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猫「あーあ、どうすんの。死んじゃったじゃんその人」|エレファント速報:SSまとめブログ

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猫「あーあ、どうすんの。死んじゃったじゃんその人」

1:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/16(日) 21:40:27 ID:YuzQ1md.

猫「おい男。餌を寄越せ」
男「そんな高圧的な猫にあげる餌なんてありません」
猫「餌がほしいにゃ~ん」
男「キモい狩ってこい」
猫「なぜ目の前に餌を提供してくれる人間がいるのに狩る必要がある?」
男「猫だろ、狩れるだろ。狩ってこいよ」
猫「飼い猫にそんなスキルはない。それに私は本来悪魔であって、猫は男と対話する仮の姿だ」
男「面倒臭いんで母さんとも話せるようになって」
猫「私は男に憑いた悪魔だから、男以外とは話せない」
男「じゃあもう母さんに憑けよ」
猫「実の母親に悪魔を憑けるとか悪魔だな男は」
男「だってお前この家に来てから5年間、ただ俺と話せるだけで何も悪魔らしいことしてないじゃん。せいぜい俺のくらった損害なんて、お前が家に来てから数日間、猫と話す痛い人みたいな目で家族に見られたことくらいだよ」
猫「私が原因かはともかく、痛いのは確かだな」
男「餌やんねぇぞ」
猫「許してにゃん」
男「…………キモいから」



2:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/16(日) 21:46:15 ID:YuzQ1md.

男「しゃあねぇなぁ……」
猫「あ、カリカリは駄目だ。肉を寄越せ」
男「何でしっかり肉食なんだよ。カリカリも初めはうまいうまい食ってたじゃんか」
猫「お前はうまいからといって、毎日同じものが食えるのか?」
男「食えるけど」
猫「……魂寄越せなんかムカつく」
男「なんでだよ」
猫「もういい……カリカリで我慢してやる」
男「だから上から目線やめろよ、餌やんねぇぞ」
猫「はいはい、にゃーにゃー」
男「猫に流された……」



3:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/16(日) 21:53:47 ID:YuzQ1md.

ガサガサッ
男「ほれ、カリカリ」
猫「御苦労」カリカリ
男「……お前さ、魂食えるの?」
猫「どうした急に」
男「いや、なんか魂寄越せとか言ってたから」
猫「あー、まぁ少なくとも、男が生きている内に魂を食うことはない」カリカリ
男「……ふぅん、よくわかんね」
猫「よくわからなくても構わない、私が理解していればそれで問題ない」カリカリ
男「悪魔に憑かれてるのは俺なのに?」
猫「その内説明するさ」カリカリ
男「…………そうかい」
猫「ゲプッ……食った食った。さて男、布団を用意しろ。私は寝る」
男「……その辺で寝ろ猫風情が」
猫「仕方ないなぁ……」



9:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 15:05:13 ID:F8bS.fFA


男「さてと……学校行かなきゃ……」

猫「……む、今日は随分と早くに出るのだな」

男「先生の手伝いを頼まれてね。学年全員分のノートを整理しろってさ」

猫「ふむ……雑用か」

男「運悪く日直が当たったんだ」

猫「自らのノートの整理を怠る人間が、他人のノートの整理なんて出来るのか?」

男「俺がいつも出来てない整理と、今日の整理は違うんだよ」

猫「ほう、不思議なものだな」



平日の昼間に思いつきで投下したけど、時間ないや



12:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:25:54 ID:F8bS.fFA

◆学校◆

先生「お、来たか」

男「おはようございます」

先生「なんだ、眠そうだな。夜更かしでもしたのか?」

男「いえ……いつもこの時間は起きてますけど、普段は家にいるのでリズム的にまだ辛いなと」

先生「たまに早く来る程度でそう言うな。俺なんか毎日この時間だだ」

男「……教師にはなりたくないですね」

先生「起床時間で仕事を決めるのかお前は」

男「食って寝てお金が欲しいです。ニートじゃなくて、食べて寝るのが仕事なんです」

先生「……はぁ、もういい行くぞ」



15:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:37:51 ID:F8bS.fFA

◆教官室◆

男「クラスごとにノートをまとめれば良いんですか?」

先生「あぁ。出席番号も、上から一二三四って順番通りになるようにな」

男「了解です」

◇◆◇◆◇◆◇◆

 コンコン、ガラガラ(ドア)

