店長「キミがラオウさん?」ラオウ「……」
ラオウ「……」コクリ
店長「履歴書なんだけどさ……前職にある、この“世紀末覇者”ってのは?」
ラオウ「……世紀末は終わった。これまで十数年、城にて傷を癒やしていたが……我も、そろそろ資金が不足していてな」
店長「……ってことは、もしかして15年引き籠もってたの?」
ラオウ「……それがどうした?」ギロリッ
店長「ひぃぃ!」ビクッ
ラオウ「採用するのか?しないのか?」
店長「さ、採用採用!採用します!させていただきます!」
ラオウ「うむ……では、明日から来るとしよう」
ラオウ「……」
店長「……ちょ、ちょっとラオウさん?」
ラオウ「……なんだ?」
店長「いや、その恐そうな表情なんとか出来ない?お客さんが怖がってるんだけど……」
ラオウ「……ならば、どうしろと?」
店長「とりあえず、笑顔かなぁ」
ラオウ「なに……?我に、下民共に媚びを売れと言うのか……!?」ゴゴゴゴ……
店長「そ、そうじゃなくて!ほら、ここサービス業じゃん!お客さんに来てもらいたいじゃん!だからさ、せめて快適な買い物をしてもらうためにさ!ね!?」
ラオウ「……ふむ。致し方ない……」
店長「……」
ラオウ「……」
店長「……」ゴクリ
ラオウ「…………………………………ニヤリ」
店長「恐いよラオウさん!それは笑顔じゃないよラオウさん!」
ラオウ「店長……」
店長「あ、ラオウさん。今日もよろしくね」
ラオウ「どうかしたのか?浮かぬ顔をしているが……」
店長「いやね、最近新発売のパンがなかなか売れなくてね……。もう少し売れないかなぁって……」
ラオウ「……ならば、我が売ろう」
店長「え゛っ!?……だ、大丈夫なの?」
ラオウ「任せるがいい……」ゴゴゴゴ……
45歳
oh...
ラオウ「……よく来たな」
男「ええと……タバコのマルボロbox一つ」
ラオウ「うむ……」
男「財布財布……」ゴソゴソ
ラオウ「……600円だ」
男「……え?」
ラオウ「600円だ」
男「い、いやちょっと、マルボロは460円……てか、そのパンは?」
ラオウ「6 0 0 円 だ」ゴゴゴゴ…
男「ひ、ひいい!は、はい!払います!」
ラオウ「……140円だ」
男B「へ?」
ラオウ「140円だ。さっさと払わぬか……」ゴゴゴゴ…
男B「い、いや……僕は立ち読みに……」
ラオウ「貴様……!我の店に来て立ち読みをするだけなどと抜かすか……!?」ゴゴゴゴ…
男B「す、すみません!」
ラオウ「ぬぅぅ!許さぬ!許さぬぞぉぉ!」
男B「か、買います買います!そのパン買いますから
!」
ラオウ「……うむ。では、1400円だ」
男B「え!?10個もいらな――」
ラオウ「……」ギロリッ
男B「…………はい。わかりました……」
ラオウ「うむ……」
店長「ラオウさん!凄いよ!あのパンの売り上げが全国トップだよ!」
ラオウ「うむ……」
店長「いやぁ正直ここまでやってくれるとは思ってなかったよ!いったいどうやったの!?」
ラオウ「……民衆を動かすのは、常に恐怖と暴力よ……」ニヤリ
店長「うん何言ってるのか分かんないけどね!とにかくありがとう!」
ラオウ「うむ……」
ラオウ「……よく来たな……」
トキ「やあ、ラオウ」
ラオウ「……お主か……」
トキ「あなたがやっと重い腰を上げてくれたと聞いてね。様子を見に来た」
ラオウ「うむ……。ご苦労」
トキ「調子はどうだい?」
ラオウ「ふっ……。下々の稚戯など、この我に出来ぬわけもなかろう……」
トキ「そうか……それはよかった……」
トキ「ちょっと会社の昼休みでね。昼御飯を買いに来た」
ラオウ「……なぬ?会社、だと……?」
トキ「ああ」
ラオウ「……まさか、とは思うが……。お主、正社員ではあるまいな……?」
トキ「ハハハ。違うよ」
ラオウ「……ふっ。そうか。いらぬ心配を――」
トキ「僕の会社だよ」
ラオウ「……!」
トキ「規模は小さいけどね。忙しい毎日だよ」
ラオウ「……き、貴様……!」ワナワナ
トキ「じゃぁ、ラオウ。私はこれで……」スタスタ
ラオウ「……ぬぅぅ!トキめぇぇ!」ゴゴゴゴ…
ラオウ「……」ゴゴゴゴ…
店長「……ね、ねえラオウさん?どうかしたの?ここ最近機嫌が悪いみたいだけど……」
ラオウ「……」ゴゴゴゴ…
店長「……何かあるなら相談してよね?僕でよければ、力になるけど……」
ラオウ「……それは、まことか?」ゴゴゴゴ…
店長「へ?」
ラオウ「貴様のその言葉、偽りないのだな?」ゴゴゴゴ…
店長「う、うん……まあ……」
ラオウ「よかろう!では汝に、申し向けようぞ!」カッ――!!
