まだ一般的には普及し始めたばかりの3Dプリンターだが、自動車製造の世界では、既にその先進技術を使った新たな試みが行われている。中でもローカル・モーターズは「LM3D Swim(スイム)」を今年のSEMAショーで発表し、この分野における大きな一歩を踏み出した。ビーチバギーを思わせるようなルックスのこのクルマは、なんと史上初の3Dプリントで製作された市販車なのだ。
ローカル・モーターズは、来春より同車の先行予約を開始する予定で、価格設定は5万3,000ドル(約650万円)前後になるとのこと。最初の納車は2017年初めになる見込みだ。パワートレインについての詳細は明かされていないが、"安全でスマート、そしてサステイナブル"なクルマになると掲げている。
このLM3D スイムを皮切りに、同社は今後さらに「LM3Dシリーズ」を展開していく計画で、2016年には第2弾となるモデルのデザインも公表されるという。シリーズの生産は全てテネシー州ノックスビルに新設されたマイクロファクトリーで行われる。衝突試験や公道での走行許可は現在申請中だ。同社のジェイ・ロジャースCEOはSEMAショーの会場で、「我々はDDM(ダイレクト・デジタル・マニュファクチャリング)の力を使うことで、自動車産業界においては前代未聞のハイペースで新しいクルマを生み出していく。来年の3Dプリントカーの受注開始が今からとても楽しみだ」と述べた。
既にローカル・モーターズは今年1月、米デトロイトで開催された北米国際自動車ショー 2015で電気自動車「ストラティ」を発表し、3Dプリンターによる自動車製造技術の可能性を示した。LM3Dシリーズによって、さらなる進化を遂げることは間違いないだろう。3Dプリンターを使った興味深い製造過程は、ぜひビデオでご覧いただきたい。詳細はプレスリリース(英語)をどうぞ。
By Chris Bruce
翻訳:日本映像翻訳アカデミー