塩見周子「誕生日に」東雲荘一郎「想を練る」
卯月巻緒
街の光。人いきれ。流れるクリスマスソングが満ちて、視界に入る人々もどこか浮き立っているように感じられる。
「うわぁぁっ! ケーキって見てるだけで幸せになりますよねっ!」
ショーケースには煌びやかなケーキが絢爛として並んでいる。
菓子細工のサンタが乗ったチョコレートケーキ、ビュッシュ・ド・ノエル、6種のアソート、苺の赤と生クリームの白が冴えるミルフィーユ。
冷えた舞台で、その存在と、想像の甘さを振り撒くそれは……アイドルにも似て。
――……
『あんこじゃないのもつくれるんですか』
『そうだ。冷蔵用のショーケースが来たら、生菓子も売りだしてみようと考えてる。
今までは常温でしか置けなかったから、三笠もあんこと果物を飴衣で包んだものぐらいしか出せへんかったけど、クリームやカスタードも素材として使えるようになる』
『カスタード……』
『ああ。実はもう試作したのがあってな。食べてみるか?』
『は、はい!』
『お前も、これやったら食べられるやろ……?』
――……
巻緒「ねっ! そう思いますよね! 東雲さん!」
荘一郎「ええ……。ほんまにきれいで……おいしそうです」
遠い日のやりとりが胸に去来したのはなぜだろう。
遥かな憧れと希望が――あの、甘い香りに潜んでいたのか。
今度の選挙は大事な選挙です、必ず投票所に行って
有名・無名な党名に関係なく、その人の今までの行動や思想を調べて
良いと思う人に投票しましょう! 自分の地区に誰も良い人がいなくても
その中から順位をつけて、こいつらよりは、マシ・・・な人に投票しましょう!
無投票がなぜいけないのかは、組織票に負けてしまうからです。
150人分の票の地区があって、悪い人が50人分の票を用意できるとしましょう
普通なら ●50: ○100で、悪い人の勝ちにはなりません、しかし
●50(組織票) : ○40 : △60(無投票)だと、悪い人が勝つのです。
さらに立候補者が多くいる地区だと、○40の票はさらに小さくなってしまいます・・・
☆投票に行く人が増えるほど、組織票を弱体化できます。☆
他の候補者が、組織票よりたった1票多く取るだけで、悪い人は落選するのです。
あなたがその決め手の一票を持っている。選挙に行きましょう!
白紙票で出すと、売国奴が後から不正に書いてしまうかもしれないので注意
巻緒「あっと、いけない! 事務所のお茶菓子買わなくちゃいけなかったんだった! すいません東雲さん、ケーキの下見は後でします!」
荘一郎「下見……ああ、巻緒さんもうすぐ誕生日でしたね」
巻緒「そうです! バースデーケーキを食べる日です!」
荘一郎「ほんまにケーキ中心ですね、あなたは」
巻緒「えへへへ」
荘一郎「作ってあげますよ、ケーキぐらい」
巻緒「ええっ!? いいんですか!?」
荘一郎「今更遠慮なんかしないでください。そうですね……ビュッシュ・ド・ノエル、こしらえましょうか」
巻緒「わーわー……! 感激ですっ!」
荘一郎「では行きましょうか……手助けお願いしますね。菓子の目利きはやれますが……アレだけは……」
巻緒「餡子ですよね? 任せてください! 俺ちゃんと東雲さんの視界に入れないようガードします!」
荘一郎「ええ、お願いします。清澄さん、もうショッピングモールに着いてるようですので、合流してから店、巡りましょう」
【ショッピングモール】
九郎「どうも。東雲さん、卯月さん」
荘一郎「お待たせしました。行きましょうか」
事務所に備蓄されていたお茶菓子が、旺盛な食欲を持つ男子達にあらかた食ベ尽くされていたことに気付いたのは今日の朝の事。
師走は忙しく、プロデューサーも事務員も買いに行ける時間が取れない中、『彩』の清澄九郎が買い出しに立候補した。
卯月巻緒と東雲荘一郎の二人はそれの手伝いだ。