先生「お、来たか」

女「どうも、おはようございます」

男「よー、遅刻じゃね?」

女「女の子には色々あるの」

男「朝から色々ってなんだよ、どうせ寝坊だろ?」

先生「男、口じゃなく手を動かせ。それと女、遅刻しても処理するノートの量は変わらないからな。急げよ」

女「えー……わかりました……」



16:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:41:47 ID:F8bS.fFA

男「よし、終わった」

女「うっそ、はや」

男「遅刻してきた奴とは違うんだよ、まぁ頑張れ。俺は先教室行くわ」

先生「お疲れ男。黒板綺麗にしといてくれ」

男「…………えぇ……」

女「頑張れ男! 速く終った人は違うねぇ!」

先生「うるさい手を動かせ」

男「……はぁ」



17:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:45:56 ID:F8bS.fFA

◆男の家◆

猫「学校、どうだった?」

男「まぁいつも通り、かな」

猫「なんだ、面白くない」

男「面白い事なんてないよ、大して」

猫「そういうものなのか、学校とは」

男「あぁ、今日あった事なんて、朝から疲れた事くらいだ」

猫「男は疲れたら、不幸なのか?」

男「ん? あぁ、不幸だね」

猫「それはなんとも、面白いではないか」

男「……悪魔め」



18:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:50:45 ID:F8bS.fFA

猫「さて男、宴の時間だ。肉を用意しろ」

男「朝も無いって言ったろ。カリカリで我慢しろって」

猫「しかしだ男、猫はライオンと同じ種族だと言うではないか。ならば、肉を食べさせるのは本来の姿であって、なんら不思議なことは無いと思うのだ」

男「不思議じゃなくても、不気味だよ。少なくとも今の日本ではね」

猫「日本は不便だな」

男「人間だけには便利なんだよ」



19:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 18:53:50 ID:F8bS.fFA

猫「ならば、魚ならどうだ。日本とは猫が魚を咥える国だった筈だろう?」

男「まぁ、確かに魚は与える傾向にあるだろうけど、生憎、今家には魚はないんだ。諦めろ」

猫「……仕方ない、今日も今日とてカリカリか」

男「カリカリを楽しめ」



20:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 19:51:38 ID:F8bS.fFA

男「……しかし、月曜日ってのは辛いもんだな」

猫「金曜は楽しそうなのに、なぜ月曜は辛いのだ?」

男「学校が始まるからだよ、面倒臭いだろ?」

猫「そうか? どうせ行くと分かっているのなら、面倒臭いも何もないだろう」

男「どうせ行くと分かっているから、面倒臭いんだよ」

猫「学校は行くべき場所だろう?」

男「行かなきゃいけない行きたくない場所だ。もっとも、高校は本来行かなくても構わないんだけどね」



21:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 19:59:57 ID:F8bS.fFA

猫「男は寿命というのを知っているか?」

男「なんだよ急に。知ってるよ寿命くらい」

猫「寿命があるのを知っているのに、なぜ人間は多くの時間を勉学に使うのか、私には理解できない」

男「……俺にも理解できないよそんなの」

猫「人間の平均寿命が八十歳だとして、大体学生の期間が、大学を含めて二十年程だろう?」

男「まぁ……そうだな」

猫「四分の一も損しているではないか」

男「……でも、勉強しっぱなしってこともないし、言うほど時間を無駄にしているようには感じないよ」

猫「……人間は自由ではないな。その人間に縛られている私もまた、自由ではないのかもしれない」

男「はいはい、カリカリ出すぞ」



22:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:05:48 ID:F8bS.fFA

男「お前は悪魔だろ。悪魔は自由じゃないのか?」ガサガサ

