緒方智絵里「愛してるの響きだけで」
緒方智絵里「お、おとうさん……あのね、今日」
緒方父「智絵里、すまないが帰ったらにしてくれ。仕事に遅れる」
智絵里「……はい。いってらっしゃ」
緒方父「ああ、行ってくる」ガチャッ
智絵里「…………」
緒方母「あら、智絵里。今日は学校休みなのに早いのね?」
智絵里「あ、おかあさん。えっと、あのね」
緒方母「ごめんなさい智絵里、今日は私も大事な会議があってもう出なくちゃいけないの」
智絵里「そ、そう……なんだ」
緒方母「ほんとにいつも苦労かけてごめんなさいね、智絵里」
智絵里「ううん、大丈夫」
緒方母「それじゃあ行ってくるわね」ガチャッ
智絵里「いってらっしゃい」
ピリリリリピリリリリ
智絵里「あ……アラーム。……もう、行かなくちゃ」
ピンポーン
智絵里「あ、はい!」
モバP『朝早くに失礼いたします。CGプロのPです、智絵里さんのお迎えに参りました』
ガチャッ
智絵里「お、おはようございますプロデューサーっ!」
P「おはようございます、智絵里。お一人なのですか?」
智絵里「あ……はい」
P「日曜日の朝だというのに、ご両親も大変なのですね」
智絵里「……2人とも、会社の役員さんですから……」
P「そうだったのですか」
智絵里「で、でもおかげでこうしてアイドル、できてますから……」
P「そう、ですか。……では、行きましょうか。現場でちひろさんが待っていますし」
智絵里「はい」
P「ところで智絵里」
智絵里「なんですか?」
P「今日はプレゼントがあるんです」
智絵里「えっ!? ぷ、プレゼントですか?」
P「大したものではないのですが、車内においてありますので。ほら、乗ってください?」ガチャッ
智絵里「は、はいっ!」ドキドキ
P「よいしょ、と。……はい、これです!」
智絵里「わぁ……! あ、開けてもいいですか?」
P「ええ、もちろん。かなり遅くなってしまいましたが、智絵里、デビューおめでとうございます」
智絵里「クローバーの、ネックレス……!」
P「いつかの栞のお返しのようなものです。喜んでいただけました?」
智絵里「……はいっ! すごく、すごくうれしいですっ!」
P「その笑顔なら、今日の撮影は大丈夫そうですね」
智絵里「あ、あぅ//////」
P「それじゃあ、車出しますから、シートベルトしてくださいね?」
智絵里「あ、ま、待ってください」
P「はい?」
智絵里「ネックレス、着けるので……ちょっとだけ待ってもらえますか?」
P「……ええ、もちろん」
智絵里「んっ。えと、似合って……ますか?」
P「とても、似合っています。可愛らしいですよ」
智絵里「えへへ////// シートベルトもおっけー、ですっ」
P「ふふっ、じゃあ出しますよ」
智絵里「はいっ」
~ フォトスタジオ ~
P「智絵里、あまり緊張することありませんよ?」
智絵里「う、うぅ……」
P「雑誌のグラビア撮影とはいえ、素の智絵里のままで良いんです」
智絵里「そ、それでもやっぱり緊張しちゃいます……」
ちひろ「どうしますか?」
P「どうと言われましても……水着やなんかではないので恥ずかしがらずに、としか」
智絵里「あぅぅ……ごめんなさい」
ちひろ「あ、そうだ」
P「??」
ちひろ「智絵里ちゃん、これ」
智絵里「缶、ジュース?」
P「!? だ、ダメですちひろさん! エナドリはダメです!!」
ちひろ「えぇ~、ダメですか? 飲むとすっきり気分爽快、やる気が満ち満ちてきますよ?」
P「飲んだら丸々2日は眠気が吹っ飛ぶような飲み物出さないでください! 私はそれにアブないものが入ってないかと危惧してるんです! 私が飲む分にはまだしも大事なアイドルになんて飲ませられませんよ!!」
ちひろ「良い案だと思ったんですが……」
P「寝言は寝て言いやがってくださいこの蛍光緑の悪魔め」
ちひろ「蛍光緑だなんて心外です!」
智絵里「ふふっ」
P・ちひろ「あ!」
智絵里「ふぇ?」
P「やっと、笑ってくれましたね」
ちひろ「智絵里ちゃん、今の笑顔です」
智絵里「あ、ありがとうございます」
ちひろ「その笑顔なら、とびっきりの良い写真が撮れますよ。ね、プロデューサーさん?」
P「はい。期待しています」
智絵里「がんばりますっ」
スタッフ「緒方さ~ん、撮影入りますよ~!」
智絵里「あ、はい! よろしくお願いしますっ」スタタタッ
ちひろ「……ところでプロデューサーさん?」
P「……………………」
ちひろ「悪魔、ですか……?」ニッコリ
P「た、た、たたた、たた、大変申し訳ございませんでした」
ちひろ「今日は書類仕事、手伝ってあげませんからね」
P「…………はい」
ちひろ「それにしても智絵里ちゃん、大丈夫なんですか?」
P「と、言いますと?」
ちひろ「アイドルとしての素養は十分とは思います。ですが……」
P「自信がなさすぎると?」
ちひろ「ええ」
P「そこは活動をこなしていけば自然とついてくると思います、心配することではないでしょう」
ちひろ「私には、もう少し根の深い事のように思えるんですが……」
P「…………根の深い、ですか」
ちひろ「でもプロデューサーさんがそう仰るなら、私もプロデューサーさんが信じる智絵里ちゃんを信じてみようと思います」
P「ありがとうございます」
ちひろ「智絵里ちゃんのこと、しっかり支えてあげてくださいね」
P「肝に銘じておきます」
~ その日の夜・緒方家 ~
智絵里(おとうさんもおかあさんも、遅いなぁ。もう10時過ぎちゃった……。せっかく作ったのに、ごはん、冷めちゃうなぁ)
オーネガイシーンデレラ♪
智絵里「あ、メールだ」
緒方父《連絡が遅くなってすまない。天辺越えになりそうなので、先に寝ていてくれ。食事は済ませて帰る》
智絵里(そっか、おとうさん今日も遅いんだ)
ガチャッ
緒方母「ただいまー」
智絵里「あ、おかあさん! お帰りなさい!」パァ
緒方母「ただいま、智絵里。お父さんは?」
智絵里「今日もお仕事で遅くなるってメール来てたよ?」
緒方母「あら、そうなの。智絵里はもうご飯食べた?」
智絵里「うん。あ、でも――」
緒方母「よかったわ! 私もう食べて来ちゃったから心配してたのよ」
智絵里「え……」
緒方母「どうかしたの智絵里?」
智絵里「う、ううん、大丈夫。……あ、おかあさんお風呂沸いてるよ?」
緒方母「あら、ありがと智絵里。じゃあお風呂頂いてくるわ」
