エボラウイルス、性的接触での感染が初確認
エボラ出血熱を引き起こすエボラウイルスは、感染者の体液へ直に接することで感染します。たとえば血液、唾、汗、吐瀉物、糞尿、母乳、そして精液です。そしていまお医者さんたちが一番気にかけているのはこの最後の「精液」。というのもひとりのリベリア人の女性が性的接触で感染したことが確認されたからなんです。
この女性は、5カ月前にエボラ出血熱から回復した男性と無防備なセックスを行ない、ウイルスに感染してしまいました。この発見から公衆衛生の面で引き起こされるであろう影響について、NatureにDeclan Butlerさんの記事が公開されています。そこには、この女性の感染原因が性的接触をした男性のものだということをウイルスの染色体からどうやって突き止めたのかも描かれています。
彼の精子からは、ほぼ完全なエボラウイルスの染色体シークエンスを生成することができました。女性の持つウイルスのシークエンスとはたったひとつの突然変異しか違いがありませんでした。そして女性と男性からのものに共通して見つかった3つの突然変異は、796のほかの西アフリカでのエボラから見つかったシークエンスには見られないものでした。この研究を記した染色体科学センターの研究者Gustavo Palaciosさんは「すべての証拠を合わせると、我々は『推定』という段階から『確定』へと移れると思います」と話しています。
エボラに性的感染するリスクは低いものの、まったく無いわけではありません。エボラから回復した人の精液やほかの組織の中でウイルスがどれだけ長く生きながらえることができるのか、研究者たちはいまだ調査中。
これまで男性のエボラ回復者には3カ月間はセックスをしないかコンドームをつけてのセックスをするように、とされていました。しかし今回の性的感染のケースを受けて、研究者たちはエボラからの回復者たちに、最低でも6カ月間もしくは2度テストで陰性が出るまで、セックスを避けるか、コンドームを使用するように勧めています。
source: Nature News/CDC
Diane Kelly - Gizmodo THROB[原文]
(abcxyz)
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