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世界では無差別テロ、そして日本国内でも猟奇的な犯罪など、連日悲しいニュースが報道され、人間不信に陥ったり、人類の未来に絶望する人も多いだろう。
どうしても悲惨な出来事は印象に残ってしまいがちだが、世の中まだまだ捨てたもんじゃない。人知れず誰かに救いをもたらしている人、わが身を顧みず誰かを救おうとしている人も数多く存在するのだ。
英語圏では『良きサマリア人』という言葉がある。これは新約聖書の福音書に書かれている「善きサマリア人の例え」から、苦しむ人々に助けと思いやりを与える、『憐れみ深い人』という意味で使われている。今回はそんな『良きサマリア人』たちにまつわる10のエピソードを紹介しよう。
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1. バスで乗り合わせた他人に自分の手を30分間も握らせてあげた男性
上の写真の左側に写っているのは、ゴッドフレイ・クオットさん、21歳である。2015年10月、彼はレストランから帰宅するためバスに乗っていた。そんなクオットさんに、手を握ってもいいか?と話しかけたのが、隣に座っていたロバートさんだ。ロバートさんは耳の不自由で脳性麻痺を抱えているという。
「彼は僕の手をずっと握り締めていた。最初は何かのドッキリかと思ったんだけど、そのうち彼はただ安堵を求めているだけなんだと気づいたんだ」とクオットさんはそう語った。
クオットさんはバスに乗っている間の30分ロバートさんの行為を拒むこはなかった。ロバートさんはクオットさんに寄りかかり、抱きしめ、ずっとその手にキスをし続けていたが、黙ってそれを受け入れた。
「ただ好きなようにさせてただけさ。たまには、自分の都合よりも、相手が安心できるように求めているものを与えてあげることも必要だからね」とクオットさんは後に述べている。
そんなクオットさんの慈悲深い行為に対し、ロバートさんの家族は心から感謝の言葉を贈ったそうだ。
2. 悲しみにくれる未亡人から父親が奪ったお金を返した息子
2013年、アメリカのオクラホマ州に住んでいた当時78歳だったトナ・ハーンドンさんは、夫の墓参りに行った時に財布を奪われてしまった。犯人は現金約700ドル(8万6千円ほど)が入った財布を持って逃げたが、後に警察につかまり、男の顔写真はニュースで公開された。
当時15歳だったクリス・ランスフォード君は、ニュースに映し出された男の顔が自分の父親であると確信した。クリスの両親は彼が2歳の時に離婚したが、彼は定期的に父親とあっており、ニュースで顔写真が公開される数週間前に父親はクリスが行きたがっていたバンド旅行用にと250ドル(3万円)をくれたそうだ。
その後クリスは被害者のトナさんに連絡をとり、教会の駐車場で会う約束をした。そして、トナさんに会うと、父親から貰った250ドルを返し謝罪した。クリスの真摯な態度に胸を打たれたトナさんは、「このお金は私のものだったから、私の使いたいように使うわ」と言ってクリスに渡したという。そして「バンド旅行に行きなさい」と言ったそうだ。
3. ホームレスの家族に自腹を切って面倒を見た警察官
アメリカ、オハイオ州バトラー郡の警官であるブライアン・ブッセルさんは留置所の待合室でずいぶんと長い時間待っている母親と2人の子供を目にした。心配になったブライアンさんが、母親に何があったのか?と尋ねると、家から追い出されたと告げた。
ブライアンさんはいくつかのシェルターに連絡を取り、彼らのために住める場所をみつけようとしたが、ほとんどのシェルターはすでに満員状態だった。そこでブライアンさんは、彼らを一時的(10日ほど)ホテルに滞在させることにして、生活必需品を買うためウォールマートに連れて行った。しかも、すべての費用を自分の財布から出したのである。
ブライアンさんは自分の行いを誰にも言わなかったが、母親がフェイスブックにこの出来事を書き込み、職場の仲間が発見したという。「彼が行ったことはなかなか真似のできない真に“親切な行い”です」と仲間のリチャード・K・ジョーンズさんは語っている。
4. 犬を助けるため燃えさかる家に突入した通りすがりの男性
2015年10月、アメリカ、テネシー州のスプリングフィールドにあるエイプリル・ブランドン夫妻の家が火事になった。その時、家の中で怯える犬を救出したのは、なんと夫妻とは何の面識もない通行人だったのである。
家が火事になったその時、1歳になる彼らのペット、ブービエ・サンプソンは家に閉じ込められた状態だった。
近隣の住民が消防署に通報したが、火はどんどん大きくなる一方だった。そんな中、通りすがりの通行人がその家に飛び込んでいったのである。
「グレーのマスタングの車が止まり、男性が降りてきて“私は消防士だから大丈夫”と言い、家の中に入っていったんです。そして、2分後には犬を抱えて出てきました。驚くべき光景でしたよ」と動画を撮影したジミーさんは話してくれた。
