いても暗澹とした気分になる
7. 匿名処理班
火葬場も土葬も怖いからこれがいい
8. 匿名処理班
この葬儀場の煙とお香や線香の入り混じったニオイは
嗅いでしまったら強烈に脳裏に焼きつくと思う。
9.
10.
11.
12. 匿名処理班
ここ実際行って見た
なんかにぎやかだったよ
そこら中に土焼いて作ったチャイのカップの破片がめちゃくちゃあって危ない
13.
14. 匿名処理班
「貧しいものは生焼けのまま川に流される。川には人間の遺体も動物の遺体も流れている。川下には葬儀屋とは別の業者がいて、それらの遺体を集めて家畜の飼料として加工する。そういった飼料が輸出されて、狂牛病が起こった。つまり、もともと人間の脳の病気だったプリオンが、動物飼料にまぎれて牛の体内に入り、その牛を食べた人間の脳を再び冒す、という循環が起こった」という説を読んだことがある。つまり、世界に広がった狂牛病の患者は、インドの極端な貧困や身分制度の被害者、ということになる。
15. 匿名処理班
カースト制度はいつになったら本当に無くなるんだろうか?
インド政府が廃止!と言っても、結局こういった慣習のもとでは延々と続いていく。
16. 匿名処理班
この制度を考えた人は(悪い意味で)天才ですよね
17. 匿名処理班
※15
ヒンズー教の経典に書いちゃってるからねえ…
18. 匿名処理班
カーストってほんとクソだよな
生まれながらにして自分の意思とは関係ないことで身分を決められるって
情け容赦ない理不尽