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ここが駅のホームだなんて誰が思うかい?
四国のとあるローカル鉄道のとある駅に、夢のような場所があったげな。そこでは、グラスでギネスや地ビールが飲めて、焼きたてのソーセージもいただけるんじゃ。ウソのようだがまことの話じゃぞ。
乙幡啓子(おつはたけいこ)
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。> 個人サイト オツハタ万博 信じられないものを見たその店を初めて見たのは、今年の1月だった。別の取材の折に、香川県は高松市の、高松築港という駅からこんぴらさんに向かったときのことである。
お城の石垣を背負って、そこは始発駅。
列車に乗り込もうとして、ふと向かいのホームに目をやって、私はそれを二度見した。
ありのまま、今起こった事を話すぜ。 普通の駅と思っていたら、なんだかいい感じの屋台が……
なんだか「GUINNESS」とかチョークで書いてある、ステキなパブっぽい場所があったんだ。な、何を言っているのかわからねーと思うが……
うおっ行きてぇ!でも電車来た!というかまだやってない!(店が)……と、私の心をさんざんざわつかせ、その屋台らしきものはやがて車窓から遠ざかっていったのだった。
なんだったんだあれは。あんな風情の屋台、他の駅で見たことない。しかもありゃ駅ナカ、というより駅のホームにあったぞ。 行かねば。あそこには早晩行かねばならぬ。そう心に誓った。そして今月。参加する鉄道イベントの下取材のため、四国に立ち寄ることとなったのだ。 時は来た。それだけだ。 琴電琴平駅から今回の記事は始まる。
たまたま、この高松築港駅を擁する高松琴平電気鉄道(「ことでん」)の社長とSNSでご縁があり、今回この屋台を取材させてほしいとお願いしたところ、2つ返事でOK&なんと社長自ら対応してくださるという。
こりゃ、飲んで食べて調子に乗るわけにいかなくなってきた(元よりそんなつもりでいるわけではないが)。気を引き締めて、件の駅に向かおう。 と思ったら目の前にこんな車両だ。「ことちゃん」だ〜。 ことでんのマスコット、イルカの「ことちゃん」。
木鷽を手に「?」がかわいい。
そしてやはりうどんをすすっているぞ。
高松築港駅に降り立てば、乗り換えずとも、駅を出ずとも、すぐそこに取材先が待っているのだ。その感覚を味わいたく、琴電琴平駅から琴平線に乗り、あの屋台の待つ高松築港駅へ。
おなじみ讃岐富士(飯野山)の、ぽっこりした山容を眺めつつ。
運転席からも、ぽっこり山が。旅情(と渇き)で胸いっぱい。
終点、高松築港駅。嗚呼ついに来たよ、高松築港駅。
お店のオープンは17時からで、取材は18時半から。そしてこの日は平日。ちょうど帰宅ラッシュで混み合う時間だ。地元の人になったつもりで、あの屋台に近づいていこう。 このコマは「世界ふれあい街歩き」のつもりでご覧ください。
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