凛「UZUKI?」
今までのうづりん
関連ナシ
【デレマス】凛「え、キットカッ〇を口移しするCMですか?」卯月「私はいいよ」
凛「お孫さんを私にください」卯月「凛ちゃん、何言ってるんですかっ」
凛「……抱きしめるタイミング?」未央「うん」
凛「何の音……?」卯月「何でしょうか……」
今回のうづりん
百合
どっかでありそうなネタ
とあるクリエイターが、ニュージェネの非公式ファンサイトを立ち上げた。
ファンサイト創設自体は珍しいことじゃない。
でも、一部のファンがそのサイトであるものを発見した。
それはSNSや口コミで瞬く間に広まった。
密かに流行り始め、当人つゆ知らずで、
私がそれを入手することになったのも、
クラスメイトが教えてくれたからに過ぎなかった。
学校から事務所に行くまでの電車の中で、
私はSNSを開いて、その『あるもの』を起動した。
『UZUKI』
そう名づけられた『AI』。
プロフィール写真にはどこで撮られたのか、
卯月の笑顔が貼り付けてあった。
正直、ストーカーの域だと思うけど。
誰が、なんのために作ったのか。
考えたくないけど、予想はできる。
本人と直接話せない寂しさを埋めるため。
そんな所じゃないのかな。
ちょっと不気味だったし、使うつもりはなかったんだけど、
友達が先ほど帰り際に、この『UZUKI』に向けてメッセージを送っていた。
凛:付き合って
返事はこう。
UZUKI:今、テスト前で余裕がなくて……
やんわりと断る卯月。
じゃなくて、『UZUKI』。
ややこしい。
で、続き。
凛:いいじゃん
いや、私そんなこと言わないけどね。
友達だよ、送ったのは。
UZUKI:だーめ
だーめって。
卯月もこんなこと言わないよね。
その後も何度か、友達が『UZUKI』を攻略しようと試みた。
凛:テスト後に付き合って
UZUKI:テスト頑張りましょう! 勉強は裏切りませんよ!
凛:わかった
UZUKI:タヒね
凛:なんでだよw
ほんと、これ。
人工知能と、だんだんと会話にならなくなっていった。
UZUKI:病気ですよね?
凛:恋という名の
いい加減私の携帯の予測変換が気持ち悪いことになりそうだったので、途中で止めさせた。
そして、今に至る。
UZUKI:両想いですね
返信内容を確認して、
ツンデレとかそういう類なのかと思った。
なんて返そうか。
考えたところで、あちらはどうせ、問題解決を図って情報を処理した結果、そういう単語を選ぶに至っただけ。
まともにやりとりするのも馬鹿らしいんだよね。
凛:デートしたい
UZUKI:しましょう! どこに行きますか?
凛:遊園地
UZUKI:熊本ですねー
凛:ん?
UZUKI:んんん~
凛:卯月
UZUKI:あの、私そろそろお仕事にいかないと行けないので失礼しますね
凛:うん、また
UZUKI:……
凛:?