……
巻緒「――へぇ~! 時節に合わせて和菓子って変わるんですね! 清澄さん、お菓子の事詳しいですね!」
九郎「お茶と菓子は切っても切れませんから。八朔では、葛や寒天などを使用した見た目も涼しい和菓子が出たことがありましたね」
巻緒「和菓子屋さんって12月は忙しいんでしたっけ?」
荘一郎「ええ、新年の準備がありますからね」
巻緒「新年って紅白まんじゅうとか作らなきゃいけないからですか?」
荘一郎「それもありますが……初釜に向けて新作を出さなければいけませんからね。少しでもいいものを出すためには工夫が必要ですから」
巻緒「『初釜』ってなんです?」
九郎「新年を祝う茶会のことです。『点て初め』とも言います。そこで和菓子屋は新作を披露するんです」
荘一郎「“こなし”一つとっても新しい意味を込めようと努力して……新鮮な、されどしっかりとおいしい菓子を供する。和菓子屋は想を練り、研鑽し続けなければいけません」
荘一郎「まぁ、初釜は和菓子屋にとってもビジネスチャンスですから。新作が評判になればずっと贔屓にしてくれることもありますし、力も入ります。少しでも目に止まる様に展示したりして」
九郎「その展示も目を楽しませて頂いております。迎春の上生菓子の詰め合わせは色取り取りで。茶室で食籠(じきろう)に入っている時とはまた違う風情を感じます」
荘一郎「それは……選ぶ、楽しさのせいかもしれませんね。新しい味への期待とか」
巻緒「見てるだけで楽しい……ケーキに似てますね!」
九郎「実際、新作は楽しみですからね。店ごとにどんなものを出してくるのかそれぞれ違っていて。でも似ているものもあったりと飽きません」
荘一郎「新作づくりのために和菓子屋の中で交流する時もあるので。うちの実家も京都や松江の店と長い付き合いがありました」
巻緒「そうなんですかー。それを聞くとどれもすごく努力されて作られてるって思って気が引き締まりますね! 上生菓子っていうの買っていきましょうか!?」
荘一郎「生菓子は保存に向きませんよ」
巻緒「あ、そうなんですか…………」
荘一郎「餡子は、足が早いですし――来客用に取っておくうちに、またお腹をすかせた人たちに食べられてしまいますよ」
九郎「そうですね。では事務所の人には勝手に食べないように言い聞かせておくとして、常温保存で置いておけるおまんじゅうでも買っていきましょうか」
目当ての和菓子屋を見つけ、入口に歩を進める。
そしてその時。
賑々しさをかき分けて、一つの声が届いてきた。
――「あれっ、荘一郎さんじゃん!」
荘一郎「おや……」
振り向いた先には一人の少女。
付けていた眼鏡を外し、こちらを見据えている。
そして、マフラーから覗く口元を悪戯っぽくゆがめて、はしゃいだような声をあげるのだった。
「ひっさしぶり! こんなとこで会うなんて奇遇だね~っ!」
荘一郎「周子さんやないですか。お久しぶりです。息災ですか?」
周子「元気元気。いやー本当におひさしゅうだよー」
塩見周子
荘一郎「ええ、京都の和菓子屋の娘さんです。今はアイドルの塩見周子さんですが」
九郎「アイドル……なんと」
周子「ちょっとー、荘一郎さんだって今じゃ同業者でしょー? ビックリしたんだからね。なんでアイドルなんかになってんのよー」
荘一郎「なりゆきですよ。……と、こんな所で話すのはまずいでしょう」
九郎「店に入りましょうか」
周子「あれ、荘一郎さん達もソコの和菓子屋が目当て?」
荘一郎「そうですが。周子さんもですか」
周子「ん、事務所のコと来たんだ」
荘一郎「その方はどこです? 姿が見えませんがはぐれました? あきませんよそんな適当に人を連れ回しては」
周子「ちっがうよー。ひどいなー! もう流石にもう人を置き去りにすることなんてないって」
巻緒(昔はあったのかな?)
