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トレッドミル(ルームランナー)を走る狼などほとんどの人が初めて見るだろうが、オーストリアにある狼科学センターの研究者にとってはお馴染みの光景だ。
なぜこのような巨大なトレッドミルが設置されたのか?それには深いわけがある。狼と人間との協調や、犬と狼の訓練可能性の違いを研究、調査するためなのだ。
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幅2.5m、長さ10mの巨大なトレッドミルは2011年8月26日から使用されている。人間にとってトレッドミルの上を走ることなど造作もないことだが、幼い頃から人間に親しみ、群れで生きる狼科学センターの犬や狼となると話は違う。
Wolf on Giant Treadmill, Wolf Science Center
一体どのようにして狼をトレッドミルに乗せるのか? 強制的に行うのか、それとも巧みに騙して乗せるのか? プロジェクトに携わったキム・コーテカースさんは次のように説明する。
「動物トレーナーと何度か議論して、狼と犬たちを訓練して鼻でターゲット(大きな円盤)にタッチするようにしました。動物たちがターゲットを覚えれば、トレッドミルの上に吊るして、トレッドミルに乗せることができると思ったからです。これは非常に上手くいきました」
こうして狼と犬がトレッドミルに慣れてから、今度はこれを実際に動かしてみた。最初は最低速度から始め、徐々に速度を上げていく。数ヶ月もこの訓練を行うとターゲットなしでも、動くトレッドミルに自分から飛び乗るようになったという。
この成功を受けて開始される次のプロジェクトでは、2匹以上の動物を一緒に走らせて、その様子や、走った後に餌を分け合うかどうかを観察する。心拍数やその変動もモニターされる。実験は今年の冬に開始される予定だ。研究者の予測によれば、狼は社会的なハンターであるため、犬よりも積極的な協調が見られるはずだという。
この実験は狼と犬、あるいは狼と人間という組み合わせでも実施される。狼と犬が人間と強調する様子を観察することで、家畜化の謎の手がかりを得ることもできる。
これまで実施されてきた動物の協調についての研究では、動物のペアが一緒に引っ張ったり、押したりすることで褒美が得られるような装置を用いてきた。しかし、こうした実験は多分に人工的なものであり、動物の生態を考慮していない。
狼は狩りや縄張りの防衛の際に強い協調性を発揮するため、群れとして一丸となって走る時間が非常に長い。したがって、狼が一緒に走り、その後に餌を共有する様子を観察するにはトレッドミルはずっと自然な方法である。
こうした行為はパートナーで影響されるものなのか? もしそうなら、それは行動や生理的にも観察できるのか?
この実験では心拍数やコルチゾールが異なるパートナーと一緒にいるときのストレスやリラックスの程度まで教えてくれる。人間の場合だって、ウマの合わない人間と一緒に作業をすると普段よりずっとエネルギーを使うことはご存知だろう。オオカミだって同様だ。ウマの合うやつ、合わないやつ、パートナーによって違ってくるはずだ。
via:blogs.scientificamerican・translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
一方、うちの狼犬は冬の河口湖でセルフカーリング…
驚きの滑走距離(笑)
2. 匿名処理班
ルームランナーで走ってる姿かわええw
3. 匿名処理班
こうして写真や動画で見ると狼ってかわいいな
実物見たら怖く見えるんだろうけど
4.
5.
6. 匿名処理班
足や尻尾を挟んだりしないのかね?
うっかり変なトコに触ったりしないか心配だわ。
7. 匿名処理班
狩りを忘れた狼たちの狼専用ライザップ、、、。
あれだな、人類も一年の半分は狩猟時代に戻れば健康になるんじゃね?
8. 匿名処理班
なんか一番左の狼、めっちゃ銅が長いのかと思ったわw
9. 匿名処理班
人間と食べ物などを分け合い始めた原因を探るってことか
幼児化した個体から犬化したと思ってたんだけど違うのか
10. 匿名処理班
犬よりも若干,キツネ目という感じがする以外,
犬と何が違うのかよく分からない。