智絵里「じゃあわたし、もう寝ちゃうね」
緒方母「わかったわ、おやすみなさい智絵里」タタタッ
智絵里(…………お母さんがお風呂入ってる間にごはん、捨てちゃおう……)グスン
~ 飲み屋 ~
ブルーアワーニイノーリーヲー♪
楓「あら? これって」
P「……メールの着信音にさせていただいてます、まさか本人の前で鳴るとは思いもせず……。あぁ、えっと、見ても大丈夫ですか?」
楓「ええ、どうぞどうぞ」ニコニコ
P「ありがとうございます」
智絵里《今日はありがとうございました。明日もまたよろしくおねがいします》
P「うーん《お疲れさまでした。次回も今日のような良い笑顔でがんばりましょう》……返信はこんなもんで良いかな……よしっ」
楓「誰からだったんですか?」
P「担当アイドルの緒方智絵里さんからですね。今日撮影にちひろさんと一緒に付き添ったのですが、お礼のメールでした」
楓「あら、律儀な子なんですね」
P「礼儀正しいし慎み深いですし、少し経験を積めば一人でも安心して現場に遅れます」
楓「……智絵里ちゃんって、あのツーサイドアップの髪の子ですよね?」
P「そうですが、面識が?」
楓「まぁ同じ事務所ですし、レッスン場も同じですからね」
P「たしかに言われてみればそうですね」
楓「智絵里ちゃん、一目……いえ、一聞きでビビっときましたよ! すっごく良い歌を唄う子だなぁって」
P「楓さんがそんに褒めてたなんて言ったら智絵里、卒倒しちゃうかもしれませんね」フフッ
楓「……でも、本当に自信なさそうなんですよね。もったいないです」
P「場数を踏めば自信もついてくるとは思うのですが。……はぁ」
楓「溜息なんて、らしくないですよ?」
P「……ちひろさんに彼女の自信のなさは『根の深い問題』だと言われてしまいました」
楓「そうだったんですね」
P「もしそうだとしたら、なにをしてあげられるんだろう、と考えてしまって」
楓「考えすぎ、なんじゃないでしょうか?」
P「いや、でも、たしかに。……うーん、鍵っ子、っていう感じがするんです」
楓「鍵っ子」
P「たまたまかもしれませんが、撮影後にお送りした際もご両親は不在でしたし……」
楓「複雑、なんですね」
P「悔しいですが、我々にはどうしようもない部分です……。でも、せめてもう少しだけでも自信を持ってくれれば」
楓「智絵里ちゃん、良い歌を唄える子なのに、本当にもったいないです。あの子の『ハミングが聞こえる』、かわいくてとっても良かったですから」
P「ふふっ、ありがとうございます。私も智絵里のあの曲はお気に入りです」
楓「あら、妬けちゃいますね?」
P「もちろん楓さんの歌も大好きですよ?」
楓「お世辞が下手ですねぇ」
P「いえいえ、本心です。…………せめて智絵里が自信をつける手伝いでもしてやれればいいんですが」
楓「あ、それなら私に少し考えがあるんですが」
P「え?」
楓「智絵里ちゃん自身の力で自信をつけてもらいましょう!」
P「はい?」
コメント一覧
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- 2015年11月05日 22:06
- スピッツかと思ったらスピッツだった。
良い内容だけどPの口調がな~。
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- 2015年11月05日 22:08
- よくある感動する話を色々端折った作品だな。
悪くはないが良くもない。でもちえりがかわいいことはわかった
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- 2015年11月05日 22:37
- あいさんで愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけないを是非…
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- 2015年11月05日 22:38
- ペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノ
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- 2015年11月05日 22:38
- サンボマスターは良いよな。
聴くだけで背中を支えてもらえてる気になる。
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- 2015年11月05日 22:38
- ペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノ
ペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノペイ!(^∀^)ノ
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- 2015年11月05日 22:40
- 説得の部分カットしてどうすんだよ
成績が落ちている以上、それを覆すだけの理論を持ち出さないと
親が納得するわけねーだろ
未成年なんだから、親に反対された時点で、アイドル業なんて廃業だぞ?
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- 2015年11月05日 22:43
- 微妙
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- 2015年11月05日 23:09
- ちえりエナジーアームズ
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- 2015年11月05日 23:25
- プロデューサーの口調が・・・
女なの?小学生に話しかける教師みたいだな
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- 2015年11月05日 23:28
- ※10
あぁ!ちえりエナジーアームズを使う智絵里P達が白いおじさんの力で岩壁に挟まれていく姿が目に浮かぶようだ!(錠前ディーラー感)
ちえりんにチェリー歌って欲しいなぁ