家族は数日後にペットの恩人である消防士のティム・タウォーターさんを見つけることができ、犬を助けてくれたことに感謝を述べたという。
5. 糖尿病の男性を助けたラッパー歌手
アメリカのヒップホップグループ、ボーン・サグスン・ハーモニーのラッパー歌手、レイジー・ボーン(本名スティーブン・ホウス)はワイオミからコンサート会場に向かっている途中で、ふらふらと危うげに運転している車に気付いた。その車は今にもスピンしような状態だった。心配になったレイジーは、車が停まった時に運転手をチェックしたという。そして、運転手が明らかに糖尿病により、今にも意識を失いそうになっていることに気付いた。
レイジーは、その24歳の男性にフルーツなどを与え、彼の血糖値をあげるのを手伝ったという。そして、その出来事をインスタグラムに載せ、「とても心配だった。彼を助けることができたことが嬉しくて、泣きそうになった」とコメントした。
6. 財布を忘れて困っていた老人男性の支払いを済ませたのは赤の他人だった
引退した警察官のアーサー・ベネットさん(84)は、その日スーパーへ買い物に行った。ところが、レジで自分の番になった時に、財布を家に忘れてきてしまったことを思い出した。すると、そばにいた女性がその事実を察し、アーサーさんの分を支払ってくれたという。
その女性の名はケイティ・ルイーズさんということが後にわかった。彼女はアーサーさんに「私に支払わせて。あなたがあなたの人生の中で他の人に親切をしたことがあるって私には分かっているから」と言い20ポンド(約3700円)を渡した。
アーサーさんは、彼女に後で支払うと言ったのだが、彼女は私に支払う変わりにチャリティーに寄付してください、と言ったそうだ。アーサーさんの娘のベヴァリーさんがケイティさんの優しさに感謝し、この出来事をフェイスブックに書いたところ、シェア数は12,000回を超えたという。
7. 飛行機で泣き止まない赤子に困り果てていた母親に舞い降りた天使
新米ママのレベッカ・ガービソンさんは、遠方で軍務に従事している夫を驚かせるため、生後4か月の赤ちゃんを連れて飛行機に乗った。小さな娘のライリーと共に飛行機に乗るは初めてのことでとても緊張していたという。赤ちゃんを抱えて乗り込んできたレベッカに、周りの人の迷惑そうな視線が突き刺さった。ようやく機内に入るも、赤ちゃんはご機嫌ななめでずっと泣きわめく。レベッカは必死でなだめようとしたが、ライリーちゃんのご機嫌はよくなる気配がない。
まわりの席の人に露骨に嫌な顔をされたレベッカさん、フライトアテンダントに座席を移動してもらったところ、そこで思わぬ人の好意に触れ、感動で溢れる涙が止まらなかったという。
隣の座席に座っていたニフェシャ・ミラーさんは赤ん坊の泣き声に動じもせず、逆に赤ちゃんをなだめてもいいかと聞いてきたと言う。レベッカさんがライリーちゃんを手渡すと、ライリーちゃんはあっという間に眠りにつき、飛行中ずっとミラーさんの膝の上で寝ていたという。まさに彼女は「飛行機の天使」である。
レベッカさんはミラーさんの連絡先を聞き、ライリーにとても親切にしてくれたことにお礼を述べた。レベッカさんとミラーさんは毎日メッセージを交わし、いつかまた必ず会う約束をしているという。
8. 教皇を一目見たいという見知らぬ他人のために自分のチケットをあげた女性
2015年9月、アメリカ、コロラド州のデンバーに暮らすサウル・メジアさんは、初めて訪米するフランシス教皇を見ようとニューヨーク行きの飛行機の乗った。
「僕の夢はこの目で教皇を見ることでした。チケットは持っていませんでしたが、有り金をすべて使ってニューヨークに行きました。ニューヨークに行きさえすれば会場近くでチケットを手に入れられるかもしれないと思ったのです」当時を振り返りサウルさんはそう語った。
そんなサウルさんの夢を叶えてくれたのは、全く見知らぬ人だった。サウルさんは午前3時から会場近くの路上に立ち、「チケットを譲ってください」と懇願した。何時間もそこに立っていたサウルさんに気付いた女性は、自分のチケットを渡しこういった。「私はチケットを1枚もっているわ。だけど神がそのチケットを彼に渡しなさいと告げたの。だからこれはあなたにあげる」と。サウルさんは涙を流して感謝した。「教皇を見ることは、世界を見ることに値する。その権利を私に与えてくれて本当、本当にありがとうございます」涙で言葉にならない声で、女性に心からのお礼を言った。
9. ゴミ箱の食べ物をあさっていた男性に食事をごちそうした見ず知らずの女性
2015年9月24日、ナターシャさんはウェンディーズの袋を抱えた男性と自分の写真をフェイスブックにアップした。その写真にはその時の状況が付け加えられてた。