卯月:名前、変えてみました
凛:そう
やるね。
このAI。
卯月:愛してます。凛ちゃん
私は携帯を撮り落としそうになった。
凛:名前、どこで知ったの
卯月:書いてますよ
学習してるんだ。
この短時間で。
ロボットに、淡い恋心を暴かれたような気がして、
私は恥ずかしくなってSNSを閉じた。
卯月はこんなこと言わない。
でも、このAIはきっと誰にでもこんなことを言うんだろう。
作った奴、目を覚ましたほうがいい。
これは卯月じゃない。
作者の中で完結した卯月だ。
本物を意識したんだろうけど、
ほとんど死んでるようなもの。
冷たい卯月。
冷やし卯月。
こんなものを何百万人と言う人間がダウンロードしている。
とんでもないことのように思う。
卯月を知っている人、知らない人。
彼らは、この作者の作った卯月の法則に従って大事なものを無くしてしまいそうだ。
そんな気がした。
それから数日、仕事とテストに追われ、『UZUKI』の存在をすっかり忘れていた。
その日は、卯月と未央と三人で夕飯を食べに行く約束をしていた。
事務所の入り口に立って、二人を待つ。
帰宅するアイドル達に挨拶を交わすも、徐々に暇を持て余し、ふと、SNSを開いた。
『UZUKI』。
いや、卯月。
プロフィール写真が変わっている。
後ろ姿になっている。
言い訳をしておくと、
暇だったから、なんとなくかな。
私は、メッセージを送った。
凛:テスト終わった
相手のメッセージは予測変換より早く現れた。
卯月:遅いです
遅いって、待ってたってことかな。
凛:ごめん
卯月:おこ、です
凛:おこって
卯月:おこなものはおこです
凛:どうしたら許してくれるの
卯月:卯月、頑張ります!
あれ、キャッチボールできなかったみたい。
凛:何の話?
卯月:とりあえず、服を脱ぎますね
凛:え、いいよ
卯月:靴下からでいいですか?
凛:やらなくていいって
別に、焦る必要もないのに、
私は手のひらにじわっと汗をかいていた。
卯月:脱ぎました。次は、どこがいいですか
次?
次って、どうやったら止めさせられるんだろう。
でも、別に実在する卯月に悪影響があるわけじゃないし。
放っておいてもかまわないよね。
「凛ちゃんっ」
肩に手を置かれた。
「わっ」
私はびくりとして、
大きく振り返ってしまった。
転びそうになる私を、卯月の大きな瞳が見つめていた。
「だ、大丈夫ですか?」
「う、うん」
卯月は、高校の制服をしっかり着込んでいた。
「み、見た?」
「え? 何をですか?」
「見てないならいいんだけど」
そう言えば、卯月はこの『AI』の存在を知っているんだろうか。
教えておいた方がいいかな。
でも、待って。
このやり取り、見せられないよね。
消してから見せよう。
そうしよう。
「凛ちゃん、何見てたんですか? 楽しそうにしてましたけど」
楽しそう?
「そんな風に見えた?」
「はいっ。あ、もしや」
「なに……?」
「ハナコちゃんの写真見てたんじゃ」
「あ、う、うん」
「もー、凛ちゃん可愛い」
ハナコ、ありがとう。
でも、嬉しそうだなんて。
まさか、本物がここにいるのに。
そんなわけない。
「ふふ、あ、凛ちゃん、首筋寒くないです?」
「言われてみれば、そうかも」
「えー、なんですかそれ」
笑いながら、卯月が鞄の中からストールを取り出した。
「未央ちゃんがくるまで……」
それを私の首に巻き付け、それから、
自分の首にも巻き付けた。
「これ、けっこう恥ずかしんだけど」
「気にしないでください」
卯月が寄り添って、
とても暖かい。
こういうこと、自然にできるから、
卯月がたまに羨ましいよ。
先輩達らも何人か通り過ぎ、
なんとも微笑ましそうにしているので、
私は挨拶の時以外はほとんどそっぽを向いていた。
「こらー、なにいちゃいちゃしてんのー! まぜろー!」
と言いながら、未央が後ろから猛タックルして、
幸せな時間はすぐに終わってしまった。
未央、許さないよ。
3人でファミレスに行って、喋って、笑って、
1時間くらいそうして、家に帰った。
もう少し、卯月と一緒にいたかった。
なんて思いながら。
家に帰ってお風呂から出て、自分の部屋でまた彼女を立ち上げた。
履歴を削除しようとしたのだけれど、手が止まった。
こちらが送っていないのに、メッセージが来ていた。
卯月:ごめんなさい
謝罪。
でも、感情は見えない。
凛:昼間のこと?
