武内P「秘密の」常務「朗読会」
武内Pも美城常務もポエマーだよねってことで
素人自作ポエム全開フルスロットルのため要注意
書き溜めありです
――某日、常務オフィス
常務『――しかし、時計の針は待ってはくれない』
武内P(……この人は)
常務『――見えなければただの闇。「無」だ』
武内P(この人も、きっと)
武内P「私です。少しだけよろしいでしょうか」コンコン
常務「開いている。入りたまえ」
武内P「……失礼します」ガチャ
常務「要件はなんだ? あまり君にばかり構っている時間もないのだが」
武内P「単刀直入に失礼いたします。常務は……「灰かぶりたちの密会」をご存知でしょうか」
常務「なんだ、そのいかがわしい響きは? また君の新しいプロジェクトだと言うつもりではないだろうな」
武内P「いいえ、違います。……まだ私の憶測に過ぎず、恐縮なのですが……きっと常務も興味を持たれるのではないかと思いまして」
常務「勿体ぶった言い方は嫌いだ。もっと率直に言ったらどうなんだ」
武内P「……それでは、失礼ですが……常務は……詩やポエムといったものがお好きなのではないでしょうか?」
常務「!」
武内P「言葉に表して認めていただかなくても構いません。……もしも常務が好きであるならば、このまま続けさせていただきます。ご気分を害したようでしたら……」
常務「……続け給え」
武内P(……やはり、この人も)
武内P「346プロに所属する有志によって、素性を明かさず匿名で、自作のポエムの発表を行う朗読会。それが「灰かぶりたちの密会」です」
武内P(この人も……私たちと同じタイプ)
常務「集まりの趣旨はわかった。だが、どうしてその集まりのことを私に尋ねた?」
武内P「……常務の言葉が……その……非常に詩的であったから、とでも申しましょうか……」
常務「……。ここまで話してしまったのだから、隠しても仕方がない。ああ、そうだ。君が察しの通り、詩に限らず文学や芸能全般には関心を持っている」
武内P「自作の経験もおありなのではないかと」
常務「……確かに、若気の至りで稚拙なものを乱造していた時期もあった。だがもう今は――」
武内P「一度、参加してみませんか?」
常務「何?」
武内P「貴方が目をかけた輝きを持つ者も、未だその輝きを見いだせていない者も……新たな一面を見ることが出来ると思います」
常務「しかし……私が行けば場の空気を壊すのではないか?」
武内P「言った通り、素性を明かさず、仮の名前で発表する集まりです。密会の間は立場も年齢も関係ありません。例え、誰の目から見て正体がわかったとしても、触れないのがマナーです」
常務「……いや、だが……」
武内P「行きましょう。常務……私は貴方の言葉の中に、確かに彼女たちと同じ輝きを感じました」
常務「……」
武内P「幸いにも今夜、密会が開催されます。もしもそこで常務が何も見出すことが出来なければ……金輪際この話をするつもりはありません」
常務「……やれやれ。君も頑固だな。いいだろう。一度だけ付き合うことにしよう」
武内P「ありがとうございます」
武内P「それでは参加する前に、こちらを」スッ
常務「ローブと仮面?」
武内P「ええ。着用が義務付けられておりますので。それともう一つ、仮の名前を用意してください」
常務「ああ、先ほどそんなことを言っていたな。しかし急に言われても思いつかないな……。君はどのような名前を使っている?」
武内P「私は……その、「ウィザード」と名乗っています」
常務「魔法使い……なるほど、シンデレラ・プロジェクトを導く立場の君らしいな」
武内P「……恐縮です」
常務「さて、名前か……そうだな……美城…………よし、私は「ドミナ」と名乗ることにしよう」
武内P「決まったようですので、早速行きましょう。こちらです」
――美城プロ某所
美城「……こんなところで、こんな集まりをしていたとはな」
武内P「無断で使用してしまい、申し訳ありません」
