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http://kyuukaiou.ldblog.jp/archives/1677460.html

産経新聞 10月25日 17時0分配信

　プロ野球のヒーローインタビューがお決まりのセレモニーと化し、形骸化しているという声をよく聞く。
今季もヒーローの名にふさわしくない選手がお立ち台に上がるシーンがあった。「名ばかりヒーロー」の
試合やヒーローらしきヒーローが見当たらないときは、省いた方が賢明ではないか。真のプロ野球ファンは、
大げさな演出の下で交わされる歯の浮くようなセリフを歓迎していない。スマートなファンサービスや
野球観戦について、各球団は検討してみてはどうか。

■お決まりの質問に辟易

　青春小説「ヒーローインタビュー」（坂井希久子著）に、プロ野球選手として苦労を重ねながら一度も
お立ち台に上がれなかった悲運の男が登場する。期待を背負ってプロ球団に入団したものの、お立ち台どころか、
ぱっとしない成績のまま選手生命を終える選手は多い。

　また、一夜のヒーローになって、せっかくお立ち台に上がったものの、そこでのひと言が裏目に出て、
チームが悲運に見舞われたというケースが過去にある。

　１０月１０日、セ・リーグのＣＳファーストステージ第１戦の巨人－阪神戦。２－２のまま迎えた延長
十回一死満塁で、打席に立った巨人・高橋由が四球を選んだ。大事な初戦でサヨナラを決めた“功労者”とはいえ、
お立ち台でマイクを向けられた４０歳のヒーローは苦笑しながら「打って返せればよかったけど、結果が
すべてなんで…」と恐縮していた。一方、阪神にとっては痛恨ともいうべき敗戦。敵地で泣きっ面に蜂の
ような問答を聞かされる羽目になった。

　そもそも、お立ち台でマイクを向ける方にも責任のいったんはないだろうか。甲高い声で熱戦を振り返り、
「きょうのヒーローは…」の常套句に始まり、インタビューの最後は決まって「ファンの皆様にひと言
お願いします」で締めくくる。毎度おなじみの軽過ぎる言葉の応酬の中で選手はさらし者になり、
「見ている方が恥ずかしい」というファンの声もあるほどだ。Ｊリーグや日本代表のサッカーの試合には
お立ち台はない。ピッチで躍動した選手がそれぞれの役割について分析、総括すればいいだけの話である。

■ファンサービスの一環？

　大リーグにはヒーローインタビューの「慣習」はないという。試合後にベンチやロッカールームでテレビ局の
インタビューが入ることはあっても、あの仰々しいお立ち台はない。だいたい、少し高い所からしゃべると、
どことなく偉そうに聞こえてしまうし、気を利かせたつもりのファンサービスは概して空回りするものだ。
試合が終われば、両軍の選手はさっさと球場から引き上げるのが一般的だ。球場に訪れるファンも同じで、
試合後にヒーローインタビューはなくても十分、ゲームの余韻に浸れるのだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151025-00000517-san-base
続く

あの夜、押し出し四球で試合が決まった状況で高橋由のヒーローインタビューは本当に必要だったのか。
ため息が出るような試合ではお立ち台に上がる選手も困惑するだろう。スポーツの感動に脚色は無用で
ある。試合時間の「時短」対策を検討することもいいが、球界に古くからある慣習を打ち破ることも求められている。