店長「――ッ!?な、なになに!?なんなの!?」
店長「は、はひっ!」
ラオウ「……」ゴゴゴゴ…
店長「……」ゴクリ
ラオウ「……この店を、我に差し出せ……」ゴゴゴゴ…
店長「………………は、はい?」
ラオウ「我も、“けいえいしゃ”たるものになるのだ!故に、この店は今日より我のものとなる……!!」カカカッ――!!
店長「ええええええ!?ちょ、ちょっと待っ――!」
ラオウ「二言は許さぬぞ!今日より店長は、この我だ!我こそは、新世紀店長、拳王なり……!!」ギラッ!!
店長「えええええええ!?」
ラオウ「……」スタスタ
トキ「……おや?ラオウ、こんなところで何をしている?」
ラオウ「……貴様か……」
トキ「仕事はどうした?」
ラオウ「……ふむ。我も、あの店の経営者になってな……」
トキ「……なんと……。そうだったのか……」
ラオウ「だが、もはや用済みだ。たった数日で、下民共が誰一人来なくなってしまってな。元より地の利が悪いのやもしれん。つまらぬ店よ……」
トキ「そうか……それは大変だったな。店はどうしたんだ?」
ラオウ「ふん。あんなところ、かつての店長にくれてやったわ。我には必要ない」
ラオウ「……まだわからぬ」
トキ「……ふむ」カキカキ
ラオウ「……?」
トキ「……知り合いの会社だ。人手不足らしくてな。手を、貸してはくれぬか?」
ラオウ「……ぬぅぅ!この我!人の施しなど受けぬわ!」カカカッ!!
トキ「……そうか……。では、致し方な――」
ラオウ「――待て」
トキ「ん?」
ラオウ「そのメモは、置いていけ」
トキ「……ラオウ……。あなたという人は……」
社員「か、頭ぁぁ!」
ジャギ「ああん?どうした?」
社員「にゅ、入社希望者でさぁ!入社希望者が、来てますぜ!」
ジャギ「な、なに!?」ガタッ
社員「どうしやすか!?」
ジャギ「……俺の名前を言ってみろ……!」
社員「へ、へい!ジャーギー解体有限会社社長、ジャギ様です!」
ジャギ「面接だぁぁ!さっさと呼べ!」
社長「へ、へい!――おい!こっちだ!」
ジャギ「へへへ……。とうとう入社希望者が……。たった2人の寂しい職場とは、これでお別れだぁぁ!」
ラオウ「……」ズイッ
ジャギ「――ッ!?あ、兄者!?」
ジャギ「あ、兄者こそ……!」
ラオウ「……うむ。ちょっとこの会社を我が職場としようかと思ってな……」
ジャギ「な、なに!?あ、兄者が、入社希望者……!?」ワナワナ
ラオウ「よもや、貴様もいようとは……。そうか、貴様も入社しに来たのだな……」
ジャギ「い、いや……その……」
社員「頭ぁぁ!こいつ、履歴書用意してないらしいですぜ!」
ジャギ「――ッ!?バ、バカ――!」
ラオウ「……頭?」ピクリ
ラオウ「……」ゴゴゴゴ…
ジャギ「や、やめ――!」
社員「お前みたいな非常識野郎はな!この先輩社員であるこの俺が、性根叩き直してやんよ!オラオラ!」ゲシゲシ
ラオウ「……ぬぅぅ……!」ゴゴゴゴ…!!
ジャギ「ちょ――ちょっと待――!」
社員「頭ぁぁ!こいつは俺に任せてくだせえ!社長である頭の手はわずらわせ――!」
ジャギ「――北斗羅漢撃ぃぃ!!」
社員「あばばば……!?」ドカァ!!
社員「……ず、ずびばぜん……」ガハァ
ラオウ「……ジャギよ……」
ジャギ「――っ!?あ、兄者!?」
ラオウ「……貴様、よもや、会社を経営しているのか……?」
ジャギ「……!」ガクガク
ラオウ「どうなのだ……」ゴゴゴゴ…
ジャギ「……そ、それは……!」ガクガクブルブル
ラオウ「……まあよい。今日より、この会社は我のものだ……」
ジャギ「――ッ!?」
ラオウ「我が伝説は、これより始まるのだ!我は、新世紀社長、拳王
コメント一覧
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- 2015年11月30日 23:46
- これは何味なんだ?
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…え?