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決勝戦はあわやの大逆転でponanzaが優勝、惜しくも2位はnozomi。第3回電王トーナメント結果 - Engadget Japanese


「ponanzaの牙城を崩すのはどのソフトか」。それほど前評判の高かった第1回電王のponanza。ところが決勝では、nozomiにまさかの展開で追い込まれたが、冷静沈着な評価をするponanzaの強さが終盤発揮し、2勝1敗で勝利。第3回電王の称号と賞金300万円を手に入れた。


まずは準決勝の2局と5位決定トーナメントの2局が行なわれました。

今回から準決勝、決勝、3位決定戦は3番勝負となり、通常の将棋だったら、1局1局進めてき、2勝したら勝ちとなりますが、コンピューター将棋では同時に3局戦って2勝したほうが勝ちになります。3台のマシンで動かして対局するわけですが、意外と同じ局面にはなりませんでした。

プロ棋士と戦う電王戦のとき、同じ指し手にならないようランダム性をもたせるという話をよく聞きますが、コンピューター同士でも序盤からしっかり分岐するようになっているようです。

ただ、指し手の傾向はあるようで、最近のponanzaは横歩取りが多いとのこと。山本一成さんいわく「改良していくと個性が変わることがある」というように、強くなるたびによい戦法が変わっていっているようです。

準決勝のponanza vs 大樹の枝は、ponanzaが2局先手番となりました。序盤を進めていたところ、対局1で大樹の枝が止まってしまうトラブルが発生。復旧作業が許され10分のロス(持ち時間から引かれる時間。サーバー側の不手際もあり実際に止まっている時間よりは短くすんだ)で対局が再開しました。ところが、対局2でも同様に大樹の枝が止まってしまい、こちらは22分のロスで対局が再開されました。開発者の平岡拓也さんはソフト的な問題で原因はわからないと話していました。

↑トラブルで復旧作業をする大樹の枝の平岡拓也さん。

トラブルなく進んでいた対局3は、ponanza有利で進んでいき107手でponanzaが勝利。また対局1は、中盤まで五分で進行していましたが、そこから一気にponanzaへ傾き、そのまま指し切られてしまいました。この時点でponanzaが決勝進出をきめました。

残った対局2は、せめて大樹の枝が土を付けたいところ。対局1と同様、中盤まで互角でどちらも評価値的には有利と判断していました。ところが88手目の△5七銀に対し▲同銀と大樹の枝が指したときに、一気にponanzaの評価値がマイナスに。

この動きに両開発者は一喜一憂していましたが、そこはponanza。ここから挽回し、大樹の枝が中段まで玉が出て行く展開になりましたが、最後はponanzaが170手までで勝利しました。ここまでponanzaは、この大会負けていません。

もう1つの準決勝、nozomi vs 超やねうら王の戦いは、対局3が序盤からやねうら王が有利で進み、127手が快勝。対局2は逆に、nozomiが序盤から差を広げていき147手でnozomiが勝利しました。

↑超やねうら王のマシンのタスクマネージャーには、CPU使用率は常に約50%ほど。全開というわけではないようだ。

残る対局1の行方では勝敗が決る展開になりましたが、中盤までねじり合いの戦いで互角だったのですが、終盤で一気にnozomiに傾き、そのまま勝利。中盤までは超やねうら王有利かとも思われていただけに、残念な結果となってしまいました。

これで、決勝はponanza vs nozomiという対決となりました。

一方、5位決定戦のほうでは、ひまわり vs 大将軍は、ひまわりが入玉に向かおうとしたところ、大将軍がそれを阻止し115手までで大将軍が勝利。tanuki- vs 技巧の戦いは、序盤で飛車角交換する展開でしたが、技巧が一歩有利となり、そのまま覆ることなく121手までで技巧が勝利しました。これで、5位決定戦は大将軍 vs 技巧の戦いとなりました。



決勝と3位決定戦、5位決定戦は、15時半にスタート。まず決勝のponanza vs nozomiは、振り駒の結果nozomiが2局先手となりました。

序盤は3局とも五分五分で評価値の差が付かない展開でしたが、中盤くらいから対局1はnozomi、対局3はponanzaが有利という展開に。このまま進めば勝敗は対局2次第ということになりますが、こちらはどちらもプラス評価を示すという決勝戦にふさわしい均衡した展開となりました。

実はこの展開の最中、開発者の山本一成さんはテレビ局の取材に追われており、別室でインタビューを受けていたため知りませんでした。戻ってきたらこんなことになっていて、ちょっと表情が暗いです。

