ハエの悲劇。脱出成功! と思ったら、ボク羽がなかった…
ハエって、どうやって危険から逃げてるの?
この謎を解明するために科学者たちが行った実験は、羽のないハエが飛び立つところをビデオに撮って観察するというもの。
いや、ハエが危険から逃げるって当たり前すぎるんじゃ…と思うことなかれ。ハエが危険を察知して、行きたい方向に飛ぶ。これ、結構大変な動きなんですよ。素早く逃げるには、受け取った感覚に対して素早く正確に反応しないといけません。神経システムがかなり緻密に働かないとできない作業のはずなんです。
さて、一つ目の実験です。止まっているハエ(羽アリ)に向かってをモノを倒してみると…ハエは、危険を察知してからたったの0.215秒で飛び立ち、脱出に成功したのです。ハエの動きが速すぎて、障害物は動画に障害物が映っていません。
さらに疑問が浮かんできます。この逃げる動き、反射的なもの? だとすると、正確に危険から逃げることまで反射でできるの?ハエはいったん飛び始めれば、進行方向は羽を使って思うままに調整できるから、「逃げる」瞬間の動きが反射なのかちょっとわかりません。
科学者たちはこう予想しました。
危険を察知してまず空中に飛び跳ねるのは反射で、その後に羽を使って進む方向を調整しているんじゃ?
そこで登場したのが羽の無いハエなのでした。
被験者のハエには申し訳ないけど、羽を取り除かせてもらって、先ほどと同じ実験に協力してもらったところ。
わが身に迫り来る危険を察知した羽無しバエさん、見事に跳びあがり、その後は空中に放り出されたボールみたいに弧を描いて落ちて行きましたとさ。おお、何だかアクロバティックな動き!と一瞬思いますが…。自分が空を飛べないことに跳びあがってから気づいて、足をバタバタさせてもがく姿はなんとも哀れ。
つまるところ、羽無しバエは危険が迫ると羽ありバエ(普通のハエ)と全く同じ方向にジャンプするんですね。この、逃げるべき方向に飛び立つ動きは反射だったのです。お見事! といってもハエですから、お世辞にも美しい姿じゃありませんが。
Source: Visually Mediated Motor Planning in the Escape Response of Drosophila
Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US [原文]
(Aska. T)