こりゃまぁ。世界の都市を水没させるグリーンランドの氷河が恐るべし...
科学者たちの予想をはるかに上回るスピードで急速に溶けゆく氷河。スローモーションのようにゆっくりと、世界の国々の街に変化を及ぼそうとしています。
北大西洋と北極海のあいだに位置するグリーンランドでは、その巨大な氷河が溶けているだけでなく、その氷面下にあった川や湖の水が海へと流れ出しています。その様子はニューヨークタイムズでも大きく特集されるなど、ここ数年注目され続けていました。海からの暖流が驚くべきスピードで氷河を崩す原因となっていることが研究によってわかったり、7月には、NASAのプロジェクトOMG (Oceans Melting Greenland) が氷河の追跡を始めたり。
これまで話題の多くは、グリーンランドの西岸部分が中心でした。ところが先週発表されたサイエンス誌の特別号では、東岸部分の変化について詳しく指摘されています。科学者グループによって発表されたNASAスポンサーのレポートによると、"加速"が始まったのは3年前で、筆頭著者のJeremie Mouginot氏は、グリーンランドについて「全方面から水が流れ入ってくるボートのようだ」と表現したことで話題になりました。
同チームによると現在、グリーンランド東岸にあるZachariæ Isstrømとよばれる巨大な氷原は、土台となっている水面下の岩棚から崩れ離れて、すごいスピードで動きながら溶けている状態。その面積は約5万7千㎡(ニューヨーク市の100倍以上)あるといわれます。NASAによると、完全に溶けると世界の海面を46センチも上昇させるほどの水量になり、毎年おおよそ50億トンが崩れて北大西洋に流れているそう。
またそのすぐ隣でこれまた溶けているNioghalvfjerdsfjordenとよばれる氷河は、世界の海面を50センチ以上上昇させる規模。Zachariæ IsstrømとNioghalvfjerdsfjordenの2つが溶けきってしまえば、なんと約100センチ上昇させることが見込まれています。こうした数字は、世界の国々の地形にもはっきりと表れます。
具体的にどうなるのか、ちょっと見てみましょう。
Geology'sの海面レベルマップによる、ニューヨークのイメージはこちら。紫色の部分が、100センチの海面上昇によって沈む部分です。
ニューオーリンズはこの通り。沿岸だけでなく、川の付近にも影響があることがわかります。
そしてオランダ。アムステルダムをはじめ、大都市まで...
水の都、ベネチア...
これらの地図イメージは、2つの氷河が完全に溶けた場合を想定してつくられたもの。こちらから世界の都市のビフォーアフター予想図を見れば、もっとよくイメージできますよ。
これまで指摘されていた未来が、ゆっくりと今迫って来ています。洪水など最悪の事態に備えるには、国家単位、民間組織、そして個人でどんな対策ができるでしょうか? 地球全体がこうした未来に備えて、改めて準備する必要がありそうだなぁと、今一度、考えさせられます。
ただのんきに観光なんてしてる場合じゃない!
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(Rina Fukazu)