α7s IIで夜を撮ってみたら…テクノロジーってすごい
高感度でも美麗!
光が足りなそうなシチュエーションで写真を撮るのって、気が乗りません。暗い場所だと、カメラの感度って人間の目には全然かなわないことを思い知らされるからです。でも、テクノロジーってすごいですね。ある夜、ソニーのα7s IIで写真撮ってみたら、デジタル写真はここまできたか…と感慨を深めてしまうほどだったんです。
そう遠くない昔、フィルムが唯一の静止画保存方法だった頃は、暗い場所で写真を撮るのって大変でした。高感度の白黒フィルムなら粒子の粗さが独特の美しさにもつながっていましたが、カラーフィルムではただ見栄えが悪いだけでした。人為的な光を置くか、長時間露出が可能かでない限り、納得行く写真なんて無理でした。
でも今どきのデジタルセンサーは、光を集めることに長けていますが、デジタルが最初からそうだったわけじゃなく、しかもその進歩はゆっくりとしていたので、これまで多少進化したところで素直に喜べませんでした。でもこのα7s IIに関しては、違います。
このカメラは作りとしてはα7R IIと非常に似ています。でもα7s IIの最大の特徴は、ISO感度を高めたときのありえないほどのパフォーマンスです。その点に関しては去年のα7sも高評価でしたが、新しいα7s IIをブルックリンで夜散歩しながら試してみたら、つい立止まって、すげえ、と言うほどの感動がありました。
この記事に貼っている画像は全部、夜に手持ちで、ほとんどはISO12800以上で撮ったものです。ISO12800というのは最近まで、ただスペックとして見せるためだけの値であり、実際使うとノイズがひどいのが常でした。でもα7s IIは画素サイズが通常より大きく、より多くの光を集められるんです。そのため解像度は低めの1200万画素にとどまりますが、ほとんどの人はそれで十分なはずです。
感度が高いだけでなく、α7s IIにはセンサーシフトによる5軸ボディ内手ぶれ補正があります。それは2014年以来、ソニーのフルサイズミラーレスカメラでは標準になっています。そのおかげで、シャッター速度をすごく遅くするときも、くっきり撮れるだろうと安心できるんです。こうした技術の組み合わせで、暗いところで驚くほどきれいな写真が撮れるんです。
暗い場面での撮影性能に力を入れているのはソニーだけではありません。キヤノンはISO4000000(よんひゃくまん!)で撮れるビデオカメラを開発していて、それだと肉眼以上に見えます。そのカメラは3万ドル(約360万円)もして、コンシューマー向けではありませんが、それが可能になったこと自体素晴らしいです。
α7s IIのようなカメラがすごいのは、撮れる写真の可能性を実際広げてくれるということです。マーシャル・マクルーハンが「メディアはメッセージである」と言いましたが、その通りです。未来の写真技術は、写真の撮り方を変え、それによって写真の見え方も変え、ひいては世界の見え方も変えるはずです。
α7s IIは、万人向けではありません。特長としては上に書いた通り暗い場面に強いのと、美しい4K動画が撮れることです。逆に、フォーカスのスピードとか、バッテリーライフは弱いところです。でもとにかく、写真を撮ることのワクワク感を感じさせてくれるし、光が足りないときに誰もが感じるものすごいフラストレーションを、全部でないにしろ取り去ってくれるんです。
Michael Hession-Gizmodo US[原文]
(miho)
- ソニー デジタル一眼カメラ「α7SII」ボディ ILCE-7SM2
- ソニー
- デジタルカメラマガジン 2015年11月号[雑誌]
- インプレス