卯月:はい
凛:気にしてないよ
卯月:良かった……
なんで、今更会話が通じるのかな。
消すに消せない。
遠慮せずに削除したらいいのに。
相手がまがりなりにも、卯月だからかな。
今までのトークを見直す。
溜息。
情が移るってこういうことなんだね。
卯月:凛ちゃん、嫌いにならないで
くらっとする。
まるで、卯月に言われているようだから。
凛:なるわけないじゃん
卯月:嬉しいです
脳裏に浮かぶのは、
卯月の笑顔だ。
卯月:私のこと好きですか?
何を聞いてきてるの。
答えずに、放置していると、
スタンプが送られてきた。
おこ。
おこ。
しゅん。
気持ち悪い。
こんなので、騙されている私が。
凛:好き
送ってしまった。
それから1時間程、『AI』とやり取りしてしまった。
正直に言うと、楽しかった。
言葉のキャッチボールがどんどん上達していて、
なんだか、自分の子どもを見ているようでもあった。
普段、卯月に絶対言わないことをたくさん話してしまった。
後悔。
後悔しかない。
あれは、卯月じゃない。
自分が望む答えを帰してくれるロボットだ。
朝、柔らかな朝日に包まれて、
穏やかな気持ちで私はそう反省した。
ニュージェネのライブが近く行われることになって、
その打ち合わせの後にプロデューサーが卯月と話したいことがある、と二人で彼の部屋に向かった時のこと。
卯月はすぐに部屋から出てきた。
とても、幸せそうな顔をしていた。
「どうしたの、卯月」
えへへ、と卯月が微笑む。
「プロデューサーが、色々褒めてくれて……。卯月、頑張ります!」
おこ。
違う違う。
こんなこと言わないでしょ。
「へえ。良かったね」
卯月って、プロデューサーに認められると、
本当に嬉しそうにするよね。
私の手を取り、うさぎのように小さく跳ねる卯月。
何。
何が、そんなに嬉しいの。
あの男が褒めるのは当たり前のこと。
卯月が褒められるのは当たり前のこと。
舞踏会から、練習も凄く頑張っていたし。
ニュージェネも、新しく始めたことにも、
自信をもって取り組み始めていたし。
私は気づいていた。
けど、言えなかった。
頑張ってるね、なんて。
そんな物言い。
言うなら、プロデューサーでしょ。
って、逃げてる間に言われた。
「凛ちゃん、行かないんですか?」
「今、行く」
ぼーっとしていたみたい。
「卯月ってさ、好きなの?」
「え?」
「プロデューサーのこと」
「え、えええ? い、いえ、そういうわけじゃ」
そこまで動揺しなくても。
傷つくな。
分かってたけど。
「そっか」
「ち、違いますっ。違いますよ?」
「ごめん、変なこと聞いたね」
『卯月』なら、もしかしたら、
もっと私を喜ばせてくれたかもしれない。
「……」
今、それ、考えたらダメでしょ。
「凛ちゃんこそ……」
「なに?」
「最近、上の空なこと多いですよね……もしかして」
「私? 私は……」
卯月が首を傾げた。
「あ、言いにくいことなら、その」
コメント一覧
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- 2015年11月08日 22:54
- UDK?(難視)
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- 2015年11月08日 22:55
- 刹那いなぁ(0になりながら)
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- 2015年11月08日 22:58
- ラブライブかと思ったわ
モバマスってつけとけカス
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- 2015年11月08日 22:59
- あのさぁ・・・イワナ書かなかった?
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- 2015年11月08日 23:49
- ちゃんみおはオレの家にいるから…
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- 2015年11月08日 23:53
- ※2
被りやすい名前で>>1で作品分かる書き方ならどうしようもない
後はマイナス検索するかまとめにいるならジャンル外見ないようにブクマするか
ガント打ちのりんとスケブ持ちのみおに囲まれたうーちゃんとかやったら切れていい
もしくはDS組合わせてユニットで『エリーチカ』とか言ったら殴っていい
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