低線量の被ばくでもガンの発生率が上昇するという研究報告が、なされました。
画像:【除染作業員】
http://www.jiji.com/jc/d4?d=d4_quake&p=jyo114-jlp11852846
21日、国立労働安全衛生研究所(アメリカ)、ノースカロライナ大学(アメリカ)、ドレクセル大学
(アメリカ)、放射線防護・安全研究所(フランス)、国際がん研究機関(*WHOの外部組織 フランス)、
ポンペウ・ファブラ大学(スペイン)、イギリス公衆衛生サービス(Public Health England, PHE)など
9チームからなる国際チームが、明かした研究内容。
同チームは、欧米の原子力施設で1944年~2005年の間、1年以上勤務経験のある作業員3
0万人以上を対象に疫学調査を行い、被ばくしてない人がガンになる可能性を「1」とした場合、
被ばく線量が1ミリシーベルトごとに「1万分の5」程度、可能性が上昇(100ミリシーベルトでは
1万分の500=5%)し、100ミリシーベルト以下の低線量被ばくでもガンの発生率が上昇した
とする分析結果を、世界的権威のある医学誌「BMJ」(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)上
で発表しました。
またガンの発生率が上昇するのは白血病だけに限らず、肺や胃、肝臓などでも同様であること
が確認されたとしています。
画像:【ガン細胞】
https://www.flickr.com/photos/63498656@N04/5783780193/
国連科学委員会などは100ミリシーベルト以下の低線量被ばくではガンのリスクを明確には確認
できないとする見解を示していますが、国際チームの研究結果はこれに真っ向から対立する様相
を見せています。
(発表論文:http://www.bmj.com/content/351/bmj.h5359 ※英語)
なお、日本でも20日、白血病を患った福島第一原発の作業員がこれまで合わせて19.8ミリシー
ベルトの放射線量を被ばくをしたことと同病発症の”因果関係”について、厚生労働省の専門家から
なる検討チームが、初めて”医学的見地”から「労災」認定をしています。
(※ただし、厚生労働省はあくまで「因果関係は否定できない」という立場です)
【参考】放射線被ばく量の限度と各症状
一般人が浴びる放射線量の限度…1ミリシーベルト/年間(医療用放射線量は除く)
胸のX線集団検診…0.05ミリシーベルト/1回
胃のX線集団検診…0.6ミリシーベルト/1回
胸のX線CT検診…6.9ミリシーベルト/1回
原発作業員…50ミリシーベルト/年間
50ミリシーベルト以上/1回…血液成分に変化
100~200ミリシーベルト/1回…症状なし~人体に影響が出てくる
400ミリシーベルト/1回…白血病を発症
500ミリシーベルト/1回…リンパ球減少、吐き気、疲労など
1000ミリシーベル/1回ト…嘔吐など
1000ミリシーベルト/1回…下痢、出血、脱毛など
7000ミリシーベルト以上/1回…意識障害、死亡率20%
5万ミリシーベルト/1回…全身障害、48時間以内に死亡
今回の件に【ネットの声】は・・
などがあるようです。
原発作業員については、低線量の被ばくでも安全とは今後いえなくなりますね。
先日の「労災」認定により、元作業員などから巨額賠償を求める訴訟が起きるのではないかと報じた
海外メディアもあります。
すでに国外では「日本政府は福島原発に関連したがんの最初の事例を確認した」などとして大きな注目を集めている。
CNNは、「これは国際原子力機関(IAEA)にとって大きな打撃になる。
IAEAは15年9月に、事故による放射線被ばくが原因の識別可能な健康への影響はないだろうと言っていた」
とするグリーンピースのコメントを引用。米国のABCテレビは労災については触れず、
「専門家は、今回の件が巨額訴訟への道を開くことになるだろうと指摘している」
と報じた。(引用元:http://www.j-cast.com/2015/10/21248533.html?p=all)
例えば、それだけの放射線を浴びることで(例えば治療などで)その他の死亡理由であった40%が30%に低下した場合、差し引きは5%の利得になる。
かなり強引な計算なのは認めるけど、結局はそのベネフィットとリスクの兼ね合い。
放射線取扱者なら、誰もが知る話。