猫「魂を食わねば死んでしまうし、悪魔にも寿命がある。それに、人間程の縛りではないにせよ、悪魔の世界にもルールはある」

男「ふぅん……、ほれ、食っていいぞ」

猫「まぁ、今は人間より縛られている気もするがな。人間界に来るときは、何かしらの生き物の形をしなければならないんだ」カリカリ

男「なんで?」

猫「ルールだからだ。仕方ない。お前が欲情しても女を襲わないのと同じ事だ」

男「その例えは何か嫌だ」



23:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:15:33 ID:F8bS.fFA

男「月曜日は観る番組がない……」

猫「何を言うか。月曜日は豊富なラインナップだろうに」

男「お前が好きなだけだろ。何観る?」

猫「この時間ならまる見えだな。決まっている」

男「はいはい……」カチッ

 ガチャッ(玄関)

母「ただいまー」

男「あ、お帰り」

母「ご飯どうした? またコンビニ?」

男「いや、適当に作ったよ」

母「そう。……あら、餌あげてくれたの」

男「……ん、あーまぁ、欲しそうにしてたから」

母「そ、良かったねー猫ちゃん。男とお話ししたのかにゃぁ?」

男「はいはい、もういいよ俺がそいつと話せるってのは」



25:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:23:57 ID:F8bS.fFA

猫「みゃー」

母「ほら、なんて言ってるか分かる?」

男「あーもういいって、分かんないから」

母「まぁそれはいいとして、お風呂沸いてる?」

男「あぁ、沸かしてないや」

母「じゃあ沸かしてきて。母さんジャンプ買ってくるから」

男「帰りがけに買ってきなよそんなの……」



26:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:34:49 ID:F8bS.fFA

男「風呂の栓閉めて……と」

猫「そういえば男、私はここ数ヶ月間風呂に入っていない」

男「ん、それで?」ピッ ジョボボボ

猫「汚い」

男「いいよ別に、気にならないし」

猫「まるでゴミのようだ」

男「自分でゴミとか言いますか」

猫「後で私を風呂に入れろ」

男「猫って風呂好きだっけ?」

猫「知らん、私は悪魔だからな」

男「……そうかい」



27:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:39:50 ID:F8bS.fFA

ピピッ ピピッ

男「風呂沸いたよ母さん」

母「待って、こち亀読んだら」

男「……はいはい」

猫「漫画か。面白いのか?」

男「……」

猫「少なくとも金を払ってまで読む価値があるのかは、甚だ疑問だ」

男「……それでも人間は買うんだよ」

母「ん、何か言った?」

男「いや、別に何も」

母「そ、じゃあ読み終わったし入ってきますかな」

男「いってら」



28:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/18(火) 20:48:17 ID:F8bS.fFA

◆翌朝・家◆

猫「おい、男」

男「ん……なんだよ」

猫「私の朝飯を早く用意しろ」

男「あ、……忘れてた」

猫「……眠そうだな」

男「んー、ゲームしてたから」ガサガサ

猫「漫画にしても、ゲームにしても、人間は不思議なものに金を使うな」

男「人間になれば分かるよ……ほれ、カリカリ」

猫「人間にはなりたくないものだな……」カリカリ



33:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/19(水) 14:41:44 ID:KQJakzxw

猫「お金を払ってまでしたいこと……」

男「どうした?」

猫「いや、もし私が金銭の取引を行う生物なら、何を買うだろうかと」

男「あぁ……、お前なら肉とかじゃないのか?」

猫「……食物は生き延びる為のものだ。除外する」

男「じゃあ魂とか?」

猫「……食物は生き延びる為のものだ。除外する」

男「あぁ……そういうくくりなんだ……」



34:以下、名無しが深夜にお送りします:2015/08/19(水) 14:42:18
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