美城「まあいい。この先どうするかは、この後を見てから決めることにする」
武内P「はい。では、ローブと仮面の着用をお願いします」バサッ
美城「わかった」バサッ
武内P「ここからは本名ではなく、先ほどからの仮の名前で呼び合ってください。マナーです。……行きましょうか、ドミナさん」
美城「……努力しよう、ウィザード」
武内P「では、入りましょう。……失礼します。ウィザードです」コンコン
??「どうぞ入ってください。もうみんな集まってますよ。……あれ、そちらの方は?」ガチャ
武内P「こちら、今回見学のドミナさんです。ドミナさん、こちらは進行役を務めてくださるキミドリさんです」
キミドリ「初めまして。「灰かぶりたちの密会」へようこそドミナさん」
??「遅かったね、ウィザードさん。……って、え、その人……」
??「もしや、我らが城の……」
ザワザワ
武内P「みなさん、こちらは今回見学にいらしたドミナさんです。さあ、自己紹介をお願いします」
常務「……初めまして。……今はプライベートで来ている。ここで見聞きしたことを他言するつもりはない。よろしく」
武内P「と、いうことですので。みなさんはいつも通りの活動をお願いします」
??「ぷ……ウィザードさんがそう言うなら、そうするけど」
??「い、いつも以上に緊張するんですけど……」
??「へぇ……そういう趣味があったなんてね……」
常務「やはり私を連れて来るべきではなかったんじゃないか?」
武内P「いいえ。最初こそ動揺はあるかもしれませんが、すぐに受け入れてくれると思います。さあ、始まりますよ」
キミドリ「それではメンバーも集まったことですし、始めさせていただきます」
パチパチパチパチ
キミドリ「今回の課題は「短くまとめる」。まず最初の発表は、蒼月姫さんからお願いします」
パチパチパチパチ
蒼月姫「蒼月姫です。短くまとめる、ということだったので、いつもよりも簡潔にまとめてみました。では聞いてください」
常務(あれは渋谷凛……?)
蒼月姫「「うそつきな四月」
その光が太陽だと信じていた
だから私は向日葵のように手を伸ばした
掌に触れたのは頼りない月の影
降るはずのない雨に濡れて
花がまた咲く日を夢見る」
パチパチパチパチ
蒼月姫「ありがとうございます。……この詩は、私の大切な友達のことを思いながら書いたものです」
蒼月姫「気づいてあげることも……力になることも出来なかった。でも、あの子なら必ず……また帰ってくる日を待っている。そんな気持ちを詩に込めました」
常務「プロ……いや、ウィザード。彼女が言っている友達というのは、島村卯月のことか?」
武内P「……ここでそのような話をするのはマナー違反です。ご自身でもおっしゃったように、ここはプライベートの場です。それに私は彼女の素顔も本名も知りません。そういう場所です」
常務「……すまない。失言だった。何分まだこの状況に不慣れなものでな」
武内P「いえ。ご理解いただけたのなら問題ありません」
キミドリ「では講評に入りましょう」
??「全体的にまとまりがある――」
??「後半の花という表現をもっと――」
常務「なるほど。意外と本格的に行っているのだな」
武内P「ええ。ただ単純に作って発表して終わるわけではありません」
キミドリ「それでは次に参りましょう。二番、モノクローム・フリューゲルさん、お願いします」
モノクロ「ククク……魂を同じくする盟友たちよ! 我が紡ぎし新たなる詩編、その耳朶でしかと受け止めよ!(お集まりのみなさん! 新しく作った私の詩、聞いてください!)」
モノクロ「「過ギ去リシ刻ノ断章<花嫁の月・友との晩餐>」
黒衣の魔王が灰被りの姫へと変わりし刻! それは友と交わした約束を果たす時!
世界が黄昏の業火に染まる頃、魔王は黄衣を纏う! 全ては胸中に秘められた想いを解き放つため!
ああ、我は苦難の荊の道を往かん! 震える手に剣を握りしめ、虎の如き爪を構え、キメラをクラーケンへと変えん!