周子「ここ、苺大福がゼッピンでね、その子が興味持っちゃって行列に並んででも買いますって言われたから待ってんの」
荘一郎「ほう、そうだったんですか」
荘一郎「罪状は?」
周子「んー、乙女をアナドった罪? あ、侮辱罪かな、これ」
荘一郎「侮辱ですか。……ふぅむ、言われてみればそうですね。すいませんあやまります。つい子ども扱いしてしまいました」
周子「そうだよ、ロリシューコからレディシューコに認識を改めてよ?」
――「なんだよ、買えなかったからって絡むなよ! この苺大福はオレのだぞ!?」
――「それにしても取り過ぎです! 少しは他の人の事を考えて――――」
周子「ありゃ、この声、ありすちゃんだ。店で何か揉めてる?」
荘一郎「おや、……この声、聞きおぼえがありますね」
巻緒「というか男の子の方の声、志狼くんじゃないですか!?」
橘ありす
―…
志狼「なんだよ、オレが悪いのかよ! 用意してなかった店が悪いんだろ。後、えーっと……90分待てば買えるんだからまた並べばいいじゃん」
ありす「それでも43個も買うなんて……マナー違反ではないですか」
志狼「いっぱい買ってる人、他にも大勢いたぜ? ギリギリ買えなくてガックリしてんのは分かるけど、オレに文句付けんなよっ!」
ありす「でも43個も食べられないでしょう!」
志狼「さ、流石にオレ一人で食わねーよ!」
ありす「え?」
周子「はーい、ありすちゃんクールダウンね」
ありす「あ、周子さん……」
荘一郎「なにやってるんですか、あなたは」
志狼「ああっ!? なんでにーちゃん達がここにいるんだ!?」
九郎「お茶菓子が無くなったことは知ってますね? 私たちはそれを買いに来たのです。君こそ、なぜここに」
志狼「もー、隠しとくつもりだったのによー……」
九郎「なんですか?」
巻緒「もしかして、志狼くんもお菓子補充のために来たの?」
志狼「う、うん……そうだよ」
志狼「にーちゃんたちが、いつもの戸棚にお菓子が無いってショック受けてたからさー。あそこのお菓子オレ結構食っちゃったし……」
巻緒「ああ……、悪いなって思って買いに来たんだ」
九郎「というか、そもそも戸棚の菓子は来客用なんですが……」
荘一郎「それで苺大福を戸棚に入れようと?」
志狼「みんなで食えるもんの方がいいと思って。でもなに買ったらいいかわかんなかっ
コメント一覧
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- 2015年11月22日 22:49
- うすら寒い
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- 2015年11月22日 22:51
- シリーズは小出しで載せてくれ
ちょっとクドい
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- 2015年11月22日 22:51
- 急なまとめ方に困惑
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- 2015年11月22日 22:54
- まとめるなら時系列でやれよ
各作品の評価まで下がるよ
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- 2015年11月22日 23:10
- 管理人が今更になって良いもん見付けて慌てて飛び付いたんじゃないの?
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- 2015年11月22日 23:14
- ※5 それな。もっと穏健なとこがちゃんとまとめてくれてるから
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- 2015年11月22日 23:18
- エレだと荒れる内容なのにね
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- 2015年11月22日 23:22
- もっとコメ欄がマトモなとこって何処かな、そこでシリーズ読んでくるわ
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- 2015年11月22日 23:26
- ↑キノコがいいかもね。
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- 2015年11月22日 23:29
- えっ
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- 2015年11月22日 23:34
- ほんとホモマス鬱陶しいわ
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- 2015年11月22日 23:38
- ※9
ありがとう、ざっとコメ欄見てきたがここよりずっと平和なんであちらメインにしますわ
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