ナターシャさんはアメリカ、ワシントンD.C.にある学校から帰宅する途中でゴミ箱から食べ物をあさり、食べようとしている男性を見かけた。彼女はその男性に、「ウェンディーズにいって一緒に食事をしませんか?」と声をかけたところ、男性は喜んで受け入れたという。そして、2人でウェンディーズに向かっている最中、男性は「おお神様よ、ありがとう、このような人を僕のもとに送ってくださって本当にありがとう」とつぶやいたそうだ。
そのホームレス男性によると、いつもはその教会で慈善団体が無料で食事を支給してくれるのだが、その日は、教皇がアメリカを訪れるためにお休みだったという。空腹で困り果てた男性は近くのゴミ箱から食べ物をあさっていたと言う。男性はナターシャさんに一緒に写真を撮ってほしいとお願いした。「世界には、このような素敵な出来事を突然起こりうるということを皆が知る必要がある」と言ったそうだ。
「彼は、私にハグをするまでは帰れないと言ったわ。そして彼は私をハグしながらずっとお祈りをしていたの。実は私のほうこそ祝福を受けていたのよ」とナターシャさんは話してくれた。
10. 寒さで震えている一文無しの少女に自分のコートを渡し、無事に家に帰れるよう手配してくれた女性
アメリカのバージニア州で、凍えるように寒かったある日の夜のこと、キンリー・クレンシャーは友達とコンサートに行ったが途中ではぐれてしまった。彼女は携帯や鍵やお財布など全て友達に預けたままで、家に帰る手段もなく、薄着でコートもない状態で途方に暮れていた。
とりあえずバス停まで歩き、そこで震えながら座っていた。その時にやってきたのが、フェリシアさんである。フェリシアさんは寒さで震えているキンリーを見ると、自分のコートをかけてあげ、バスがくるまで一緒に待っていてくれた。バスが来ると運転手に事情を話し、キンリーが無事に家に帰れるように、なんとかタダで乗せてくれるようお願いした。キンリーは心優しいフェリシアさんの名前を教えてもらったが、それ以上のことは知り得なかった。
フェリシアさんの優しさに感動したキンリーはその出来事をNBC12(アメリカのニュース番組)のフェイスブックにこう書き込んだ。「私は、この女性にコートを返すことをすっかり忘れていました。そして彼女に心からお礼を述べたいです。彼女は私のことなんて全く知らない赤の他人ですが寛容で思いやりがあり、落ち込んでいる私をユーモアで笑わせてくれました。私は彼女を探したいです。彼女を見つけるまであきらめません」
フェリシアさんの親切はフェイスブック上で話題となり、ついにフェリシアさんを探すことができた。そして、キンリーはフェイスブックに心温まる話を紹介してくれたことの謝礼にニュース番組から300ドル(約37000円)を受け取った。
フェリシアさんの居場所が分かった時、彼女は病気で仕事を休んでいたという。キンリーは彼女の家を訪れ、貸してもらったコートを無事返し、番組から受け取った300ドルを渡し、フェリシアさんの優しさに恩返しすることができたという。
via:oddee・translated melondeau / edited by parumo
世界ではたくさんの人が救いを求めている。そしてまた、たくさんの人が無償の愛で人を救っている。例え残酷な闇が世界を覆い尽くそうとしても、やさしさの芽は必ずどこかに生えてくる。そしてその芽に触れた人が、新たなる種をどこかに植えていくことだろう。
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コメント
1.
2. 匿名処理班
2のおばあちゃんかっこいいぜ…これが真のレディーか
3.
4. 匿名処理班
>あなたがあなたの人生の中で他の人に親切をしたことがあるって私には分かっているから
良い言葉だね。
5. 匿名処理班
>あなたがあなたの人生の中で他の人に親切をしたことがあるって私には分かっているから
代わりにお金を払う行為以上に、なかなか言えないよねこのセリフは
6. 匿名処理班
>「ただ好きなようにさせてただけさ。たまには、自分の都合よりも、相手が安心できるように求めているものを与えてあげることも必要だからね」とクオットさんは後に述べている。
心にしみるな…
7. 匿名処理班
こういう人間賛歌なお話し大好きです!
8. 匿名処理班
消防士はヒーローだというのが、すんなり理解できる話だ。
装備なしで火災現場に突入なんて、凄すぎる。
9. 匿名処理班
ああ自分も少しでも見習いたいわ
頑張って生きていこう。
10. 匿名処理班
9.の教皇が来るから、慈善団体の給食が休みっていうのがどうしてもモヤモヤする。身近に困っている人がいるのに、(どういう理由でか知らないけど)教皇が来るからって教会での慈善事業を休む事をお望みになるか?とキリスト教信者でもないけど考えちゃうぜ。
11. 匿名処理班
夫を驚かせるとかいう理由で4か月の子供を飛行機に乗せる親は良くないだろ。親の自己満足のために子供にストレスかけてるだけじゃん。
12. 匿名処理班
盗んだお金を子供の小遣いにしちゃう父親とそれを返しに行く子供。なんか切なくて泣ける。
13.