失った顔を再生する、史上最高に複雑な顔面移植手術が成功
写真の左と右の人、同一人物なんですよ。
実はこれ、史上最高に広範囲で複雑な顔面移植手術を受ける前と後の写真です。
手術を受けたのはミシシッピ州出身のパトリック・ハーディソン氏(41)。消防士だった彼は任務中に顔を火傷で激しく損傷。この事故により顔面のほとんどを失ってしまいました。
ハーディソン氏の顔の再生を実施したのは、ニューヨーク大学ランゴンメディカルセンター。ロイター通信によれば、150人(!)の医療チームにより、26時間にもおよぶ大手術が行われたそうです。
Our amazing team of #facetransplant doctors and staff performed a 26-hour surgery https://t.co/IumQlwnc9W pic.twitter.com/UnLIuEkWAE
— NYU Langone Medical (@NYULMC) November 17, 2015
顔を失ったハーディソン氏に、新たな顔と頭皮、耳、外耳道と、顎、頬、鼻などの骨の一部を移植する大手術。また、新しいまぶたと、まばたきを制御する筋肉も移植しました。これによりハーディソン氏は、事故以来できなかったまばたきが再びできるようになり、さらに目を閉じて眠れるようになったそうです。
手術後のパトリック・ハーディソン氏。 (Credit: NYU Langone Medical Center/YouTube)
ドナーとなったのは26歳のデビッド・レドボー氏。競技用自転車BMXが大好きだった彼は、その自転車で事故に遭い脳死判定を受けたのです。
エドアルド・ロドリゲス医師をはじめとする医療チームは、この手術に向けて1年あまりにわたる準備を行ってきたそう。この複雑な手術を簡単に説明すると、まずドナーの後頭部の皮膚を切り開いて、顎、花、頬骨といった重要なピースごと剥がし、そしてバットマンの頭巾のように、ハーディソン氏の頭に正確に被せ直す、というもの。手術後ロドリゲス医師は、骨も筋肉も唇も神経も「全てを完璧に取り付けることができました」とロイター通信に語ったそう。
手術前治療、外科手術、リハビリ治療など、かかった費用合計100万ドル(約1億2千万円)はすべてニューヨーク大学が負担。術後に百貨店メイシーズに出かけたハーディソン氏は、誰にも顔をじろじろ見られることなく買い物ができたとのことです。手術は大成功したのです。
(Credit: NYU Langone Medical Center/YouTube)
手術後のハーディソン氏の写真を見たドナーの母親は、医療チームに「美しいわ」と話したそうです。死んだ息子が、世界が注目する大手術を通して異なる形で蘇る…なんで誰が想像できましょう。
ロイター通信のYoutubeでドキュメント映像を見ることができますよ。
source:Reuters
George Dvorsky - Gizmodo US[原文]
(mayumine)