↑かなり動揺していたponanzaの開発者山本一成さん

思わぬ僅差の展開に、途中、検討したい勝又清和六段は、画面で見てもよくわからないと言いながら将棋板と駒を持ってきて並べて検討に入りました。が、対局1はnozomi有利ではあるけど、詰み筋までは見えなかったようです。

↑簡易的な将棋板と駒で検討開始。

この時点で対局3は、すでに終盤となり、こちらはponanzaが優位のまま進んでいき124手でponanzaの勝利となりました。

対局2は、nozomiが80手を超えたあたりで評価値1000を超えましたが、ponanza的には-200程度の評価。かなり差があり、ponanzaが千日手を読んでいるのではないかと千田翔太五段が急遽中継に参加するほど、会場はponanzaが負けるかもということで、かなり浮き足立っていました。

↑右上の対局2の評価値がnozomiが1000以上つけているがponanzaはついていない(0表示は通信エラーらしく、この時点では-200程度をつけていた)

その後対局1は、nozomiの評価が800を超えたのに対し、ponanzaはやはり-200程度。ただ、こちらはnozomi有利だろうと検討人の評価で、90手を超えてから、ponanzaもnozomiと同等のマイナス評価となりました。対局1はこのままnozomiが指し切って145手で勝利。ponanzaがこの大会初めて黒星をつけられました。

そして勝敗の行方は対局2に委ねられました。ponanzaとnozomiの評価値が差があるので、nozomiが過大評価なのではないかと、解説の西尾明六段が話してましたが、電王板で使われているAWAKEの評価でも900前後あり、nozomiに近い評価をつけていました。

↑解説の西尾明六段(右)と聞き手の山口恵梨子女流初段。

ただ、その後nozomiが、と金をタダで捨てるというバグに近い手を指し、ponanzaが一気に1000以上の評価へ。局面的にもこれが正しい評価だろうという見解になり、ponanzaが終始正しい評価をしていたのだという結論になりました。

痛恨の1手となったnozomi開発者の大森悠平さんは、2週間前に1手詰めのバグが見つかり修正したとのこと。まだほかにもバグが潜んでいるのかもしないという見解を示していました。結局、このままponanzaが押し切って173手で勝利し、2勝1敗でponanzaが優勝となりました。

↑勝利して喜び合う、開発者の山本一成さんと下山晃さん

3位決定戦の大樹の枝 vs 超やねうら王の戦いは、対局3は中盤から一気に差を広げて超やねうら王が有利に進んでいきますが、対局1と2はまだ評価値的に互角の展開。決勝の戦い同様接戦でした。

最初に終わったのが対局3。こちらは、超やねうら王がそのまま指し切り、133手までで勝利。対局2は、逆に中盤から大樹の枝が有利に進めて121手で勝利しました。残りの対局1は、中盤まで超やねうら王が若干有利だったのですが、ズルズルと大樹の枝に評価が傾き勝利。3位は大樹の枝に決定しました。4位は超やねうら王です。

5位決定戦の大将軍 vs 技巧の戦いは、すみません決勝がまさかの展開でそちらに気を取られてあまりチエックしていませんでしたが、中盤から徐々に技巧へ傾いていき163手で勝利。5位を獲得しました。

途中から、決勝の戦いが熱すぎて、中継の解説もそこが中心となり、ほかの対局がどう展開したかはあまり触れられませんでした。大方の予想で、ponanzaが優勝すると思われていたため、nozomiがこんなに健闘するとは、開発者の大森悠平さん自身も思ってもいなかったとのこと。かなり悔しかったと思います。

なんとか優勝を収めたponanzaは、前評判通りにはなりましたが、最後まで勝敗の見えない戦いが見られただけでも、将棋ソフトの開発者の皆さんは、ponanzaを倒す望みが見えたかもしれません。

優勝した山本一成さん、「全勝したかっけど1つ負けてしまいました」と喜びいっぱいで表現していたのに対し、下山晃さんは「うれしいです。評価関数の差で勝ちました」と冷静に今回の勝利を分析。

惜しくも敗れた大森悠平さんは「nozomiちゃんは頑張ってくれました。来年はもっと強くなって勝つ」と意気込んでおりました。

↑惜しくも2位となった大森悠平さん。昨年よりはかなり強くなりました。

第3回電王トーナメントの結果は以下のとおりです。

1位 ponanza
2位 nozomi
3位 大樹の枝
4位 超やねうら王
5位 技巧


1位になったponanzaは、12月に行なわれる叡王戦の勝者来年春に第1期電王戦の2番勝負を戦います。





決勝戦はあわやの大逆転でponanzaが優勝、惜しくも2位はnozomi。第3回電王トーナメント結果

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