友の顔が愉悦に染まることを夢見て、魔王は刃を振り下ろす! かくして饗宴の幕は開かれるのだ!」
モノクロ「……今宵の詩は、我が記憶の玉座に収まりし晩餐の夜を紡いだもの!(今回の詩は私にとって大切な、お食事会の日をテーマにしてみました!)」
常務「……むぅ」
武内P「どうかされましたか?」
常務「……私がバラエティ路線のアイドルを集め、アーティスト路線への切り替えを指示した話は知っているだろう」
武内P「ええ、存じております。それが一体……」
常務「神崎蘭子。彼女をどうして呼び出さなかったと思う?」
武内P「……先ほども申し上げたように、そうした話は」
常務「いや、壇上の彼女とは関係ない、ということにしておいてくれ。個人的な話だ。今を逃したら二度と告白する機会を失いそうなのでな」
武内P「私は……彼女は既に成果を上げており、その特色もバラエティ的な……いわゆる笑いを誘うようなものではなく、あくまでも純粋に自分の内面的な世界を独自の言葉で表現している、アーティストとしての要件を満たしているから、だと考えました」
常務「理由付けとしてはもっともらしく聞こえるな。私も君に何か尋ねられたら、それと似たようなことを答えていただろう」
武内P「……と、おっしゃられているということは、違った理由があるのですか?」
常務「ここに来る前に君に言っただろう。「若気の至り」……彼女とは少し毛色は異なるが、私もああいう装飾的で、耽美や退廃的な方面に傾倒していた頃があった。それ故に、彼女を見ていると、な。つい強く出にくくなってしまう」
武内P「……なるほど」
キミドリ「……他にご意見のある方はいらっしゃいますか? はい、どうぞー」
??「表現は君らしくゴティックでいい。ただテーマに反しいささか冗長で、詩というよりも物語に――」
常務「もう次が始まる頃か。……まさか君にこんなことを話すとはな。私自身驚いている」
武内P「……恐縮です」
コメント一覧
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- 2015年10月26日 20:34
- 最近無駄にページを増やすようになってきたな
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- 2015年10月26日 20:36
- まさかの25歳児オチ
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- 2015年10月26日 20:38
- 面白かった
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- 2015年10月26日 20:44
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常務……蘭子ちゃんをクローネにヘッドハントしなかった理由は、『古傷』に障るからだったんだね。
蘭子ちゃんって実力派かつわりと正統派なアーティストタイプのアイドルなのに、と少し疑問に思っていたけど、この回答は納得だ。
ちなみに私は『スタドリの不足で蘭子ちゃんをお迎え出来なかった』という理由だと(ネタで)思っていましたw
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- 2015年10月26日 20:45
- ヘルポエマー「ポエェェェェェェ~♪」
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- 2015年10月26日 20:55
- ※6
懐かしいwww好きなSSだったわwwww
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- 2015年10月26日 20:57
- さっきまで お腹の中にいたのに
出てきたとたん
いきなり 嫌われるなんて
やっぱり お前は う○こ だなぁ
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- 2015年10月26日 21:11
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それにしても見事にクールアイドルばっかだな
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- 2015年10月26日 21:14
- 絶対喫煙スペース作るマンと化した部長すき
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- 2015年10月26日 21:23
- シリーズ化して欲しい(笑)(パッション編やキュート編)
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- 2015年10月26日 21:34
- アニメ版しか見てない私にはいまいち登場人物の顔が一致しなかったけどたまにはこんなのもいいね。
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- 2015年10月26日 21:34
- シトラスだけ全く誰か分からなかった
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- 2015年10月26日 21:41
- シトラス=柑橘類
背伸びしたがるイチゴな子のことだ
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- 2015年10月26日 21:55
- 燃える煙草のように
寿命が縮む
そんな俺は喫煙者
だから設置してくれよ
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- 2015年10月26日 22:03
- イチゴパスタなんて知らない
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- 2015年10月26日 22:13
- シトラス 柑橘類 わかるな!
喫煙ルームってのは動画ネタのあの人か?
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- 2015年10月26日 22:33
- ボトムズの予告っぽくなって駄目だった
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- 2015年10月26日 22:34
- ※1
あとは頼んだぞ、レイヴン!
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- 2015年10月26日 22:51
- 森の子リスさんはアニメ未登場のクール系机の下アイドルさんでいいんだよね
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- 2015年10月26日 23:54
- 面白い詩も幾つかあって良かった。
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- 2015年10月26日 23:56
- 読解力がないので一部誰だかわからないが、雪歩を紹介したくなる会だな
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